CSRについての基本的な知識と、企業やNPO、自治体による取り組みの最新情報を知るためのコラムを掲載します。

 CSRプラスのデータ分析や、市民へのアンケート調査を掲載する「傾向と対策」をはじめ、 CSRの取り組みに熱心な企業にヒントを学ぶ「ケーススタディ」、社会的課題に直面するNPOのマネジャーが取り組みのポイントを提案する「ホットイシュー」、CSRに関心を持つ大学生によるレポート「CSR探検隊」。シリーズでお届けします。
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森林ノ牛乳(後編)[2008年12月09日(火)]
自然と人間の関係を見直すきっかけに


 森林ノ牧場の隣には、アミタが3年半前から運営委託されているバイオガス発電施設がある。日本でも有数の大規模施設だが、ここでは、集められた食品残渣をメタン発酵させて、ガス発電が行われている。
 メタン発酵の副産物として得られる堆肥や液肥は、現在、冬季牛たちが食べる保存用の草の肥料として用いたり、近隣の田畑に還元され米や野菜づくりの一助となっている。

「現在日本では、過疎化により、8000近い限界集落があると言われています。こうした地域に、収入源となる仕事をつくることで、過疎化の流れを食い止めることができるのではないでしょうか。そのためには、多くの人が仕事に携われるよう、持続可能な収益事業にすることが必要です。日本の林業や農業を促進するには、まずは林業や農業が、経済的に成り立つものでなくてはなりません」(佐藤さん)

 京丹後で行っているバイオガス発電や森林ノ牧場は、自然と人が関わるなか、地域内で資源を循環し、人が経済的に自立していく関係をつくるための試みだという。


牛乳から食文化を見直す

森林酪農を見て、まず驚くのは、なんといっても、森に牛がいること。
「一般に売られている牛乳パックにも、草原で飼育されている牛のイラストが使われていますが、実際、草原で放牧されているケースはほとんどなく、多くの場合、牛は牛舎につながれて飼育されています。」(佐藤さん)
急斜面に牛が放牧されていることについては、「45度の傾斜でも大丈夫」(佐藤さん)とのこと。さらに、365日野外に放牧していることにも驚く人が多い。気温がマイナス20度程度まで下がっても、大丈夫。牛は結構強いようだ。

「よく、搾乳のときに、どうやって牛を呼び寄せるのかという質問を受けます。森林ノ牧場の牛は、決まった時間になると自然に搾乳する牛舎前に集まってくるのです。朝と夕方、これを繰り返し、搾乳が終わると森に帰っていきます。広い敷地で酪農をやると、一頭一頭呼び寄せるのが大変なのでは、と思われるのですが、牛は、はったお乳を搾ってもらいたくて、自然に集まってくるようです」(鎌田さん)と、森林酪農の特徴を話してくれた。




(写真説明)牧場のとなりに建てられた牛乳プラントは、
地域で採れた藁に土を塗って建てられた「ストローベイルハウス」(藁の家)。
温度と湿度を平準化する特徴があり、夏涼しく、冬は暖かいそうだ。




最も驚いたのは、多くの酪農牧場にはオス牛がいないということだった。ほとんどの場合、「授精師」による人工授精によって、メス牛は妊娠する。オス牛の存在は、牛乳の生産においては収入には結びつかない。と考えれば、オスのいない牧場というのは、合理的なのだろうが、違和感は否定できなかった。

一方、森林ノ牧場では、オスとメスの牛を飼い、自然交配をさせているとのこと。牧場は当初、オスとメスの牛、約10頭でスタートし、一年で子牛が6〜7頭生まれている。
話を聞けば聞くほど、一般的な多くの酪農においては、牛乳が食卓に届くまでに、いかに牛の飼育や出産が自然な形ではなく、人間によって操作されているかということを痛感せずにはいられない。

「事実を知り、自然な方法で生産された食品に目をむけていけば、一般に流通している食品よりもコストがかかることを、お分かりいただけると思います。牛乳の価格が水よりも安いのは、どういうことなのか、おかしいと思いませんか。私たちは食文化を軽視しすぎてきたのではないでしょうか。今こそ、『食』というものを見直し、生産者は自然と人間の持続可能なバランスのなかで、第一次産業を成り立たせていく。消費者は供給される食べ物に、適正な価値を払っていく。そうでないと、農業や林業をはじめとする第一次産業の担い手はいなくなってしまうでしょう」(佐藤さん)

数年以内に、森林酪農を成功例として社会に提案したいと佐藤さんは語る。現在の収益源は乳製品だが、森林空間を活用したキノコ類の生産や、自然体験教室などの開催も、今後の視野に入れている。(フリーライター 奥田みのり)


【関連情報】

アミタ株式会社
本社 :〒102-0075 東京都千代田区三番町28番地
Tel :03-5215-8274 Fax: 03-5215-8505
ウェブサイト:http://www.amita-net.co.jp/
森林ノ牧場 http://www.amita-net.co.jp/ushimori/

森林ノ牧場でとれた牛乳を使ったアイスクリームは、ウェブサイトで販売中。
森林ノアイス http://www.rakuten.co.jp/ushimori/


終わり



Posted by columnist1 at 11:38 | CSRな事例 | この記事のURL

森林ノ牛乳(中編)[2008年12月09日(火)]
こだわりのノンホモジナイズ  クリームラインのできる牛乳


自然放牧のなかで、野草などを食べて育つ牛からできる牛乳、「森林ノ牛乳」を飲んでみた。牛乳特有の匂いはなく、さっぱりしているが、コクのある味だ。「人によっては、昔の牛乳の味がすると言ってくださる方もいらっしゃいます」(佐藤さん)

牛乳瓶のフタをあけると、牛乳の上部が豆腐のように固まっている。これは、「クリームライン」と呼ばれるもので、塩の入っていないバターのような味がした。イギリスで「クロテッドクリーム」と呼ばれるクリームラインは、パンやクラッカーとも相性がいい。どうして、一般に流通している牛乳は、クリームラインができないのだろうか? その秘密は、「ノンホモジナイズ」という方法にあった。


飲むだけでなく、食べる牛乳

 「ノンホモジナイズ」とは、生乳に含まれる成分を「均質化」(ホモジナイズ)する処理を行わないこと。均質化しないため、生乳に含まれる軽い脂肪球は、牛乳の上のほうに固まる。これが、「クリームライン」になる。しかし、一般の牛乳は、均質化を行い、他の成分と混ざった状態であるため、細かくされた脂肪球は、上部に浮くこともなく、クリームラインはつくられない。森林ノ牛乳は、飲むだけでなく、食べる牛乳でもあるといえる。

また、森林ノ牛乳は、63度で30分時間をかける低温殺菌を行っている。「低価格化と効率化を考えると、30分かけるよりも、120℃以上で1秒から3秒間殺菌する超高温瞬間殺菌のほうが手間がかかりませんが、牛乳本来の風味を味わっていただけるよう、低温殺菌をしています」(佐藤さん)

ホルスタイン牛に比べて、森林酪農に適していると言われるジャージー牛の乳は濃厚だと言われている。さらに濃厚な飼料を与えると、乳はより濃厚になるが、森林ノ牧場では、森林に生える自然の草を主に食べて生活している。農薬とも無縁の天然の草である。

「夏草が青々としている時期に牧場を訪問した際、牧場で働くスタッフが、『今日の牛乳は草の味がする』と言うので、半信半疑で飲んでみたら、本当に草の香りがしたのには驚きました。牛が食べたものによって牛乳の色が微妙に変わるようです。緑の草をたくさん食べる春や夏は、若干黄色っぽくなりました。夏と冬では牛乳の色が違っていますね」と、経営戦略本部・カンパニーデザイン部・広報チームの鎌田紗織さんは説明する。

現在、森林ノ牛乳は、森林ノ牧場と、ジェイアール京都伊勢丹のみで販売している。「おかげさまで、伊勢丹さんではお昼頃には完売してしまうようです」(佐藤さん)関東圏の人にとっては、欲しくても買うことができない森林ノ牛乳だが、2008年11月には、栃木県那須郡に新たに森林ノ牧場がオープンしたこともあり、2009年の夏頃には、関東地方でも、森林ノ牛乳が購入できるようになる予定だという。
                                                 
                                         鎌田紗織さん      
                         (経営戦略本部・カンパニーデザイン部・広報チーム)


アニマルウェルフェア(動物福祉)の視点から

「全国に向けて大量生産、大量供給するのではなく、地産地消をモットーに、近くの山の恵を、近くに住む人に味わってもらう。そんな自然と人間の関係性をつくりたいと考えています。また、牛乳の産地を見たいと思ったときに、実際に足を運ぶことができる場所に牧場があることも理想です。」(佐藤さん)

牛が自由に放牧されていることは、「アニマルウェルフェア」(動物福祉)の観点からも新たな価値を社会に提示している。「そうでなければ、この値段で買ってはもらえないでしょう」(佐藤さん)森林ノ牛乳は500mlで630円で販売されている。
森林ノ牛乳の味はもちろんのこと、日本の森林、農村の営みと、そこから享受する自然の豊かさも一緒に味わってほしいという。「牛乳を介して、豊かな時間をご提供できれば」と、佐藤さんは言う。




Posted by CANPAN運営事務局 at 11:36 | CSRな事例 | この記事のURL

森林ノ牛乳(前編)[2008年12月09日(火)]
ケーススタディ:CSRな一品

このシリーズでは、CSRの考え方がギュッと詰まった「商品」や「サービス」を、「CSRな一品(逸品)」として、市民をはじめとした読者の皆様に分かりやすく、ご紹介していきます。



 森も牛もハッピーに

人間と自然の共生から生まれた「森林ノ牛乳」



牛乳がどうやって生産されるのか、考えたことがありますか?
広い草原に、放牧されている牛が、のんびりと草を食べている。そんな風景をイメージする人が多いのではないでしょうか?

今回ご紹介するのは、アミタ株式会社の「森林ノ牛乳」です。名前から想像されるように、森林で酪農を行い、生まれた牛乳です。牛は、草原ではなく森林に放牧されて、のびのびと育ちます。自然にオス牛とメス牛が交尾して子牛が生まれ、お母さん牛のお乳を、できるだけ自然なかたちでビンにつめたのが、森林ノ牛乳です。

森林ノ牛乳のように、放牧された牛で牛乳を生産しているところはごく一部で、ほとんどの牛乳は、牛舎で飼育され、人工受精で妊娠した牛のお乳を使っています。
森林ノ牛乳を知れば知るほど、「こんな牛乳、ちょっとない」と思うでしょう。今回は、そんな森林ノ牛乳が生産されている京都府・京丹後市にある「森林ノ牧場」について、うかがってきました。



                        アミタの「森林ノ牛乳」



廃棄物に新たな価値を与える技術を応用して、
「森林酪農」で、森林を甦らせる


「廃棄物」という一度役目を終えた資源に、もう一度価値を与える事業(再資源化・リサイクル)を行ってきたアミタ。こうした事業を行うアミタが、「森林ノ牧場」をオープンし、自然放牧型の酪農を森で行っているという。なぜ、廃棄物のリサイクルを行うアミタが、酪農に着手したのだろうか。

アミタの持続可能経済研究所・地域デザイン部部長の佐藤博之さんに聞いてみると、「ものづくりの国、日本は製品づくりに欠かせない原材料や燃料を海外からの調達に依存してきました。アミタはものづくりの現場で『廃棄物』だと思われているものを原料や燃料に加工・転用する技術やノウハウで、捨てられているものを資源に変えてきました。同じ考え方で、放置林に価値を与えるため、森林での酪農を始めました。」そこで、放置さている森林についても説明してもらった。

「かつて人間は、里山から薪炭材や山菜類といった自然の恵を享受していましたが、今では、里山が必要とされなくなり、放置され、荒れてしまっています。また、日本の森林の約4割を占める人工林も、林業の衰退に伴い管理されず、材も空間も利用されずに荒廃が進んでいます。そこで私たちは、価値がないと思われている森林に価値をつけ、山の利用が経済的に成立するしくみをつくることができれば、放棄も荒れることもなく、森林と人間のバランスのとれた関係を取り戻せると考えたのです」(佐藤さん)


日本初となるFSCの認証事業に着手

森林に価値をつける営みとは――。アミタは1999年、日本で初めて、持続可能な森林を認証するFSC(森林管理協議会)の認証事業に着手した。FSCは適切な森林管理を認証する制度で、環境に配慮した森林経営が求められるだけでなく、地域に働きやすい場所を提供したり、木材以外の収入源の確保に努めるなど、社会的、経済的な配慮も求められている。日本で初めてFSC森林認証を取得した三重県の速水林業の森林をはじめ、アミタは、日本における数多くのFSC森林認証の審査を手がけている。



「FSC森林認証に関わるなかで、森林の大きな価値や可能性を知ることができます。一方で、燃料が木炭から石油に取ってかわり、木材の多くを価格の安い輸入に頼る昨今、木材のみに森林の価値を十分に見出すことが難しいという現状に直面し、森林の価値は木材の供給源としてだけではないはずだと考え始めました。

そんなとき、『山地(やまち)酪農』と出会ったのです。山地酪農は、山間地で行う放牧型の酪農のこと。ここから発想を得て、林業と酪農を組み合わせ、林間で酪農を行えば、経済的に成り立たないだろうかと考えたのです。アミタでは、これを『森林酪農』と名づけ、実行することにしました」(佐藤さん)

「森林酪農なんて、成り立つわけがない」というのが、世間の評価だったという。「アミタが成功モデルを示さなければ、誰もやりたいと手を上げてくれないと思い、手探り状態で始めたのです」(佐藤さん)そして2007年、酪農事業に着手し、同年12月には、京丹後に森林ノ牧場をオープンした。

      
佐藤博之さん
(アミタ持続可能経済研究所・地域デザイン部部長)



相性のいい林業と酪農

「牛を森に放牧すると、草を食べてくれるので、林業に必要な下草刈りを代行してくれるのです。その他にも、牛(1ヘクタールに1〜2頭の割合)が野山を歩くことで地ならしが行われますし、適度な糞尿は山に栄養を与えてくれます。牛を放し飼いにすることで、これまで人がやっていた作業が軽減され、管理しやすい環境になるのです。」(佐藤さん)

林業は樹齢50年以上の大木でないと、収入にならないことが多い。木が大きくなるまで、借金で食いつなぐことも厳しい。一方、酪農は、乳製品の販売など、短期的な収入を得ることが可能。よって、酪農で日々の暮らしを成り立たせ、長期的に森林を管理していく――というやり方に、アミタは可能性を見出した。

「林業で行われる間伐は、大径木を育てるために行われますが、成果が現れるのは50年以上先のこと。しかし、間伐によって、太陽の光が森の中に届き、草木の生育を促進することは、酪農にとって、牛の餌が継続的に得られるというメリットになります」(佐藤さん)

半世紀以上先のために行ってきた間伐が、日々の収入につながることで、間伐を行うモチベーションが強まる。放置林の減少にも一石投じることになる。
また、森林酪農は里山で深刻化している獣害の軽減にもつながる可能性がある。牛を自然放牧するようになってから、イノシシは牧場内の森からは姿を消したという。牛が草を食べて茂みがなくなったこともあるが、大型動物の牛の存在は、イノシシにとって脅威なのだろうと、佐藤さんは言う。

こうして、潅木や倒木で人間が歩けるような状態ではなかった山は、牛が草木を食べ、地ならしをすることで、人間が作業しやすい状態になった。「牛は一日30〜40キロくらい草木を食べるので、放牧から一週間くらいで、1ヘクタール程が見違えるほどきれいになりました。人間の作業は牛の助けによってだいぶ軽減されました。山の管理は、人間と牛の共同作業ですね」(佐藤さん)

地元の人からは、山に人がキノコ採集や、薪拾いで入っていた頃の、きれいな山が戻ってきたね、と言ってもらえた。




(写真説明)森林ノ牧場の日常風景。
山には、牛の餌となる草も木の葉も生息している。
輸入飼料に使われている場合の多いポストハーベスト農薬の心配もない。


Posted by CANPAN運営事務局 at 10:55 | CSRな事例 | この記事のURL

防災ドロップス(後編)[2008年10月15日(水)]
全国に展開する防災ドロップス

 「これはイケる!」という山田さんの予想は的中し、2007年8月に初回注文分が配布されて以来、評判が評判を呼び、これまでに13万個の防災ドロップスの注文が社内からありました。非売品の防災ドロップスは現在、東京ガスのイベントで、あるいは各部所が営業先などで配布しています。

 「いろいろな方に防災ドロップスを差し上げると、懐かしいからなのか、受け取った人の顔が明るくなるんです。また、若い人の場合は、寄藤さんのイラストに見覚えがあるらしく、そこに反応されますね」(山田さん)

地域によって営業しているガス会社は異なりますが、ガスメーターの復帰方法はどこの会社でも同じ。この点に目を付けた山田さんは、防災ドロップスの版権問題をクリアし、他のガス会社も同じ図柄を使える環境を整えました。その結果、東京ガス以外のガス会社でも、防災ドロップスを活用するところが出てきたそうです。


町のインフラを守るためには、社員が被災しないことが前提

東京ガスの防災に対する取り組みは続きます。昨年7月の新潟県中越沖地震で企業の事業継続の大変さ、そして重要性が改めて認識されました。

「地震の際、お客様の安全を守り、ガスのインフラを守るためにも、まずは自分や家族が無事であることが前提です。そこで、社員の家族を含めた被災軽減の取り組みを防災・供給部と広報部が協力して進めようとなりました」(山田さん)

そして、密かに「Save Yourself」(まずは、あなた自身の身を守ろう)という社員向けの防災啓発事業に取り掛かったのです。取り組みのポイントの一つは、全社員・準社員約1万人に、毎日携帯できるうえ、防災グッズにもなるオリジナルの大判ハンカチを、9月1日の防災の日に配ることでした。3枚組みのハンカチのそれぞれには、「街のインフラを守ろう」「東京ガスのお客様の暮らしを守ろう」「家族を守ろう」というメッセージが。イラストは、防災ドロップスでおなじみの寄藤さんが、総合プロデュースは、プラス・アーツが担当しました。

(写真説明)Save Yourselfのハンカチとブックレットの説明をする山田さん。ハンカチに添えられたブックレットには、災害時、自分や家族の身を守ることは、お客様の生活や町のインフラを守ることにつながるというメッセージが書かれています。


「実は、もう一点、キャンペーンと連動して、ハンカチの絵と同じポスターを8月の半ば頃から社内に掲示していました。あえて、ポスターの詳細な説明を行わなかったので、9月1日にハンカチとブックレットを受け取った社員は、このとき初めて、ポスターの意図が何であるか理解したはずです」

さらに、9月1日発行のグループ内報では、大地震が発生したときに、社員が取るべき役割を紹介。社内の関係するセクションが連携して、防災キャンペーンに取り組みました。

「同じハンカチや冊子を配るにしても、各部所に人数分配布し、担当者から配布してもらう方法ではインパクトがないと考え、手間はかかりましたが、社内便も社員・準社員の人数分、約1万通用意し、受け取った方、一人ひとりが興味を示してもらえる方法を考えました」

9月1日から4日間、本社では初めて防災フェアを開催し、防災グッズの紹介や、震災体験者の講演会がグループ員向けに行われました。多くの方が参加したそうです。

 「ハンカチや防災ドロップスを手にした社員からは、会社のことがより好きになったとか、自分の仕事の重要さを再認識したという声が届いています」(山田さん)

以前の山田さんは、社会の「しくみ」が人々を動かすと信じていたそうですが、プラスアーツの活動と出会い、アートには、人や社会を変える力があると痛感するようになったといいます。

防災ドロップスやSave Yourselfの呼びかけに終わりはないともいいます。「ですから、ポスターにはキャンペーン期間の日付は一切入れていないのです。今後も語り継がれていくべきテーマですから」(山田さん)

そう言われて、いただいた防災ドロップスの缶を見て気づいたのは、捨てるのがもったいないほどカッコイイ装丁だということでした。ドロップスを食べ終えた後の空缶は、ペン立てなどに活用されているそうです。もらった人が愛着を感じるようなグッズであるということは、PRの内容を一過性で終わらせない一つのポイントになると思いました。(文 フリーライター:奥田みのり)


*防災ドロップスは非売品のため、一般販売はしておりません。

終わり


Posted by columnist1 at 17:15 | CSRな事例 | この記事のURL

防災ドロップス(前編)[2008年10月15日(水)]
ケーススタディ:CSRな一品

このシリーズでは、CSRの考え方がギュッと詰まった「商品」や「サービス」を、「CSRな一品(逸品)」として、市民をはじめとした読者の皆様に分かりやすく、ご紹介していきます。



 サクマのドロップス+東京ガスのコラボで「防災ドロップス」誕生


手のひらサイズの缶に入ったドロップスといえばサクマ製菓のドロップス。なかでも、市販品の「非常用サクマドロップス」(非常食)を使った東京ガスの「防災ドロップス」(写真参照)は、企業のノベルティグッズであるだけでなく、震災時に自動停止するガスメーターの復帰方法を四コマ漫画で紹介するPRグッズとしても注目されています。

缶の中央に描かれているのはガスメーター。

側面には「ガスメーターは、震度5程度の地震を感知すると安全装置が作動し、ガスを止めます」という説明が。しかし、このことを知っている人は少なく、また、停止したガスメーターの復帰方法も、あまり知られていません。

そこで東京ガスは、ガスメーターの復帰方法をドロップスの缶に掲載したのでした。






NPO法人プラス・アーツとの出会いで、人を惹きつけるアートの力を実感

防災ドロップス誕生までの経緯を、東京ガス広報部社会文化センターの山田俊彦さんにお聞きしました。

 「2006年頃に『安心・安全』をテーマにした社会文化活動を行いたいと考えていた矢先、NPO法人プラス・アーツさんから、親子で参加できる防災訓練を一緒に行いませんかという提案が入ってきたのです」(山田さん)

プラス・アーツは阪神・淡路大震災から10年目の節目に、神戸市から依頼を受けて、新しく親子を対象にした防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を開発し、実施した団体です。プラス・アーツ理事長の永田さんは、神戸以外でも開催できないかと考え、東京ガスと連絡を取り、山田さんと出会いました。この出会いが、後の防災ドロップスの誕生につながったといいます。

2006年にプラス・アーツと東京ガスのコラボで、初めて関東で「イザ!カエルキャラバン!」を開催。二日間で2600人の親子が参加する大盛況な防災訓練になりました。水を運ぶバケツリレーでは、水槽が水でいっぱいになるとカエルのシルエットが浮き上がるなど、楽しい防災訓練が体験できる工夫が随所にほどこされていたそうです。

あるとき、永田さんは山田さんに、「これを使って何かやりませんか」と、非常用サクマドロップスを手渡したそうです。サクマドロップスの缶を使った企業のノベルティグッズは他社でも作っていたので、それ自体は新しいアイディアではなかったのですが、山田さんが思いついたのは、ガスメーターの復帰方法をPRするツールとして活用することでした。


ガスメーターの復帰方法を楽しく知ってもらいたい


 「2005年に東京都足立区で震度5強を記録する地震が起きたときのこと、ちょうど家内の実家の千葉県市川市にいた私は、急いで本社に向かいました。弊社の広報部の社員は、ガスを供給しているエリアで震度5弱以上の地震があった場合、会社へ駆けつけることになっているのです。高速が閉鎖されていたので、電車を乗り継いで、どうにか会社にたどり着くと、コールセンターだけでは対応できないらしく、問い合わせの電話を本社でも受けていました。その内容は「ガスが使えない、」というものばかりでした。それまでは、震度5程度の地震でガスメーターの安全装置が作動することや、その復帰方法について、当然お客様はご存知だと信じていましたので、こうした認識が一気に覆されてしまったのです」(山田さん)

この日だけで、約5万件の電話があり、電話口で社員は一様に、ガスメーターの復帰方法を説明していたといいます。この日から山田さんは、どうしたらメーターの復帰方法を知ってもらえるのか考えるようになりました。そして、約2年後、永田さんから非常用ドロップスを使って何かしないかという提案があり、缶に復帰方法を掲載するというアイディアが、山田さんの頭を横切ったのです。また、プラス・アーツと開催した防災訓練の経験から、アートを取り入れたものにしたいと考えていました。

分かりやすく、しかも親しみやすいイラストを描いてもらえたら、という山田さんの要望に永田さんは、フリーペーパー「R25」でおなじみのイラストレーター・寄藤文平(よりふじぶんぺい)さんを紹介。事情を説明すると、寄藤さんはすぐに承諾してくれたそうです。



親しみやすいイラストが社内で評判に


次なる山田さんの課題は、製造の最低ロット5000個分を満たす注文を確保することでした。「まだイラストが完成していなかったので、R25などから寄藤さんのイラストを抜き出し、いろいろな部所に注文のお願いに走り回りました。寄藤さんから実際に使うイラストが届いてからは、ぐんと社員の反応がよくなりました」(山田さん)。山田さんと永田さんは寄藤さんからイラストが届いた時、その素晴らしさに「これはイケる!」と強く感じたといいます。

最終的に各部所からの注文は65000個にまで増えました。購入先の一つ人事部の採用担当者は、「学生に配るグッズとして、安心・安全を重視する会社の姿勢だけでなく、ガスメーター復帰方法のPRにも役立つから」と8000個注文してくれたそうです。


(写真説明)
東京ガスのホームページ上に公開されているオンラインゲーム「KIKU(聞く)・KIKU(効く)」も、プラス・アーツが製作したもの。

阪神・淡路大震災の被災者の体験談を聞きながら、重要だと思う発言部分で「うなずく」ボタンをクリックするとポイントが溜まります。

筆者も挑戦してみましたが、これが意外と難しい。高得点は獲得できませんでしたが、自然に災害時に役立つ知識が身につくことに感動しました。




Posted by CANPAN運営事務局 at 17:06 | CSRな事例 | この記事のURL

「むそう」が誇る黒豚うんぷう麺[2008年09月25日(木)]
ケーススタディ:CSRな一品

このシリーズでは、CSRの考え方がギュッと詰まった「商品」や「サービス」を、「CSRな一品(逸品)」として、市民をはじめとした読者の皆様に分かりやすく、ご紹介していきます。



 むそうが誇る「黒豚うんぷう麺」


こだわりの逸品「黒豚うんぷう麺」


 愛知県知多半田の小高い丘にある、木をふんだんに使った建物「アートスクウェア」に「中華茶房うんぷう」がある。ここの名物メニューがしょうゆベースのこってり系ラーメン「黒豚うんぷう麺」である。スープは、江戸時代から醤油所として有名な地元武豊町の「傳右衛門(でんうえもん)」を使っている。この醤油は江戸時代から使っている樽を使って醸造しており、そこに生きついている菌がコクのある味を作り出している。
 また、ベースにはアゴの干物やサバ節等これも地域名産物を使用しており、しっかりとした味ながらもあっさりとしているので、国産小麦を使用した太麺との相性は抜群!


 このスープにとろけるチャーシューがのっているが、これがまたうまい! 本場鹿児島産の純系黒豚のバラ肉を独自のタレで煮込んだもの。ここに朝とったばかりの玉子を使った味付け玉子とやわらかいメンマがのり、バランスのとれた仕上がりになっている。開発者はなんと有名ホテルのフレンチの元料理長…。


障害をもつ人の「特性」はすべて「品質・サービス向上」へ

 ランチを中心とした48席の飲食店で、土日には3回転する程繁盛しているこの中華茶房、実は障害者支援施設である。4人の障害者と1人の支援者でこの忙しい店を切り盛りしているのだ。ハード・ソフト共、今まで福祉支援現場で培ってきたノウハウをふんだんに盛り込み、結果、見た目は「ただ繁盛している中華茶房」なのである。


「中華茶房うんぷう」


 例えば、太麺なのは、こってり味なので麺と絡む方が良いのと、適度なコシが欲しかったからではあるが、調理で茹ですぎることがあるかもしれないため、麺が伸びにくい国産小麦を使用した太麺を利用しているという配慮にもつながっている(※国産小麦は水分の吸収が遅い)。注文が伝票記入式なのも、できる限りヒューマンエラーを減らし、待ち時間を短くしてもらうため。また、女性の利用が多いことから、サラダバーを併設しているのだが、これも自閉症をお持ちの方にとっては苦手なコミュニケーションを省いてサービス提供しやすいためでもある。

 さらにハード面では、調理工程を細分化するために、厨房を長く設計する、洗い場は前に壁が来るようにする等、どのような特性を持つ人が働くのかを考慮に入れた設計が施されている。言うなれば「障害をもつ人の特性」はすべて「品質・サービス向上」につながっているのである。ちなみに、黒豚は鹿児島の障害者施設で丁寧に育てられたもので玉子は自身の社会福祉法人で実施している養鶏事業で採れたものを使用している。障害者の方は動物と相性が良く、丁寧に世話をするという特性がここでも活かされているのだ。昨今叫ばれている安心・安全の食といった観点からすれば、今後、この特性は、市場での競争優位を確保できるものとなっていくであろう。


創発型地域生活支援 を目指して

 配慮はこれだけにとどまらない。これらの具材やノウハウはすべてFC(フランチャイズ)で提供できる状態になっている。例えばスープはエバラ食品 で生産しパックとして納品されるので、全国どこでも再現可能な味となっている。調理や就労支援についてはインターンを受け入れられる態勢を整えており、ソフト・ハードともに提供できるように準備している。

 何故、ここまで準備するのか? 
 
 これは障害者自立支援法の改定によって、今後は授産事業の意義がより重要視されるからである。しかしながら、全国の障害者系施設は、今まで「支援」を中心に取り組んできた部分が強く、事業化や商品開発は苦手なところが多い。そこで、むそうは自身達で開発してきた秘伝のノウハウを惜しみなく外に出すことで、多くの関係者が喜び、その関係者達と共に創発を生みだして行こうという「創発型地域生活支援」というコンセプトで進めてきたわけである。 
 ヤマト福祉財団とヤマト運輸が中心となって設立した「スワンベーカリー」も同コンセプトで機能しており、このアプローチは有用であると思われる。「生きにくい人が、暮したいところで暮らせるような社会にしたいんです」と中華茶房うんぷうを運営する社会福祉法人むそう理事長の戸枝陽基さんは力強く話す。

(戸枝陽基さん 社会福祉法人むそう理事長)

単純に“普通”においしいものを

 商品開発もまだまだ続く。暑いシーズンには、冷製ものとして「冷やしラーメン」「トマトラーメン」を開発。法人としては、5月に商店街の中につけそばと大判焼を販売する「狐坊庵」をオープン。このそばの付け汁にラー油を入れて食べると、そばの風味が際立ってさらっと一盛すぐに平らげられる。
 エネルギッシュに活動を続けるむそう、その商品開発の秘訣を聞いてみた。「いやぁ、秘訣って言うか…、単純に“普通”においしいものを作ろうと思っているだけです。」と戸枝理事長。この顧客視点をぶらさないところは見事である。
 取材を通じて、他施設と異なると感じた点は「やりきる力強さ」にあるだろう。商品開発して市場に問うというのは誰にとっても怖さを感じるはずである。しかし、むそうは違う。代表がぶれずに高い視座を持ち続けるからこそ利用者もスタッフも理念を共有し、多くの困難を乗り越えていくのであろう。それにしてもおいしいラーメンだった…(笑)。

   狐坊庵で人気の大判焼

(執筆:関原深(株)インサイト代表取締役)


【店舗紹介】

「中華茶房うんぷう」
営業時間:8:00〜17:00(17:00以降は予約のみ、お気軽にお問い合わせください。)
定休日:月曜
住所:愛知県半田市長根町3-1-11
URL:http://www.musou03.org/art/chuuka.html

「狐坊庵」
営業時間:10:00〜18:00
定休日:水曜、日曜
住所:愛知県半田市銀座本町3-15
URL:http://www.musou03.org/office/store.html


Posted by columnist1 at 10:00 | CSRな事例 | この記事のURL

「CSRプラス」英語版がオープン![2008年09月24日(水)]

「CSRプラス」英語版がオープン!
〜日本企業のCSR情報が英語でも閲覧・検索できます〜
 


CANPAN運営事務局


 CANPAN「CSRプラス」は2006年11月より、CSRをテーマにしたコラムやニュースリリースの掲載、CSR情報データベースを公開しています。
 このたび、2008年9月から、日本企業の取り組みをより広く世界の方々にも知って頂くことを目的として、コンテンツの一部を英文化して公開することといたしました。

 英文化の対象範囲は、企業CSR情報データベースの16の調査項目(調査では「中項目」に該当)と各調査項目の解説文章(「よくある質問F.A.Q.」に該当)です。これによって、各企業の中項目レベルでの情報開示の有無が英語で検索でき、比較が可能となります。



 「CSRプラス」では、東京証券取引所一部上場企業の「CSR報告書」を取り寄せて独自に調査し、また企業自身による自主登録も併せて閲覧・検索できるサービスを提供しています。日本では企業による「CSR報告書」の発行は盛んですが、誰もがアクセスできて、一覧性が高い検索サービスはこれまで存在していませんでした。日本企業のCSR情報を英語で発信することで、海外の投資家、NGO/NPO、研究者、消費者といった幅広い層を対象に、一層のコミュニケーションの促進の一助となればと考えています。

 CSRプラスの英語版は、次の3つの効果をねらいとしています。

 第一に、外国人投資家の日本企業への関心の向上です。日本の株式市場においても外国人投資家の存在感は年々増しています。東証1部の2007年の取引のうち、外国人投資家が占める割合は売買代金で全体の約63%を占めています(東京証券取引所「投資部門別売買状況」より。自己売買分を除く)。CSR情報は、SRI(社会的責任投資)基準として活用されることも多く、日本企業のCSR情報データベースとして一覧性の高い「CSRプラス」の企業情報を英語で公開することで、外国人投資家のみなさんが日本企業の取り組みを知るきっかけを提供したいと考えています。

 第二は、NGOによる活用です。欧米の国際的なNGOの関心は、日本企業を含むアジアの企業活動に向かっています。海外のNGOが日本企業の取り組みを知り、関心を高めていくことで、社会課題解決に向けたステークホルダー間のコミュニケーションが盛んになることを期待しています。

 第三には、日本企業と取引のある海外企業の担当者の方々、CSR報告書の英文化を検討されている企業担当者にもご利用頂くことを期待しています。各社のウエブサイトで多言語によるCSR情報を公開されている企業もありますが、自社の取り組みが他社と比べてどのような位置にあるのかを検索しながら比較できるCSRプラスを並行して活用することで、サプライチェーンとのコミュニケーションがさらに進むことが期待できます。

 ますます進む経済のグローバル化のなかで、英語による情報発信は日本企業においても欠かせない状況となっています。「CSRプラス」でも英語版を始め、様々な工夫で日本企業のCSRをサポートし続けます。今後ともご利用、ご支援のほどよろしくお願いいたします。



【参考コラム】
「市民のためのSRI」シリーズ  (執筆者:CANPAN運営事務局)

「新たな展開を見せるSRI」 (執筆者:特定非営利活動法人 パブリックリソースセンター)

Posted by CANPAN運営事務局 at 10:00 | 傾向と対策 | この記事のURL

SRIインデックス(その2) Dow Jones Sustainability Index[2008年09月11日(木)]
お金の流れで世界を変えるという発想で、注目を集めるSRI(社会的責任投資)。
日本でも、ゆるやかではありますが、個人向けの市場が拡大してきています。
「市民のためのSRI」シリーズでは、入門編として、SRIの基礎知識や内外のSRIファンドの概要を紹介します。


「市民のための SRI」第三回
SRIインデックス(その2) Dow Jones Sustainability Index
 

執筆者:CANPAN運営事務局



初めての世界的SRIインデックス  
 〜キーワードは“サスティナビリティ(持続可能性)〜”


 2008年9月4日、ダウ・ジョーンズ社(Dow Jones & Company, Inc. 本社:米国)とSAM社(Sustainable Asset Management 本社:スイス)は、今年度の「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・インデックス(以下「DJSI」)」の構成銘柄を発表しました。1999年9月、両社によって世界で初めてサスティナビリティを基準に企業を評価するSRIインデックスが開始されてから数えて、記念すべき10度目の発表となりました。DJSIの構成銘柄には、世界51カ国2500の企業から、今年は27カ国の320社が選ばれ、今回の発表では、初めて中国とインドからも構成銘柄に組み込まれる企業が登場しました。日本企業からは36社(昨年度比で3社が削除、4社が新規追加)が“サスティナブル”な企業として選定されています。



(ロゴマーク  ダウ・ジョーンズ社提供)

 ダウ・ジョーンズ社は、経済新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」の発行元です。「NYダウ」「ダウ平均」などと呼ばれるアメリカの市場状況を表す代表的な株価指数「ダウ・ジョーンズ工業平均株価」を算出していることでも知られています。DJSIはこのダウ・ジョーンズ社が作成する世界的な株式投資指数「ダウ・ジョーンズ・グローバル・インデックス」を母体に、サスティナブルな経営の基準を開発するSAM社がインデックスを作成しています。また、2001年10月より、スイスに本社のあるストックス社((STOXX Limited:欧州企業の株式指数作成を主な業務とする。スイス証券取引所、ドイツ証券取引所、ダウ・ジョーンズ社の共同出資により設立)が、DJSIの銘柄構成に参加したことで、全世界、欧州、北米の企業を対象とする「DJSIファミリー」が提供されています。



地域別・産業別の多様なインデックス

 現在DJSIファミリーには、全世界にわたる企業を含む「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックス」、欧州の企業を対象とする「ダウ・ジョーンズ・STOXX・サスティナビリティ・インデックス」と「ダウ・ジョーンズ・ユーロSTOXX・インデックス」、北米の企業を対象とする「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・北アメリカ・インデックス」と「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・アメリカ合衆国・インデックス」という、5つの地域別の主要インデックスがあります。

 また、どんな産業が社会に悪影響を及ぼすと考えるかは人によって様々であるという理由から、アルコール、タバコ、ギャンブル、武器・兵器製造については、それぞれの産業分野を除いたインデックスや、それら4つの産業を全て除いたサブ・インデックス等を提供していますが、「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・ワールド・インデックス(以下、DJSI ワールド)」では特定の産業を選定の対象から外すことはしていません。
  「DJSI ワールド」の構成銘柄は、「ダウ・ジョーンズ・グローバル・インデックス(以下、DJGI)」のうち、企業規模で上位2500社に含まれる企業から、経済、環境、社会的の3つの要件から57の産業分野ごとにサスティナブルな企業経営を牽引する上位10%の企業を選定します。特定の産業に偏らず、産業分野ごとのベスト・プラクティスで構成されていることが特徴です。

 「ダウ・ジョーンズ・STOXX・インデックス(以下、DJSI STOXX)」は、ストックス社の提供する欧州の企業を対象とするインデックスを母体に、「DJSI ワールド」と同様の基準で企業の経営のサスティナビリティを評価し、その上位20%の企業を含んだリストです。「ダウ・ジョーンズ・ユーロSTOXX・インデックス(以下、DJSI EURO STOXX)」は、その中で、ユーロを使用する地域のみ対象とするインデックスです。「DJSI STOXX」と「DJSI EURO STOXX」にも、それぞれ、アルコール、タバコ、ギャンブル、武器・兵器製造を除いたサブ・インデックスがあり、また、欧州でニーズの高い「成人娯楽産業を除いた」サブ・インデックスがあります。

 2005年より開始された、「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・北アメリカ・インデックス(以下、DJSI North America)」は「DJGI」に含まれる北アメリカの企業規模上位600社の中から、サスティナブルな企業経営を牽引する上位20%の企業を含みます。「ダウ・ジョーンズ・サスティナビリティ・アメリカ合衆国・インデックス(以下、DJSI US)は「DJSI North America」のサブ・インデックスで、アメリカ合衆国の企業のみを対象とします。「DJSI North America」と「DJSI US」には、それぞれ、アルコール、タバコ、ギャンブル、武器・兵器製造の全てを除いたサブ・インデックスがあります。




「ベスト・イン・クラス」という選定方法

 企業のサスティナビリティはSAM社の作成する基準にもとづいて、経済性と環境への対応と、社会開発への取り組みから評価されます。経済的基準は「ガバナンス」「リスク・危機管理」「コンプライアンス・企業の信頼性」、環境基準は「環境パフォーマンス」「環境報告」、社会開発基準は「人権」「従業員への福利」「労働慣行」「フィランソロピー」「社会的報告」等の項目からなり、経済、環境、社会開発のそれぞれに、全ての産業に共通する要件と、産業分野の特殊性を考慮して評価する要件があります。
 評価は、企業の発行する報告書やアンケートによるモニタリング情報をもとにおこなわれ、年に一度見直されます。各産業分野から、その産業における最もサスティナブルな企業が選定され、地域的なバランスも配慮されて構成銘柄が決まります。このような選定方法を「ベスト・イン・クラス」といいます。
 DJSIに認められるということは、サスティナビリティにおいては、その産業分野のトップランナーであると評価されたということを意味します。また、SAM社は、特にサスティナブルな活動の進んでいる産業分野を「スーパー・セクター」として選出し、その企業を表彰しています。2008年はアディダス社、エールフランス-KLM社、BMW社など19社が選ばれました。


ポジティブ・スクリーニングとネガティブ・スクリーニング

SRIインデックス等の構成銘柄の選定において、特定の産業を社会に悪影響を及ぼすものとして投資先から除外したりする手法を「ネガティブ・スクリーニング」といい、それに対して、企業のCSR活動を評価し、一定の評価を得ている企業を選びだす手法を「ポジティブ・スクリーニング」といいます。前回のコラムで紹介したFTSE4Goodの選定の第一段階のように、「タバコ生産」「核兵器、その部品やプラットフォームを提供」「武器・兵器製造」「原子力発電所を所有または操業」するセクターでの活動が確認された企業を除外するのがネガティブ・スクリーニングであるのに対し、全ての産業分野から要件を満たす企業であれば評価するというDJSIの最初の手法はポジティブ・スクリーニングであるといえます。

 また、FTSE4Goodの選定の第二段階では、環境・社会に関する要件を基準にポジティブ・スクリーニングを実施し、DJSIも顧客ニーズに応じて「タバコ産業」などを排除するネガティブ・スクリーニングを用いたサブ・インデックスを提供しているように、多くのSRIインデックスやファンドは2つの手法を組み合わせて銘柄を構成しています。社会的投資にふさわしい企業の選定にあたっては、2つの性格の異なる手法があるということを知っておくと、それぞれのインデックスやファンドの個性を理解するうえでポイントとなります。

【概要】

(シリーズの)名称 Dow Jones Sustainability Index
設定機関(所在地) ダウ・ジョーンズ社(アメリカ)とSAM社(スイス)とストックス社(スイス)の共同事業
設定機関の URL  http://www.sustainability-index.com/
開始年月 1999年9月
構成銘柄 2008年9月現在、320社。企業名はWeb で公開。




「市民のためのSRI」第三回
SRIインデックス(その1)

Posted by CANPAN運営事務局 at 13:42 | CSRな事例 | この記事のURL

一覧(傾向と対策)[2008年09月10日(水)]
CSR TODAY (傾向と対策)


 CSR企業データベースの分析レポート

 東証一部上場企業500社をはじめとした、企業のCSR情報の情報開示の度合いが閲覧できる、一覧性の高いデータベースです。

  2007年版CSR報告書情報開示調査の傾向
  2006年版CSR報告書情報開示度調査
      ・分析レポート1〜報告書の名称と担当部署の傾向について〜
      ・分析レポート2〜基本属性及び業種別の傾向について〜
      ・分析レポート3〜CSR報告書に見られる地域格差について〜
      ・分析レポート4〜CSR報告書にみる災害時の企業の地域貢献活動について〜
  2006年版CSR報告書にみる情報開示度の傾向(速報)


 CSRコミュニケーションの今を伝える

 社会と企業のコミュニケーションを進める上でのホットトピックをお伝えします。

  対話は、踏み込んで続けてこそ
  独立行政機関は、まずマネジメントの確立から
  サプライチェーンにも「人権への取り組み」を求める
  ネガティブな情報を、どれだけ率直に示せるか?
  エコ安全ドライブでコストも削減!
  販売会社が本業で取り組む「環境貢献事業」
  報告書のユニバーサル・デザインも進んできた!
  障碍者の雇用に積極的に取り組む
  今年の報告書は、現場が見える!


 CSRの海外動向 

 グローバル企業の経営戦略としてのCSRを紹介します。

  海外企業の最新動向にみるCSR経営の行方
  従業員を通じて競争力を高める
  韓国企業が魅せるCSR〜社会貢献を中心として〜
  顧客を通じて競争力を高める
  本業を軸にCSRの戦略を考える


 NPO/NGOから見たCSR

 これからはNPO/NGOも企業とともに社会課題を解決していく時代です。NPO/NGOの専門性を活かした取り組み方について、経験ゆたかなNPO/NGOの実践者が語ります。

  コーポレートガバナンスと障害者雇用
  今日の人権・部落問題と企業
  バングラデシュの縫製工場の児童労働問題に学ぶ
  CSRの「総論」をどう伝えるか?〜「社会貢献」から「CSR」へ〜
  外国人の増加と多文化共生の課題 〜愛の反対は無関心〜
  地球温暖化と異常気象 〜私たちの将来〜


 CSRとNPO

  新たな展開をみせるSRI
  企業の社会性を調査・評価する


 NGOとISO26000

 ISO26000 とは、2010年に発行予定の、ISO(国際標準化機構)によるすべての組織の社会責任(SR)の国際ガイドライン「ISO26000」です。規格の策定プロセスに関与するなかで、ISO26000がNGOに与える影響を述べています。

  NGOにとってのISO26000とは?
  ISO26000にNGOが参加することの意義
  ISO26000と参加型プロセス

Posted by CANPAN運営事務局 at 18:37 | 一覧 | この記事のURL

一覧(CSRな事例)[2008年09月10日(水)]
こんなCSRの事例、ご存じですか?


 CSRでまちを元気にする中小企業

 第1回 CSRプラス大賞にノミネートされた中小企業です。

  株式会社コミュニティタクシー
    移送・生活サポーターとして<地域生活支援企業>を目指す
  株式会社富士メガネ
    世界一のめがね屋さんのCSR
  奈良中央信用金
    地域貢献の理念がCSRにつながる
  道栄紙業株式会社
    古紙再生の先駆者が目指す森林資源保護への取り組み
  岡村印刷工業
    自然と共生する、グッドパートナー
  株式会社リバイブ
    地域から地球へ地球クリーニング〜地域ともに真の循環型社会を目指す
  株式会社アレフ
    食の安全のための農業改革
  市民生活協同組合ならコープ
    85%を超える買い物袋持参率
  株式会社タカミヤ
    1.5坪からはじまったCSR
  イートス株式会社
    社会貢献なしでは企業は認めてもらえない
  株式会社プラスヴォイス
    聴覚障害者の困ったをIT技術を使って解決 買い手良しのCSR
  株式会社サンキュードラッグ
    11坪からはじまったCSR
  奥田建設株式会社
    本来事業を柱に地元のNPOや企業と取り組むCSR
  コマスマーケティング株式会社
    社会貢献と収益の両立させた事業をカタチに 目標は「継続」
  株式会社尾鍋組
    強い信念が不可能を可能に!地域とともに環境と経済の両立を目指す
  株式会社サカタ製作所
    地域復興に懸命に向き合う〜地域・人・コミュニティーがあるからこそ企業は存在する〜
  富士ゼロックス新潟株式会社
    社内から社会貢献活動への理解者を増やすこと、それが10年経ったときに
    自分たちの地域よりよくするための種撒きだと思うのです



 CSR学生探検隊

 学生による企業訪問レポートです。

  企業と市民コミュニケーション活動はどうなっている?
         〜デンソー・ステークホルダーダイアログに参加して〜
  CSR報告書ができるまで〜制作会社訪問レポート〜
  自動車業界を取材しました〜トヨタ自動車・日産自動車編〜


 あなたの周りのCSRな逸品

  森も牛もハッピーに  人間と自然の共生から生まれた「森林ノ牛乳」
  サクマのドロップス+東京ガスのコラボで「防災ドロップス」誕生
  むそうが誇る「黒豚うんぷう麺」
  児童労働をなくす「SFIDA」の挑戦〜フットサルボールを作る人・売る人・買う人を笑顔に〜
  リボンマグネットが開く「参加型」社会貢献 株式会社M'sDS
  人と地球にやさしいTシャツを


 SRの考え方で地域社会をデザイン

  かわさきコンパクト
  横浜型地域貢献企業認定制度
  中間支援組織と地域SR せんだい・みやぎNPOセンター
  なぜ「地域でSR」なのか?〜外国人の児童労働から考える〜


 市民のためのSRI

  SRIインデックス(その2) Dow Jones Sustainability Index
  SRIインデックス(その1) FTSE4
  SRIとは?〜投資の力でSR(社会責任)を推進する〜
  企業の社会性を調査・評価する


 中小企業とサプライチェーンマネージメント

 中小企業の視点からCSR推進のヒントを探ります。

  CSR調達の現状とこれから
  CSR調達の現状とこれから〜アルプス電気株式会社の取り組み〜
  中小企業の調達とCSRの取り組み〜坂口電熱株式会社〜
  中小企業の調達とCSRの取り組み〜神戸電子パーツ株式会社〜
  中小企業の調達とCSRの取り組み〜株式会社八幡ねじ〜
  自治体の取り組み「自治体の総合評価入札制度の採用により地域企業も変化」
  「CSR調達」の基礎
  「調達」で注目される中小企業のCSR

Posted by CANPAN運営事務局 at 18:37 | 一覧 | この記事のURL

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