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企業と市民コミュニケーション活動はどうなっている?〜デンソー・ステークホルダーダイアログに参加して〜後編(2)[2008年04月23日(水)]
【ダイアログの今後】

―5年間続けてきたダイアログですが、その中で変化は感じられますか?

岩原:外部の機関が色々な企業ランキングを出してるんですよ。

 デンソーは、去年一昨年と、情報開示のところですごくいい評価をもらっています。デンソーは何でこんなにランキングが高いのかずっと追跡して、評価会社にその理由を聞くことができたんですよ。そうすると、オープンにしているこういうダイアログが、評価されてるみたいです。ある意味デンソーは対外的に見たら誰でも参加できるというオープンな姿勢が評価されているんですね。

―外からの評価に変化があったと。

岩原:そうですね。でもそれはたいして重要じゃありません。一番は、担当部署の人たちの意識が、ちょこっとずつ、ちょこっとずつですが、変わってきている。

 例えば、人事なんかでも、うちにダイバーシティグループができました。これは直接の成果でもなんでもないんですけど、人事って名前の通り社員を対象にしたサービスをしているので、ステークホルダーといっても社員のことにしか向かなくて、なかなか外向きになれないんです。

 世の中はここまで進んでいるとか、こういうことが求められているんだ、ということを聞く中で、少しずつダイバーシティの重要性というのを意識していって、ダイバーシティグループが作られることになりました。まあ僕自身はこの5年を振り返ってみると、会社の中の専門部署の人たちが少しずつ外の意見を取り入れていって、自分たちの仕事を少しずつ変えていこうという雰囲気になっているのが変化だとと思います。

―ステークホルダーダイアログの今後について、どのような考えをお持ちですか?

岩原:年に1回、こういう公募形式でたかだか20名の人に参加してもらったからといって、デンソーはステークホルダーとコミュニケーションしてます。とはとても言えません。ですから、もっと機会を増やしたり、開催する場所をもう少し変えていかなければと思っています。

 デンソーは売り上げにしても社員の数にしても半分が海外なんです。ということは日本で開催するだけじゃなくて、海外の事業展開をしているところのステークホルダーダイアログとのコミュニケーションに取り組まなくてはいけない。デンソーは製造業ですから、工場の周辺にもいっぱい利害関係を持つ人がいます。ですので、工場のほうでもこういう機会を設けてやっていかなくちゃいけないなと思います。つまり、ステークホルダーのコミュニケーションの機会を増やしたりとか多様化していこう、というのを今検討しています。



―ダイアログの広がりと多様化ですね。

岩原:とりあえず開催する場所を広げて、色んなやり方で開催したいと思っています。このような公募形式でやるのもいいし、もうちょっと専門的な意見もほしいです。

 それから、やっぱり初めての人ばかりでは、以前のダイアログとの比較もできないものだから、同じ人に継続して参加してもらわないといけませんね。ある程度、専門性を持っている人に継続して見てもらうと、きっと結構評価も厳しいんですよ。去年と変わっていないじゃないかという評価を受けるかもしれません。そうすると初めてプレッシャーを感じることもできます。


―コミュニケーションの次のステップがダイアログで、最終的にはエンゲージメントですね。

岩原:言葉遊びになっちゃうんですけど、まずステークホルダーとコミュニケーションをとりましょうというのがあって。コミュニケーションの次にダイアログがあって。コミュニケーションって言うと、『伝える』ということですね。ダイアログは『対話』ということですから、お互いに意見を言い合うことにあります。最後にはエンゲージメント、つまり『参画』というのがあります。ステークホルダーとの関係をそこまで持っていくのが本当かな、とに思っています。

 例えば参画というのは、社会貢献をする時にNPOの人にそこに参加してもらうとか、あるいは女性の活躍の施策について決める時に、NPOの人にそこに参加してもらうとかです。ただ、これはなかなか難しいんですよ。東京の企業は、もうすでに、NPOの方に参加してもらって一緒になってやってるところがあります。

―NPOとのエンゲージメント(参画)という形ですね。

岩原:究極は事業のところでNPOと組んで何かやる、ということができるといいと思います。アメリカではそういう例が、たくさんあります。

 僕が一番感動したのは、アメリカのある製薬会社の副社長が会社を辞めて、NPOを立ち上げたケースです。
 
 アメリカというのは、ドロップアウトした人とか移民の人たちで能力があるけれども企業に雇ってもらえない人が社会に多くいます。職に就けない人たちへの職業訓練のNPOを立ち上げたんですよ。アメリカの企業は、日本みたいに学生を雇用して一生懸命育てて、5年10年かけて一人前にするというんじゃなく、とにかくすぐに役立つ人がほしいという考えを持っていますから、周辺にある企業の人たちは即戦力になる社員を必要としているんです。その副社長はそういうニーズを知っていました。

 どういうことをしたかというと、職業訓練校をうまくやるためにはお金が必要です。ドロップアウトした人にはお金がないものだから、そのお金を全部、雇い入れてもらう企業に出してもらう。どういうふうに企業にお金を出してもらうかというと、まず『ここの職業訓練校を出た人を雇用して、役に立たなかったり問題を起こしたりしたら、全部、お金を返還させる』という約束を取り付けたらしいんですよ。企業が職業訓練校の運営費を全部寄付するんだけれども、修了生を雇用して、3年の間、何か問題をおこせば、職業訓練校を運営するNPOが全額費用を返還するという、そういう関係をつくったそうです。

 それでNPOもお金を返さなきゃいけないという大変なことになるから、ものすごく頑張って考え方やスキルを訓練生に身に付けさせます。要はそのNPOの職業訓練校が企業にとっての人材育成の機関となって、重要な役割を果たしているのです。これが本当に企業とNPOとの関係かな、と思いますね。

 つまり、NPOが社員教育を代行しているんです。こういう事例って日本じゃなかなかありません。せいぜい社会貢献のパートナーとして専門性のあるNPOが代行するというところまでは、いっているんだけれども。NPOが企業の本業、教育とかビジネスの中に入り込んで参加するという話はまだあまり聞きません。そういうのが出てくるとNPOも基盤がしっかりするし、企業も助かる。そういうのが一番のこれから目指していくものです。

―それがデンソーのめざすところですね。

岩原:そうですね、単なるone wayのコミュニケーションから、顔を突き合わせて意見交換をする。最後には、何か企業の活動の中にステークホルダーが参加する、そういうところまでいけるといいなと思います。


Posted by CANPAN運営事務局 at 10:05 | CSRな事例 | この記事のURL

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