日本財団公益コミュニティサイト CANPAN CANPANブログ:公益法人,NPO,CSR,社会貢献活動のための無料ブログ

Yo_カッパな毎日

CANPANウェブマスターとしての毎日を綴ります・・・と言いながら更新はかなりゆっくり目なのでご容赦ください・・・


http://blog.canpan.info/cosmo/index1_0.rdf
プロフィール


カテゴリ別記事
最新記事
コメント
Yo_カッパ
情報発信がんばろう (12/19)
高橋和勧
CSRは企業と社会との共通言語 (05/25)
トラックバック
市民が選ぶCSR大賞授賞式 [2008年01月23日(水)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■熱い関心■

去る2007年11月09日(金)に「CANPAN第1回CSRプラス大賞」の授賞式が開催されました。詳細は下記のURLをご参照いただければと思いますが、各受賞企業の皆さまの事例紹介はとても迫力のあるものでした。

■「CANPAN第1回CSRプラス大賞」授賞式開催結果■
  http://blog.canpan.info/csr2007/archive/40

授賞式を見るために参加された皆さまにいただいたアンケート結果でも、かなりご満足をいただけたようで、主催者としては胸を撫でおろしました。(とはいえ、来年に向けてさらに向上を図ります!)

そんな中、個人的には、株式会社アレフ(びっくりドンキーでおなじみ)の取り組みに注目しました。アレフは、北海道のNPOセンターから推薦を受けた地元企業推薦枠からのノミネート企業ですが、その取り組みは大企業に負けない素晴らしいものです。

■株式会社アレフ■
http://blog.canpan.info/csr2007/archive/20

心無い企業の不祥事の続出によって食の安全に関する市民の目が益々厳しさを増していく中、アレフのような取り組みを行っている企業が存在することを第三者が評価することの意義は、さらに重要性を増しています。

このアレフの様々な取り組み方で、特に素晴らしいのは、自社だけでCSRを完結させず、地域を幅広く巻き込んでいることです。例えば、取り組みの一つとして、家庭から出る廃油の回収ステーションとしての機能を店舗に持たせるということをされています。

この活動により、廃油を持ってきてくれる地域住民の方が増えているとのことですが、廃油だけを持ってきて、そのまま帰るお客さんだけでは当然ありません。「ついでに食事をしていこう」ということになる場合もあるでしょうし、その際に割引券をもらえるので、後日この割引券を使うためにお店に再度来店される方も いらっしゃいます。

これらは、CSR活動を通じて売上も一緒に上げてしまうという一手法ですが、 とても上手だと思います。そして、行政が張り出しているゴミ回収の案内には廃油は「びっくりドンキーで回収します。」と記載があります。

このような間接的周知により、単純なお店の周知だけでなく、社会的信用も向上しています。これもまた上手なCSR広報です。

そして、さらに上手なのは環境教育という点で小学校を巻き込んでいる点です。びっくりドンキーはハンバーグ屋さんなので、小学生にとっての人気メニューです。彼らを対象にした巻き込みは当然のことながら集客にも貢献します。

子どもたちから「びっくりドンキーに食べに行きたい」と言われ、「まあ、廃油も溜まってるし、割引券もあるから行くかー」というリピーター確保の循環ができあがっています。これがアレフの本社がある北海道で実現しているのはなぜでしょうか?


■地域を巻き込むCSR広報

大手の食品関係会社も食育ということで、社員が学校に授業を教えに行ったり、 学校での野菜栽培を支援したりという活動をされています。

これはもちろんCSR、この場合のCSRは「社会貢献分野」を指しますので、社会貢献活動と表記します、の一環として素晴らしい活動であり、通常はこれらを企業紹介のパンフレットなどに記載し、自社のCSRとしてアピールされています。

大手企業の場合、対象が全国区なのでこのような方法にならざるを得ませんが、こういった現場型の社会貢献活動の展開は、アレフの例を見てもわかるとおり、むしろ地元密着型企業にとってメリットが大きいのです。

びっくりドンキーは、全国でFCを含め289店舗あります。しかし、先ほどの活動を可能にしているのは、お膝元の北海道だけです。(今後、全国的な規模で拡げていきたいという気持ちをお持ちとのことでした。)

「社会貢献活動」と言っても、その実現と効果測定はなかなか難しく、利益を追求する中でのこれらの事業費をどのように株主に納得してもらうかは非常に悩ましいものです。

その解決手法の一つとしてCSR広報が重要な役割を果たすわけですが、その場合、「納得してもらえるような形で株主に報告する」ということをしなければなりません。

地元密着型の企業が、地元で社会貢献活動をする場合、その実現のための細かいケアが可能である割には経費も安くすむことから実施力が高く、効果測定も細かくでき、さらに常にリアルに感じ取ることができますので、報告にもリアリティが加わります。これが、読む人への納得感につながります。

そして、ここがポイントですが、株主に納得感の高い社会貢献活動とその広報は、自然と第三者からの評価も高いものになり、結果として「第三者が自社のCSRを評価してくれる」というCSR広報として最も効果の高い結果を呼ぶことができます。

このような形で、地元に応援される企業になっていくことは、それほど難しいことではありません。今やCSRのイメージ広告は巷に氾濫し、それを見る視聴者もうがった眼で見ている現状を考えれば、そんなものを何本も打つよりもよほど費用対効果は高いのです。

そして、応援される企業になるということは、そこで働く社員にとって働くための大きなモチベーションにつながり、会社が元気になっていくという二次的効果があり、中長期的な視点から見れば、これが最も企業にとって大きなメリットかもしれません。

■ここがポイント■
1.地域を幅広く巻き込むCSR活動でCSR広報力を上げる!
2.地元に応援される企業を目指すなら地元密着型のCSR展開を!
3.地元密着型CSRで会社も元気になる!


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報の時代」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------ --
日本初!市民が選ぶCSR大賞 [2007年11月05日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■市民の側から企業のCSRを表彰する初めての試み

私が企業の不祥事アナリストだったら、毎月食べることには困らないだろうなと思うくらい、毎月のように企業の様々な不祥事が明らかになっています。

相変わらず、製造年月日の虚偽が発覚した老舗菓子メーカー、偽装鶏肉などなどがニュースを賑わせています。(「もういいよ」という気持ちでいっぱいですが。。。) これらブランド企業の相次ぐ不祥事に対する市民の反動としてCSRへの関心が高まり、結果としてCSRという言葉を新聞で目にしない日は無いほど社会の注目を集めている、とアナリスト的には言えるでしょう。
しかし、ここでいう「社会」とはイコール「市民」ではない、ということを痛感させられる結果を今回知ることができました。今月はこのことを掘り下げて書いてみたいと思います。

私が企画・運営を担当している「CANPAN CSR プラス」というウェブサイトで、 「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」という企画を読売新聞東京本社の後援を受け、実施する運びになりました。

【CANPAN CSR プラス】 http://canpan.info/csr/

この大賞は、「市民が選ぶ」という意味において日本初の試みです。世の中にはすでにいくつかのCSRを表彰する制度が存在していますが、市民自らが参加した結果を元に表彰するという制度は存在していませんでした。

個人的には好きな和訳ではありませんが、CSRが「企業の社会的責任」という以上、ステークホルダーとして重要な市民視点の無いCSR表彰というものが無かったことを意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

それは、表彰する基準となる、評価する側の市民のCSRリテラシーがまだその段階になかったことが大きな理由の一つとして挙げられると思います。つまり、以前は市民の側から見て、企業のCSRを判断する情報の質と量が専門家でもない限りわからないものであったということです。

また、CSRへの市民の関心が環境問題以外はさほど高くなかったことも理由として挙げておくべきと思います。

もちろんまだまだ解決するべき課題は山積みであるものの、ここ10年間の日本企業のCSRに対する取り組みは評価に値するものであることは間違いなく、そんな企業を応援するフレームを作ろうと「CSR プラス大賞」を企画しました。

そして、CSRを私たちが表彰するならば、どのように表彰することが望ましいかを考えた時、やはり「市民から応援されるCSR」として表彰されることが企業にとって最もうれしいのは言うまでもありませんから、それを実現しようということになりました。

■市民はCSRを評価することに関心があるのか

本当に市民はCSRを評価することに関心があるのか?という不安は正直ありました。しかし私たちがCSRのサイトを立ち上げ、アナリストとしてではなく、企業と市民活動を結ぶサイト運営者として感じていた直感として、投票してもらえるだろうという思いが強かったのです。

そして、市民が特定の企業のCSRを評価し、それに対して応援の意を表すとすれば、どういう方法がいいだろうかを考えました。

「CANPAN CSR プラス」というサイトでの企画だけに、ウェブの特徴を最大限に活かした方法で行おうということで、それはやはりウェブでの投票によって全国から様々な立場の方々に広く募るということでした。

目標投票数は10,000人に設定。これは、市民が選んだと銘打つ以上、一定数以上の投票でなければ意味がないこともあり、通常のアンケート調査で求める数の10倍〜100倍という高い目標設定を課したのです。

重複者については、投票者の中から抽選でギフトカードなどをプレゼントする関係で、個々人の情報を入力してもらうため避けることができます。したがって純粋な10,000人からの投票を期待しました。

そして、もう一つの大きなポイントは「地方」と「中小」企業の皆さんのCSRを応援したいということでした。実はCSRは地方や中小企業のほうが大企業より素晴らしい場合がたくさんあります。それを世の中に紹介したかったのです。

そんな中、私にはさらに一つの大きな疑問がありました。それは、「市民は 『CSR』というものについてどのくらい理解しているのか?」という、そのレベル感でした。

市民の理解と言っても企業がCSRというものを広報することの重要性に気づいたのがここ数年のことです。その展開方法はまだまだ未熟と言わざるを得ません。だからこそ、このようなコラムを書くことの意味があるわけです。

つまり、「企業が期待しているほど市民にCSRは理解されていないのではないか?」という思いを払拭できずにおりました。その疑問が正しいかった場合、 投票企画自体が空振りに終わり、市民からの表彰などまだ早かったという結論は十分にあり得るわけです。

そこで、投票数の多寡はともかく、投票に参加してくれる市民の皆さんにアンケートをお願いすることにしました。つまり「市民のCSR意識調査」を並行して行うことにしたのです。

これは、広く日本中から色々な立場の方々に投票してもらう機会に、その方のCSRリテラシーを把握しつつ、それぞれの立場の方々はどのような企業のCSRを評価するか、という重要な基礎情報を得ることができるので、今後のためにも非常に有用です。

しかも、実はこのような、CSRに普段あまり接する機会のない方々も含めた大 規模なアンケートというもの自体、世の中ではほとんど行われていないのです。したがってCANPAN CSR プラスとして実施するには最適でした。

これらのデータは、結果はどうあれ、特に企業にとって大変に貴重なデータです。

そして、蓋を開けてみると、投票結果は当初の目標の二倍である20,174票(有効投票数のみ)の投票があったのです。

「市民が企業のCSRに関心を持ち、投票までしてくれるのか?」という不安は見事に払拭できましたが、同時に行ったアンケート調査結果は、私たちが新たな課題に直面していることを知ることとなりました。

それを結論から言うと、「市民はCSRを知らない」ということです。投票という行為をしてくれる方々にとってすら、CSRはまだまだ身近なものではなかったのです。次回では、そのアンケート結果を元に分析した内容をお伝えしたいと思います。

なお、この「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」の授賞式が2007年11月9日(金)に開催されます。ここでは受賞企業の取り組みについてのお話しや私からの分析結果のご報告などもございますので、ぜひお時間のある方はお越しいただければ大変光栄です。

■「CANPAN 第一回 CSR プラス大賞」授賞式詳細はこちら■
http://blog.canpan.info/csr2007/archive/40

■ここがポイント■
1.日本初!「市民が選ぶCSR大賞」を実施!
2.「地方」と「中小」の企業を世の中に紹介する賞
3.市民は「CSR」を知らない?!


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報の時代」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
プロセスを発信する効果 [2007年10月24日(水)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■見えにくいプロセスをブログで透明化する

前の号で、経営者トップのブログは対外的よりもむしろ社内に対してトップの考えを伝え、理解促進を図る手法として有効であることを書きました。

世の中で経営者のブログが徐々に増えている理由は、対外的に「こんな人間がやっている会社です。」と紹介する意味があるのはもちろんですが、それに加え、このような側面を持っています。

それは、結婚式における人前式のようなもので、社会に証人になってもらい、自社の理念や事業などを社員と共に共有するという作業です。

組織が大きくなればなるほど、トップの声は現場である社員に届きにくくなるものだけに、この方法は有効なのです。

社員から見ると「公の場に発信しているのだから、トップがここで語っているこれは本気なんだろう」と理解します。現に私の勤める日本財団では、それで成功しています。

このトップの本気の声を、メディアなどの編集が入らない生の状態で、しかもいつでも振り返れる状態で伝えられるブログは素晴らしいツールと言えるでしょう。

そして、もう一つ、とても重要な役割があります。

それが「プロセスを共有していく」というものです。たとえば、あるCSRを展開しようとした場合、「なぜわが社はそれをすることに決めたのか」という部分をきちんと理解してもらわないと、ただのボランティア活動で終わってしまいます。

CSRは、株主を含めた会社を取り巻く多くの関係者の理解なくしては実を結びません。本当に単なるコストと徒労で終わる可能性を持っています。そんなCSRはする意味がありませんし、それこそ株主に対して責任を果たしていないことになります。

したがって、トップの生の声に加え、それが決定される、実行されるまでのプロセスを透明化するためにブログで情報発信し、社内のみならず、社会に対して理解の幅を広げてもらいながら進めていく必要があるのです。


■プロセスの公開で理解者を増やす

プロセスの開示を会社のオフィシャルなホームページ上で行うのはあまり意味がありません。それはマンパワーや予算の問題もありますが、そもそもホームページに来る読者が、そのようなものを求めていないからです。

ホームページに来る読者は、やや一方的な情報としての「決まっている情報で自分の興味のあることを知りたい」のであって、未確定な情報やプロセスを知りたいわけではなく、コミュニケーションを求めているわけでもありません。

みなさんも経験があろうかと思いますが、ある法律や条例が「なぜそういうものが作られたのか」がわからないまま、ある日突然施行されるということが往々にしてあります。

この「結果」だけを知り、したがわされるという状態は、押し付けられ感だけが残り、納得感は少ない。主権を持つ私たちは、「なぜその法律ができたのか?」「なぜそのような条文になったのか?」というプロセスを知る必要があります。

そうでなければ、その法律の持つ意味やそれに従う必要性の理解の幅が狭くなり、行政との信頼関係を創ることなど不可能なのです。

したがって、本当は、行政こそこれらのプロセスを市民に知らしめ、コミュニケーションすることに意を用いるべきですが、行政はむしろどこまでもホームページ型の情報発信で終わり、私たち市民の不満足度は上がるばかりです。

会社のCSRは会社と社会との交流が目的ですからこれと同じことが言えます。
したがって、双方向性ツールでもあるブログでの情報発信が有効なのです。

その実現に向けた悩みや実施のプロセスを自らさらすことは、非常に勇気のいることですが、だからこそ共感を呼ぶことができるのです。

ぜひだまされたと思って、自社のCSRの取り組みとその決定までのプロセス、実行上の課題とそれへの「真剣な」取り組みを発信してみてください。きっとあなたの会社への理解者が、いつの間にか増えていることに驚かれることでしょう。

そして、そのようにして会社を理解してくれた人達は、さらなる伝道者として皆さんのCSRを知らないうちに広報してくれるでしょう。これにまさる広報はありません。

■ここがポイント■
1.ブログで社会を証人としてトップと現場が理念を共有する
2.CSRのプロセス開示は、ブログでの発信が一番
3.勇気をもって発信するCSR情報にこそ価値あり


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
CSR報告書は本当に必要か? [2007年10月22日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

この号は、多くのみなさまから反響をいただきました。
本当にありがとうございます。


------------------------------------------------------------

■CSR報告書のおさらい

みなさんの会社では、「環境報告書」または「CSRレポート」、最近では「サスティナビリティレポート」などと呼ばれる報告書を毎年作成されているでしょうか?

私の所属する日本財団が運営するサイト「CANPAN CSR プラス」では、東証一部上場企業(約1700社)に対し、報告書を作成している場合は、それを送っていただけるように依頼、送られてきたそれらの報告書を48の項目でチェックし、結果をデータベースで公開しています。(自主的にご登録されている企業もあります。)

東証一部上場企業では1700社中600〜700社くらいが実質的な報告書を作成しているというのが現状です。そして、世相を反映し報告書を作成する企業の数は年々増え続けています。

ここで、ここ20年間の日本企業のCSR報告書の取り組みに関する経緯をざっくりとおさらいしてみましょう。

そもそもの発端は、海外の機関投資家を含む投資家からの「環境報告書の提出依頼」でした。つまり「環境に配慮していない企業への投資はしないからその判断基準となる報告書を見せろ」ということです。

それまでも環境への取り組み自体は自主的に行っていた日本企業でしたが、それを報告書という形で第三者に公開するという発想はほとんどなく、このオーダーに面食らいます。しかし、国際的な企業であればあるほど、事態は深刻でした。これを機に日本企業が暗中模索の中で環境報告書を作り始めます。

一方、世界の動きは、ナイキやリーバイスが児童労働問題で叩かれたことなども影響し、「環境問題だけでは企業のリスクを判断できない」として、「CSR(企業の社会的責任)」という形での報告が求められ、一気に守備範囲が拡大、日本にも波及してきました。

この場合の企業のリスクとは、投資家にとってのリスクです。つまり不祥事などで一気に企業ブランドが傾き、株価が急落してしまうようなリスクを潜在的に持っている企業への投資を避けることを指します。「CSR報告書」は投資先として妥当かどうかの判断材料の一つとして有効なのではと期待されました。

そして現在、投資家は自分たちの投資リスクの回避だけでなく、社会的に見て優れた企業を応援するべきだという動きがあり、それを国連も後押しするなどして注目されています。これはSRI(社会的責任投資)と呼ばれています。

欧米では、このSRIの投資額が300兆円とも言われています。つまり社会のシステムの中に、CSRに取り組む企業を支える基盤がすでにできあがっているのです。社会が企業のCSRを支えてくれるならば企業はCSRにも積極的に取り組むことができます。

それに対して日本のSRIは3000億円程度と言われており、欧米に比べてわずか0.1%にすぎません。これでは、日本企業にとって「CSR=コスト」だと実質的に考えざるを得ないのも無理のないことです。

そんなCSRを取り巻く環境の変化の中で、投資のための判断材料として「CSR報告書」は役に立っているのでしょうか? 答えは「No」です。

■帯に短したすきに長しのCSR報告書

報告書の作成は、当たり前ですが、会社の規模が大きくなればなるほど、業務が多岐にわたればわたるほど、コストがかかります。そのコストに見合うだけの何を求めて報告書は作られているのでしょうか?

コストだけで判断すべきものではなないというご意見も踏まえながら、結論から申し上げてしまうと、今、日本で出回っているCSR報告書の多くは「帯に短したすきに長し」状態です。

つまり、投資家がその報告書でもって、投資先として選定できるような濃度のある報告書はほぼ皆無(私は読んだことがありません)であり、社会が理解しやすいような読みやすい内容になっている報告書はとても少ないのです。

ということは、誰がその報告書を読んでいるのでしょうか? それば一言で言うと「CSRの専門家」ということになります。例えばその会社の業種とCO2の排出量を見て、その多寡が判断できてしまうような人です。このような方が世の中に何人いるのでしょうか?その方々に何を理解してもらおうとしているのでしょうか?

現在、各社が作成している「CSR報告書」というものが持つ最も根本的で困難な課題がここにあります。

「コストをかけて作っているのにそれはないだろう・・・」と思われた方がいらっしゃったら、ぜひ先述の「CANPAN CSR プラス」の48項目を自社のCSRに当てはめ、実際の報告書の内容だけで48項目が全て埋まるかを試してみてください。

実は、この48項目に回答するだけで、今、各社が提供しているCSR報告書と同じようなレベルの情報公開(または発信)はできてしまいます。(その元となるデータ作成はきちんと作らないといけませんので、ここは時間と労力が必要です。)

実際に私の所属する日本財団では、報告書の提出などの依頼の際に「報告書は作成しておりませんが、CANPAN CSR プラスに登録し公開しているのでそちらをご覧ください」と回答しており、報告書そのものは作成していません。

環境に配慮するという意味もあり、CSR報告書をPDF化してウェブ上で公開している会社も増えていますが、PDFを作るよりもCANPAN CSR プラスのほうが作る側にも読む側にとっても簡単です。また、他社との比較も容易であることから、CSRに関 心の高い多くの方が参照されることもあり、費用対効果としては最も高いものの一つといえます。

一方で、明確な目的意識を持ってCSR報告書を作成されることはとても意味があることです。

例えば、CSRは自社の社員にこそ理解させなければならないという視点で作るなら、極端な企業例ですが、トヨタのような一つの町ほどの人たちが働く企業が、CSR報告書を従業員のために作って配布するだけで10万冊規模の報告書が出回ることになります。

これは立派な広報戦略でもあります。報告書に求められるものが社会の要求と共に変わりつつある中で、単に「CSR報告書を出せばいい」という時代はすでに過去のものであり、報告書は、企業ブランドの醸成とも絡んだ企業戦略の中で作成するものでなければ作る意味はありません。

これからCSR報告書を出さなければならないとお考えであれば、ぜひそのあた りを加味した上でお作りになることをおすすめします。

■ここがポイント■
1.CSR報告書はこの10年で大きく変わってきた
2.CSRに必要な48項目が埋まるか試してみましょう
3.組織戦略上に乗っていないCSR報告書なら作る意味なし


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
失敗から学ぶCSR広報 [2007年10月08日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■こんなCMだけはしてはいけない見本

ご覧になった方も多いと思いますが、最近、ある生命保険会社が「森林保全活動を通じて環境問題に取り組んでいます」というCMを頻繁に流していました。

生命保険会社は、過日の様々な問題の解決と社会的信用回復に向けた施策を打っていかなければならない状況にあり、このCMもその一環として莫大な広告費をかけて展開されたものでしょう。

このCMについて、CSRのセミナーに参加していた大学生に聞いたところ、「見え見えでかえって信頼できない」、「今のこのタイミングで生命保険会社が環境保全の取り組みをCMで流す意味がわからない」という回答が返ってきました。

一連の生命保険会社の問題について快く思っていない人であればあるほど、このような感想を持ってしまうことでしょう。つまり、莫大な広告費をかけて、社会にマイナスイメージを植えてしまうという期待とは全く反対の結果を引き起こしてしまっています。

CMで言っていることが間違っているわけではありません。環境問題を自分たちの問題として考え、それに企業として取り組むことは大切なことで評価に値します。しかし広告という目的から結果だけをみれば、全くの失敗です。

なぜこのようなことになってしまったのでしょうか? それは、一言で言うと 「浅薄な戦略性と目的意識のないままCSRを安易な形で自社の大切な広告に使ってしまったために起こった」のです。
CSRは、会社とそれを取り巻く社会との信頼の上に立脚する大切なものです。

したがって、その会社が社会の中でどうあるべきかの戦略性と、それとがっちりと結びついたCSRへの取り組み、この二つの発露として展開される広告でなければ見る人には何も訴えるものにはらず、タイミングも悪く、内容もないものになってしまうのです。

先のCMは、広告代理店のアイディアをそのまま取り入れただけという可能性も高い気がしていますが、この広告を打つことを決めてしまう時点で、この会社のCSRへの取り組みが底の浅いものであることを証明してしまっています。

■CSR広告は難しくない

では、CSRを広告に取り入れることは難しいことなのでしょうか?
CSR広告が最もその効果を発揮するのは、企業のブランドイメージのアップを目的とした広告であり、この失敗例もそれを狙って作られたものでしょう。この目的意識さえはっきり持って作れば、さほど難しいものではありません。

しかし、そこには、先に述べたとおり、「社会の一員として自社があるべき姿」というものが描けていることが前提であり、それが整わないうちは安易に使わないほうがいいのです。

「そんなこと言ったって、あるべき姿を定義するのは難しい」と思われた方は自社の企業理念をもう一度思い出してください。そこにはおそらく回答がすでに書いてあるはずです。

先の号で「企業理念は社会との約束事」ということを書きましたが、CSRを広告に使おうとする場合、この約束事を守るために何をしているかを訴えれば、ミニマムの要素はおさえた広告が打てるということになります。

具体的には、「わが社の経営理念はこれです。○○○ ○○○ ○○○ この三つを果たしていくことをみなさまにお約束します。」これだけで立派なCSR広告です。(この経営理念が社会に受け入れられるものであるということは大前提です)

二年前の年末に松下電器が展開した「お詫び広告」、あのシンプルなCMに社会は松下の真摯さを感じて感動し、結果として売上高は前年同期比4%増の2兆3984億円、営業利益は47%増の1294億円を記録したのです。

このCMは、松下がブランドイメージをアップさせようと思って展開したのではなく、自社の企業理念から判断して、なすべきことをしただけにすぎません。
しかし、結果は松下ブランドを大きく躍進させたのです。

つまり、CSR広告を展開するならば、まずは自社が社会の中でどのような役割を担い、それを果たそうとしているかをベースとして、それを達成するために社会に何を理解してもらいたいかをデコレートすればいいのです。

それは広告の持つ意味を「商品を売るためのもの」と定義するならば、「自社の経営理念とその実践」を商品として売るためにどういう広告を打つか、と考えるとわかりやすいかもしれません。

■ここがポイント■
1.せっかくのCSR広告が会社のマイナスイメージづくりに貢献
2.CSRの広告は社会との信頼関係の上でしか成り立たない
3.CSR広告とは企業の理念と実践を商品として売る広告である


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
トップ自らブログを書く意義 [2007年09月10日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■見えにくいトップの仕事や考えをブログで伝える

私の勤める日本財団の会長である笹川陽平は、経営者がブログを書くことなど社会的にはまだまだあり得なかった昨年のはじめから、ブログを書き始めました。そして、日本財団で働く職員へもブログを書くことを奨励しました。

■日本財団 笹川のブログ■
http://blog.canpan.info/sasakawa/

その際、「君たちの書くことについては、私が責任を取るから思う存分やりなさい。」と職員に説明しました。職員への信頼と心胆が座っていなければできない発言で、『すごいトップだなぁ・・・』とあらためて思ったのを覚えています。

日本財団は、「日本財団公益コミュニティサイト『CANPAN』」というウェブサイトを2005年6月に立ち上げ、そのウェブサイトのサービスの一つとしてブログサービスを提供しています。これは、その頃の話です。

このサービスは「CANPANブログ」と呼ばれるものですが、全国で活躍するNPOやボランティアの方々が様々な情報をこのブログによって公開しています。
今まで水面下でなかなか実態が見えにくかった市民活動の現場の声が、まとまった状態で世の中に発信されはじめたのです。

これは、市民活動の世界でも画期的な出来事であり、たとえば、先の新潟の地震の際には、一早く現地入りしたボランティアの方々が現場の状況をCANPANブログで配信していました。
私たちは、このようなNPOやボランティア、または財団法人や社団法人など、社会にその存在は知られているが、実際に何をしているのかイメージしにくい団体こそブログで情報を発信し、理解者を増やすことが重要であると考えています。

それは、ブログというツールが持つ特徴である、「書く人の顔が見える」からです。それを会社のトップと置き換えた場合、そこで働く社員は、トップの生の声をいつでも知ることができるようになり、社員の中にトップの考え方の理解者を増やすことができることになります。

■トップのブログで社員のマインド変革

昨年、ワタミグループの渡邉美樹社長にお会いした際、「私は社員にワタミのマインドをことあるごとに話している、ことあるごとに何度も何度も。それでもここまで組織が大きくなるとなかなか伝わらない。」ということをおっしゃっていました。

企業のCSRはお題目では意味がありません。いくら良い事を言って実践しようとしても、そこに心がなければ逆効果になることすらあるのがCSRというものが持つ特徴です。

なぜなら、CSRは企業の善意の心と、それに反応する社会との信頼関係で成り立っているからです。それを裏切る企業を社会は許しません、スポーツ紙があり得ないことを一面に掲載するのと日経新聞が同じ事をするのとでは社会の受け取り方が全く違うのと同じようなものです。

自社のパンフレットを作る時、経営者が企業の理念を語る場面がよくあります。その場合、経営者は、自社にとっての理念が大切な社会との約束事であるこを意識されているでしょう。(最近はそうでもない企業が多いようにも見受けられますが、そのような企業は結果的に淘汰される時代です。)

では、それを従業員は理解しているでしょうか?企業理念は学校の校訓やお経のようなもので、とりあえず書いておけば収まりがいいかなというくらいで現場は終わっていないでしょうか?

企業がどこへ向かうべきかを示すのは経営者の役割ですが、それと共に自社を変えたいと思った時、トップ自らがブログで社会に自分の考えを生の声で発信することは、選挙の公約と同じで、自分の本気度を示すバロメーターです。
企業のトップが、もちろん実名で、インターネットに公開する考えや企業理念への思い、そしてCSRへの思いの本気度や真剣さは、自社で働く社員にこそ響くものなのです。

私も含め、日本財団では、会長のブログを職員が読み、会長の考えを理解しようとしています。

企業のCSRを組織一丸となってやっていきたいと思ったなら、自社の社会の中での役割や位置づけについて、トップが考えていることをブログで情報発信されてみることをおすすめします。その結果に驚かれることと思います。

■ここがポイント■
1.NPOやボランティア、顔が見える情報発信としてブログが有効
2.CSRは企業の善意の心と社会との信頼関係で成り立つ
3.トップ自らのブログは組織に変革をもたらす有効ツール


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
相互広報で相乗的PRを狙う [2007年08月27日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------
■市民活動と自社のCSRとの協働

前回の記事で、CSRを展開する中で誠意を伝える手法として、自社だけではなく第三者を巻き込んだCSR活動を展開し、それをお互いに広報し合うことがおすすめと書きました。今回は、その具体的な方法について書いてみます。

皆さんは「協働(きょうどう)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この聞き慣れない言葉は、最近、特に行政が「協働」を掲げ、市民と一緒に作る施策を展開しています。一言で言うと言葉そのままに「何かを一緒に協力して行う」ということです。

行政とNPO法人やボランティア団体など市民活動との協働は、はじまったばかりということもあり、いくつもの問題を抱えてはいるものの、全体的な傾向としては歓迎すべき流れです。

そのような中、企業もまたCSR活動の一環として市民活動との「協働」を行 いはじめています。
これは、従来のようにNPO法人やボランティア団体にお金を出して「後はよろしく!」と任せっきりにする話ではありません。

寄付を行った企業の担当の方がおっしゃるのは、「そういう団体に寄付しても半分くらいは何に使われたのかよくわからない」というコメントです。
これは市民活動団体側にも問題があり、いただいたお金をどのように使ったかをきちんと情報公開するという認識が低いために起こります。

これは、日本の市民活動の社会的ステイタスが、欧米のそれと比べて低い理由の一つにもなっていると思われます。つまり「私はいいことをしているんだからお金を出すのは当然、寄付は善意のお金なんだから情報公開なんてする必要ないでしょ。」という態度です。

これでは、社会や企業からの継続的なサポートなど受けられるはずもなく、自ら支援者を減らしていると言っても過言ではありません。

それはそれで改善されるべき問題ですが、その一方、企業もお金を出すだけではなく、自分たちが持っているノウハウを提供し、市民活動の団体と一緒に社会的課題に取り組んでいくということが求められています。それが「協働」という言葉に集約されます。

それは結果的に自社のステイタスを上げ、同時に地域の活性化などにもつながるという「社会の良いサイクル」を作り上げるCSRの魔法の杖です。(ハリーポッター風)

■苦手なところを補完し合ってできるCSR
企業は、組織力もあり、お金を稼ぐことはプロフェッショナルですが、非営利的な活動は苦手です。

一方、市民活動団体は、社会貢献マインドは高いですし、非営利的な活動は得意ですが、組織的な動きやお金を稼ぐことは苦手です。

従来までは、これらの二者が手を組んで何かをすることは、社会的にあまり必要性を求められておらず、せいぜい資金的な支援があるだけでした。

しかし、今はその二者が手を組むことで、とても重要な社会的役割を果たすことができることがわかってきました。まさにCSRと直結することであり、企業として積極的に取り組むだけの価値のあることです。

なぜなら、CSRの効果的な広報手法として、これほどわかりやすいことはなく、企業のCSRをアピールするのにもベストだからです。

例えば、地域情報を発信しているNPO団体があります。行っていることはその町の紹介をフリーペーパーやウェブで発信するという活動です。

さらにすごいところでは、京都市にある「三条ラジオカフェ」というNPO法人は、市民が運営するラジオ局で、365日ラジオ番組を提供しています。

▽三条ラジオカフェ URL http://radiocafe.jp/

このような活動をしている団体とタイアップ(協働)し、町おこしの活動として地域活性化のための様々なプロモーションまでを一緒に行った場合、彼らは自らの活動の一つとして、このタイアップ活動をあちこちで広報してくれます。

すると、自分たちは何も広報しなくとも、第三者によって自社のCSRが広報されていくという流れが作られることになります。

そして、こちらでは、「私たちはこのような団体を応援しています。」と広報するだけで、「私たちのCSRとは○○です。」と説明するよりも具体的で街全体に対して好アピールかつわかりやすいCSRの広報になります。

これらの相互広報による効果は、自社のCSRを単純に広報していくよりもよほど効果があり、さらに地元が活性化して潤えば、自社も元気になれるというサイクルを作ることができるのです。

■ここがポイント■
1.企業と市民活動との「協働」が社会を変える
2.「協働」によるCSR活動は社会に理解されやすい!
3.相互広報の効果を侮るなかれ


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
自社の前にまず「CSR」を広報する [2007年08月16日(木)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------
■日本ではまだCSR=コストという壁を越えられない

今回は、ちょっと視点を変えたCSR広報を読者のみなさんと一緒に考えたいと思います。

前回の号で、ソニーが約4000社の調達取引先企業に対し、CSR監査を義務付けることを発表したことを書きました。取引先としてふさわしい企業かどうかをCSRという視点から判断される時代の到来、それはCSRに取り組んでいない会社は取引交渉の土俵にすら上げてもらえないということです。

CSR=コスト」と考えている企業にとって、この現状は憂うべき状態です。
「またコスト要因が増えた、これじゃあどこから利益を上げたらいいのだ」という嘆く経営者の方が日本にはたくさんいらっしゃることでしょう。

日本の多くの企業にとって、CSRに対する認識はまだこの程度でしかなく、この状態が続けば、日本の未来は決して明るいとは言えません。

なぜならCSRがコストという状態では、世界に取り残されていくことが明白だからです。ご存じのとおり、環境問題や世界経済の行き詰まり感は危機的な状況にあります。それに対して様々な手を打っていく必要性が世界中で叫ばれ、実践されています。

欧米では、これらの問題に取り組む企業を評価し、応援していくための投資、すなわち社会的責任投資(SRI)の規模が350兆円にも上ります。それに対して日本のSRIの市場規模はなんとわずか0.3兆円です。

この現状が、日本企業をしてCSRがコストと言わしめる原因のわかりやすい比較です。つまりCSRに真面目に取り組んでいる企業を投資家が評価する仕組みが日本にはないのです。一方では、CSRに取り組んでいない企業とは取り引きしないよと言われてしまう。

■社会に対してCSRを理解してもらうための団結広報

まさに責任だけ負わされてまったく受益がない状態を強いられているわけで、この状態が長く続いては、「CSR=コスト」というイメージはますます企業の常識として定着してしまい、本来は企業を活性化させるためのツールであるはずのCSRは会社のお荷物化するでしょう。

国が進めるワークライフバランスにしても、大企業から減った残業時間はそのまま下請け企業にスライドしているだけ、という指摘も決して否定できる状況ではありません。これでは一体何のためのCSRなのかという状態です。
「美しいCSRの理想論はもういい、こんな現状でもなおCSRに取り組まなければならないのか」という嘆きは当然でもあります。この、地球が置かれている自然環境と同じような危機的状況をどうすればいいのでしょうか?

ここに私は「CSR広報」の重要性を見出します。個々の会社が、それぞれ自社のCSRをどう広報していくかに取り組むことはもちろん大切ですが、企業界全体のためにCSRとは何かを世の中に周知する、具体的には、自社のCSR を広報する際に「なぜ私たちはCSRというものに取り組んでいるのか」を一緒に説明してほしいのです。そうすることで、CSRに馴染みのなかった人々にCSRの大切さを訴えることができます。

結果としてそのような企業が増えれば増えるほど、CSRは日本社会に理解されて根付き、投資や市民の消費行動の中で、CSR活動をしている企業を支えようとする動きが欧米同様に出てくるでしょう。

投資信託のメニューにも先ほどのSRI投資のメニューがたさくん作られていくでしょう。

そうなれば、CSRに取り組む企業を支える社会的システムも一気に充実してきます。それをトリガーとして、次はイギリスのように年金法が改正されるなど、こうした企業への支援が大規模に変わる動きへとつながっていきます。

■ここがポイント■
1.日本社会のCSRの認知はまだまだ低い
2.自社のCSR広報と同時に社会にCSRそのものを理解させる広報を!
3.社会の「CSRへの理解」なくしてCSRに取り組む企業への理解は無い


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
自社の誠意の伝え方 [2007年08月13日(月)]
スーパー広報術」というサイトのメルマガで「CSR広報の時代」という連載をさせていただいています。

その内容を一部リメイクしてこちらに掲載いたします。

------------------------------------------------------------

■誠意ある企業は自然にCSRに辿り着く

前回の号で、ミートホープの「食肉偽装事件」を取り上げ、経営者として社長が何をするべきであったかを書きました。
相変わらず今回のような企業の不祥事は後を絶ちません。一つの指標としてこれを刑法犯の発生率と比べてみましょう。

平成17年度の犯罪白書を元に、交通関係を除いた一般刑法犯の発生率(人口10万人あたりの認知件数による比率)を単純な仮定の下に計算すると、一年の間で日本人の100人に2人は何らかの犯罪に巻き込まれているという恐ろしい結果になります。

企業を一人の人間に見立て、不祥事を犯罪に置き換えて考えた場合、日本に存在する企業数からすると、犯罪の発生率はかなり低いと言えるかもしれません。
不祥事を起こす企業を肯定するつもりはもちろんありませんが、「不祥事を起こす企業は無くならない」という現実を私たちは常に頭に入れておく必要があるのも事実です。

それは、どのような法的整備をしようと同じことです。死刑になるとわかっていても犯罪を犯す人間はいます。組織が人の集合体である以上、これもまた避けられないことと言えるでしょう。特に集団心理的には、一人では犯罪を犯せなくとも、組織がそれを助長してしまう場合すらあります。

余談が長くなりましたが、不祥事を起こすような企業と誠意ある企業というものが社会に併存しているとすれば、自分たちが誠意ある企業であるべきことは自明として、当然「誠意ある企業」と付き合っていきたいものです。それはリスク管理に直結します。

ここで言う「誠意」を「CSR」と置き換えてもいいかもしれませんが、CSRは手段的な意味も包括される場合がありますので、上位概念的に「CSRの実践にはまず誠意ありき」ということになるでしょう。

この、例えば委託先の企業に誠意はあるか、を客観的に見るのは非常に困難です。「CSR」が世界的に注目を集めている背景には、このような客観性を判断する指標を誰もが欲しがっているからでもあります。CSR広報では、この点を盛り込んでおくことが重要です。

■伝えにくい「誠意」をどう伝えるか

先の参院選で、多くの候補が「誠意を持って政治に取り組む」と謳っていました。皆さんはそれを聞いてどう思われたでしょう?「おお、誠意があるなぁ」と思われたでしょうか? 「またきれい事を・・・」と思われたでしょうか?

おそらく後者の方が多いのではないかと思います。それはなぜでしょうか?政治への不信という大きな要因があるとしても、孔子が2500年も昔に指摘していたように「巧言令色鮮し仁」ということを、私たちは心で理解しているということでしょう。

「誠意」は「信用」と同様に、相手に理解してもらうことはとても大変です。
なぜなら本来は行動によってしか示すことができないからです。いくら言葉を尽くしても行動に勝る納得感を相手に与えられるものではありません。

それだけに、誠意のある企業は自ずとCSRの王道を進んでいることが往々にしてあるということであり、それを特別なことと本人たちが意識していない場合が多いのもこのためです。

では、どうやって誠意をCSRとして人に理解してもらえばいいのでしょうか?
または、CSRの展開の中で誠意をどのように盛り込めばいいのでしょうか?
最も効果的なのは利害関係の少ない第三者から自社のCSRを褒めてもらうことですが、よほどのプロモーションか、運が良くないと非常に時間がかかります。

そこでおすすめなのは、自社だけではなく、第三者を巻き込んだCSR活動を展開し、それをお互いに広報し合うことです。

次回は、その具体的な手法について書きたいと思います。


■ここがポイント■
1.企業の不祥事が起こった数だけCSRが要求されていく
2.CSR広報では「誠意」を伝える工夫が必要
3.自社のCSR活動に第三者を巻き込むことで効果的な広報を!


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
食肉偽装事件とCSR [2007年07月30日(月)]
■北海道の食肉偽装事件を考える

また、ある会社の考えられないような実態が明らかになりました。牛肉と偽って豚肉を混ぜるという組織ぐるみの詐欺行為を発端に、様々な実態が明らかになる連日のマスコミ報道、「もういいよ」という方も多いのではないでしょうか。(今は中越沖地震の報道の影に隠れてしまっていますが。)

「食」の安全を守るという観点から見ると、この会社が行ってきたことは許し難い行為です。おまけに「安い商品ばかり買う消費者にも問題がある」、「表示さえしておけば問題なかった」と発言することができる社長のメンタリティの低さにはそれ相応の厳しい法的、あるいは社会的制裁があってしかるべきと思います。

その一方で、「もったいないという意識があった」というコメントもしています。化学調味料の大量混入などを行っていながら「もったいない」も何もあったものではありませんが、私はこの社長のコメントの内、この部分は真実だと思います。

つまり、目の前で日々食べられることなく捨てられていく食肉を見て、「なんとかこれを再利用できないか」と考えることはとても重要なことだと思うのです。今でも世界のあちこちで数分に一人とも言われる人々が餓死していきます。

飽食国家日本は、その自給率が4割しか無いにも関わらず、日々食べ物を無駄にし続けています。このような社会が長続きするでしょうか? 若干宗教的ですが、食肉となる多くの牛や豚が、食べられることもなく、無駄に捨てられていくために命を落としているという現実。

食肉業者の一人、しかも社長として、彼がその肉を何とか捨てずに活用したいと考えたこと自体は非常に大切なことです。しかし、彼が現在置かれている立場へ自分を追い込んだ限界はこの先にありました。

■食肉業者としてのCSR

毎日、まさにゴミとして捨てられていく食肉を見ながら、社長がすべきことはなんだったのでしょうか?
間違っても腐臭がしはじめた肉を他の肉と混ぜてわからないようにすることではなかったはずです。

悪いほうのノーベル賞とまで言われるアイディアを生み出す発想力、これは誰にでもできることではありません。(やられても困りますが・・・)彼がすべきは、悪いアイディアを生み出して実践することではなく、この実状を変えるためのプラスのアイディアを、CSRとして実践することだったはずです。

私は精肉のことは詳しくありませんが、人には供することができなくなった食肉であっても、他の方法で無駄にしないサイクルを他業種を巻き込めば作れたように思うのです。

それを食肉の現状として世に訴え、肉のリサイクル的な発想でモデル化すれば世の中の注目するところとなり、会社の信用度もアップしたことでしょう。
同業者から「最後のごみ箱」などと蔑みを持たれた状態から脱却すらできたかもしれません。

もちろん狂牛病のように、共食いをさせるようなことをしてしまうと、それはそれで他の問題を引き起こす可能性もあり、決して簡単ではないでしょう。

しかし、精肉業者として生活の糧を得ている人間は、それを無駄にしないための仕組み作りに努力することは 行ってしかるべきであり、責務と言えます。

バブルの崩壊によって傾いた会社を維持し、状況を打開するために、悪いこととは知りながらも手早くできる消費者への裏切り行為に走ったというのは許されざることですが、当人は「社員を食わせていくためにやむを得ずやってしまった」という感覚で止まっているでしょう。彼の限界はここにあったと言えます。

結果として、従業員をその何倍ものマイナス利子付きで放擲することになった。
従業員の中には、仕事の中で自分たちがしてきたことへの呵責にこれからも心を痛め続ける人もいるでしょう。(マスコミがそれを煽っている状況も見るに堪えない面があります。)

そして、経営者として彼が最悪なのは、ここに至ってもまだ誠意が無いことです。おそらく彼にはマスコミを通した先にいる消費者や社会が見えていないのでしょう。まさにCSRとは対極にいる経営者の見本のような人です。

次号では、このような経営者にならないために、「誠意」の伝え方について考えてみたいと思います。

■ここがポイント■
1.「捨てるはゴミ」、「使えば宝」の転換で社会から注目の種
2.自社だけでなく業界全体をも考える企業にはステイタスが付いてくる


■こちらもぜひご覧ください---------------------------------------
5万人メルマガ「Super広報術」にて「CSR広報」を月二回配信中!
http://s-pr.com/mmag/index.php
------------------------------------------------------------
| 次へ