セミナーの後半では、近畿を営業拠点としている企業の方々に、CSRについての様々な取り組みを紹介していただきました。
シンポジウム:関西の中小企業のCSR〜現状とこれから〜
事例報告(1)サラヤ株式会社
商品開発本部商品企画室 次長 代島裕世氏 http://www.saraya.com
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サラヤはヤシノミ洗剤を中心とした、衛生に関わる商品の製造と販売を行っている。サラヤでは、積極的に環境保全へ取り組んでおり、最近では
「第3回 朝日企業市民賞」を受賞した。
サラヤの強みは、中小企業、非上場であるために、企業オーナーの決断がすぐに行動に移せたことにある。また、環境保全の活動について、まずオーナー自身が積極的で、資金援助よりも人道支援を優先しているところに特徴がある。
サラヤの環境への取り組みは、マレーシア・ボルネオ島での熱帯雨林の保全から始まった。自然にやさしいはずのヤシノミ洗剤が、原料となるパーム油の生産過程で、プランテーションの拡大によって熱帯雨林が減り、プランテーションからの排水なども環境・社会面であらゆる問題を引き起こしていた。
全世界的にパーム油への需要が高まるに連れて、栽培量もプランテーションも増加し、プランテーションが生物多様性に必要な川沿いの熱帯雨林にまで食い込んで、拡大していった。

サラヤでは、環境保全として、プランテーションの周りに生息するボルネオ象の救援活動を始めた。プランテーションの周りには、生活の場を失った象が入り込み、多くの子象が罠にかかって傷ついてしまっていた。現地の野性生物局や住民と直接交渉したり、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパームオイルのための円卓会議)といった国際会議にも加盟して、積極的に保全活動を進めた。
こうした活動は、現地、そして社内からも理解を得るのが難しかったが、地道に主体的な活動を続け、「第4回日本環境経営大賞 環境プロジェクト賞」や「第3回朝日企業市民賞」といった受賞をするうちに、次第に周囲からも賛同を得るようになっていった。
しかし、こうした前向きな活動も、企業の意に反したメディアの取り上げられ方によって企業イメージが失墜したり、国際会議で他国と協調をはかることが不可能となったり、決して平坦な道ではなかった。
それでもサラヤでは持ち前の機動力と積極性で活動を進め、傷ついた子象の救助だけでなく、野生生物全般の多様性保全を目的とし、マレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林を回復するトラスト設立に尽力した。しかし、熱帯雨林の回復に試算では約90億円もの資金が必要となり、それは中小企業でできるレベルを超えていた。
そこで専門性の高いNPOに依頼し、NPO法人 ゼリ・ジャパン(http://www.zeri-bct.jp/)と協働で、国際協力機構(JICA)、欧米のNPO・NGO、現地政府機関 野生生物局と組んでBCT(Borneo Conservation Trust=ボルネオ保全基金)の正式設立に至った。今後は競合などの利害関係を廃して、日本企業、個人の支援者をNPO法人ゼリ・ジャパンが取りまとめていく。
企業にとっては、消費者(製品ユーザー)が一番のステークホルダーとなる。今はウェブから高度な情報が入るので、誤った情報によって消費者が商品を買わなくなるのが一番怖い。そうならないようなPRコミュニケーションを目指す。
ヤシノミ洗剤は使用後の排水が環境に優しいというだけでなく、今では、その原料調達まで環境に配慮していることをアピールしてきた。また、終わりのないキャンペーンとして、活動のきっかけとなったヤシノミ洗剤の売り上げの一部を、ボルネオ環境保全活動に使う方針を打ち出している。
事例報告(2)株式会社美交工業
専務取締役 福田久美子氏 http://www.bikoh.biz
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大阪を中心とした公共施設の清掃業を営んでいる。これまで、障碍者雇用へ積極的に取り組んできた。
美交工業では、おもに重度の知的障碍者の清掃訓練をしているエル・チャレンジ(大阪知的障碍者雇用促進建物サービス事業協同組合)より、知的障碍者を受け入れてきた。障碍者雇用への取り組みを通して、会社の中でのコミュニケーションが大切なことに気づいた。それ以降、「人と環境とのつながりを大切にした社会づくり」を理念として掲げ、雇用への取り組みを進めてきた。
例えば障碍者の社員がキャッチセールスにひっかかったケースなど、直接業務には関わらなくても、就労面と生活面の相互関係を大切にしながら、支援者との連携のもとで、起こった様々な問題を解決してきた。障碍者の雇用定着のためにはとても大切なことだった。問題を解決する中で、「障碍者以前に健常者はどうだったのか」といろいろな視点から物事を考えるようになった。美交工業は製造業ではないので、働く人だけで支えられている企業である。そのこともあり、さらに社員のことを考えるようになった。
大阪市内の公園で巡回清掃をしていると、一生懸命清掃しているホームレスの姿もある。その人を雇用すれば、ホームレスの仕事づくりになり、ホームレスが公園から1人ずつ減っていくことで大阪市民へのサービスになるという観点から、ホームレスの雇用を始めた。
ホームレスの人々が抱えるいろいろな問題は、借金、アルコール依存など様々だ。普通にホームレスを雇用するのではなく、ソーシャルワーカー・管理者・当事者の三者の協働作業により、雇用定着に向けて一人一人と向き合いながら、ひとつずつ問題を解決してきた。
大阪市の大規模公共施設では総合評価一般競争入札制度が導入されるようになり、加点方式で評価される。その評価には、金額だけでなく、雇用の内容、環境への配慮、施設への配慮などを総合的に見て、一番満点に近く、安い業者を選ぶ方式がとられるようになった。
今まで、美交工業は企業としては小さな存在だったが、この入札で評価され、大阪市役所の清掃を任されるようになった。そのことで従業員の意識も高まり、いろいろなことがらに取り組もうとさらに前向きに考え、進めてきた。
2005年に「大阪府ハートフル企業顕彰制度」で、美交工業の障碍者雇用がハートフル企業大賞を受賞した。受賞を機に、「小さな企業でも取り組んでいけば、注目してもらえる」、また「どんどん改善していこうとすることが、注目してもらえる」と気づいた。
次第に、「役に立ちたい」という想いが強くなり、徐々に取組み活動は広がっていった。
そんな矢先に、大賞をとったこと、障碍者や就職困難な人を雇用していることなどを評価され、遠方にある福祉施設から業務委託の依頼があった。
そこで施設の関係者と自社の雇用者とのより良い関係を築くために、「NPO法人たかつき」との協働による施設内での園芸福祉活動の実践を立案した。そして期待通り、施設内での職場環境が整った。しかしそれだけではない。施設利用者を対象とした園芸福祉活動は、施設側にとっても大きなメリットとなる。利用者への療法的な効果と、地域へのアピール、施設の地域貢献へと展開が期待できるものと考える。「役立ちたい」と想い、行動することで、コミュニケーションの大切さを実感することができる。
こうした小さなことの積み重ねが、さらにNPO法人釜ヶ崎支援機構とのジョイントベンチャーで大阪府営公園の運営管理をすることになった。NPOと民間企業との協働のメリットは、いろいろなことに挑戦していくうちに、NPOにとっては非営利事業のための資金調達により、さらに幅広い事業展開のための、市場への参入が可能になる。また、企業にとっては、社会的事業への投資となり、さらにこれが営業戦略になっていく。
社会のためにはじめたことが、会社のためになった。
CSR…企業の社会的責任は、会社の営業戦略としていけば、いろいろな展開が生まれてくる。美交工業であれば、顧客を満足してもらうサービスから全てははじまった。まだ今の時点では、他の同業社からは浮いているのが実情である。これを業界全体へと広げていくことが、これからの美交工業の社会的責任であると考えている。
▲左より、美交工業 福田氏、京のアジェンダ 21フォーラム 津村氏、
近畿労働金庫 法橋氏、環境市民代表 癘{氏
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