CSRについての基本的な知識と、企業やNPO、自治体による取り組みの最新情報を知るためのコラムを掲載します。

 CSRプラスのデータ分析や、市民へのアンケート調査を掲載する「傾向と対策」をはじめ、 CSRの取り組みに熱心な企業にヒントを学ぶ「ケーススタディ」、社会的課題に直面するNPOのマネジャーが取り組みのポイントを提案する「ホットイシュー」、CSRに関心を持つ大学生によるレポート「CSR探検隊」。シリーズでお届けします。

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「対話は、踏み込んで続けてこそ」[2007年05月09日(水)]
執筆者: IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表 川北秀人

 各社の報告書に、「ステークホルダー・ダイアログ」と題されたページが設けられることも、過去3年程度で急増してきました。報告書の巻頭で、有識者(と呼ばれる人たち)が社長らと対談しているのも、広い意味でのステークホルダー(利害共有者)とのダイアログ(対話)ですね。

 確かに、企業が自らの社会責任への取り組みを紹介する報告書に、社外の人たちが登場することは、大切なことです。しかし、なぜ、利害共有者との対話が求められているのかという本質的な理由を理解することなく、形式的に対話を行っているだけでは、まったく意味がありません。

 1990年代の前半、環境問題への関心が世界的に高まるとともに、自社の取り組みを紹介する企業も増えてきました。しかし、各社がアピールしたいことを発信しているだけでは、自社に都合のいい側面しか紹介されません。そこで、各社が共通で開示すべき項目について、NGOと企業とが話し合って生み出したガイドラインが、GRI(Global Reporting Initiative)です。

 しかし、報告書の発行は、一方的な独り言(monologue)に過ぎません。そこで、企業が特に重要な接点を持つ人々(stakeholders)と、認識や課題を共有する機会が大切だという指摘の高まりから、継続的な対話(dialogue)が求められるようになったのです。

 最近では、対話を続けるだけでなく、利害共有者を巻き込んで、力を借りる(stakeholder engagement)ことが重要であると、社会責任の国際ガイドラインを準備中のISOの会議で、日本企業が中心になって提案しています。

 このように、対話は形式的に行ってはならず、踏み込んで継続的に行ってこそ、意義を発揮します。筆者は2000年ごろから、当時の環境報告書を市民が読んで、発行担当者に質問し、回答を聞きながら課題を確認・共有し、その後も進捗をフォローアップする、という機会づくりを働きかけてきました。

 これまで50件以上のダイアログをお手伝いしてきた経験から、利害共有者との対話の機会を設ける際には、「論点の具体性」、「取り組みの主体性」、「検証する継続性」が大切であると感じています。

 抽象的・理念的な話題に終始したり、直接の担当や当事者ではない人たちが集まったり、その場限りの話し合いになってしまうと、せっかくの機会が生かされません。だからこそ、社長と有識者(と呼ばれる人)の巻頭対談はほとんど意味がなく、あるとすれば、数年間続けて同じ人同士が話し合い、前年度からの進捗や今後のあり方について、しっかり確認しあうことが不可欠です。

 *このテーマにご関心をお持ちの方は、環境goo(http://www.eco.goo.ne.jp/)で筆者が担当する連載コラム「環境・社会コミュニケーションの考え方・進め方」の第76回「ダイアログの基本3原則」をご一読ください。

Posted by CANPAN運営事務局 at 10:00 | CSRの傾向と対策 | この記事のURL

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