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Vol.366【ファンドレイジングスーパースター列伝】陰徳の美(日本) [2019年01月03日(Thu)]

陰徳の美

今回は番外編としてお届けします。

日本に寄付文化がないという話題の時にセットで語られるのが「陰徳の美」です。
そもそも「陰徳」とは、どのような意味でしょうか。
Google検索で調べると、「人に知らせずひそかにする善行。かくれた恩徳。」という意味です。
「陰徳陽報」という四字熟語もあります。「陰徳あれば必ず陽報あり」ということを意味しています。
これは、中国、前漢時代の哲学書『「淮南子 (えなんじ) 」人間訓』からで、人知れずよいことを行う者には、必ず目に見えてよいことが返ってくる意味です。

さらに、近江商人の教えに「陰徳善事」というものがあります。
近江商人の研究を行っている「三方よし研究所」のWebサイトには、次のように紹介されています。
----------
陰徳善事
【陰徳とは目にみえぬかげの間にて人のためになるよう‥‥】
 陰徳という語が近江商人の家憲、店頭などには数多くでている。
 成功した実業家が巨額の寄付を社会貢献のために、名も告げず投げ出すという陰徳の精神は理解されなくなっているが、それでも陰徳の精神は近江商人の間では実在したし、今日でも変わっていない。
----------
http://www.sanpo-yoshi.net/about/concept.html


そして、「陰徳」の対義語として「陽徳」があります。
陽徳は、「あらわに人に知られる徳行」という意味です。
仏教の思想としては、陽徳では徳が積んでもその効果が少ないので、陰徳をするべきだという教えがあります。

二宮尊徳の報徳思想の中でも、「陰徳」が語られています。

また、儒教では、「仁・義・礼・智・信」を5つの徳目として説いて、五常、あるいは五徳といいます。江戸時代の儒教の流行も「陰徳」という言葉が広まった一因のようです。


それでは、「陰徳の美」という言葉はどこから来るのでしょうか。

Google検索で調べると、インターネット上では、2003年くらいから使われているようです。

資料1 海上公園の概要 - 東京都港湾局
2003/02/28
「日本では陰徳の美風という意識があり、」
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/kanko/park/torikumi/2shiryou.pdf?fbclid=IwAR3puGtJhvUuoqMel6NVJtd3iaNolgX_w8qbboN6t6TvTSkjZsJ0WDgvHJQ

直撃インタビュー『CSRキーパーソンが語る今後』:東京海上日動火災保険
2004/10/15
「一方、CSRを「陰徳の美」にしてもいけないでしょう。」
http://adnet.nikkei.co.jp/a/csr/interview/interview_101108.html?fbclid=IwAR0nbbNeH62CStEWWRME_pGnqqLe9yMBGMHnpX4g4MTcNCQJVL7RV_hktN8

企業が文化になるとき - 経済同友会
2006/07/04
「その3】「陰徳の美」から「陽徳の美」へ. 」
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2006/pdf/060704.pdf?fbclid=IwAR02XL57xwRj4l1rYGu4Q0sUUhr6xdnAz7sg2o5qfZ8iOPEtNoQ6lDrsEwM


さらに調べていると、2000年9月に出版された「マーケティング倫理―人間・社会・環境との共生」(水尾 順一・著)で、どうやら「陰徳の美」の話しが出ているようです。
(※現物を入手できていないので、とある論文で引用されていたことを元にしています)


ところで、「陰徳の美」の他に、「隠匿の美」という表現が使われているケースがあります。
江戸時代の粋で、着るものの裏地や人の目に着かないところに、お金をかけておしゃれをするという文化がありました。ここから、人知れずにおしゃれをすることや何かやることを「隠匿の美」と呼んでいるようです。


さて、現代の日本人に「陰徳」という精神はどれぐらい伝わっているのでしょうか。
日本企業のCSRを語る時に、陰徳の文化があると説明されていることがありますが、本来の「陰徳陽報」という考え方はほとんど伝わっておらず、どちらかというと「隠匿」という意味に近いような気がします。
「陰徳」の本来の意味が伝わっているのであれば、もっと社会貢献活動が活発になっているのではないでしょうか。


最後に、「陰徳」の精神を実践してきた、明治後期から昭和にかけての企業人を主人公にした伊集院静さんの小説「琥珀の夢」をご紹介します。
https://amzn.to/2F3yFZT

この小説は、サントリーの創業者である鳥井信治郎を主人公にしたものです。
物語のテーマの一つに「陰徳」が出てきます。

著者の伊集院静さんの新聞社のインタビューで次のように語っていました。
「明治から今に至る日本人の在り方を考えたとき、商人にも、こんな強い生き方をした人がいた。慈愛や陰徳、宗教心も持っている。日本人が失ってほしくないことを、人の手を借りて書きたかったのですよ」
【産経新聞】
https://www.sankei.com/life/news/171015/lif1710150029-n1.html


こちらのインタビュー記事で、具体的に「陰徳」を取り上げたのかを語っています。

サントリーが表に出さない「陰徳」の存在感
作家・伊集院静氏が語る創業者鳥井信治郎
https://toyokeizai.net/articles/-/192105


寄付文化を考える時に、陰徳そのものの意味もしっかり押さえておきたいものです。
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