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勉強が苦手な子どもたちのために

勉強が苦手な子どもたちがいます。教えても自分でやるとできなかったり、そもそもちゃんと聞いているのか、わかっているのかもあやしかったりします。

保護者や先生たちが一生懸命になっても、それが叶うとは限りません。そんな現実を受け入れることができず、私たちはついカッとなり、子どもにあたってしまうこともあるでしょう。

そして、子どももきっと辛い思いに苛まれているはずです。

ここでは、勉強の苦手な子どもに何とか寄り添った教え方ができないか。「技術」・「理論」・「心理」など様々な切り口で考えていきたいと思っています。

特定非営利活動法人 CEセンター 理事長 野田弘一


数字の書き順@ [2016年02月15日(Mon)]
〇数字の書き順@

このブログをはじめて、ご質問をいただくことがあります。保護者の方はもちろんですが、幼稚園・保育園の先生や小学校の先生、そして学習塾の先生まで幅広い立場におよんでいます。もともと困っている子どもたちへの思いから始めたわけですが、実は教える側の大人もまた困っているということを、あらためて心に留めて続けていきたいと思っています。

さて、そのご質問が多かったもののひとつに数字の書き方についてのご相談があります。書き方といってもその中身はいろいろで、「正しい書き順」についてや「丁寧に書こうとしない」ことなど多岐にわたります。

まず書き順(筆順)についてですが、「正式な書き順(筆順)」というものはそもそも存在しません。

学習指導要領の中に正しい書き順として何か定められているものはありませんし、教科書の指導書の中にも記されていません。したがって日常生活では、どのように書いても他人が見てわかればそれで良いわけです。

でも、一年生の教科書を見ると、初めて数字を書く練習のところでは、それぞれの数字の出だしのところに矢印や数字などを使って書き始めや方向が記されていますね。これは、教室の子どもたちが一緒に勉強する際、同じ書き方で練習したほうが混乱が少ないという理由からきています。また、書き方はいろいろあっても良いのですが、形の構成から、多くの人はだいたい同じような書き方になるので、その書き方がもっともスムーズに書ける方法だろうと考え、それをもとに書き始めや矢印が書かれているわけです。

同じ理由で「+」「−」「×」「÷」といった記号のほとんどに、「正式な書き順」は存在しません。

初めて習う子どもたち向かって「書き方は決まってないので好きに書いてね!」と先生が言ったら、みんな困ってしまいますね。書き順はそのためにあるわけです。

市販の問題集などの中に、「正しい書き順」といったタイトルや「数を身につける上で書き順は大切な基本である」といったコメントを目にすることがあります。このようなことから、「正式な書き順」が存在すると誤解されるようになったのかもしれません。

ただ、実は「正しい書き順」についてのご質問の中に、よく読んでみると「7」の字が変な形であるとか「8」の丸いところが上手に書けないなど、形の問題で困っているという内容のほうが多いようです。

これらは「書き順」の問題ではなく、実は見たものを上手に書けないことが原因なのです。

数字の形を見本と同じように上手に書けない原因は、
1. 直線や円などの線を書くことが苦手。
2. 数字などの文字を書いているわずかな時間が待てない。


このふたつであることがほとんどです。これらは、とうぜん「正式な書き順」で書いても解決はしません。また若干左利きの子どもに多い傾向があります。

では、もう少し詳しくお話しします。数字に限らずひらがなや漢字でも、その形は@横・たての直線とA折れ曲がった直線とB弧で書かれた曲線で成り立っています。トメやハネなどの詳細な部分を除くと、数字やひらがな・漢字は、この三つを書くことができれば、必ず見本通りに書くことができるわけです。

もし、子どもが数字を書くことに苦労しているようであれば、一度下のような図を見本に、四角形と円と三角形を書かせてみてください。形だけでなく、大きさや向きなども含めて、見本通りに書けないようでしたら、このあたりが原因と考えてよさそうです。

四角形・円・三角形.jpg

では、上手に線が書けないことがわかったら、どのように練習したらよいでしょうか。ここからは、数字を上手に書けることを目指して、その練習方法について詳しく説明していきたいと思います。

本来は線を引くことができればよいので、単純に直線や円を書く練習をすることになりますが、それでは子どもは飽きてしまいます。また文字や漢字などに応用していく意味も考えると、四角形・円・三角形を書く練習を通じて身に着けたほうが効果があるようです。さらに、できた図形に色を塗ったり、図形をいくつか組み合わせておもしろいデザインを作ってみるのも良いかもしれませんね。

それでは、最初の練習として四角形から始めます。書き方は、一筆書きと同じように、始点(書き始めるところ)から終点(書き終わるところ)まで続けて書きます。途中で鉛筆が離れてしまってもかまいません。離れたところから再び書き続けてください。

下の図の左側の部分で説明すると、まずA点から@の方向に書き始めてB点、C点、D点を通り一周してA点に戻っていくようにします。

四角形T.jpg

ここで大切なポイントはふたつあります。ひとつは、鉛筆の先を点から点へ真っすぐ書くことができるようになること。ふたつ目は、ひとつの点のところで直角に折れて書き進めることができるようになることです。

スピードは、子どもが丁寧に書けるのであれば特にこだわる必要はありませんが、10秒程度で書き終わるのが目安です。10秒以上かかってもかまいませんが、5秒以内で終わってしまうのは早過ぎます。どうしても急いでしまうようであれば、点から点へ移るときに1秒くらいのペースで「イ〜チ、ニ〜、サ〜ン」と数えてあげてください。

ステップ1では、点から点までの距離を短くしています。@の方向にある程度真っすぐにそしてスムーズに書けるようになったら、次はAの方向(@と逆回り)で練習してみます。これは、数字や文字は常に同じ方向に書くわけではないことが理由です。

書くことが苦手な子どもは、逆方向に書くときにつまずきやすい傾向があります。うまく書けない時は、次の点を意識しながらよりゆっくり書かせるなど工夫が必要です。ときには一度休憩したり翌日以降に再チャレンジするなど、練習することそのものに苦手意識を与えないように工夫してください。

ステップ2では、点と点の距離が少し長くなります。直角に書くことは変わりません。どうしても急いで書くようであれば、点と点の間を2秒くらいで進むよう、ステップ1と同じように時間をコントロールしてください。

下の図はステップ3とステップ4です。

四角形U.jpg

ステップ3では、点から点までの距離がさらに長くなっています。そして、直角に書くところに目安となる点が一部ありません。ここでは正確に90度になることは求めていませんが、角が丸くならないように練習します。またある程度直角にかけたら、次の点まで真っすぐ書くことにも意識を向けることも必要です。

ステップ4では、もう途中に点はありません。正確に必要はありませんが、ステップ3までとほぼ同じ大きさの四角形が書けるように練習します。時間のコントロールも忘れずにおこなってください。

四角形がある程度スムーズに書けるようになったら、次は円になります。円は直線ではなく弧に(丸く)なるように書かなければなりません。下の図はステップ1からステップ4になるにしたがって、次の点までの距離が少しずつ長くなっていきます。

円T.jpg
円U.jpg

ここでも、書きだす方向が逆になるものも入っています。たとえば「8」の上半分は左回りになりますが、下半分は右回りに書かなければなりませんね。数字や文字は常に同じ方向に書くわけではないので、このような練習が必要なのです。時間のコントロールも大切です。

そして最後は三角形です。三角形でのポイントは、斜めに直線を書くことです。ここでも、次の点までの距離が少しずつ長くなっていきます。次の点に向かって真っすぐ書けるよう練習を繰り返してください。

三角形T.jpg
三角形U.jpg
四角形・円・三角形を使って数字を上手に書く練習についてお話をさせていただきました。一年生であれば一日にかける時間は(時間のコントロールをしながら)10分から15分、長くても30分程度が限界です。就学前の子どもだと30分は難しいかもしれません。

なにしろ苦手なことを練習するわけですから、ここで精神論を持ち出して頑張らせるようなことだけはしないよう気を付けてください。また最初にお話ししたように、色を塗ったりデザイン化して楽しみながらであれば、もう少し長い時間近く楽しめるかもしれませんね。
次回は、数字そのものを書く練習方法についてお話ししたいと思います。

Posted by ookubo at 19:39 | 技術編 | この記事のURL
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