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第一回東北商品買取の巻(6)みやぎセルプ協働受注センター [2011年05月11日(Wed)]
車を飛ばして仙台に向かいます。
目指すは「みやぎセルプ協働受注センター」

宮城県中の授産品の情報が集まる、みやぎセルプ協働受注センターに行けば色々と情報がもらえるかもしれません。そして、同じ建物内には「まどか荒浜」という授産施設が間借りして入っているはずです。「まどか荒浜」さんは津波の被害で建物が使えなくなった施設です。



みやぎセルプ協働受注センターと、まどか荒浜が入っている「仙台ワークキャンパス」という場所につきました。

みやぎセルプ協働受注センターに入ると、職員の武井さんが出迎えてくれました。



「いやー茶谷さんおひさしぶりです」
嬉しいことに私のことを覚えてくれておりました。
去年、みやぎセルプ協働受注センター主催の「ナイスハートバザールinせんだい」に私は普通にお客さんで来ていたんですが、その時のことを覚えてくれていたんですねー。嬉しい
なあ。

早速今回のプロジェクトの説明をいたします。

私の隣に座っているのは静岡県トータルケアセンターという施設の施設長、安間さん。震災がおきた後すぐに施設で持っているカレーの移動販売車を使って石巻に大量の温かいカレーを届けた凄い人です。写真を撮っていただくために同行してもらいました。

茶谷「販路に困っている施設がありましたら東京大阪で販売したいんです」

…フムフムとうなづく武井さん


武井「…そういうことなら、ご協力いたしましょう!」

電話を取り出し、ピ、ポ、パ、とどんどん福祉施設に電話をかけてゆきます。

武井「いやー、今ここに、茶谷君って人がいてね、商品仕入れたいっていう話しで、明日空いてる?」
いやー武井さん、話し早い早い。どんどん話しを決めてゆきました。
あっという間に4施設、挨拶にいくことが決まりました。



もう、武井さんに電話はまかせて、とりあえず衣装に着替えます。



さあ、宮城県の施設の皆様!明日からこの茶谷がお邪魔いたします!
今日はヒゲをそり忘れたけど、明日はさっぱりしてお伺いいたしますから!






写真を撮ったあと、武井さんが急に真面目な顔になります。
「さぽーとせんたーぴあ」って知ってる?

…初めて聞く施設名です。

「原発から25km圏内の施設で、まだ避難しないでやってるらしいんだよねー」

テレビ、新聞の報道だと、たしか原発から30km圏内の福祉施設はすべて避難した、とあったのですが…

「よし、電話してみよう!」
武井さんがさぽーとせんたーぴあに、ピ、ポ、パ、と電話いたします。
「もしもーし!郡さん?施設活動してるの!?凄いねえ!」

驚きました。30km圏内で避難しないで活動しているなんて!

電話をかわります。
「はじめまして、茶谷です!」

…お電話によると、さぽーとせんたーぴあは、福島県南相馬市でいくつかの事業所を持っているけど、今は「ぴーなっつ」という事業所に集まって活動している、とのこと。避難所で過ごすことが難しい利用者がいるので事業所を活動している、とのこと。

そして、まわりには避難をしていないお年寄りもたくさんいて、そういったお年寄りも事業所が支援している、とのこと。

ぴーなっつがある場所は南相馬市の中でも放射能値が低い場所だ、とのこと。

今までは平日のみの活動だったが、土日も現在活動している、とのこと。

仕事もなくなってしまったが、さをり織りの道具があるので、現在はさをり織りをしている、とのこと。

…電話が終わりました。

電話でお話しながら考えていたことは、「福祉」のことです。
「福祉」ってみんなが幸せになるためのキーワードじゃないですか。
今回の震災で、みんなが大変な思いをして、沢山の人を救おうとすると、
沢山の人に合わせた支援になるから、どうしても、そこからこぼれちゃう少数派の人がでてくるじゃないですか。障害のある方の避難所の問題とか、そうですよね。

で、沢山の人は、沢山の人の支援のために、少数派の人を排除したり、なかったことにしないと、その支援が維持できなくなると。多数派にあわせて「今は非常時だから、そんなこと言っている場合ではない」とか「今は我慢する時」とかになっちゃう。で、多数派の人達は、自分達がスタンダードだと思っているから、もう、少数派の人達のこととか想像できないから、そんなことになっちゃうんじゃないかしら。

ぽーとせんたーぴあは、自分達の利用者が居場所が無くて、その居場所をつくるために活動しているけど、近くに困っているお年寄りの人がいたから一緒に支援しようとなった。そのお年寄りの気持ちがわかったから。困っているから支援する、福祉の原点だな。

でも、行政含めて、私もそうだけど、自分が大多数の側で、場所も関東という離れた場所にいたら、そのぶん少数の人の気持ちがわからないかもしれない。

そうなると、福祉力ってどれだけ相手の立場に立って想像できるかってことかしら?
似ている言葉で言えば……お客様視点?

…そんな、考えがまとまりそうな、まとまらなさそうな、ぼんやりとした感じでみやぎセルプ協働受注センターを後にしました。
まどか荒浜に皆さんはもう、帰ってしまったそうなので、また明日お邪魔することにいたします。
第一回東北商品買取の巻(5)亘理郡山元町に入る 3 [2011年05月11日(Wed)]
工房地球村に戻りました。

ちょうど昼食の時間、施設長の田口さんが「一緒に食べなーい?」とカップラーメンを持ってきてくれました。救援物資が入ってくるのだそうです。なんだか、恐縮です。



ラーメンをいただきながら、今までのお話を聞きます。

地震で建物内が大変なことに。ガラスも割れ、入れない状態になって5月8日まで作業所は閉鎖していた。

職員が一人お亡くなりになってしまった。

今までは地元特産の苺をつかったジャムづくりがメインの仕事だったのだが、津波で苺畑は全滅。塩害で、何年かは苺をつくることはできないだろう。

JDF(日本障害フォーラム)の支援で建物内の瓦礫撤去ができた。なんとか5月9日から施設再会することができた。

とは言っても、仕事は無く、とりあえずお茶を飲んだり、サロン的な活動になっている。

避難所には居づらいのか、利用者の出席率は良い。今までで過去最高の出席率。

…そんなお話を聞いていると、後ろからJDFの職員が!



東京都杉並区の、私もよく知っている施設の方でした!
2〜3週間交代で定期的に入って東北の施設を支援している、とのこと。

今日も工房地球村の職員は2人だけで、あとはJDFの方が利用者支援を行っておりました。
正直、JDFの支援がないと施設を運営できないだろうな、という印象。JDFの方、テキパキと建物中をまわっておりました。

この時は利用者の方が衰弱して病院に行くかどうか、ということでした。
お母様が大好きな方なのですが、津波でお母様が流されてしまい、現在は避難所生活…食事を摂らない…衰弱している…受け入れてくれる病院も近くにないし…

話し声が聞こえるたびに、あまりのひどい状況に重力感が無くなります。座っていても、なんだかふらふらします。

「あ、そうそう、なんの話しだっけ!?」
施設長の田口さんのところにひっきりなしに職員が来るので、会話は中断の連続。この忙しさがずっと続いているのはそうとう大変な状況でしょう。あの元気な田口さんでも大変ですよ、これは。

「苺も黄瓜も、何年かはもうつくれないじゃない。だからクッキーを焼こうと思うの。復興クッキー、みたいな名前で」
「でも、なんだか、クッキーのデザインをする気持ちの余裕はもうなくて…誰かやってくれないかしら?」

今まで工房地球村の商品デザインは施設長の田口さんが行っていたのですが(しかもすごい可愛いデザイン!)、毎日をこなすのがやっとで、デザインをする余裕がないんだそうです。
うーん、誰かデザインしませんか?

さてさて、園庭にでて、私も衣装に着替えてパチリ。




田口さん!工房地球村の皆さん!応援してます!

あと、工房地球村では男性用のL〜3Lの服が足りないそう、みんな、力を貸してくれ!
第一回東北商品買取の巻(4)亘理郡山元町に入る2 [2011年05月11日(Wed)]
どこが苺の畑だったんだろう…






車で走ってみましたが、どこが家だったところで、どこが畑だったところか、まったくわかりません。

こどもの日に立てたのでしょうか?鯉のぼりがはためいております。
ここが家だったのでしょうか?

ところどころ、自衛隊が撤去した瓦礫が堆く積まれております。



カーナビが、ここが線路の上だと伝えております。



線路を見つけました。



なんだか、悪い夢を見ているようです。
それも大変悪趣味な。

これが夢だとしたら、この夢をみている人の理性を疑います。
それくらい、悪趣味です。


お昼になりました。工房地球村に戻ります。
第一回東北商品買取の巻(3)亘理郡山元町に入る [2011年05月11日(Wed)]
5月11日(水曜日)

おはようございます。茶谷恒治です。寝不足です。

昨日はあまり寝ておりません。
福島にありますジャンボさんのお婆さまの家に泊めさせていただきました。
2階の部屋で、ジャンボさんと布団を並べて寝たのですが、
ジャンボさん、鼾が凄いです。
鼾はまあ、よいのですが…寝言がもっと凄いんです。

昨日は朝の4時から、ジャンボさん「ずいずいずっころばし」を歌っておりました。寝ながら。

「ずいずいずっころばしごまみそずい」
「茶壺に追われて…」
「茶壺に追われて?」
「茶壺に追われて?」(怒りながら)
なぜか怒りながら寝言で歌詞を訊いてきます。

私「…どっぴんしゃん…」

「ぬっけたーら、どんどこしょ」(嬉しそうに)

これが続きます…。
寝不足です。
なんとか目を覚まして1階へ降りると、お婆さまが朝食を用意してくれておりました。
嬉しい。家庭の味です。

テレビをつけると、テレビ画面が関東とは違います。
メイン画面が若干小さく表示され、空いたブルーのバックに震災関連情報が流れてゆきます。
避難所の情報…
仮払い金受付開始…
失業した方へ…
給水情報…

震災後、関東のテレビ画面もしばらくはそうでしたが、
東北では、いまだブルーのバックに情報が流れ続けております。
今朝の放射線情報がながれます。

栃木0.069
宮城0.087
会津0.17
福島1.25…

福島は、他の地域より若干高い数値。健康に被害が無い数値、とはいえ、やはり気になります。緊張します。
福島の人は毎日、この緊張感の中で生活しているわけですから。想像するに、大変な状況です。
「お茶、ぬるくなってないかい?」
ジャンボさんのお婆さまが何度も私の湯のみにお茶を注いでくれます。

優しいジャンボさんお婆さまの家を後にして、今日は宮城県に入ります。
「ちょっと待ちなさい」

…「何があるか、わかんないから」
ジャンボさんのお婆さまが、私にマスクを渡してくれました。

車で宮城県に入ります。高速を降りて目指すは常磐線の亘理駅。



電車で来た静岡の福祉施設の理事長、安間さんとここで待ち合わせです。

今回の買取仕入れの最初の訪問先は亘理郡にあります「工房地球村」にしました。
工房地球村へは亘理駅よりも、その先の坂元駅の方が近いのですが、なぜか亘理駅より先はまだ電車が走っていないそうです。

工房地球村は地元の苺をつかったジャム、無農薬で育てたキュウリを漬け込んだピクルスが人気の作業所でした。私が店長だった、にぎやかな風でも人気の商品です。商品を注文する時、電話口から聞こえる施設長田口さんの元気な声が大好きでした。

震災後、気になって電話をしたのですが電話が繋がりません。設備の都合で通話ができない状況です、と受話器からアナウンスが流れます。先週、ようやく電話が繋がりました。電話にでた職員さんの話によると、施設はいままで津波の被害で建物内に瓦礫が入り込み、ガラスが割れ、開所できる状態ではなかった。職員も流されてしまった、とのこと。JDFなどの支援団体の手で瓦礫を撤去し、館内を清掃し、ようやく5月9日から再開できた、とのことでした。

亘理といえば、震災後に海岸に遺体が多数あがったと最初に報道された場所です。心配です。施設長の田口さんはご無事でしょうか。



工房地球村に到着いたしました。



作業所の近くでは仮設住宅の建設がはじまっております。




田口さんにもお会いすることができました。元気そうです。ほっとします。


午前中は忙しいので、昼食を一緒に食べて話をしないか、とお誘いいただき、また昼にお邪魔することにいたしました。今は11時、まだ時間があるので、美味しいジャムをつくっていた苺畑がどうなっているか取材をすることにいたしました。

もう、どこが畑だかわかりません。
第一回東北商品買取の巻(2)東北道を走る〜福島 [2011年05月10日(Tue)]
2011年5月10日(火曜日)

前日、東京のライブハウスで行ったトークショー「飾りじゃないのよ福祉は」で、お客様から 水、お菓子、化粧品など支援物資を頂きました。この支援物資を車に積み込み、13時埼玉県所沢を出発です。

同行スタッフは司会業、イベント業を営むジャンボ阪内さん。ジャンボさんは福島生まれの福島育ち。東北の地理にまったく疎い私の、協力な助っ人です。



今回は私、茶谷とジャンボ阪内の2人で福祉施設を訪問してゆきたいと思います。

さて、所沢から東北自動車道をひたすら北上いたします。まだどこの施設に行くか、決めていなかったのですが、とりあえず宮城を目指しました。



宮城まで移動して、今日は仙台で1泊。明日の朝イチから3日間かけて宮城県の福祉施設をまわろうという計画です。

運転はジャンボさんにお任せして、私はひたすらインターネットで今晩の宿探しです。こういう時に便利なiPhone、そして楽天トラベルサービス。検索すると瞬時に現在の空室情報がでてきます。

【Comfort Style】平日&室数限定デートナイトダブル/8,200円

【家族旅行応援】赤ちゃんもぐっすりパパ・ママ安心☆赤ちゃんプラン(プレゼント付)  ◇禁煙:
ダブルA/12,000円


うーん、なぜか仙台のホテル、ダブルベッドの部屋しか空いておりません…ちょっと今回は、ダブルベッドの部屋をジャンボさんと二人で宿泊、は遠慮したいと思います。

またiPhoneで検索いたします。こんどは「じゃらん」で検索。じゃらんも便利ですよねー。

「今だから大切にしたいカップルSTAYプラン/¥21,400」


…車にはテントを積んでいるので、まあキャンプ場で寝ればいいかな、とキャンプ場の宿泊に計画変更です…

しかし、さっきから車がガタン、ガタンと揺れます。「なんだ、なんだ」とiPhoneから目を離すと、なんだか道路が波打っております。視線を横に向けると道路が崩れ落ちている箇所も。
「復旧はまだ終わってないんだ」
車が減速。一車線が通行規制されております。道路の復旧工事中。
反対車線から、ひしゃげた車を沢山乗せたトラックが走りすぎてゆきます。
福島に入り、景色がかわってきました。

ここで問題発生。ジャンボさんから「どこのキャンプ場も17時までに入らないとテントを張れないらしい」仙台にはどう頑張っても到着は18時。
これは

室数限定デートナイトダブル/8,200円
でダブルベッド宿泊でしょうか。

…「そうだ、おれのばあちゃんが福島市にいるんだ!」ジャンボさんのひらめきで、車は福島へ。今日は福島市のジャンボさんのお婆さまの家に泊めさせていただくことになりました。

福島に入るのでしたら、福島の授産品について調べねば!ということで、福島の社会福祉協議会に電話してみると、
福島県授産事業振興会
という団体があるとのこと。
早速電話してお邪魔することにいたしました。

福島市に入って
福島県授産事業振興会
を探します。車を降りて福島県庁のまわりをうろうろ。
ホームページによると、福島県庁の南庁舎に授産事業振興会があるはずなのですが、建物内は真っ暗です。もう一度電話すると「その建物は倒壊の危険があるので、今は福祉ショップの一画を使って活動している」とのこと。

ぱらぱらと小雨が降ってきました。女子高生の一団が頭をおさえながら歩道を走ります。「きゃー放射能!」「きゃー頭が禿げる!」きゃっきゃと笑い合い、僕の前を走りすぎてゆきます。
車に戻り、福島県授産事業振興会が入っている授産品ショップへ向かいます。



こちらが授産品ショップ福島県授産品直売所「手づくり屋&おやすみ処」
店内には福島県産の授産品が並んでおります。
福島県授産事業振興会の職員さんと、「手づくり屋&おやすみ処」の店長さんにお話しをお聞きすることができました。
「福島というのは浜通り、仲通り、会津という分け方をしていて、浜通りの施設は、今は厳しい。商品をつくるどころじゃない施設もある」
「今は風評被害があるので、食べ物をつくっている施設は、今はつくるのをやめているところも多いのではないか」
「福島県産というだけで、会津の商品も売れない」
厳しい話しが続きます。
これは、いつか機会をつくって福島の施設をまわらなければ。
店長さん。福島県授産事業振興会の職員さんにご挨拶をしてショップを後にいたしました。