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講習会資料【1】 [2018年02月07日(Wed)]
大規模災害時の技術系NPO等による支援活動について
−ハード面に対する技術的支援と併せてより大切なこと−

地震災害や大規模な水害など復旧復興期において、建築や土木等に精通した技術系NPO等による支援活動が大きな役割を果たしている。昨年の熊本地震や九州北部豪雨災害などにおいても重機を始め様々な資機材を駆使し被災地で支援活動が行われた。
これらの活動はともするとハード面の支援(家屋や道路等の修復)が目的と思われがちだが、実はそうではなく、そこが復旧復興等の業務を行う業者と技術系NPO等とその使命が著しく異なる点である。

そのことを含め技術系NPO等についての要点を以下にまとめてみた。

【共助の重要性】
災害発生後、様々なセクターによる住民(被災者)への支援があるが、その隙間でどうしても取り残される人が出る。発災直後は命の危険性から救出された住民がその後、希望をもって生きるためには、生活の再建を目指し、その制度や公助だけでは補えないことも多く、精神的な面も含め、共助や外部からの支援を受けることにより元気(希望)を取り戻すことが多い。

【技術は対話へのツール】
被災し日常が崩壊し、元の生活を取り戻そうとする中で様々な課題がある。その課題は技術があれば取り除くことができるものもあり、その技術によって先の見えない心の負担をわずかばかりでも和らげることができる。しかしどの場面においても技術は、住民との対話ツールに過ぎないということを忘れてはならない。

【よき助言者たれ】
すべての支援活動は、被災した方々が生活再建を目指し、そのために必要な情報や手段、様々な選択肢を得ることができるようにすることが望ましい。本来そこに支援する側の都合は存在しない。生活の再建にはいくつかの選択肢がある。その選択肢を提示(提供)する際の基本的な立ち位置は“住民が生活再建過程における様々な選択肢を知らずに損をすることがないようにすること”が目的であり、支援する側の技術や考えを一方的に押し付けるなどしたりすることがないよう、十分に配慮しなければならない。技術的な知識をもって選択肢をひとつでも多く示し省力化・効率化にとらわれず、住民目線に配慮することは極めて大切なことである。

【災害VCと民業との関係】
様々な理由により社協系災害 VCの活動範囲が限られる中、技術系プロボノの果たす役割は大きい。 社協系災害 VC では様々な経験や技術をもった個人ボランティアが登録するが、その持っている特性を活かすだけの調整機能を持っていないことが多い。そのため、災害 VC の活動の内容は誰にでも対応できる活動に限定せざるを得ないことが多い。
一方、技術系プロボノは平常時から建設業等の仕事を生業にしており、被災した建物などの特性を理解し、災害 VC では対応しがたい住民からの要望に対して、自らの知識と技術を活かして、住民の生活再建を支援することは多々ある。水害を例にとれば、被災した家屋の床を剥ぎ、泥を出す作業を仕事として行う業者はもともと存在しないことから、懸念される民業を圧迫することはない。 ただし、この場合であっても、技術は課題解決の一つの手段(方法)でしかないことを理解し、住民が自らの 生活の再建を描くためのサポートに過ぎないことを忘れてはならない。床を剥ぎ泥を出すのが目的ではなく、床を戻しその後の生活の在り方までをイメージできる活動でなければならない。

【安全衛生管理】
技術系NPO等が行う活動については、その関わる技術の基となる業務の領域において、それぞれに必ず安全基準が設けられている。災害救援の場においては、危険要因が複雑化するため単一の業種だけでの対応が困難である。そのことは、業務として存在するすべての枠組みを超えて多様な業種のプロボノが連携し協働することが望ましい。その業種とは、建設(建物等)・土木(土砂崩れ)・林業(流木等)・造園業(外構)・製造業(車両等)などが考えられる。

【応急危険度判定】
地震災害時に行政が行う応急危険度判定において、赤紙「危険」・黄紙「要注意」家屋への対応について、社協系災害 VC では、その危険要因の認識(知識)や対策(危険除去)が極めて困難であるため、それらの建物への支援は原則不可とされることが多い。
その対応策として、技術系プロボノを積極的に活用し、危険性の認識とその除去について対応できる体制を災害VCの機能として持つこと。この場合、災害VCと技術系プロボノの双方が被災地支援について同じ価値観を持ち、お互いの特性(得手不得手)を理解し合うことにより連携が実現する。

【安全への拘り】
応急危険度判定(余震等による二次災害への危険性)は、地震災害のみ実施されることから、水害では建物の応急危険度判定がなされない。土砂災害などの現場では建物の安全性を判断する者が実質いない状況で社協系災害 VCのボランティアによる活動が行われている現状がある。そのため、安全性の確保について判断できる技術系プロボノなどが関わることで、より安全な活動につなげていくことができると考えられる。被災地支援の現場 で最も優先されることは常に「安全」であり、これを超えて優先されるものは存在しないことを誰もが認識し、そのことを常に意識しながら活動を行わなくてはならない。
社協系災害VCと技術系NPO等が連携することにより、より難易度の高いニーズへの対応は、通常行っている活動に対しても、その安全性をさらに高めることができると確信する。

※ 技術系NPO等:団体。災害経験豊富なボランティアや技術系プロボノで構成される。災害時は被災地に拠点を構え、社協系災害VCや他のNPOと連携を図りながら活動している。
※ 技術系プロボノ:個人。災害系NPOや災害VCにて活動している技術経験者。

技術系NPOのこと.pdf