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2010年版CSR報告書情報開示調査の傾向について(前編)[2011年04月27日(水)]
2011年4月 CANPAN CSRプラス運営事務局 1.調査の対象 東京証券取引所第1部上場企業を対象に「2010年版CSR報告書」を請求し、12月末までに入手した581冊の報告書を対象に、情報開示度を調査した。調査対象となった業種別の報告書の入手状況は表1の通りである。 「2010年版CSR報告書」とは、2009年度の自社のCSR情報を掲載したもので、紙媒体で発行されている報告書と、ウエブサイトにPDF形式で提供されているデータを対象とした。また、ウエブサイトへの掲載がHTML形式であっても報告書に準じる内容が掲載されており、なおかつそれを調査対象として希望する場合は、出力の上事務局へ送付することを企業に依頼した。この調査は「2005年度版CSR報告書調査」を対象とする調査より開始し、今回で6回目となる。 [表1 業種別調査サンプル(報告書)入手状況] ![]() 2.調査の方法 CSRに関連した基本的な48項目(表2)について、入手したCSR報告書における情報掲載の有無を調査した。掲載されている情報の内容を評価するのではなく、情報そのものが掲載されていることが確認できれば「1」、確認できない場合を「0」として情報開示度を点数化している。 情報開示はあらゆるステークホルダーに理解しやすいものであることが望ましいとの観点から、CSRに関心を持つ大学生・大学院生25名と日本財団インターン14名からなる計35名の調査員と、調査員を支援し調査をサポートする8名の調査コーディネーターの協力を得て、マニュアルを元に報告書調査を実施した。 [表2 CSR報告書への掲載の有無を調査した48項目(2010年度改訂版)] ![]() 3.調査項目の改訂 本調査を開始した2006年当時に比べて、CSRの考え方はこの5年で広く浸透し、CSRコミュニケーションのあり方も進化してきた。それに伴い、企業に求められる取り組みの内容や情報開示のレベルも変化してきているが、本調査は経年変化を重視することから、大幅な項目改訂は行わず、調査項目の判断基準を変更して対応している。 今回の調査で改訂した項目は、表2で【厳格化】または【項目名変更】と記している。 4.報告書名称について 表3は報告書の名称についての年次推移である。「環境報告書」が13.94%と大幅に減少していることが分かる。一方で増加しているのが、「CSR報告書」である。調査開始以降、年々増加を示し2010年度は48.19%となった。 また、2010年度の報告書名称で「サステナビリティ報告書」は18件、「企業名を冠した報告書、アニュアルレポート・コーポレートレポート」は39件であった(2009年度はそれぞれ17件、36件。表3では「その他」に含まれている)。世界的には年次報告とCSR報告が統合されていく傾向にあるが、今回の調査対象企業においてはまだその傾向は見られない。 [表3 報告書名称の年次推移] ![]()
2010年版CSR報告書情報開示調査の傾向について(後編)[2011年04月27日(水)]
5.調査結果 ※以下の分析においては、調査実施企業581 社を対象としている。CANPAN CSR プラスデータベ ース「CSR 企業情報」に掲載されている値と異なることにご留意いただきたい。 (1) 総合点数・大項目の推移 全企業の総合点数の平均は17.82ポイントと、09年度調査より0.92ポイントの上昇がみられる。 また、大項目については、「世間良し」7.49ポイント、「売り手良し」3.89ポイント、「買い手良し」6.45ポイントとなった。それぞれにおいて点数の上昇がみられるが、依然「売り手良し」の立ち遅れが目立つことは変わらない。 [表4 総合点・大項目 全体平均年次推移] ![]() 図1 総合点・大項目 全体平均年次推移(2008〜2010年) ![]() (2)中項目の年次推移 中項目の全社平均点と年次推移は表5の通りである。 情報開示度が最も高い項目は「1-4 環境負荷情報の開示(2.93ポイント)」、次いで「3-3 コンプライアンス(2.28)」、「3-1安全の情報公開(2.02)」と続いている。一方、情報開示度が低い項目は、「売り手良し」の項目が中心で、「2-3 強制労働の防止(0.33)」、「2-1 人権問題(0.84)」、続いて「3-4 個人情報に関する取組み(1.05)」となっている。上位3項目、下位3項目ともに09年度と同じである。点数変動を見ると、「1-2 持続可能な開発に向けた取組み」の伸びが大きい。 [表5 中項目 全体平均年次推移] ![]() 図2 中項目 全体平均年次推移(2009〜2010年) ![]() (3)分野別業種別情報開示状況 表6は分野別・業種別の情報開示度をまとめたものである。 サンプル数が5件以上の業種に限ると、総合計点数平均が高い業種は「電気・ガス業(25.80)」、「ゴム製品(23.40)」、「その他製品(22.20)」である。同じくサンプル数5件以上で総合計点数平均が低い業種は、「その他金融業(14.00)」、「小売業(13.62)」、「サービス業(10.67)」である。 [表6 分野別・業種別 情報開示情報] ![]() (4)小項目別掲載企業数、情報開示率 小項目別の掲載企業数および開示率(掲載率)をまとめたのが、表7である。 開示率の上昇が大きいのは、「1-2-04.生物多様性への配慮(前年比+19.44%)」、「3-3-04.全従業員へのコンプライアンス研修の実施(+13.43%)」「2-3-02.過剰労働防止のための取り組み(+11.39%)」である。 下降率に関しては、「3-1-01.第三者機関によるラベリングの導入(−16.13%)」「1-3-03.代替エネルギーの利用促進(−9.15%)」が目立つが、これは評価基準を厳格化したためである。「3-1-01.第三者機関によるラベリングの導入」においては「くるみんマーク」、「1-3-03.代替エネルギーの利用促進」においては「モーダルシフト」をそれぞれ評価対象から外している。 [表7 小項目別掲載企業数・開示率 年次推移] ![]() 6.調査を振り返って (1)全体的傾向 「4.報告書名称について」で示したように、2010年度も「環境報告書」発行数の減少が見られた。「CSR報告書」の名称でESG(環境・社会・ガバナンス)情報を開示する企業のすそ野が広がっており、環境集中型の情報開示からの脱却が一層顕著になっている。 この傾向は各調査項目を見ても明らかで、特に「世間良し」に注目したい。「世間良し」の中項目では「1-4 環境負荷情報の開示」が高止まりを示す一方で、「1-1 社会貢献に関する取り組み」「1-2 持続可能な開発へ向けた取組み」が上昇していることが分かる。「1-4 環境負荷情報」は既に多くの企業が情報開示しており、その分、地域での社会貢献や国際的課題への取組みの伸びが目立っていると言えよう。なお、「1-3 環境・社会的な課題に対する体制と普及」に関しては漸減が見られるが、小項目「1-3-03 代替エネルギーの利用促進」の厳格化に伴うものであり、その他の小項目については上昇傾向である。 「売り手良し」、「買い手良し」においても情報開示の進展がみられる。しかしながら、表4、図1からもわかる通り「売り手良し」の開示はいまだ立ち遅れており、情報開示に偏りがあると言わざるを得ない。 (2)特徴的な項目 グローバル課題への関心、今年も上昇。特に、生物多様性ガイドラインの策定が急増している。 情報開示度が最も上昇した小項目は「1-2-04.生物多様性への配慮」であった。生物多様性基本法の成立や「日本経団連生物多様性宣言」の公表などが影響していると思われる。なかでも記述が増えているのが、独自の生物多様性ガイドラインの策定、もしくは前述の日本経団連の宣言への賛同で、これらの記述は259件中74件にのぼる。一方、環境アセスメントやモニタリングの記載は13件にとどまっており、ガイドライン策定を受けた今後の企業行動に注目したい。 また、「1-2-03 児童労働・強制労働」、「1-2-02 国際的な社会課題への関心」についても昨年に引き続き数値が上昇しており、国際課題への関心の高まりがうかがえる。特に、総合点の高い企業にこの傾向が見られる。 社会貢献への関心も増加。「1-1-01 寄付に関する情報」は8割の企業が言及。 「1-1-01 寄付に関する情報」の伸びにも注目したい。8割の企業で開示されており開示率は全項目中3番目に高い数値、前年に比べると7.41%増加している。同様に「1-1-02 社員のボランティア活動(前年比+2.07%)」「1-1-3 NPO・NGOとの協働(+4.34%)」、「1-1-04 災害時における地域貢献(+2.35%)」についても程度の差はあるがいずれも増加しており、社会貢献についての関心が高まっている。 なお、「1-1-01 寄付に関する情報」は、2006年度第1回調査における開示率は57.22%に過ぎなかった。2010年度開示順位1位の「1-4-01 CO2排出量」、2位「1-2-01 ISO14001の認証取得」、4位「1-4-04 ゼロエミッションに関する取組み」が、いずれも調査開始当初から80%程度の開示率を保っていることと比較すると、寄付に関しての情報開示が進んだことが見てとれよう。 「2-2-03 ワークライフバランスへの支援」は今年も上昇。情報開示は子育て支援中心。 次に注目したいのが、ワークライフバランス関連の項目である。「2-2-03 ワークライフバランスへの支援」の開示率は66.61%(前年比+3.06%)。2009年度に前年比+9.93%という大きな伸びを示したが、2010年度も上昇した。この項目では法律で定められた以上の施策の開示について調査している。育児・介護休職期間の延長や短時間制度といった子育て・介護関連の施策、リフレッシュ休暇などが見られた。 この項目と関係が深い「2-2-02 法定休暇取得状況」は開示率42.69%で全項目中20位であった。育児休暇取得状況は227件、介護休暇の取得状況は102件、有給休暇取得状況は74件で開示されており、子育て支援の情報としての情報開示が目立っている。 2009年度の本レポートでは、「サービス残業等防止の取り組み」が下位にとどまっていることから、ワークライフバランスの取り組みは育児支援や福利厚生などファミリーフレンドリー施策が中心であると指摘した。本年度は「2-3-02 過剰労働防止のための取組み(「サービス残業等防止の取り組み」より項目名変更)」の開示率27.37%(+11.39%)と大きな伸びを示している。ワークライフバランス実現に向け前進しているように見えるが、本調査の対象年度が2009年度であったことを考慮すると、いわゆるリーマンショック後の業務調整によるものであると推測せざるを得ない。 また、研修に関する項目の開示率がいずれにおいても上昇しているのも、本年度の特徴である(「3-3-04 コンプライアンス研修(+13.43%)」、「2-1-04 人権研修(+7.73%)」、「3-4-04 個人情報保護研修(+3.61%)」、「1-3-02 SR研修(3.21%)」)。この背景について断言することはできないが、「2-3-02 過剰労働防止」同様にリーマンショックによる業務調整の影響は否定できず、来年度以降の動向を注視したい。 コーズリレイテッドマーケティング商品・サービスは環境中心。寄付は大規模な団体へ。 2009年度よりCRM(コーズリレイテッドマーケティング)の手法を取り入れた商品・サービスの掲載の有無について調査している(加点対象外)。昨年は48件の掲載があったが、2010年度49件とほぼ横ばいであった。内容については、環境に関する取り組みが大半で、そのほか途上国の貧困支援になる取組みやピンクリボン運動への賛同が見られた。寄付先は大規模団体が中心だが、支店が開発したCRM商品の寄付先を地域のまちづくりNPOとしている企業もあった。 ISO26000への言及は急増。ただし、活用はこれから。 昨年度よりCRMと同様に、ISO26000への言及を調査している。2009年度は557件中9件であったが、2010年度は581件中30件に増加。内容を見ると、社長メッセージでの言及や第三者意見における指摘が中心で、具体的な活用は少数である。活用事例としては、ISO26000に沿った報告書構成や、CSRガイドラインへの反映、SR研修への組み込みのほか、自社の課題抽出および検証に使用している例が見られた。 「CANPAN CSRプラス」2次利用にあたっての注意事項 「CANPAN CSRプラス」で公開されているデータを使って、加工や分析を行い、その結果をウェブ上で公開されたり、教材や資料として第3者へ配布される場合には「CANPAN CSRプラス」のクレジットを必ず明記してください。 【問い合わせ窓口】 日本財団CANPAN運営事務局メール:contact@canpan.info 電 話:03-6229-5551(9-17時まで 土日祝祭日を除く)
企業CSR責任者インタビューシリーズ トヨタ自動車株式会社 大野さん 加藤さんに聞く[2011年02月02日(水)]
■女性管理職も増やしたい
先ほど大野が申したCSR指標も、この枠組みを使って、会社方針とリンクさせ、個人レベルまで落としてやってみたいということです。 社外から観ても方針がわかりやすいということは必要ですし、結果、社員にとっても方針を理解しやすいということになると思います。 (森) 指標づくりというのは、いつから取り組まれるのでしょうか。 (大野) 昨年より進めておりますので、来年度に打ち出したいと思っています。 (加藤) CSRの指標が100個も項目があると、びっくりするような目標は、なかなか作れません。地に足がついたような物事の進め方をするので、到達できる目標も一つずつの積み重ねで、そこまでしかいきません。もう少し世界を広めて、ここに行きたいというところまで示したいと考えています。 (森) その100個の項目はISO26000ともリンクしていますか。 (大野) これからISO26000とのリンクも考えていきたいと思っています。 トヨタの環境活動の方向性とあるべき姿を取りまとめた「トヨタ環境取組プラン」というものがあるのですが、言わばそのCSR版ですね。 (加藤) 環境に関しては、現在第5次取組プランがあり、今までも繰り返しやってきました。環境は主に数値目標で、レギュレーションもありますし、さらに進んだ世界までやっております。 (森) 環境の取り組みは数値目標で取り組みを進めていきやすいですが、CSRの数値目標というのは結構大変ですよね。どのようにされていくのか、何か一つ具体的に教えていただけますか。 (大野) 例えば、会社における女性管理職の割合を増やす目標設定です。女性管理職の比率がまだまだ低いけれども、10年後にはこの数字を目指します、ということです。分かりやすい目標を設定し、トヨタはこういう姿を目指しますということを示して行けたらと思います。 (加藤) 全部数字でなければいけないということではありませんが、「こうなっていきたい」という目標設定の仕方もあると思います。たとえば、会社方針も目標があって、それに対するプロセスがある。目標だけなら誰でも置けるけれども、目標に対してどう到達するかという線がなければ次へはいけない。だから線の書き方だけ定めるような目標もあって良いと思っています。 (大野) 定量的な目標に定めたほうがはっきりしていて分かりやすいのですが、内容によってはなかなか難しいですからね。 (森) ちなみに、女性管理職の割合は今どれくらいですか。 (加藤) いわゆる管理職と呼ばれるひとたちの割合は5%未満です。弊社は七万人いますが、大きい割合を占める社員は工場で働いています。生産ラインをご覧いただくとわかると思いますが、重いものを持ち上げてやっている、工場は、もともと男性の職場です。昔は、一日にいくつものタイヤを運んだり、女性には大変でした。 しかし最近では、機械が自動で重いものを目の前に持ってきてくれるように工夫したり、深夜勤務をなくしたりと、女性でも働ける環境になってきています。工場で働く女性や女性の技術者も徐々に増えてきています。ですから割合も徐々に増えてくるのではないでしょうか。 ■CSR室の人員を3名増員へ また結婚に伴い、女性が早く退職してしまうことも今までの問題でした。特に豊田地区は働かれても、早い段階で結婚される方が多く、そのまま家庭に入られる方が昔は多かったのです。今はそういう方たちの職場復帰を支援するような制度をとっています。女性の割合も5─10年後には、だいぶ変わっていくと思います。 (大野) 現状、他社と比べれば、見劣りする実績だと思いますが、これからだと思います。 (布井) 今後CSRで新しくやっていきたいことは何でしょうか。 (大野) 先ほど申しました、新たなCSRの重点目標の打ち出しは一番やっていきたいことです。それから、CSR室の人数が来年3名増えますので、従来やりたくてもできなかった社内従業員向けのCSR浸透活動なども、もっとやっていきたいと考えています。 (加藤) パンフレットなど、ツールを用意して配るという形だけだと、社員が読むか、覚えるか、というところが疑問に残ります。お互いに理解しているかどうかを確認するような双方向のものが望ましいです。eラーニングなどもやってみたいですね。 (森) 今日のお話の中で興味深かったのは、CSR目標の数値化ですね。日本の会社で、CSR目標の数値化をされている会社は、まだ少ないのではないでしょうか。 (加藤) 重点目標の打ち出しは、他社も結構やられていますが、数値化の部分についてはされているところは少ないかもしれないですね。 最終的には、社員がどうしたいか、どうしようと思えるかが大事だと思います。それをどうやって伝えていくかをしっかりとやっていきたいです。 冒頭にもありましたが、弊社のCSRは広報部寄りではありません。会社によっては広報部の中にCSR部がありますが、弊社ではCSRは本業を通じ、取り組むことだろうという考え方でやっています。 たまたま私たちは環境の分野が先行していましたから、CSR・環境部という形でスタートしましたが、今は総合企画部の中のCSR室となりましたので、本業を通じてCSRに取り組むに は、一番座りの良いところになったと思っています。 (森) つまり経営の中心にあるということですね。トヨタさんがこれからCSRを中心に据えたいという意思の表れといると思います。 一同 有難うございました。 原稿作成:日本財団CANPANチームインターン生 企画編集:株式会社オルタナ トヨタ自動車 CSRへの取り組みウェブサイト http://www.toyota.co.jp/jp/index_responsibility.html
企業CSR責任者インタビューシリーズ トヨタ自動車株式会社 大野さん 加藤さんに聞く [2011年02月02日(水)]
企業CSR責任者インタビューシリーズ
トヨタ自動車株式会社 室長大満野さん 加藤理さんに聞く CSRの達成度を「数値目標」に 学生の視点から各企業のCSR責任者に「CSRの戦略と方針」を聞くインタビュー・シリーズ、第3回はトヨタ自動車の大野満さんと加藤理さん。会社方針にCSR目標を組み入れ、社外だけでなく、社員の普段の業務にもCSRの意識を高める工夫を企画されています。 (布井佑佳(早稲田大学国際教養学部三年)) まず、CSRをどのように定義しているか教えて頂けますか。 (トヨタ自動車株式会社・大野満) CSRの捉え方は会社によって、広報をメインにしていたり、環境への取り組みや社会貢献活動をメインにしているなど、違いがあります。私どもの会社には環境部や社会貢献部が別にありますので、これらに関する実際の活動はCSR室では行いません。 CSR室は豊田市の本社にあり、現在5名だけで運営していますが、来年から8名に増やす予定です。グローバルなリスクマネジメント機能に加え、広報をメインに活動しています。 トヨタが考えるCSRとは、自動車及び住宅の本業を通じて取り組むことです。プリウスをはじめとする環境に優しい車を、手に届く価格で提供することも社会貢献の一つだと考えます。 また、本業の延長線上で新規事業を展開し、さらに事業として関わりのないところでは社会貢献という形で取り組んでいます。社会貢献分野については、なるべくなら、本業・新規事業と関わりのあることをしたいと思っていますが、社会の要請に応じて広げていきたいと考えます。 (坂本菜穂子(日本大学文理学部三年)) 環境・CSR活動における社外への広報活動は、どのようにされているのでしょうか。 (大野) トヨタは自動車メーカーですから、次世代の環境対応車に力を入れています。弊社は、ハイブリット車ではすでにある程度の地位は築けたと思っています。またEV、プラグインハイブリット、燃料電池車と、次世代の環境自動車でもフルラインナップが揃っています。 先日、トヨタの環境に対する取り組みを紹介するバーチャルイベントと連動して、環境技術取材会を行いまして、私どもの考え方をメディアに説明し、ご理解いただいたと思います。 トヨタ自動車株式会社・加藤理 環境に対する取り組みは、トヨタのビジネスそのものでもあるので、こういった形での活動が多いですが、特に一般の方に対しての広報活動といえば、トヨタのグローバルウェブサイトの立ち上げですね。 ■コーポレートサイトを多言語化 今までも日本語のコーポレートサイトではトヨタの活動が分かりやすいのですが、英語のサイトは分かりにくかったため、そこを見直しました。 オルタナ編集長・森 それは、今後環境・CSRのコンテンツを増やしていくということですか。 (加藤) はい、そこの部分も含め、見直しています。ただ、まだ完全なものではありませんので、2011年も第二、第三と手を加えていくつもりです。 (森) 想定されている対象というのは、ファンドを含めた投資家や世界各地域でトヨタのことを知りたいという方たち、研究機関、もちろん顧客もということですね。 (加藤) そうですね。まだ現状では不十分ですが、少なくとも英語を主言語にする方たちが見て、その方たちが知りたいことと、トヨタが伝えたいことの垣根を少しずつ埋めていきたいと考えています。 (森) 例えば、中国語のコーポレートサイトも今後必要になってきますよね。 (加藤) 仰るとおりです。コーポレイトとして、グローバルでどうなっているかの部分はまだ弱いですから、まずは英語ですが、今後しっかりとやっていきたいと思います。 報告書に関して言えば、現在、15の海外事業体でも作成しています。CSR、サステナビリティについては、各国によってニーズが違うので、本社のレポートだけではとても語れません。皆さんのニーズに対してどういったコミュニケーションをしているかを、それぞれの地域にそれぞれの言語で、現地が主体となってお伝えしています。 (森) これは、トヨタと各国の地域コミュニティとの距離を縮めたいという、良い取り組みですね。 (布井) 次に、CSR室の中で新しい取り組みをする時に、会社の経営に提言することはありますか。 (大野) トヨタは2007年に、CSR委員会を設置しました。それは2004年ごろに、当時の会長だった奥田碩が「CSRの観点を会社方針に入れていくべき」と考え、議論が始まったのがきっかけです。 委員長は社長で、代表権のある副社長以上で構成されています。委員会は通常、年三回定期的に審議を行い、この下に社会貢献活動分科会、企業行動倫理分科会、CSR企画分科会、リスクマネジメント委員会があり、総合企画部CSR室が全体の事務局になっています。ですので、新たな取り組みをする時は分科会を通じて委員会に提言することは可能です。 ■各国との情報共有を深める (坂本) 2009年の品質不具合問題は、CSR活動をする上で影響がありましたか。 (大野) CSR的には目立った影響はありませんでした。SRI(外部評価機関)からの評価もその部分だけでは下がっていません。どちらかというと、リーマンショック以降の大赤字の方が、影響はありました。CSR室の業務でいうと、グローバルのリスクマネジメント業務が増えたという影響でしょうか。 自動車メーカーなので、ある程度の確率で不具合は起きると想定しているのですが、もし不具合が起こった場合でも、リコール制度に基づき迅速に、丁寧に対応します。それはどこの国でも一緒です。ただ今回は、不具合に対する米国側の認識と日本側の認識に温度差がありました。今回の問題をきっかけに、品質保証部門では、日本と各国で情報共有を深め、温度差をなくし、きちんと対応できる仕組みを作ろうとしています。 (森) トヨタ社員の心構えである「現地現物主義」についてお教え頂けますでしょうか。 (大野) 「〜らしい」「〜と聞いています」などの報告では駄目なのです。自分の目で見て確かめて報告するという姿勢を忘れるなということです。もちろん「ただ行けば良い」もダメです。 これは先ほどの品質問題の温度差にも通じると思います。海外とのやり取りもTV会議などITを多く取り入れていますが、色々な効率化を進めるた結果、コミュニケーションが不足してしまうことがあると感じています。 (坂本) 従業員にとってCSR活動がモチベーションアップにつながっているのでしょうか。 (大野) これは私共CSR室が発掘した話ではないのですが、雑誌「月刊自家用車」で、ウェルキャブという身体障がい者向け自動車の企画をした社員の話が掲載されました。 CSRの取り組みは社外に対してこのような情報を発信する役割も多いですが、同時に社員が社会貢献をしているこういった記事を読むことで、社員のモチベーションも上がるという効果も多いと思います。 (日本財団CANPAN企画推進チーム木田悟史) 世の中から自動車事故を無くしたいという思いで入社された社員の方もいらっしゃるようですね。 (大野) みんながそのような志を持っているとは言えませんが、そういう意志を持った社員も多くいると思います。 (加藤) 先ほどのウェルキャブは去年、社内表彰制度で受賞しました。社員たちはわざわざCSRとは言わないけれども、仕事を通じ会社や社会に貢献した人を褒めながら、その情報を共有しています。二年に一回の社内満足度調査も徐々に上がっています。 (大野) 従業員が色々な部署、それぞれの立場で何らかの形で世の中の役に立ち、関わりを持っていることで、その取り組みが実はみんなCSRに取り組んでいるということを伝えていきたいです。 今年で4年になりますが、弊社はCSR指標を100項目以上定め、各部署の方針の中に織り込んで取り組んでいます。これはあくまでも社内の取り組みです。しかしトヨタは250以上も部署があるため、どうしても人事や経理、生産など一部の人だけの取り組みになりがちです。 だから、多くの従業員を巻き込むために、指標を大事な10項目ぐらいに絞り、10年先にトヨタはCSRでどのような会社になりたいかということを、社外に向けて宣言することもCSRレポートの中でやりたいと考えています。 また、各従業員においても従業員のCSR宣言ということも、一緒にできればと思っています。 (森) やっぱりCSRを「自分ごと」として捉える、決して他人事ではないのだという認識が大事ですね。 (加藤) どうしても言葉がカタカナで入ってきたために、自分が何をやればいいのかというところへ落としにくいわけです。実際には全部分解して、「あなたのやっていることの中で何が重要ですか。その重要なことは、考え方としてはCSRの考え方ですよね」というようなことを一歩ずつ分かってもらわないと進みません。 他社でも同じかもしれませんが、会社方針というものは、グローバル方針のように大きいものから始まり、各部署や、各室、各グループの構成員レベルのものもあります。各従業員らが今年何をやるかを、一枚の紙に宣言し、そして彼らのグループでもやるべきことをリンクさせます。 そこで、では何をすべきか、というように流れていきます。会社の方針が最後には一人一人にまでおりていき、リンクしています。 (続きを読む)
企業CSR責任者インタビューシリーズ 株式会社損害保険ジャパン 関正雄さん(その2)[2011年02月02日(水)]
企業CSR責任者インタビューシリーズ
株式会社損害保険ジャパン 関正雄さん(その2) ■国際協力銀行とタイアップ (日本財団CANPAN企画推進チーム・木田悟史) ちなみにインドやタイへのアプローチはトップダウンで始まった戦略なのでしょうか。 (関) タイは本社主導で、インドは現地法人主導、そういう意味ではボトムアップでした。タイのプロジェクトでは、国際協力銀行とのタイアップができたのがポイントです。私たちは、気候変動への適応や途上国における保険ニーズに対して役割を果たさなくてはいけないという問題意識を持っていました。 国際協力銀行も同様の問題意識を持っていたため、共同で研究会を組成し、パイロットプロジェクトとして、天候インデックス保険を開発しました。これはまさに本社指導のトップダウンの案件です。 一方で、インドでは、タイでのプロジェクトに携わっていた駐在員がインドに渡り、その経験を活かしました。そういう意味では、ボトムアップと言えます。タイとインドは繋がっていると言えるかもしれません。 斎藤 持続可能性を考えると、新興国でも利益や成果が上がっているのが望ましいと考えられるのですが、現状はどのようになっているのでしょうか。 (関) マイクロインシュアランスというのは、文字どおり小口の保険です。日本での保険料より一桁、または二桁も安い。 このプロジェクトだけで大きな利益を上げていくのではなく、長い目でみて、新興国市場で信頼を勝ち得ることによって、海外オペレーション全体で利益を上げていかなくてはならないと考えています。 ただもちろん採算面でも色々と工夫はしています。農民の皆さんの負担可能な保険料を算出して、その範囲内に抑えるようにしました。たとえば、販売コストや損害調査費をいかに抑えるか。事故が起こったときの実損調査の要らないデリバティブ商品にしたのもそのためです。私たちが赤字を累積していくのは望ましくないので、バランスが取れるように努力しています。 (斎藤) 社会貢献的な意味合いが強いのでしょうか。 (関) 社会貢献ではなくビジネスです。我々としては新たなマーケットを開拓したり保険に対するニーズを体得する良いきっかけになる。大きく言えばタイという国で、保険をもっと幅広くローカルに販売していく重要な一歩になっていると考えています。 (斎藤) 日本では高齢者が増加して、運転操作を誤った事故などが発生してくると考えられますが、高齢社会のそのようなリスクに保険会社としてどのように対応していくか意見を聞かせてください。 (関) 自動車保険に関して言えば、今でも保険料は年齢によって階段がついています。そこで、たとえば高齢者グループのリスクが高いとなればストレートに保険料率に反映していくことが考えられます。ただこれをあまり突き詰めてしまうと、「共助」という保険そのものの考え方を自己否定してしまう。 たとえば米国では若い人がスピードを出すし、運転も未熟だから事故も多い。ものすごく高い保険料になっています。このため、若い人が保険料が払えないので車を買えないということが現実に起きています。 保険というのは相互扶助という公助の思想で、「一人は万人のために万人は一人のために」みんなで助け合うものです。だから若者が危険な運転しているから高い保険料で、私たちは安全運転しているから安い保険料でとやってしまったらどうなるか。 現実にアメリカで起こっていることなのですが、若者はとりあえず保険に入りますが、中には車を買ってしばらくしたら保険を解約してしまう場合があるのです。そうすると、その若者の運転する車にひかれたら、被害者が十分な補償が受けられなくなってしまう。そういうことまで考えて社会全体でリスクにどう対処するか、考える必要があります。 また、高齢化社会に対しては、前から高齢社会対応の様々なサービスを損保ジャパンは提供しています。高齢化とはその人にとってリスクです。そのリスクを漠然とは感じているが、わが事としては考えていないのです。 健康をいかに長く維持するか、これは本人にとっても、社会にとっても重要です。つまり損保ジャパンでは生活習慣病を予防していくヘルスケアの分野が社会的にも大変重要だと考えています。そこで、気づいていないリスクに対して気づいて頂いて、そのリスクに対して適切な措置を早めにしておく、そのためのヘルスケアサービスを提供しています。 ■「エンゲージメント」を大事に (斎藤) 最後に損保ジャパンの今後のCSRについて、展望をお教え頂けますか。 (関) これから大事なのは「エンゲージメント」という言葉です。 もはや持続可能な発展を本当に実現しないと、もたない世界になってきています。WBCSD(持続可能な発展の世界経済人会議)では2050年の社会のビジョンをみんなで議論しています。大体、2050年には途上国人口が80%で全人口は90億人。貧困層が今の割合で増えていっては大変なことになります。そこで生活水準を上げていくと同時に、一方で地球の資源の限界の中でみんなが暮らしていかなければいけない。 この問題をWBCSDで議論をし、提言を行っていますが、企業は大きな力をもっており解決策を提案できると考えられます。しかし議論すればするほど企業だけでは駄目で、政府の適切な政策や消費者のライフスタイル変革なども伴わなければいけません。やることは山ほどあります。 たとえば都市への人口集中も大きな問題で、90億の内60億人は都市に住むと考えられます。都市のインフラつまり低炭素型の都市をどうやって作るかも非常に大きな問題です。都市計画一つにとっても、いろんな専門家や企業が計画段階から解決に加わっていかなければならないと思います。 今後のCSRは先を見据えたうえで解決案を考え、色々なセクターを巻き込んでいくこと(=エンゲージメント)が非常に大事になってくると思います。お互いがお互いを巻き込んでいき、力を組み合わせていくことをエンゲージメントだと考えています。 (森) 今の日本にはそういう組織はありませんが、これから生まれるべきものだとお考えですか。 (関) WBCSDに日本企業は30社ほど入っています。しかし日本での認知度はまだ低く、一方中国や途上国の企業などがどんどん入ってきています。日本でもWBCSDがやっているような政策議論を進めていくべきです。その枠組みとしてビジョン2050も有用でしょう。WBCSDのような活動を日本でも広めなければいけないですね。 一同 有難うございました。 原稿作成:日本財団CANPANチームインターン生 企画編集:株式会社オルタナ 損保ジャパン CSRへの取り組みウェブサイト http://www.sompo-japan.co.jp/about/csr/index.html
企業CSR責任者インタビューシリーズ 株式会社損害保険ジャパン 関正雄さん(その1)[2011年02月02日(水)]
企業CSR責任者インタビューシリーズ
株式会社損害保険ジャパン 関正雄さん(その1) CSRを本業に組み込むには 学生の視点から各企業のCSR責任者に「CSRの戦略と方針」を聞くインタビュー・シリーズ、第2回は損保ジャパンの関正雄さん。保険会社という本業に、いかにCSRを一体化して取り組んできたのか。今後、日本企業全体が進むべき方向までをも示唆しています。 ![]() (オルタナ編集長・森摂) 最初に、損保ジャパンのCSRに対する考え方について、ご説明いただけますか。 (株式会社損害保険ジャパン・関正雄氏) 1992年に今の私の組織の前身である「地球環境室」を設立しました。これは当時安田火災の社長だった後藤康男がリオデジャネイロ(ブラジル)の地球サミットに参加した後にできました。 当時は、NPO/NGOや政府が中心のサミットであり、企業が参加することはほとんどありませんでした。しかし、当社は気候変動で自然災害が増えると保険金支払額も増えるという傾向を認識していたため、気候問題は経営上とても重要だったのです。そのため後藤が経団連のミッションを率いてサミットに参加しました。 それまでにも環境リスクを研究する部署はあったのですが、後藤はリオから帰ってきて、地球環境問題自体を経営リスクとしてとらえるだけではなく、積極的に解決する側に回るべきであると痛感したのです。 後藤はよく、社員向けの講話で持続可能性「サステナビリティ」について語っていました。「21世紀は市民の時代になる。目覚めた市民の時代になる」と。「スケールの大きいことをいう人だな」と感心をしていました。 そこからトップダウンで組織を作り、翌93年から「市民のための公開講座」を「認識から行動へ」をコンセプトにスタートさせ、「市民のための」にこだわって今でも続けています。 トップダウンでできた組織は、ややもすると社長が変わると終わってしまうことになりかねません。そこで初代の地球環境室長、北村必勝は「全員参加、地道・継続、自主性」の三つのキーワードをモットーにしました。1992年当時、金融機関ではこのような部署がなかった時代にできた組織ですが、現在まで継続し発展を続けているのも、じっくりと社内に根付かせようという当初の推進方針が正しかったからだと思います。 ■ISO14001を積極取得 1996年に環境マネジメントISO14001 の認証の仕組みができ、さっそく翌年に取得しました。取得したのは、電力や紙をたくさん使うコンピューターセンターで、損保ジャパンが国内金融機関初です。そして1999年には本社ビルで取得しました。これは会社の商品・サービス開発業務を担い、全国へ指示する立場の本社が認証取得することで、本業の中に環境という観点を組み込むのが狙いでした。 「エコファンドぶなの森」というSRI商品も同じ年に発売し、環境に関する保険販売やグループの損保ジャパンリスクマネジメント社によるISO14001の認証取得コンサルティングなどが、本社の中の新しい企画として生まれてきました。 CSRとは本業とは別なもの、+αなどと言う向きもありますが、そうではなく、本業の活動の中に環境や社会への配慮を一体化させ組み込む(=インテグレーション)ことを追求していくべきだと思います。 当時の私は、地球環境部とは別の部署にいましたが、保険会社だけど地球環境を何とかしようとする経営者の下で働くことはうれしく、また誇りにも思っていました。 (森) どうして当時の後藤社長は地球環境に関心を抱かれたのですか。 (関) 経営者としての直感があったと思います。当時は今と違ってどこの会社でも保険商品は値段も内容も同じ。商品で差別化することができませんでした。後藤はこんな風な言い方もしていました。「どこで差をつけるのかと考えたときに、世の中を良くしようと思っている魅力のある営業マンから買いたくなるだろう。だからこれは戦略なんだ。」と。 もう一つよく言っていたのは、「徳と力」。企業として、力だけでなく徳もなければダメで、逆も真なり、その両方が必要なのです。地球環境の持続可能性はCSRの本質で最後に行きつくもの、そのことを直感して別の表現で言っていたのだと思います。 (坂本菜穂子(日本大学文理学部三年)) 損保ジャパンでは、CSR活動をどのように位置づけていますか。 (関) CSRというものは特別なものではありません。極論をいうと、CSR推進部署が不要で会社からなくなることが一番だと思っています。社員一人一人が普段の業務で「徳と力」を実践すること。社員の行動や事業活動そのものの中にCSRの考え方や判断基準が入ってくるべきだと思います。 ■全員参加と自主性を大事に (斎藤太一郎(早稲田大学大学院会計研究科修士一年) ) では、損保ジャパンのCSR戦略はどのようになっていますか。 (関) まず第一に、推進の基本は変わりません。私たちが一貫して言ってきたのは、「全員参加、地道・継続、自主性」。あくまでもこれを実践していくということです。 これは口で言うほど簡単ではありません。社員は毎年どんどん入れ替わりますし、損保ジャパン全体で15,000人いる社員が同じ意識レベルで行動するというのは到達不可能な目標かもしれない。 しかしこれがないとCSRは根付いていかないので、戦略としてはこれを継続して行っていくことです。 もう一つは、CSRレポートの中でも掲げていますが、我々の保険会社としてのコアビジネスの強みを、いかに地球・社会の持続可能な発展という大きな実現目標の中で発揮していくか、です。 なかでも重要なのが、気候変動です。気候変動対策には「緩和」と「適応」の二つがあります。 「緩和」とは、CO2排出を抑制しようとすることです。一方、たとえば日本の国内でも既に農産物の不作、海流の変化による不自然な大漁など様々な現象が生じている。そういった気候変動のもたらすいろいろな影響に対して賢く対処していくことが重要で、これを「適応」といいます。 気候変動によって大きな影響を受けてしまうのは、社会インフラや経済面で脆弱な途上国です。途上国は農林水産業、第一次産業に依存していますが、既に気候変動の影響をだいぶ受けています。大事なのは、そういう問題に我々保険会社の知見やリソースを活用して、サービスをどのように提供していけるか。その一つが、干ばつに備えるタイでの天候インデックス保険、つまり農業に関する天候デリバティブの開発・販売であり、この分野は今後も引き続き取り組んでいかなければいけません。 もうひとつは、「安全・安心のリスクマネジメント」です。様々なリスクに対してソリューションを提供していく。これが我々にとって社会的使命です。気候変動でもそうですが、事が起こってからでは遅い。早いうちに対処すること、また予防的な処置を講じておくことが大事です。 当社では、「環境リスク管理と予防原則」に関する研究会を設置して、研究会の成果を環境財団から出版し、つい先日出版記念のシンポジウムを行いました。たとえば、地球温暖化にも懐疑論があります。CO2が原因だというのが国際的合意になっていますが、科学的に気候変動のメカニズムは100%解明されているわけではなく、一部には、原因が科学的に完全に究明されていないものに対して膨大な資金とエネルギーを投入して対処することは無駄ではないか、という議論があります。 しかし、完全な科学的解明を待って対処したのではもう遅く、取り返しのつかない致命的な影響が出てしまいます。こういう、科学的には不確かであっても予防的な措置を取るべきだ、というのを、「予防的アプローチ」といいます。これは環境の重要な原理原則として、各国の政策にも導入されています。 私たちは、いち早くリスクを発見し、それに対して適切な措置をしておくという保険会社としての観点から、予防原則の考え方を世の中に広めるために、それに関する議論をもっともっと活性化した方がいいと考えています。賢く使えば「予防的アプローチ」はもっと世の中・社会のためになりうると思います。 (斎藤) 先ほど、新興国向けの商品を扱っているという話がありましたが、BOPビジネスというものに対してどのように考えているか教えて頂けますか。 (関) 私たちが行っているのは、タイでの天候インデックス保険と、インドでのマイクロインシュアランスです。いずれも対象は農村地帯の貧困層であり、経済基盤の安定化は大きなテーマです。 インドでは国営銀行とタイアップをして、保険を販売し始めています。彼ら農民の生活改善と安定にとって、保険を含むファイナンス機能はとても大事です。稼ぎ頭の病気や怪我、死亡、あるいは牛などの家畜という大事な資産に保険を掛けておくことが、生活の安定化につながるので、彼らのニーズに合った保険を開発して販売を行っています。 私たちは、アジアの成長市場を大事にしています。保険業界は国内での売り上げは頭打ち、いわゆる成熟市場です。既に人口の減少が始まっていますし、今後市場拡大は難しいでしょう。損保ジャパンはまだ現状では国内主体の会社ですが、既にアジアでの成長を会社の戦略に掲げて力を入れています。 ひと昔まで、駐在員派遣といえばニューヨークとかロンドンが多かったですが、今は中国の駐在員数は、損保ジャパンの各拠点の中でも一番多いです。 (森) 何人くらい駐在されていますか。 (関) 40人くらいいます。アジア市場はご存知の通り、大きくなってきており、そういう国々が抱えている課題に対してソリューションを提供できるかどうかが重要だと考えています。マイクロインシュアランスは、それだけをとらえれば商品開発のコストを考えると収益がどんどん上がっていくものではありませんが、重要な一歩です。 これまで日本の損害保険会社は、海外進出する日系企業の保険ニーズに応えようとしてきました。平たく言うと日本企業の海外進出のお世話をしていたということです。 これからは、発展する各国の保険ニーズにいかに対応していくか。いわゆる現地に根付いた営業活動をしていかないと我々の発展もありません。その観点からもマイクロインシュアランスというのは重要なアプローチだと考えています。 (続きを読む)
企業CSR責任者インタビューシリーズ ソニー株式会社 冨田秀実さん(その2)[2010年11月17日(水)]
CSR Frontier 1 企業CSR責任者インタビューシリーズ(その2) CSRをビジネスに連動 佐藤 どれぐらい寄付は集まりましたか。 冨田 日本だけで金額にすると400万円くらい。人数は5000人ぐらいですね。あとは、手を動かすボランティアも当然あって、さらに上の段階では、プロボノ(専門的な知識を生かすボランティア)的にその人の技能を使ったこともやっています。ソニーではサイエンスプログラムといって科学のワークショップの講師をやってもらったり。様々なレベルで参加できるボランティアを用意していて、なるべく高いレベルまでいってもらうようにしています。 須田紫織(聖心女子大学文学部3年) CSRフォーラムはどれくらいの規模ですか。 冨田 3年前ぐらいから20回ほど開催して、少ないときは500人、多いときは1000人以上の社員が参加しています。その場の感動にとどまらせず、例えば障がい者雇用の問題をテーマにした場合であれば、社会福祉施設でクッキーを焼いているようなところがありますから、出店を出してもらって、帰りがけに買ってもらうなど聞くだけでなくすぐにアクションに移せるような工夫をしています。 坂村 CSRに対する取り組みが、本業にどのように活かされているのかを教えて頂けますか。 冨田 我々は今、社会貢献活動とビジネスとの連携を意識してやるようにしています。お金をただ寄付するだけだと、お金だけの価値しかない。でも、技術であったり、ノウハウであったりといった企業の持ち味は、お金以上のものが生まれます。 それが、企業が参画する価値ではないかなと常々思っています。この典型的な例が、ワールドカップですね。ソニーがFIFAのオフィシャルパートナーであることもあって、この機会を使って何か面白いことができないかなと考えていました。 例えば、ガーナとカメルーンは、どちらもワールドカップに出場した国ですが、まだまだテレビの普及率が低く、実際に自分たちの国の選手が出場していても、活躍の姿を見られないという現状がありました。 もう1つが、こういった国というのは、まだ多くの解決しなければならない社会課題を抱えているということです。この2つをうまく抱き合わせてやろうということで、パブリックビューイングを実施しました。 テレビのあまり普及してない所に、大型のスクリーンとプロジェクターを持って行き、サッカーの生中継をしたのですが、こうすることで人が集まります。だいたい1回あたり千何百人が集まったのですが、その時にHIV/エイズの啓発教育や検査を実施しました。 これは、JICAやUNDPと組んで行ったのですが、どちらも普段からHIV/エイズの啓発や検査に人を集めようと思ってもなかなか集まらない。 でもサッカーは、というと、皆サッカーが好きですからサッカーを見に来るのです。これで通常の3倍ほどの人数が集まりました。このように、コンビネーションによって大成功したという例があります。 この例では、ソニーが技術を持っていること、ソニーがFIFAのオフィシャルパートナーであったために映像を使用する権利が得られたということをうまく使い、社会貢献の効果が倍増しました。 くわえて、ガーナやカメルーンはソニーのビジネス拠点のない地域です。その時に、ソニーの社員が実際に行くことで、新しいマーケットを自分たちの肌で感じてくるというのが、ある種の新しいビジネスに結び付いたり、社員のモチベーションに結びつくという側面が出てきます。 社員が参画できるということが、会社としてのCSRの領域を高められる秘訣だと思います。この移動図書館車の例もそうです。ソニーはグローバルで活動しているので、英語圏の国がたくさんあります。そういう所の社員にお願いしていらなくなった英語の本を集めて、南アフリカに送ります。何万冊という単位で毎年集まるんですが、それを各地域から送ってもらって、この移動図書館車に積むという、一種の社員参画を行っています。 創業時から「働きやすさ」を大事に 須田 エレクトロニクス業界全体のCSRの現状と、今後の方向性について教えて頂けますか。 冨田 環境的な側面でいうとエレクトロニクス業界は、CO2の直接排出が非常に少ない業界です。つまり、我々が実際に工場やオフィスで使用する電気とそれに起因するCO2排出量よりも、消費者が製品を使用することによる排出量の方が圧倒的に多いということです。 ソニーの場合、だいたい概算すると、LCA(ライフサイクルアセスメント)で、製品からの排出量が、製造時の排出の約10倍にもなります。しかし、この対策は既にかなり進んでいて、5年ほど前の液晶テレビに比べると、現在の消費電力は半分以下です。 こういった製品に対する取り組みは継続的に行っていく必要があります。もう一つは、サプライチェーンの問題です。サプライチェーンでの人権の問題や労働条件の適正化が課題になっています。 直接取引があるわけではなくても、ソニーのようなエレクトロニクスの末端の企業が問題を起こすこともあります。こうした現状から、サプライチェーンにおける問題が、我々の問題とし て話題になりやすいのです。そういった所にも目配りをして、対応していくことも大切です。 佐藤 働きやすい会社1位に選ばれた理由はどこにあるとお考えですか? 冨田 ソニーの「働きやすさ」は何かというと、長い歴史があります。創業者の井深大と盛田昭夫が先進的な人事制度を実施し、学歴不問制度を導入しました。それから、今は比較的一般的になったと思いますが、フレックスの休暇制度を非常に早い段階から導入していました。 最近では、育児支援制度・研修制度の充実や、ダイバーシティプロジェクトを発足させ、女性の積極的な登用に関して取り組んでいます。くわえて、ソニーのカルチャーは非常に社員の自由度が高く、伝統的に上下関係を気にしない所があり、言いたいことを自由に言える雰囲気があります。そういう所が、こういった結果に結びついてきているのではないでしょうか。 佐藤 就職活動の際にCSRの観点から企業を選ぶ学生が増えていますが、CSR担当部長の立場からそのことについてどうお考えですか。 冨田 健全なことだと思っています。一時、利益至上主義というか、お金だけにとらわれる時代がありました。しかし、働くこととは、給料をもらってお金を儲けるということが唯一の価値ではありません。 最近の学生は、自分が会社で働くことが社会のためになるといった部分を求める傾向があると感じます。そういうマインドセットの学生が会社に入ってくることによって、どんどん会社の方向性も変わっていくはずだと思うので、現在の傾向は非常に大事なことだと思いますね。 佐藤 ソニーのCSRに関する次期戦略について教えてください。 冨田 まずはビジネスとの連携というところを強めていきたいし、社員の参画をより深い形にしていきたいというのが大きくあります。我々がフォーカスしている開発領域や環境では気候変動、生物多様性の問題、国際貢献ではMDGsを核としてやっていこうと思っています。 ソニーはエレクトロニクスもありますし、エンターテイメントや金融系の会社などの様々なビジネスアセットがあるので、それらのいろいろなビジネスアセットが使えると思っています。例えば3Dなど、最先端のものを使うことによって今まで撮られていなかった、より臨場感溢れる映像になるという応用展開は可能です。そのようなことを今後とも模索していきたいです。 もう一つは、ソニーはコンシューマー相手の会社なので、一般のお客様と比較的接点がある会社です。そのような意味では、我々が一種のコミュニケーションメディアとしての役割を果たせると思っています。 例えば、一般の人はガーナやカメルーンといってもどんな国か全く知らなかったり、アフリカのどこにあるのかも知らない人が多いです。このようなプロジェクトによって少しでもアフリカの課題に人々の目を向けてもらえたり、認識するための教育に貢献することができると思っています。 5人のうち3人が女性部長に 須田 社内でのCSRフォーラムに500名─1000名も集められる秘訣は何ですか。 冨田 やはりエンターテイメント性を入れれば人は集まりますが、テーマによっては人が集まりにくいものもありますね。そのときにどのようにプログラムを組んでいくかで全然違ってくると思うので、意識して常に考えてやっています。 佐藤 ソニーとして女性の役員の方はどのくらいいらっしゃいますか。 冨田 現在、取締役も執行役も一人ずついます。 佐藤 今の日本企業の課題として、女性役員の方が少ない現状があると思うのですが、これは今後どのようなタイミングや状況で変わっていくと思われますか。 冨田 ソニーの場合、単に世代交代ではないかと思っています。雇用機会均等法が導入された以降の年代が役員に相応しい年代になれば、自然に出てくるのではないでしょうか。 ソニーでいうと、40歳代の女性部長や部門長クラスという役員の一歩手前ぐらいまで何人もいますので、もう少し経てば自然とだんだんに増えてくるでしょう。 本社関連の業務だと女性の方が優秀だと一般的に評価されていて、本社社員の人数も男女半々ぐらいですね。CSR部も女性の方が多く、また広報センターでは部長5人中3人が女性部長ですね。これから女性役員も自然に増えてくるのではと思います。 坂村:これから私たちが社会に出るにあたって、メッセージをお願いします。 冨田:CSRに関心を持っておられること自体、すごく大事なことです。このような有意義なことをやり、社会との接点を持つことは大切です。大学やサークルの枠組みから出ていくことが最近のトレンドだと思うので、違う大学の人や素晴らしい社会人の方と会える経験はすごく幅が広がってくるのでやるべきですね。 慣れていないと偉い人にすごく近付き難かったりしますが、日頃から目上の人たちに接していると全然苦にならなくなってきたりするので、それを続けていけば、将来、必ず身になると思います。 一同:有難うございました。 ソニー CSR・環境・社会貢献ウェブサイト http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr/?j-short=csr オルタナのウェブサイト http://www.alterna.co.jp/
企業CSR責任者インタビューシリーズ ソニー株式会社 冨田秀実さん(その1)[2010年11月17日(水)]
CSR Frontier 1 企業CSR責任者インタビューシリーズ(その1) ソニー株式会社 冨田秀実さん CSR部統括部長 〜社員の参画がCSRを高める〜 CANPANではオルタナ社と連携し、CSRに高い関心を持つ大学生の協力を得て、各企業のCSR責任者に「CSRの戦略と方針」を聞くインタビュー・シリーズを展開します。第1回目はソニーの冨田秀実さん。常に「ソニーらしさ」が問われる会社ですが、CSRにも「ソニーらしさ」の数々を垣間見ました。 佐藤萌美(法政大学社会学部3年) 最初に、ソニーのCSRの根本的な考え方について説明して頂けますか。 ソニー・冨田秀実 CSRという言葉が出てきたのは比較的最近で、2003年が日本におけるCSR元年だと思います。 ソニーの場合、そこからCSRというのが始まったのではなく、創業者の一人の井深大が、終戦直後の1946年、会社を設立する際に書いた設立趣意書にそれが表れています。そこには「自由豁達ニシテ、愉快ナル理想工場ノ建設」とあります。 要するに、単なる儲けではなく、エンジニアの人たちが自由闊達に楽しいことをやるというのがまず一つの目的だったのです。 ![]() ソニーに2つの持続可能性 それから、終戦直後だったこともあり、いかに日本の再建に貢献するか、国民の科学知識の普及を行うかということも書かれています。「イタズラニキボノダイナルヲオワズ」や、得た利益は従業員に配分するなど、最近のいわゆる株主至上主義というのとは違います。 会社を非常に社会的な存在として捉えるという、CSRの根っこのようなものがソニーには最初からありました。それをソニーではDNAと呼んでいます。 現在は「ソニーグループ行動規範」があるのですが、「イノベーションと健全な事業活動を通じて、企業価値を創造していくこと」が、ソニーのCSRです。 それを実現するために、さまざまなステークホルダーに配慮しましょうと書いてある文章です。それが最終的には企業価値に結びつくのですが、それを実現する過程で、ステークホルダーに配慮することが大事ですよ、ということです。 私たちがCSRで目指していることは、「広い意味でのサステナビリティの実現」です。いろんな見方や解釈があるでしょうが、私たちは「2つのサステナビリティ」があると思っています。 一つは会社のサステナビリティ。ソニーという会社が持続可能であるということです。コンプライアンスの問題であったり、ガバナンスの問題であったり、倫理的な経営をして不祥事を起こさないとか、製品の品質を保っていくとか、社員に対しても教育を行っていくだとか、会社のサステナビリティに関することです。 ただ、それだけで十分ではありません。先ほどの井深の話ではないですが、やはり日本の復興の話とか国民の科学知識の普及というのは、会社だけが持続的であっても社会が持続的でなければ意味がないのですね。ですので、地球と社会の持続性にいかに貢献できるかという点を2つ目のサステナビリティと考えています。 当然、ソニー1社だけで地球を救うなんてことはありえないので、ソニーが持っているイノベーションの力を使って、何らかの形で地球とか社会の持続性に貢献していきたいと考えています。 坂村優(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士1年) ソニー出身の方が南アフリカへ移動図書館車を寄贈するプロジェクトを率先して行っていると伺ったのですが、社員の方に対してどのようなCSR教育を行っているのか教えて頂けますか。 冨田 そうですね、いわゆる一般的な堅苦しい研修は避けようとしています。新入社員の研修や管理職に登用されるときに受ける研修にCSRの内容は入っていますが、あくまでCSRの基礎知識を蓄えてもらうためにやっています。 どちらかというとわれわれの考え方は、社員参画を重点において、それを教育に位置づけています。参画の段階をいくつか考えていて、まず基本的な段階は「課題を知る」ことです。CSRに対する知識や認識を深めるために、2ヶ月に1回、本社ビルの大会議場で、定期的にCSRフォーラムというのをやっています。 夕方6時とか6時半ぐらいから、会社の業務とは別にやっています。CSRはいろんなテーマがあります。例えば環境問題、障がい者雇用の問題、女性の参画の問題や父親の育児の問題などですね。 いくつかのテーマを設定して、なるべく社員が来たくなるような講演会だったり、それと組み合わせて映画の上映などをしています。CSRは間口が広いので網羅的に理解してもらうというより、個人的に関心のあるところを深めてもらいたいと考えています。 人によって関心は違うので、無理に押し付けないで内発的に関心を持ってもらうように工夫しています。次の段階が、「参画する」という段階です。募金や献血など何らかの形で参画をするという段階です。災害が起こったりするとわれわれは社員募金をしたりするのですが、メールで寄付の案内をして、クレジットカードやEdy(電子マネー)で、すぐに寄付ができるようにしています。 続きを読む
企業の皆様との共同企画を実施中です[2010年07月02日(金)]
企業の皆様との共同企画を実施中です コーズリレーティッドマーケティングをはじめ、企業がビジネスを行っていく上で、今や社会課題を無視することはできません。 日本財団CANPANプロジェクトでは、社会課題の解決に向けて、企業の皆様との共同企画をご提案します。 【これまでの開催実績】 ■ネクスト社におけるウェブアクセサビリティ研究会の共同開催 高齢者の方、障がいを持たれた方、在日外国人の方、難病を抱えられた方など、ハンディキャップを負った方が、ウェブにアクセスする上でどういった課題を抱えられているのか、その実態を把握するとともに、新しいウェブサービスのあり方について考える研究会を、株式会社ネクストと共同で開催しています。 これまでに開催したセミナーは以下のとおりです。 【第1回】 ・日時:2010/2/25 ・テーマ:視覚障害者の視点から見たウェブアクセサビリティ ・講師:ダイアログ・イン・ザ・ダーク 代表 金井氏 ・団体URL:http://www.dialoginthedark.com/ 【第2回】 ・日時:2010/3/30 ・テーマ:聴覚障害者の視点から見たウェブアクセサビリティ ・講師:Mcc Hubnet(モバイル・キャプショニング・センター ハブネット)代表 梶谷氏 ・団体URL:http://blog.canpan.info/mcchubnet/ 【第3回】 ・日時:2010/4/20 ・テーマ:在日外国人の視点から見たウェブアクセサビリティ ・講師:ダイバーシティ研究所 代表 田村氏 ・団体URL:http://www.diversityjapan.jp/ 【第4回】 ・日時:2010/5/25 ・テーマ:難病患者の視点から見たウェブアクセサビリティ ・講師:SORD(希少難病患者支援事務局) 代表 小泉氏 ・団体URL:http://www.sord.jp/ 【第5回】 ・日時:2010/6/29 ・テーマ:高齢者の視点から見たウェブアクセサビリティ ・講師:老テク研究会 代表 近藤氏 ・団体URL:http://homepage3.nifty.com/ICSProject/lowtech/about.htm ![]() ![]() ![]() =================================================== 本企画にご関心のある方は、こちらまでお問い合わせください。 日本財団 CANPAN運営事務局 tel:03-6229-5110 mail:contact@canpan.info ===================================================
2009年版CSR報告書情報開示調査の傾向について(後編)[2010年04月28日(水)]
6.調査結果 1)総合点数の推移 557社の総合計平均点は16.90ポイントと、2008年度の総合計より0.65ポイント上昇した。08年度は収集企業を広げ総合点が下がったが、今年度は対象企業数(主に銀行業)が23社減ったため、再び上昇している。 [表4 総合点数・大項目全体平均の年次推移] ![]() 2)大項目・中項目の年次推移 大項目及び中項目の平均点と年次推移は表5の通りである。 中項目別では、情報開示度が最も高い項目は「1-4 環境負荷情報の開示」(2.99ポイント)、次いで「3-1安全の情報公開」(2.14)、「3-3 コンプライアンス」(2.11)、と続いている。 一方、情報開示度が低い項目では、「売り手良し」の項目が中心で、「2-3 強制労働の防止」(0.22)、「2-1 人権問題」(0.33)となっており、調査開始以降、この傾向に変化は見られない。 [表5 中項目全体平均の年次推移] ![]() [図1 中項目平均の年次推移(2008〜2009)] ![]() 3)分野別業種別情報開示状況 分野別・業種別の情報開示状況をまとめたのが表6である。 「電気・ガス業」は分野を問わず情報開示度が高い。その他、サンプル数が5件以上の業種に限ると、総合計点の高い業種は、順に、「保険業」(24.20)、「その他製品」(20.75)、「精密機器」(19.57)である。総合点の高い業種は、「売り手良し」の点数の高さが特徴である。 また、3分野ともに開示度が低い業種は「サービス業」(7.50)、「水産・農林業」(11.00)、「銀行業」(11.87)となっている。 [表6 分野別業種別情報開示状況] ![]() 4)小項目別掲載企業数 小項目別の掲載企業数をまとめたものが表7である。 上位の項目にほとんど動きはないが、今回の調査で「1-4環境負荷情報の開示」に属する項目の点数が上がっている。これは調査対象から、環境負荷情報の掲載率が低い銀行業の件数が減少したことにより、結果的に上昇したものである。 その他の項目の上昇率では、「2-2-03ワークライフバランスへの支援」(+9.93%)、「1-3-04 サプライチェーンのSR推進支援や協働による技術開発」(+9.04%)、「3-1-03 労働災害発生率数」(+6.21%)となっている。 下降率が大きかったのは、「1-3-02 全従業員を対象とした環境・SR研修」(-20.11%)である。今回から評価基準を厳格化し、環境研修及びSR研修の双方が揃って加点としたため、開示率が下がったものである。 [表7 項目別掲載企業数] ![]() 7.調査をふりかえって 調査対象から銀行業の件数が減少しその影響による点数変動はあるが、他にも、いくつかの特徴が見られた。 「2-1人権問題」、「2-3強制労働」は依然立ち遅れが目立つが、ワークライフバランス・ダイバーシティはわずかに上昇 「売り手良し」分野の中項目である4項目に分化の傾向が見られた。サプライチェーンやバリューチェーンなど、取り組みのバウンダリーが課題になる「2-1人権問題」、「2-3強制労働」は、下降あるいは現状維持で、依然立ち遅れが目立つが、「2-2 労働者としての権利」、「2-4雇用や昇進の差別」はわずかに上昇傾向にある。ワークライフバランスやダイバーシティは徐々にではあるものの拡がりをみせていることが分かる。 小項目では「2-2-03:ワークライフバランスへの支援」が最も上昇率が高く、「1-3-02:全従業員を対象とした環境・SR研修」の下降率が最も大きい 情報開示の上昇率が最も高かった小項目は、「2-2-03:ワークライフバランスへの支援(前年比+9.93%)」であった。取り組みの内容は「くるみんマークの取得」が最も多く、354件中、102件を「くるみんマーク」が占め、社内保育所の設置や育児休職者の復職支援の取り組みも散見される。 一方、ワークライフバランス実現のための主要な要素のひとつである「サービス残業等の防止の取り組み(長時間労働防止を含む)」については、開示件数89件(全体で33位)で下位に留まり、昨年度よりも開示率が0.74%下がっている。「ワークライフバランス」の取り組みは、育児支援や福利厚生などのファミリーフレンドリーが中心であることが伺える。 グローバル課題への取り組みの開示が増加傾向に 開示率が上昇した小項目には、「1-2-02 国際的な社会課題への関心・関与」(前年比+5.38%)、「1-2-04 生物多様性」(前年比+5.48%)といった、グローバル課題に関する取り組みも目立つ。また、ステークホルダーダイアログもMDGs(国連ミレニアム開発目標)をテーマにした企業が増えていることから、途上国の貧困撲滅や生活環境の向上といったグローバル課題に関する企業の関心の高まりが伺える。特に、総合点が高い企業群にこの傾向が顕著に見られる。 CSRガバナンスやネガティブ情報の開示も増加 「1-3-01 CSR推進体制」(前年比+4.60%)の項目の開示率が上昇しており、CSRに関する専門部署の設置が進んでいることが分かる。また、「3-2-01 自社製品の不具合・リコール・不祥事等の情報」(前年比+3.39%)の開示率も増加しており、自社製品のリコール・不具合情報だけでなく、談合や独禁法違反、行政処分や社員の不祥事など、企業活動に関するネガティブ情報を開示し、ステークホルダーとのコミュニケーションを積極的に進めようとする姿勢が伺える。 コーズリレイテッド商品・サービスは環境中心 今回新たに、CRM(コーズリレイティッドマーケティング)の手法を取り入れた商品やサービスの開発・取り組みの掲載の有無について調査した(加点対象外)。557件中、言及があった件数は48件であり、内訳は、環境に関する取り組みが大半で、社団法人国土緑化機構「緑の募金」への寄付、カーボンオフセット商品の開発などが多く見られた。その他、「Table For Two」(1食あたり2円を途上国の栄養向上に寄付するしくみ)の活動に賛同して社員食堂で寄付する取り組みを行う企業もあった。 ISO26000への言及はごく少数 上記に加えて、加点対象外の調査項目として、2010年に発効予定のISO26000(あらゆる組織の社会責任に関する国際規格)に関する記載を調べたところ、557件中、わずか9件であった。具体的には、ステークホルダーの選定やCSR方針の見直しにISO26000のガイドラインを活用するケースであった。 ウエブサイトとの連動 昨今の景気悪化やCSRコミュニケーションの深化を受けて、CSR報告書の形態も多様化してきている。CSR報告書の発行を取りやめ、自社のウエブサイトでCSR情報を提供する企業が増加する一方、製造業を中心にコンパクトな概要版と数百枚に及ぶ詳細版を使い分ける企業もあり、二極化が進んでいる。CSR報告書を中心にしたCSRコミュニケーションのあり方が過渡期を迎えたと言えよう。今後は、本調査のあり方も含めて議論を深めていきたい。 「CANPAN CSRプラス」2次利用にあたっての注意事項 「CANPAN CSRプラス」で公開されているデータを使って、加工や分析を行い、その結果をウェブ上で公開されたり、教材や資料として第3者へ配布される場合には「CANPAN CSRプラス」のクレジットを必ず明記してください。 【問い合わせ窓口】 日本財団CANPAN運営事務局メール:contact@canpan.info 電 話:03-6229-5551(9-17時まで 土日祝祭日を除く)
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