CSRについての基本的な知識と、企業やNPO、自治体による取り組みの最新情報を知るためのコラムを掲載します。

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CSRの「総論」をどう伝えるか?〜「社会貢献」から「CSR」へ〜(前編)[2006年12月06日(水)]
大阪ボランティア協会 早瀬昇

1990年以降、「企業の社会貢献」は戦略的に展開されている

 企業(家)による社会貢献活動は昔から取り組まれてきましたが、その理由は企業家の個人的な倫理観には基づくが経済学的には合理性の弱い「利益の社会還元」の発想に基づくものも多く、「社長の道楽」的にとらえられ、経営者が交代したり企業の業績が悪化すれば取り組みも終わってしまうことも少なくありませんでした。

 ところが、図1に示すように1990年に端を発する近年の「社会貢献」活動は、バブル崩壊後の不況期も、かなりの規模を維持してきました。

▲図1 企業の社会貢献予算の推移(一社平均、日本経団連1%クラブ調べ)


 厳しいリストラがなされる中でも「社会貢献」活動に一定の予算が割かれてきたのは、その取り組みが経営上、意味のある取り組みだと認識されるようになったためです。

 それは「CRM(Cause Related Marketing)」に象徴されるように、消費者が商品選択の際に社会性を考慮するようになってきたことを基盤としています。実際、日本でも郵便局が扱う最も“割高な”(利息の少ない)商品である「国際ボランティア貯金」では、国民の5人に1人に当たる2600万口もの加入者を得ています。企業の社会性を意識する消費者は一定の規模に達しています。そこで、企業はこうした消費者の共感を得られる企業となるための「投資」として、「社会貢献」活動に一定の資金を投入していると言えるでしょう。


「不純な動機」をどう受け止めるか

 企業の「社会貢献」活動は、以上の理由の他、社員のモラール向上など様々な目標を意識して展開されていますが、いずれにせよ、経営上の合理性を意識して展開されています。いわば「社会貢献は売れる!」との認識があるからこそ、一方で厳しいリストラが進められながら、「社会貢献」活動にもかなりの規模の資金が投じられているのです。

 もっとも、このような取り組みは、従来の社会貢献活動の文脈からすると、「動機が不純だ」として反発を受けることも多いし、実際、企業からNPOにアプローチする際も、ことさらに「企業のイメージアップなどをねらったものではない」といった「釈明」がなされる場合も少なくありません。

 しかし、「動機の不純さ」に反発することは、元来、企業に対しては筋違いだと言えます。私たちが企業と接する場合、「動機と効果は区別する」ものだからです。企業活動の「動機」は利益の極大化だが、その実現のためには顧客の満足度を高めるという「効果」が提供できなければなりません。私たちは、その「効果」をこそ評価するものです。そして、企業の「社会貢献」活動も、大きな社会的効果が期待できます。

 すなわち、1.「本業」でユニバーサルデザインの多用や外国人に配慮したサービスの拡充などを介して、企業活動自体の社会性を向上できる。2.NPOと企業の“民−民”連携強化によって、行政依存では弱まりがちなNPOの民間性・独立性を向上できる。3.社員のボランティア活動支援を通じて「社員の市民化」「社員の社会参加」を促進できる、といった点です。

 企業の「社会貢献」活動は、企業自体にとっても消費者の好印象を介して企業のブランド力を向上するものですが、同時に社会の課題解決にもつながれば、社会やNPOにとっても「WIN−WIN」の取り組みとなると言えます。

Posted by CANPAN運営事務局 at 09:00 | CSRの傾向と対策 | この記事のURL

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