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防災ドロップス(後編)[2008年10月15日(水)]
全国に展開する防災ドロップス

 「これはイケる!」という山田さんの予想は的中し、2007年8月に初回注文分が配布されて以来、評判が評判を呼び、これまでに13万個の防災ドロップスの注文が社内からありました。非売品の防災ドロップスは現在、東京ガスのイベントで、あるいは各部所が営業先などで配布しています。

 「いろいろな方に防災ドロップスを差し上げると、懐かしいからなのか、受け取った人の顔が明るくなるんです。また、若い人の場合は、寄藤さんのイラストに見覚えがあるらしく、そこに反応されますね」(山田さん)

地域によって営業しているガス会社は異なりますが、ガスメーターの復帰方法はどこの会社でも同じ。この点に目を付けた山田さんは、防災ドロップスの版権問題をクリアし、他のガス会社も同じ図柄を使える環境を整えました。その結果、東京ガス以外のガス会社でも、防災ドロップスを活用するところが出てきたそうです。


町のインフラを守るためには、社員が被災しないことが前提

東京ガスの防災に対する取り組みは続きます。昨年7月の新潟県中越沖地震で企業の事業継続の大変さ、そして重要性が改めて認識されました。

「地震の際、お客様の安全を守り、ガスのインフラを守るためにも、まずは自分や家族が無事であることが前提です。そこで、社員の家族を含めた被災軽減の取り組みを防災・供給部と広報部が協力して進めようとなりました」(山田さん)

そして、密かに「Save Yourself」(まずは、あなた自身の身を守ろう)という社員向けの防災啓発事業に取り掛かったのです。取り組みのポイントの一つは、全社員・準社員約1万人に、毎日携帯できるうえ、防災グッズにもなるオリジナルの大判ハンカチを、9月1日の防災の日に配ることでした。3枚組みのハンカチのそれぞれには、「街のインフラを守ろう」「東京ガスのお客様の暮らしを守ろう」「家族を守ろう」というメッセージが。イラストは、防災ドロップスでおなじみの寄藤さんが、総合プロデュースは、プラス・アーツが担当しました。

(写真説明)Save Yourselfのハンカチとブックレットの説明をする山田さん。ハンカチに添えられたブックレットには、災害時、自分や家族の身を守ることは、お客様の生活や町のインフラを守ることにつながるというメッセージが書かれています。


「実は、もう一点、キャンペーンと連動して、ハンカチの絵と同じポスターを8月の半ば頃から社内に掲示していました。あえて、ポスターの詳細な説明を行わなかったので、9月1日にハンカチとブックレットを受け取った社員は、このとき初めて、ポスターの意図が何であるか理解したはずです」

さらに、9月1日発行のグループ内報では、大地震が発生したときに、社員が取るべき役割を紹介。社内の関係するセクションが連携して、防災キャンペーンに取り組みました。

「同じハンカチや冊子を配るにしても、各部所に人数分配布し、担当者から配布してもらう方法ではインパクトがないと考え、手間はかかりましたが、社内便も社員・準社員の人数分、約1万通用意し、受け取った方、一人ひとりが興味を示してもらえる方法を考えました」

9月1日から4日間、本社では初めて防災フェアを開催し、防災グッズの紹介や、震災体験者の講演会がグループ員向けに行われました。多くの方が参加したそうです。

 「ハンカチや防災ドロップスを手にした社員からは、会社のことがより好きになったとか、自分の仕事の重要さを再認識したという声が届いています」(山田さん)

以前の山田さんは、社会の「しくみ」が人々を動かすと信じていたそうですが、プラスアーツの活動と出会い、アートには、人や社会を変える力があると痛感するようになったといいます。

防災ドロップスやSave Yourselfの呼びかけに終わりはないともいいます。「ですから、ポスターにはキャンペーン期間の日付は一切入れていないのです。今後も語り継がれていくべきテーマですから」(山田さん)

そう言われて、いただいた防災ドロップスの缶を見て気づいたのは、捨てるのがもったいないほどカッコイイ装丁だということでした。ドロップスを食べ終えた後の空缶は、ペン立てなどに活用されているそうです。もらった人が愛着を感じるようなグッズであるということは、PRの内容を一過性で終わらせない一つのポイントになると思いました。(文 フリーライター:奥田みのり)


*防災ドロップスは非売品のため、一般販売はしておりません。

終わり


Posted by columnist1 at 17:15 | CSRな事例 | この記事のURL

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