CSRについての基本的な知識と、企業やNPO、自治体による取り組みの最新情報を知るためのコラムを掲載します。

 CSRプラスのデータ分析や、市民へのアンケート調査を掲載する「傾向と対策」をはじめ、 CSRの取り組みに熱心な企業にヒントを学ぶ「ケーススタディ」、社会的課題に直面するNPOのマネジャーが取り組みのポイントを提案する「ホットイシュー」、CSRに関心を持つ大学生によるレポート「CSR探検隊」。シリーズでお届けします。

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中間支援組織と地域SR[2008年06月18日(水)]
CSR(企業の社会的責任)からSR(社会責任)の流れの中で、企業だけではなく、複数のステークホルダーで課題の解決をめざす取り組みが各地で始まっています。この新シリーズでは、そうした地域の取り組み事例をお伝えします。

ホットイシュー:地域ぐるみで進めるSR


せんだい・みやぎNPOセンターの取り組み

執筆者:田村 太郎 
   (ダイバーシティ研究所代表 ・特定非営利活動法人多文化共生センター大阪代表理事)


「CSR推進相談所」を開設

 NPO法人「せんだい・みやぎNPOセンター」(仙台市)は2008年5月、「CSR推進相談所」(以下「相談所」)を開設しました。同センターは1997年(法人化は99年)に設立された民設民営の市民活動支援組織で、仙台・宮城地区のNPOのための社会環境の整備や、行政セクター、企業セクターと市民との出会いの機会の創出を目的に活動を展開しています。資金や物資などの資源を持つ企業や個人と、そうした資源を必要としているNPOとを結ぶサポート資源提供システムや、仙台市内の企業と連携した市民参加型まちづくりキャンペーン「せんだいCARES」等の活動を通して、同センターではNPOと企業とを結ぶ様々な取り組みを行ってきました。            

                                             
 支援を必要とする人や組織と支援を提供する人や組織との中間にあってコーディネートするせんだい・みやぎNPOセンターのような組織を「中間支援組織」といいます。

 中間支援組織の仕事は、支援をキーワードにした場づくりともいえるのですが、同センター常務理事・事務局長で相談所の所長でもある紅邑晶子さんは「支援という『場』をどうやって組み立てるかが大切であって、NPOを支援される側、企業を支援する側に分ける必要はないのではないか」と考えるようになりました。CSRをテーマとしたセミナーを重ねる中で、企業も支援を必要としていることを感じた紅邑さんたちは、同センターのこれまでの取り組みを整理するなかから、企業が社会貢献活動への取り組みなどについて、気軽に相談できる新しい支援の「場」として、「相談所」を立ち上げたのです。


地域をベースにした学ぶ機会の提供

 相談所の主な活動は、企業の取り組みに関連したCSRレポート作成支援などの相談活動、NPOとのマッチングやCSRに関する情報収集・発信などの情報提供活動、CSRに関する勉強会やセミナーの開催等を通したCSRに関する交流の場の提供の3つです。「実は看板を先にあげたんですよ。私たちもCSRに特別詳しいというわけではないんです」と紅邑さんはいいます。

 相談所を立ち上げる前にも、企業だけで研究会をされていた方からNPOの意見も欲しいといった相談や、とにかく何をしたらいいのかわからない、といった声を聞き、「相談機能ができたらこういう相談にも乗れる。即答できなくても、情報収集してからでも大丈夫ではないか」(紅邑さん)と考えるようになったそうです。「看板を上げて相談を受ければ、情報やネットワークが蓄積されていく。そうすれば層が広がっていく。」(同)

 「地域には本当に素晴らし活動をしている企業がたくさんあります。それらをCSRと呼んでいないだけ。では地方の企業がCSRをイチから勉強して、自社の取り組みをアピールできるかというと、単独では難しい。東京に本社のある大きな企業のCSRの取り組みと同じレベルで評価されるところまでもっていくには支援が必要」と紅邑さんは考えています。


CSR事業に関わるせんだい・みやぎNPOセンターのスタッフのみなさん

左:高橋陽佑さん 中央:紅邑晶子さん(常務理事・事務局長) 右:田内 亜紀子さん
 

 一方で、例えば、地域で障がい者の雇用促進に取り組んでいるNPOがどこでどんな活動をしているのか、といった情報を知っているのが中間支援組織。NPOにもCSRの概念を理解してもらい、企業とどのようにつながっていけばいいのかをともに考えていこうというのが相談所の現在の立ち位置のようです。相談所の設置は、企業とNPO、そしてせんだい・みやぎNPOセンター自身にとっても、CSRをベースにした「学ぶ機会」であるといえるでしょう。


中間支援組織への期待

 内閣府の国民生活審議会は、「安全・安心で持続可能な未来に向けた社会的責任に関する円卓会議」の設置に向けて準備を始めています。企業や自治体などが単体では達成が難しい課題解決に、多様なステークホルダーが協働して合意形成を図りながら課題の解決にあたる手法を「マルチステークホルダー・アプローチ」といいます。持続可能な発展や社会責任に関する国際社会での実践や議論の高まりを受け、洞爺湖サミットを目前に控えた日本でも、同様の取り組みを進めていこうという主旨のようです。

 マルチステークホルダー・アプローチによる議論では、政府や企業といった会議での決定事項から直接影響を受けるステークホルダーではない担い手が場を開く方が合意形成がスムーズです。国同士の意見調整は難しい場合に、国連が話し合うテーブルを用意するのと同じです。

 全国には数多くの中間支援組織があります。せんだい・みやぎNPOセンターのような民設民営のもののほか、社会福祉協議会や自治体が直接運営しているところもあります。また、市民活動やNPO支援という大きな枠組みで活動している中間支援組織のほか、環境や子どもといったテーマを絞った中間支援を行う組織もあります。直接支援型の組織でもCSRをキーワードにした場づくりや企業との協働は可能ですが、地域やテーマごとにNPOの情報をよく知る中間支援組織には、地域ぐるみでの、あるいはテーマ別に専門性の高いCSRの推進で大きな力になることが期待されています。

 環境や労働での課題解決には、国レベルでの目標設定や課題解決の取り組みの議論も重要ですが、地域レベルでの円卓会議は、必要性も実効性も高いと考えられます。中間支援組織にはCSRをベースにした学びの場の創造を、まずは期待したいところです。


*CSR推進相談室開設の詳細は、こちらから
(せんだい・みやぎNPOセンターウェブサイトへジャンプします)

【お知らせ】

せんだい・みやぎNPOセンターが運営する「みやぎ公益活動ポータルサイト『みんみん』」が、2008年6月、CANPAN上でリニューアルオープンしました。今後、CANPAN上で、日本各地の「公益活動ポータルサイト」が続々オープンする予定です。


                                                    

Posted by CANPAN運営事務局 at 10:00 | CSRな事例 | この記事のURL

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