SRIインデックス(その1) FTSE4Good[2008年07月03日(木)]
お金の流れで世界を変えるという発想で、注目を集めるSRI(社会的責任投資)。
日本でも、ゆるやかではありますが、個人向けの市場が拡大してきています。
「市民のためのSRI」シリーズでは、入門編として、SRIの基礎知識や内外のSRIファンドの概要を紹介します。
日本でも、ゆるやかではありますが、個人向けの市場が拡大してきています。
「市民のためのSRI」シリーズでは、入門編として、SRIの基礎知識や内外のSRIファンドの概要を紹介します。
執筆者:CANPAN運営事務局
SRIインデックス(その1) FTSE4Good
このコラムでは、今回から3回にわたって、日本企業のCSR報告書に掲載の多い「SRIインデックス」を紹介し、それぞれの特徴をみていきます。
SRIインデックスとは
「SRIインデックス」とは、収益性とCSRの取り組みの両面において優れていると評価される企業をグループ化し、その株価の動きを示す指数です。投資信託会社がSRIファンドを作るときや、運用するときになどに利用されています。
「SRIインデックス」の構成銘柄に選ばれることで、企業は自社の株がより多く保有されることが期待できます。また、「SRIインデックス」に選ばれていることは、財務面だけでなくCSRの面からも評価を受けている証しとなります。世界にはいくつもの「SRIインデックス」がありますが、企業が何をもって社会的責任を果たしているかということを評価する基準は、インデックスを算出する母体によって異なります。
FTSE4Good インデックスシリーズ

英国に本社をおく「FTSE」(フッツィ−)は、金融新聞フィナンシャル・タイムズとロンドン証券取引所の共同出資により1995年に設立されました。社名はFT(フィナンシャル・タイムズ)とSE(証券取引所)からきていますが、独立した組織として設立、運営されています。世界48カ国、8,000社を超える企業の株式のデータを元に、12万以上のインデックスを日々作成、提供することを専門とする会社です。
責任投資以外のインデックスも発表していますが、「世界的に認められる企業責任基準を満たした企業」への投資を促進することを目的につくられたSRIインデックスシリーズが「FTSE4Good」です。2001年7月に作成され、10月より公開されています。
「FTSE4Good」ロゴマーク(FISE提供)
「FTSE4Good」インデックスシリーズには、対象となる地域(全世界、欧州、英国、米国、日本)によって5つのインデックス(「FTSE4Good Global」「FTSE4Good Europe」「FTSE4Good UK」「FTSE4Good US」「FTSE4Good Japan」)があります。日本企業のみを組み入れの対象とする「FTSE4Good Japan」は、2004年9月からスタートしています。
また、「FTSE4Good Europe」「FTSE4Good UK」のそれぞれ時価総額の上位50社で構成されるインデックス「FTSE4Good Europe 50」「FTSE4Good UK 50」と、「FTSE4Good Global」「FTSE4Good US」のそれぞれ時価総額上位100社で構成されるインデックス「FTSE4Good Global 100」「FTSE4Good US100」があり、合計で9つのインデックスがあります。日本企業は「FTSE4Good Japan」以外にも、「FTSE4Good Global」と「FTSE4Good Global 100」に組み入れられています。
最近では、上記の9インデックスに加え、「FTSE4Good」インデックスシリーズの中から先進的に環境マネジメントを実施する欧州企業を選定した「FTSE4Good Environmental Leaders Europe 40 Index」や、スペインのBME社と共同で、スペインの小型(Small Cap)銘柄を含んだ「FTSE4Good IBEX Index」等、より細かな投資家のニーズにあわせた責任投資インデックスなどを新たに作成しています。

*ウェブサイト等の資料をもとに事務局作成
FTSE4Good インデックスシリーズの選定方法
企業が「FTSE4Good」の銘柄に選定されるには、FTSEによるインデックス「FTSE All-Share Index(英国の銘柄で時価総額による区分、Small, Mid, Large Cap企業を対象とする)」または、「FTSE All-World Developed Index(世界の先進国の銘柄で時価総額による区分、Large, Mid Cap企業を対象とする)」に含まれている必要があります。
「FTSE4Good」インデックスシリーズの構成銘柄は、上記のインデックスのから2段階のスクリーニング(条件をきめて選別すること)をおこなって選定されています。第1段階では、「タバコ生産」「核兵器、その部品やプラットフォームを提供」「武器・兵器製造」「原子力発電所を所有または操業」の企業セクターでの活動が確認された企業が除外されます。
第2段階においては、「環境、持続可能性への取り組み」「人権の擁護と支持」「サプライチェーンの労働基準の保証」「贈収賄の防止」「気候変動」に対し、それぞれ企業のリスクに合わせた要件を満たしている企業を選定します。各段階の企業の調査データは、英国のEIRIS社(Ethical Investment Research Service)が提供しています。
「FTSE4 Good」は2001年の開始以後も、何度か基準要件を改訂しています。2002年には、「環境、持続可能性への取り組み」を、2003年には「人権の擁護と支持」をそれぞれ強化し、「サプライチェーンの労働基準の保証」は2004年に、「贈収賄の防止」は2005年に、そして「気候変動」に関する基準は2007年に新たに導入しています。
また、より社会に大きな影響を持つとみなされる企業には、より高いレベルの要件を満たすことを要求していることも、「FTSE4 Good」の特徴です。例えば、化学薬品を大量に扱う製造業であれば、より高い環境要件が求められ、労働者の人権が守られないリスクの高い国(地域)で企業活動を展開するグローバル企業であれば、より厳しく人権保証のための対策をとっていることが求められます。また、「FTSE4 Good」は「社会の変化に対応して進化する選定基準」をうたい、発展する企業の社会的責任の動向を積極的に反映して、定期的に要件を満たすとされるレベルが引き上げられています。
日本企業と「FTSE4Good Global」
「FTSE4Good Global」インデックスに含まれる企業数は年を追うごとに増加していますが、 「FTSE4Good Global」企業全体に対する日本企業の占める割合は年々高まっています。2008年4月現在、FTSE4Good Globalインデックスへの組み入れ銘柄数は707社で、このうち日本企業は195社です。
一度、「FTSE4Good Global」構成銘柄に組み込まれても、選定基準は年2回見直されるため、基準を満たさなくなったと判断されると、企業はリストから外されます。過去にリストから削除された企業はFTSEのウェブサイトで公表されています。2005年3月以降、要件を満たせないとして、リストから削除された日本企業は以下の17社です。
アコム、住生活グループ、住友金属、古河電気工業、アイシン精機、本田自動車、トヨタ自動車、第一三共、DOWAホールディングス、エヌ・ジー・ケー、トーソー、旭硝子、日立金属、小林製薬、トクヤマ、東急、東芝TEC
また、一度リストから外されても、組入れ対象銘柄である限りEIRIS社による調査は継続されるので、再び要件を満たすことで構成銘柄に組み込まれることもあります。
日本企業にとって、今後の課題はどの辺りにあるのでしょうか。
FTSEの責任投資部門で部門長をつとめるウィリアム・オルトン氏は、「企業責任の国際基準を包括したグローバルなインデックスは、同時に地域的な課題にも関心を寄せるインデックスでなければなりません。(その視点から見ると)日本企業は優れた環境マネジメント水準を示していますが、一方で、人権やサプライチェーンの労働基準、贈収賄の防止といった社会的な分野にもまだまだ取り組むべき課題に直面している」と指摘します。
「しかし、社会的な選定基準にも適合しようと自ら行動を起す日本企業も目にするようになりました。自社の企業責任行動を示すのにFTSE4 Goodインデックスを利用することに関心をもつ日本企業が増えることを歓迎します。」(オルトン氏)。
環境マネジメントへの取り組みと同じように、社会的な取り組みも世界水準まで進めることができるかどうかが、日本企業のCSRの次の試金石となりそうです。(訳責:CANPAN運営事務局)
(原文) 'Being a global index incorporating international standards of corporate responsibility, the index is not without its regional challenges', comments William Oulton, Head of FTSE's Responsible Investment Unit. 'While Japanese companies have demonstrated good environmental management standards overall, they have faced more challenges in social areas, such as human rights, supply chain labour standards and countering bribery. However, with additional time, we have seen companies move to meet these criteria requirements, and welcome the increasing interest from Japanese companies to use the FTSE4Good Index as demonstration of their corporate responsibility activities.'
FISE概要
(シリーズの)名称 : FTSE4 Good
設定機関(所在地) : FTSE (英国)
設定機関のURL : http://www.FTSE.com/
開始年月 : 2001年10月
構成銘柄 : WEBでは非公開



