CSRについての基本的な知識と、企業やNPO、自治体による取り組みの最新情報を知るためのコラムを掲載します。

 CSRプラスのデータ分析や、市民へのアンケート調査を掲載する「傾向と対策」をはじめ、 CSRの取り組みに熱心な企業にヒントを学ぶ「ケーススタディ」、社会的課題に直面するNPOのマネジャーが取り組みのポイントを提案する「ホットイシュー」、CSRに関心を持つ大学生によるレポート「CSR探検隊」。シリーズでお届けします。

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リボンマグネットが開く「参加型」社会貢献 株式会社M’sDS[2008年08月06日(水)]
CSRで求められる取り組みは、基本的な情報開示からステークホルダーとのダイアログ、そしてエンゲージメントへと進化しています。CSRの進化とともに、企業の社会貢献活動への期待も年々進化しています。このコラムでは、寄付やボランティアといった既存の社会貢献イメージを超え、市民参加やCSRをキーワードにした事例を紹介しながら、新たな社会貢献活動の潮流についてともに考えます。

ケーススタディ:社会貢献企業の新潮流 -市民参加・CSR・社会変革-



リボンマグネットが開く「参加型」社会貢献 株式会社M’sDS


意思を表示する「マグネット」

 自らの社会的関心があるNPOを支援していることを、友人や同僚に知らせていくことは簡単なようで難しいものです。スポーツ用品を中心にした輸入代理店である株式会社M’sDSの小野純也さんは、出張先のアメリカで黄色いリボン型のマグネットを貼っている車を見かけ、それがイラクへ出兵した兵士の帰還を願って始まった「イエロー・リボンマグネット」であることを知ると、ぜひ日本でも扱いたいと、販売元のマグネット・アメリカ社と交渉に乗り出しました。


マグネットのミニサイズのリボンステッカーも制作
(通常のマグネットは1枚1,000〜2,000円で販売)


 リボンマグネットは「イエロー・マグネット」以外にもテーマごと、メッセージごとに何種類もあり、社会的な活動やメッセージに共感しているという自らの意思を表示するツールだったのです。
「車にメッセージを貼る、というシンプルなコンセプトは日本でも広まると思いました。寄付していることを示すのに領収書を車に貼る人はいないでしょうけれど、マグネットなら買うことも、貼って共感を示すことも簡単にできます。」(小野さん)

 リボンはカラフルな色づかいや洗練されたデザインで、マグネットを見ればどんな活動を支援しているのか一目瞭然です。M’sDS社はマグネット・アメリカ社の日本総代理店として2005年からリボンの販売を開始しました。当初、日本で販売するリボンはアメリカ国内で生産しており、小野さんにとっては、アメリカ国内で適正な原料と労働賃金を払ってリボンを制作していることも魅力でした。最近では、高品質を求める声もあることから日本での制作にシフトしており、現在では全体の8割が日本での生産となっています。



2007年度の寄付総額は1200万円

 当初は、信頼できそうなNPOを小野さんが自ら訪問し、マグネットの作製を提案しながら徐々に種類を増やしていきましたが、最近はNPOから打診を受けることも多いそうです。
「既に有名な団体と一緒にやっていく方がマグネットは売れるのですが、まだあまり社会に知られていない課題の解決に取り組んでいるNPOを、自分たちで探しながら、マグネットの提案をさせてもらうことを意識しています。」(小野さん)

 作製するリボンマグネットが決まれば、NPOと相談しながらデザインを決め、発注します。入荷後は、自動車用品店や雑貨店などM’sDS社がもつ販売網や、NPOへ卸して自らイベント等で販売します。NPOで販売する場合は、寄付額はもちろん、販売手数料も手元に残ります。また、M’sDS社の販売網での売り上げの約2%から10% を基金として積み立て、マグネットごとに当該NPOへ寄付します。自動車用品店などでの販売では、リボンマグネットの入ったパッケージの中にNPOのウエブサイトやメッセージが書かれたカードが入っており、デザインに魅力を感じて購入した消費者が社会の課題に触れる機会を提供します。2007年度の寄付総額は約1,200万円、販売枚数は、出荷ベースで累計100万枚を超えました。


小野純也さん(株式会社M’sDS 取締役副社長)



NPOと企業をつなぐ新しいモデル

 最近、同社への依頼で増えているのが、社会貢献やCSRに取り組む企業とのコラボレーションの企画です。例えば、トヨタ自動車の販売店である「トヨタネッツ」やホンダ自動車の「ホンダカーズ」では、交通遺児育成基金のミニサイズのリボンマグネットを作って販売しています。顧客に社会貢献の取り組みを知ってもらう機会を提供することで、企業は直接NPOへ寄付するよりも、広報の面でも寄付額でも、波及効果が大きくなります。NPOにとっても、リボンマグネットという目に見える商品があることで、これまでつながることができなかった消費者と直接つながるきっかけをつかむことができます。

 M’sDS社のウエブサイトでは、すべてのリボンマグネットが購入でき、寄付額も公開しています。NPOと企業が直接つながるよりも、第三者が介在し、情報を開示することで、寄付の信頼性や透明性も高まります。独自に商品を開発して販売しているNPOもありますが、販路の開拓は悩ましく、売り上げが伸びずに収益どころか赤字になってしまうという例も少なくありません。デザイン性にすぐれ、販売網も持つリボンマグネットなら、販売網を持たない小さな団体や設立から間がない団体にとっても取り組みやすいという点も魅力です。



「開かれたCRM」としてのリボンマグネット
 

 乳がんへの関心を高めたピンクリボンキャンペーンや、アフリカの貧困をテーマとしたホワイトバンドプロジェクトなど、商品と連動した社会貢献活動はCRM(コーズ・リレーティッド・マーケティング)と呼ばれ、取り組むテーマや対象を限定して展開することが一般的です。リボンマグネットの場合は、商品に着目すれば、社会貢献と連動することで売り上げが伸びるCRMといえますが、テーマとする社会課題やパートナーとなるNPO、販売での企業とのコラボレーションのいずれもが多様に展開できることで、無数の組み合わせが可能です。

 「はじめはビジネスモデルそのものを理解してもらうのがたいへんでしたが、3年目になって認知度も高まってきました。次の段階としては企業とのコラボレーションを増やしていきたい。若者に人気のある業界から声をかけていただくことが多く、スマートにカッコよく、というリボンマグネットの特徴を生かした企業とのコラボレーションを広げていきたいです。」(小野さん)


横浜クイーンズスクエア内のショップ
(2008年5月までの期間限定)

2008年4月には、10枚から製作できるオリジナルリボンマグネットも取り扱いがはじまり、小規模な団体にも手が届くようになったリボンマグネット。間口の広さと組み合わせの多様さは、今後の社会貢献のあり方をかえていく「開かれたCRM」のしくみとして、今後、注目していきたい。
(文責:田村太郎 ダイバーシティ研究所) 


図表 寄付の流れ



出典:リボンマグネット オフィシャルサイト


注)支援団体の一覧や寄付額はリボンマグネット オフィシャルサイトをご参照下さい。
  http://www.ribbonmagnet.jp/index.html


関連コラム
・「CSRとNPO」第4回「CSR時代の企業の社会貢献」
 (NPO法人パブリックリソースセンター 田島明日香氏)
 http://blog.canpan.info/member_column/archive/5

・「ホットイッシュー」第3回CSRの「総論」をどう伝えるか?〜「社会貢献」から「CSR」へ
 (社会福祉法人大阪ボランティア協会 早瀬昇氏)  
 http://blog.canpan.info/column/archive/12

Posted by CANPAN運営事務局 at 10:00 | CSRな事例 | この記事のURL

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