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[開催告知]第3回CSR勉強会 [2008年04月04日(金)]

2007年度CSRプラス大賞ノミネート企業に聞く!
「市民に支持されるCSR」

〜「CSRプラス大賞エントリー説明会」同時開催〜


今、企業のCSRの取り組みが、市民から注目を浴びています。2007年に実施した「CANPAN 第1回CSRプラス大賞」では、33社のノミネート企業に市民から2万票を超える投票をいただきました。

本勉強会では、基調講演、2007年度投票分析から、今後のCSR情報発信のあり方について考えます。事例発表では、「CANPAN 第1回CSRプラス大賞」ノミネート企業を招き、大賞受賞後の様子、CSR情報発信の姿勢、NPOの立場から見たノミネート後の取り組みの拡大事例をご紹介します。

また、2008年度「CANPAN 第2回CSRプラス大賞」のエントリー方法や、投票の仕組みをご紹介する説明会、企業登録相談会を実施します。

CSR情報発信について学びたい企業の方、「CANPAN 第2回CSRプラス大賞」をよく知りたい方、是非ご参加ください。


【日 時】
  2008年5月9日(金)13:30〜17:00 (13:00受付開始)

【場 所】
   日本財団ビル1F バウルーム (地図) (東京都港区赤坂1丁目2番2号)

   最寄駅…地下鉄銀座線「虎ノ門駅」、地下鉄銀座線・南北線「溜池山王駅」、
         地下鉄丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前駅」

【対 象】
   企業のCSRご担当者、CSRプラス大賞にご関心をお持ちの方、CSRにご関心をお持ちの方

【定 員】
   先着50名

【参加費】
   1,000円(事前申し込みのCANPANユーザ、CSRプラスユーザは無料)
   ※参加費は当日受付にてお支払いください。

【プログラム】


第1 部 CSRプラス大賞ノミネート企業に聞く!「市民に支持されるCSR」

  13:35 「市民が選ぶCSR大賞の意義とは?」
       IIHOE[人と地球と組織のための国際研究所] 代表 川北秀人氏

  14:20 2007年度投票分析「2万人の投票から見る日本のCSRの現状」
       ダイバーシティ研究所 代表 田村太郎氏

  14:35 (休憩)

  14:45 企業事例発表
       (サッポロホールディングス株式会社、日本電気株式会社、
        イートス株式会社、せんだい・みやぎNPOセンター)

  15:50 終了・第2部のご案内

第2部 2008年度「CANPAN第2回CSRプラス大賞」について

  16:00 「CANPAN CSRプラス大賞」の進め方
       日本財団 経営企画グループ CANPANチームリーダー 町井則雄

  16:30 質疑応答

  17:00 CANPAN CSRプラス登録個別相談会(自由参加)


【主催】
   日本財団 CANPAN運営事務局

【共催】
   ダイバーシティ研究所

【協力】

   協同組合プランニングネットワーク東北
   特定非営利活動法人 せんだい・みやぎNPOセンター
   特定非営利活動法人 新潟NPO協会
   とちぎ協働デザインリーグ
   IIHOE[人と地球と組織のための国際研究所]
   横浜市立大学CSRセンターLLP
   特定非営利活動法人 地域の未来・志援センター
   特定非営利活動法人 奈良NPOセンター
   特定非営利活動法人 大阪NPOセンター
   特定非営利活動法人 神戸まちづくり研究所
   特定非営利活動法人 こうち企業支援センター

【お申し込み/お問い合わせ】
企業名、部署名、お名前、電話番号、FAX番号、参加人数、CANPANまたはCSRプラスユーザ登録しているかどうかを明記の上、e-mailでお申し込みいただくか、下記のチラシ(PDF)の申し込み欄にご記入の上、FAXにてお申し込みください。
      
   日本財団CANPAN運営事務局
     〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-15-16 海洋船舶ビル8階
     e-mail:contact@canpan.info
     TEL:03-6229-5551(9-17時まで 土日祝祭日を除く)
     FAX:03-3504-3909

チラシ
<1,760KB>

[開催報告記]第2回CSR勉強会1 基調講演 [2008年04月02日(水)]
「サプライチェーン全体で進めるCSR」
〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション〜

2008年2月21日(木)、
日本財団ビルにおいて第2回CSR勉強会
「サプライチェーン全体で進めるCSR〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション〜」
が実施され、企業のCSR担当者や調達部門の担当者、NPOなど、70名を超える参加がありました。


 基調講演1 「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」
            株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹氏
 基調講演2 「国際動向 ISO26000とSA8000」
            CSOネットワーク 共同事業責任者 黒田かをり氏
 事例発表1 「ソニーのCSR調達の取り組み」
            ソニー株式会社 CSR部 統括部長 冨田秀実氏
 事例発表2 「バンダイC.O.C監査について」
            株式会社バンダイ プロダクト保証部環境推進チーム リーダー
          佐藤正氏

 パネルディスカッション
            コーディネーター  ダイバーシティ研究所 代表 田村太郎

主催: 日本財団CANPAN運営事務局
協力: ダイバーシティ研究所


基調講演1 「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」


足立直樹氏(株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)


商品の製造過程に着目するCSR調達

 多くの企業において、特にアジアの製造の現場でCSR調達が重要なテーマになっています。CSR調達は、QCD(quality:品質、cost:価格、delivery:納期)にP(process:過程)をプラスして、製品が作られる過程で、環境面、労働慣行、人権などの社会面への配慮がされているかについても着目するものです。

 サプライチェーンにおける環境面や社会面の配慮を推進するために、最終メーカーがまず一次サプライヤーへ自社が行うのと同じような配慮を求めます。さらに一次サプライヤーが二次サプライヤーに配慮を求めます。このように、次々とサプライチェーン伝いに要請がつながっていくことで、サプライチェーン全体が、広い意味では社会全体が、CSR調達によって環境面や社会面への配慮を行うCSR化が進むことになります。

NGOによるCSR調達の推進

 このようなCSR調達の動きは、労働搾取工場(スウェットショップ)であった低賃金労働、児童労働、強制労働、長時間労働、セクシャルハラスメント等の問題を、NGOが指摘したことがきっかけで始まりました。契約工場に発生している問題であっても、商品の不買運動につながるなど、ブランドの責任がクローズアップされるようになったのです。ナイキの契約工場へのNGOの指摘は良く知られています。

 Play Fair at the Olympicsキャンペーンは、スポーツ用品を生産する労働者の権利向上を目的としたもので、海外の3つのNGOが共同で行いました。海外企業だけでなく、アシックス、ミズノなどの日本企業の委託工場も指摘を受け、改善対応が行われています。

 企業ブランドが大きいほど、サプライチェーンが拡大するほど、問題が発生する可能性も高くなります。リスクマネジメントとして見たときに、CSR配慮がサプライヤーまでできているかどうかが、ビジネス継続のために必要になってきています。

中国における課題

 ここ数年、CSR調達で大きな課題として中国の問題があげられています。安全性や環境にも課題は見られますが、特に労働面の課題は顕著になっています。労働災害の高い発生率、都市部の労働者と出稼ぎ労働者との賃金格差、未経験工、児童労働、低賃金労働、長時間労働などです。

 中国においては、長い時間働いて出来るだけたくさんの賃金を受け取りたい労働者と、長時間働いてほしい企業との利害が一致するために、課題の解決は容易ではありません。

CSR調達で競争力のあるサプライチェーンを目指す

長時間労働は、不安定な注文や不完全な生産計画、やりなおし作業などが原因になっていることもあります。これらの問題を解決し、生産性が高まり、高い給与が払われれば、時間外労働を減らすことができるという調査結果もあります。

 社会面での様々な問題を解決していくためには、行動規範などのルールを決めるだけでなく、サプライチェーンのいろいろなレベルで十分なコミュニケーションをとり、一緒に改善していく姿勢が大切です。バイヤー企業とサプライヤー企業、ワーカーとラインマネージャー、ワーカー同志のコミュニケーションをスムーズにできるようにすることです。

 そしてさらに一歩進んで、サプライヤーに起こっている問題をサプライチェーン全体の問題としてとらえ、共に課題解決に取り組む(エンゲージメント)ことが重要です。こうしたことはサプライチェーン全体の信頼性向上につながりますから、CSR調達を通して競争力のあるサプライチェーンを目指すことができるはずです。



基調講演2 「ISO26000とSA8000」


黒田かをり氏(CSOネットワーク 共同事業責任者)

NGOのCSRへの関わり

 経済のグローバル化の急速な発展は、負の側面も持っています。地球全体の持続性を脅かす共通課題として認識されつつある途上国における貧困問題や労働人権問題などです。

 環境問題に関しては、NGOは企業への働きかけを比較的早い時期から行っていましたが、1990年代に入ると、人権や貧困問題に取り組むNGOがCSRに注目するようになってきました。当初は、企業行動の監視や不買運動など、対立的な働きかけが行われていましたが、最近では問題解決に向けて、より踏み込んだ働きかけが増えてきているようです。

 NGOのCSRへのかかわり方には、このような直接的な働きかけのほかに、NGOによる行動規範や基準作り、認証制度の開発などもあります。CSRレポート作成時に参考にされるGRIガイドラインや英国の非営利団体であるAccountAbilityが作成したAA1000シリーズ、その他に、FSC認証(森林管理協議会)、MSC認証(海洋管理協議会)、レインフォレストアライアンス認証(熱帯雨林同盟)、SA8000(労働・人権規格)などがその例です。

SA8000の概要

 SA8000は、1997年に策定された民間による国際的な労働人権規格です。

【SA8000要求事項】
1.児童労働の禁止
2.強制労働の禁止
3.労働者の健康と安全
4.結社の自由と団体交渉権
5.差別の禁止
6.懲罰の禁止
7.適切な労働時間
8.適正な賃金
9.持続的改善のためのマネジメントシステム

 2007年6月30日現在、1,373団体が認証を取得しています。政府が補助金を出すなど、認証取得を奨励している国もありますが、途上国の方が積極的に認証を取得している傾向があるようです。
*SA8000及びSAIに関する黒田氏による報告会の資料は、CSOネットワークのHP(http://www.csonj.org)からご覧になれます。

認証規格の抱える課題

 認証規格は、さまざまな課題を抱えています。まず、規格の林立と社会監査の重複によるサプライヤー企業の負担増加をあげることができます。次に、認証を取得が、労働者を取り巻く環境に、どの程度良いインパクトを与えているのかが証明されにくい点があります。さらには、認証取得企業の行動が、基準に適合していないのではないか?という、認証機関に寄せられる「認証の信ぴょう性」にまつわる苦情処理の問題もあります。

ISO26000の重要概念は「ステークホルダーエンゲージメント」

 ISO26000では、ステークホルダー・エンゲージメントという考え方が非常に重要な概念になっています。現時点での定義は「組織の意思決定に十分な情報基盤を提供することを目指し、ステークホルダーとの対話の機会を生み出すことを意図した組織の取り組みまたは活動」とされています。共通する問題解決のために求められるセクター間のエンゲージメント(積極的な関与)のことを指しています。

 地域社会の取り組みに関して、ISO26000は、多様なステークホルダーが一緒になって地域課題を解決するための非常に有効なツールとなるでしょう。

*詳しい内容は、CANPAN CSRプラスのコラムでご覧いただけます。
 「NGOとISO26000」  第1回  第2回  >第3回


[開催報告記]第2回CSR勉強会2 事例発表 [2008年04月02日(水)]

事例発表1 「ソニーのCSR調達と電子業界(EICC)の取り組み」


冨田秀実氏(ソニー株式会社 CSR部 統括部長)

ソニーの管理システム

サプライチェーンマネジメントには、複雑なサプライチェーンの分岐構造、直接取引を行っていない高次サプライヤーの管理をどのように行うか等の課題があります。サプライヤーも、複数の企業と取引をしていることが多く、サプライチェーンは重複しています。このような状況を考えて、CSR調達の仕組みを作っていかなければなりません。

 ソニーの管理システムは、RoHS指令に基づく「グリーン調達」と、労働や人権問題などに対応する「CSR調達」があります。

 グリーン調達は、使用禁止部位や許容範囲、測定方法などを示したSS-00259「環境管理物質管理規定」を使い、その担保として証明書や測定データの提出、環境管理物質のマネジメントについての監査を行います。

 CSR調達は、EICC(Electronics Industry Code of Conduct Group)に準拠した「ソニーサプライヤー行動規範」を設け、2005年から行動規範の遵守の要請を進めています。サプライヤーによるセルフアセスメント(自己診断)と必要に応じて監査を実施しているところで、去年から今年にかけて70〜80の共同監査をしています。

EICCの取り組み

 EICCは、2003年からヒューレット・パッカード、インテル、IBM、ソニーなどの電機・電子業界が中心になって、監査システムや行動規範、セルフアセスメントツール(自己診断)を共同開発しました。さらに監査結果を担保するためにEICCが認定した第三者機関が監査を行います。サプライヤーの負担を減らすために、監査手順は共通化されています。監査を行うだけでなく、研修などのサプライヤーの学習機会の提供も行います。

また、EICCグループとして、SRI投資やNGOとの定期的なステークホルダー会合を行って意見を集約しています。

企業情報が集約されたEICCのデータベース

 EICCの仕組みを効率的に運用するためのデータベース「E-TASC」があります。E-TASCには、サプライヤーセルフアセスメントや監査結果が収められていて、サプライヤー企業の情報を得ることができるようになっています。自社のサプライヤーの情報は、あまり知られたくないものなので、自らのサプライヤーの情報のみが閲覧可能になっています。

サプライヤー側にすると、一旦E-TASCに情報を収めてしまえば、複数の顧客に対応しなくても、データベースにアクセスしてもらえば済むという効率的なシステムとなっています。



事例発表2 「バンダイC.O.C監査について」


佐藤正氏(株式会社バンダイ プロダクト保証部環境推進チーム リーダー)


海外のすべての最終生産工場の労働環境監査は終了

 バンダイC.O.C監査は、バンダイナムコグループに所属しているトイホビーの主幹会社であるバンダイが行っているものです。バンダイといえば玩具というイメージですが、さまざまなキャラクター商品を扱うので、アパレル工場や家具工場も監査の対象になります。

 1998年に、バンダイが関連する職場において適正な労働環境が維持されることを目的として「バンダイC.O.C(コードオブコンタクト)宣言」を行いました。監査は、2004年から実施し、今年度で日本を除くすべての最終生産工場の労働環境監査が終了する予定です。

 監査の中で出てくる問題には、免許の登録更新漏れ、タイムカードなどの記録の不一致、社会保険の未加入などが見られます。このような場合は、是正を申し入れます。改善が容易でない問題もありますから、一緒に改善していくという姿勢で臨んでいます。

細部にわたる監査内容

 監査のポイントには、1つ目にタイムカードや給与明細などの書類や記録の確認があります。2つ目に、化学薬品使用に関する確認ですが、マスクの着用についても確認と説明を行っています。3つ目に、救急箱の設置状況について、使用期限や設置場所などの確認をします。その他にも、消火器、寮、食堂などの確認も細部にわたって行っています。

 従業員へのインタビューは、従業員が自分の発言が管理者に伝わらないか?とストレスを感じていることがわかったので、個人面談だけではなくグループ形式でも実施しています。

監査の流れ

 監査は、バンダイが工場に直接話をして進めるのではなく、海外工場との直接の取引を行っている日本の協力メーカーを通して進めていきます。監査そのものは委託監査機関が行い、全ての費用はバンダイが負担しています。日本語・英語・中国語の3ヶ国語で作成された「バンダイC.O.Cマニュアル」に沿って、監査は行われます。クロージングミーティングで、バンダイに報告する不適合事項について、工場側に異議がないことを確認して、監査が終了となります。

 監査レポートは、英語でバンダイに提出されますが、協力メーカーと工場側がわかる言語に翻訳をしてフィードバックされます。監査内容を知った上で商品開発を行っていくために、事業部門の担当者にも、監査レポートは渡されています。

 バンダイの監査担当者は4人です。「夢・クリエイション」というバンダイのモットーのもとで行っています。バンダイの商品で遊んでくれた子どもたちに夢を与えるだけでなく、バンダイの商品を生産することに関わっている海外を含めた労働者の方々の夢も達成していただきたいという思いで、活動を続けています。



[開催報告記]第2回CSR勉強会3 パネルディスカッション【1】 [2008年04月02日(水)]
パネルディスカッション 

 足立直樹氏  (株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)
 黒田かをり氏 (CSOネットワーク 共同事業責任者)
 冨田秀実氏  (ソニー株式会社 CSR部 統括部長)
 佐藤正氏    (株式会社バンダイ プロダクト保証部環境推進チーム リーダー)
*敬称略
コーディネーター
 田村太郎(ダイバーシティ研究所)



田村: CSRというと永く環境分野の問題がクローズアップされてきましたが、今日は特に労働の話が多かったように思います。 冒頭、2つの企業の事例発表がありましたが、まず基調講演をされた足立さんに、続いてNGOの立場から 黒田さんにコメントをいただきたいと思います。

事例発表を聞いてのコメント
足立: 現場の状況をリアルにお伝えいただいて、私自身も勉強になりました。ありがとうございました。ソニー、バンダイのCSR調達の取り組みは、日本の企業の中でも先駆的と言えると思います。

先駆的なバンダイC.O.C監査
足立: 世界的に見ると、CSR調達が始まったのは、アパレル産業、次に玩具(おもちゃ)産業という労働集約的な業種で、バンダイの担当者の方も、いろいろご苦労なさったと思います。 バンダイは、C.O.C宣言を1998年に制定され、日本企業としては非常に早い時期から取り組まれています。C.O.C監査も2004年から実施されており経験もお持ちだと思いますが、現場は苦労されているのだなとつくづく感じました。
    
労働者に配慮したインタビュー
足立: 印象に残ったのは、中国の生産工場での労働者に対するインタビューへの配慮です。面談は面談を行うこと自体が労働者のストレスになることがないように、1対1や1対2、1対5など実施の仕方自体に配慮して実施しているとのことでしたが、労働者側の立場に立って配慮されているのが素晴らしいと感じました。

ソニーの取り組みはシステマテックなところに特徴。
足立: ソニーの取り組みは、システマテックに進められているという印象を強く持ちました。サプライチェーンの構造はそれほど単純ではなく、しかも重層的で、二重、三重に重なっている。どんどんつながっていくし、裾野も広がっていく。ということは、上流に行くほどバイヤー企業の影響力が下がっていくことになります。

複雑化するサプライチェーン構造に潜むリスク
足立: 実は、そのように複雑になっているところにリスクが潜んでいるかもしれないのです。どこまで企業が責任を持つのか、持てるのか。結論は出ていませんが、そこをきちっと取り組んでいくことが必要だと思います。

監査への負荷を減らすEICCの取り組み
足立: 複雑なサプライチェーンの中で、繰り返し似たような監査がある。最終的にはサプライチェーン全体のメリットにつながるとはいっても、監査を受ける側には相当な負担になります。先程、冨田さんにご発表いただいたEICCの取り組みでは、基準を共通化することでサプライヤーさんの負荷を減らしていますね。

田村: ありがとうございました。続いて、黒田さん、質問が来ています。 ステークホルダーエンゲージメントが重視されている背景や、企業の取るべき態度について。まだ馴染みのない発想だと思いますので、そのあたりの解説をお願いします。

黒田: 私の方からは、コメントというより、発題者の方に、お聞きしてみたいことがありまして、ステークホルダーエンゲージメントに関連したご質問をさせていただきたいと思います。

ステークホルダーとしてのNGOは、やりにくい相手でしょうか?
黒田: 実際、NGOのネットワークは世界に広がっていて、中には、情報をあまり精査せずにマスコミに流してしまうケースも出てきています。こうなると、NGOはやりにくい相手という印象をお持ちではないかと思いますが、NGOをステークホルダーとしてどのように捉えておられるか、お聞きしたいと思います。もう一点、この機会にお聞きしたいことは、サプライヤー管理をすでに行っていて実績がある企業にとって、ISO26000はどのような意味を持っているでしょうか?

田村: まず、冨田さん、お願いします。ソニーの立場もおありですが、ISO26000の策定にも深くかかわっておられる立場として、いかがでしょうか。

ステークホルダーのムーブメントから始まったサプライチェーンマネジメント(SCM)
富田: SCMの取り組み自体がステークホルダー・エンゲージメントに強く影響を受けています。ことの発端は、ナイキの事例のようにステークホルダー・ムーブメントから起こっています。法律上の要請から始まったのではありません。そういった意味では、サプライチェーンマネジメント(SCM)の話は、ステークホルダーの見解を理解しながら進めることが大切だと思っています。

富田: EICCでは、特にダイアログ(対話)を重要視して、年に2回程度、ステークホルダーセッションを持っています。ステークホルダーダイアログは、一般的には、CSR全般の中でも推奨されていますが、CSR報告書に書かなければいけないから、ステークホルダーダイアログのためのエンゲージメントになっている傾向にあり、危惧しています。エンゲージした結果がどのように活かされているか、分かりにくい事例も見受けられますので、目的意識を明確にしたステークホルダー・エンゲージメントを意識することが必要です。

黒田氏からの質問
Q:ステークホルダーとしてのNGOをどのように捉えていらっしゃいますか?
Q:サプライヤー管理で実積を持つ企業にとって、ISO26000が持つ意味とは?


ISO26000策定におけるステークホルダープロセスの意義は?


非常に幅広いステークホルダーが一堂に集まって国際的に議論すること、これに大きな意義があります。
冨田: 最終的にどのような文書が出てくるかは別として、プロセス自体が大きな意味を持つというのが私の認識です。6種類のステークホルダー、いろいろな国の人が議論することに意味があります。これはすでに証明されたと思っています。


もうひとつは、途上国のinvolvement(積極的な参画)
富田: CSRの話となると、どうしても先進国主導で進むことが多く、実際もそのような場面が多いですがプロセス自体が途上国に与える影響も大きく、ISO26000の議論を通じて、中南米の地域などで大きなCSRムーブメントが起こってきていると思います。


[開催報告記]第2回CSR勉強会4 パネルディスカッション【2】 [2008年04月02日(水)]

ISO26000は、CSRやSRを語るための共通言語となっていくはず
富田: まだまだ実際の評価となるとわからないところもありますが、CSRやSRを語るための標準言語となっていくことでしょう。

田村: バンダイの場合はどうでしょうか?


積極的にお付き合いしたいNGOの方々を判断するのが難しい。
佐藤: NGOには、大きく分けて、非常に過激なところと、一緒に解決に向かって助けてくれるところの2種類あると思っています。NGOでも、我々が気付かない有意義な情報を教えてくれて一緒になって助けてくれるところとは、積極的にお付き合いしていきたいと思っています。ただ、NGOの方々で、どの方々がそういう方々か判断するのが難しく悩みどころです。

田村: 別の質問です。フロアから質問も来ています。

Q:電子業界では、EICCの取り組みがありますが、同じように多くの雇用を抱えている自動車業界では、同様の動きはあまり聞かれませんが、国際的な動向はどのようになっていますか。


電子業界と自動車業界とでは、何が違うのでしょうか?
田村: おそらく1社だけ、単体でのCSRの取り組みでは限界があって、自社のサプライチェーン全体、業界全体、地域全体となると、全体の底上げが必要なのではないかと思います。自動車業界と電子業界では何が違うのか、というあたりからヒントが見えてくるのかなと思います。足立さん、冨田さん、お願いします。

足立: 自動車業界のことはあまり詳しくないのですが、そもそも自動車業界は、アメリカ、日本など、いくつかの国的に集中しています。その中の特徴として、アメリカでは労働組合の力が強く、労働組合共通の労働に関する基準を持っていると聞いたことがあります。それがどの程度、サプライチェーンの末端まで普及しているか分かりませんが。


業界として動かないと、課題解決は難しい。
足立: それ以外の動きとして、他の業界では、先ほどの黒田さんの話に出てきたようなFSC(森林管理協議会認証)や水産物のMSC(海洋管理協議会認証)など、業界ごとの規格化の動きが増えつつあるという印象を持っています。いずれの場合にも項目には環境、社会面での配慮が含まれていて、たいていの場合、労働に関する項目も含まれています。そういう意味でいえば、CSR的な配慮が見られます。業界として動かないと課題解決が難しいということかもしれません。


国全体の労働基準の底上げに民間規格を利用するアジア各国の動きにも注目
足立: もう一つ別の動きは、アジア各国では、政府の規格が、ISOや民間の規格・基準を取り込みつつあります。例えば、タイのレイバースタンダード(労働基準)は、SA8000を強く意識して、国全体の産業の労働基準の底上げに使っています。政府の動きにも注目されるといいのかなと思います。

田村: SA8000は、アメリカや日本企業はあまり取得しておらず、どちらかというと、途上国の企業が「自社は大丈夫だ」と、地域的に問題があると思われるがゆえになおさら規格を必要としているように感じています。
確か、パキスタンでもSA8000の数値目標を掲げています。地域全体、国全体で底上げしていくという動きが出てくるのかなと思います。では、冨田さん、お願いします。

富田: 自動車業界にこのような動きがあるとは認識はしていませんが、アメリカの自動車関係の企業がEICCに加盟しています。実際に運用されているかはわかりませんが、関心を持っておられるのは事実です。
他の業界の動きとしては、イギリスで小売業界が共通のフレームワークを作っていると聞いています。


電子業界と自動車業界との大きな違いは、ステークホルダーからのプレッシャーの有無
富田: 特に、電子業界と自動車業界との違いに関して言えば、大きな違いは、ステークホルダーからのプレッシャーではないかと思います。先程、足立さんから話がありましたが、CSR調達やSCMが、アパレル産業から始まって、玩具、電子と進んできたのは、基本的にステークホルダーの皆さん、特にNGOの皆さんがプレッシャーをかけた結果だと思います。これが自動車業界に向けば、同じ様な動きが出てくるのは間違いないと思います。


EICCの取り組みによって、サプライヤーの負担は軽減されたのでしょうか?
田村: 続いて、冨田さん、電子業界ですが、EICCの取り組みをして、サプライヤーからの反響はどうでしょうか。キャパシティビルディングという発想でやっておられますが、例えば、e-ラーニングで知識が得られて良かったとか、実際サプライヤーの方が、1社づつから要求されていた時代に比べて良くなった点はありますか。


製造委託企業からのニーズで始まったEICCの活動
富田: EICCの活動については、ブランドメーカーが必ずしも主導しているわけではない、というのがポイントです。製造委託業者、いわゆるOEM生産をしているところが名を連ねています。逆にそういったところから必要性が強く上がってきました。いろいろな仕組みが乱立することで彼らの負担を懸念したのだと思います。まだまだ理想的に運用されているとは言えないと思いますが、より強い標準化への期待が高まっているのではないかと思います。


今後、日本国内の事業所への適用の可能性は?
田村: 私自身、日本の外国人労働者が暮らすいろいろな地域を見ていまして、案外、日本の企業の方が「危ないかな?」と思うこともたくさんあります。今までは、日本の企業というだけでアドバンテージがあり、逆に中国の企業というだけで努力をしないといけなったのですが、国際基準化が進む中で、日本の事業所が大変になってくるように思います。

そこで、バンダイの佐藤さんに聞いてみたいのですが、「日本以外の監査は終了してこれから日本国内で」という話ですが、国内の事業所への監査を進めるうえでの不安があればお伺いしたい。

また、黒田さんには、日本国内の事業における国際規格の適用の可能性について、ご意見がありましたら、お願いします。

日本国内にもスウェットショップ(労働搾取工場)があり、外国人労働者の社会保険の加入率は非常に低く、児童労働も横行しています。これから国内の製造現場に入っていくと驚かれることが多いと思いますが、SA8000の話は全く届いていないのが実情です。国際規格と日本国内の事業所という視点で、コメントをお願いします。


[開催報告記]第2回CSR勉強5 パネルディスカッション【3】 [2008年04月02日(水)]
  

「パンドラの箱」を開ける覚悟で
佐藤: バンダイ商品の9割は海外で製造しており、日本の自社工場の生産品は、ガンダムのプラモデルぐらいですが、心配なセットメーカーもあります。大手メーカーの中で外国人労働者の問題がクローズアップされてきている状況ですので、それが不安かといえば、不安です。

では、知らないままにしておいて良いのか、という問題もあります。監査を行って不適合な箇所を発見した場合は、勿論、対処しなければいけません。「パンドラの箱」を開けるようなことになりますが、やらなければいけないという点では一致しているので、国内の工場についても段階的にバンダイC.O.C監査を行っていきます。


国際規格の視点から、先進国の国内問題に対しても問題提起していくことが必要
黒田: SAI(Social Accountability International)の話になります。団体の本部はニューヨークにあります。ニューヨーク市にもファッション関連の工場がたくさんありますが、SAIが工場の調査を行ったところ、労働環境の問題が出てきました。実際に調査にあたったのは、ドイツの調査・研究機関だったのですが、工場側に問題の指摘をしたところ、「あなたは現場がわかっていない」という反発にあったそうです。

しかし、劣悪なスウェットショップの問題を途上国の問題としてしまうことが問題です。そういった問題提起をすることで、先進国の中の問題もこれからはクローズアップされてくるでしょうし、問題意識を持って改善していくことが、少しづつですが、出てきているなと感じました。


日本の事業所への国際規格の適応の可能性は、現実的には、インセンティブの問題が大きいように思います。
黒田: SAIでは、費用便益の分析を行ってきていますが、英国で基準づくりをおこなっている団体は、規格取得により、労働者、その家族、コミュニティの貧困状況、人権状況の改善が見られたかなど、社会的な課題に軸足を置いたインパクト評価を行いました。

一方、現実的には、どれだけ便益が得られるかがやはり大きいと思います。SA8000もそうですが、認証取得にはコストがかかるので、コストはだれが持つのかという問題もあります。


国際規格を地域で推奨していくような環境整備が不可欠
黒田: 環境分野であれば、環境省の「エコアクション21」など、ISO140001よりも取得が簡単な簡易版があります。ISO26000は、ガイダンス文書でありどれくらい浸透していくか未知数な部分もありますが、地域で推奨していくような環境が整ってくるといいのかな、という気がします。


社会責任は企業だけが負うものなのか?
田村: そろそろ、時間も迫っていますのでディスカッションのまとめに入りたいと思います。

本日のテーマは、「サプライチェーン全体で取り組むCSR」ですが、本日の議論を聞いていて、社会責任は企業だけが負うものなのか?という論点が、次のステップに進む上での大きなテーマになってくるように思います。自治体やNGOなど、地域のいろいろなステークホルダーが役割を果たし、巻き込まなければ、次のステージへ進めないのではないか、と感じました。

また、エンゲージメントの日本語訳も、この概念が広げるためには大事だと実感しました。

では、最後に一言づつ、お願いします。


日本のサプライヤーさんは大丈夫なのか、不安を感じています。
足立: 今日やはり後半の方で話題になった日本国内のSCM、日本のサプライヤーさんは大丈夫なのか? 私はかなり不安を感じています。実際に、ヨーロッパのあるアパレルブランドが日本国内にあるサプライヤーに対して監査をした結果、問題が噴出したともきいています。


日本で、SCMの問題が表面化しなかった理由は、消費者・市民からのプレッシャーが少なかったから
足立: では、日本では、問題がたくさんあるのに、なぜ、今までこういうことが問題にならなかったのでしょうか? それはやはり、社会や消費者の目が少なかったからではないでしょうか?海外でSCMが始まった理由は、最終的には消費者のプレッシャーがあったからです。


知ってしまったからには、個人の責任として、消費者や市民がどうにかしないと。
足立: ところが、日本ではそのプレッシャーのようなものが、幸か不幸かあまりありませんでした。そういう意味では、消費者、市民の責任も大きいのではないかと思います。

私たち日本人は今まではこういうものがある、こういうやり方で改善できることを知らなかったわけですが、ここにいらっしゃる方々は知ってしまったわけですから(笑)、個人の責任として、どうにかしていかなくてはいけないのではないかと思うわけです。


サプライチェーンは「チェーン(鎖)」なんです。
足立: サプライチェーンが面白いと思うのは、それがチェーン(鎖)であること。チェーンは押しても動きませんが、引っ張るとズルズルとついてきます。誰がチェーンを先頭になって引っ張っていくか、一人一人が考えないといけないと思います。


SCMの問題は、企業だけでなく、政府、NGOがうまく連携して解決を図っていく必要がある
富田: やはりサプライチェーンの問題は、特殊だと思います。本来でいえば、労働環境の問題はその国の政府や自治体に主要な責任があるはずなのですが、ガバナンス(統治システム)が脆弱なケースがあるために、ある種、NGOの方々が、サプライチェーンという企業のブランドを人質にとってやっていける仕組みを考案されたのだと思います(笑)。

そういう意味で行くと、サプライチェーンマネジメントという仕組みだけで問題解決できるものでもなく、社会全体が全体的に発展していかないと解決していかないのです。社会の根本である貧富の格差など、解消されていかないと結果的にこういった問題はなくなっていかない。企業だけでなく、政府、市民社会がうまく連携して、努力をしていく必要があると思います。


自社においても、バンダイC.O.C監査をクリアできるような労働環境をめざして、がんばります。
佐藤: 以前、取引先から、「バンダイC.O.C監査に一番違反しているのはバンダイだ」と指摘を受けたことがあります(苦笑)。実は、「浅草の不夜城」といわれるほど、本社ビルはずっと電気がついています。自分たちが関係ないのかというとそうではなく、足元を固めるというか、仕事のやり方にも反省が出てきます。今後は、取引先から指摘をうけないように、自分たちもバンダイC.O.C監査に受かるように、がんばります。


そろそろ、いろいろなステークホルダーが連携して、地域全体で問題解決にあたる取り組みに着手を
黒田: 先程、日本国内での児童労働の話が出ましたが、例えば14歳の子どもが学校へ行かずに企業に雇われているのが見つかった場合、その子をやめさせれば問題が解決するのか?と言えば、そうではありません。学校に戻れるかというと、十分についていけなかったりする。そういう時に、自治体や地元のNGOなど地域全体で問題に取り組まない限り、解決はできません。そもそも経済的な問題が家庭にあるわけですから、社会全体の問題ととらえて、いろいろなステークホルダーが取り組んでいかなくてはならないと思います。

マスコミは、問題があるところでは取り上げますが、「大変だね」というところで終ってしまいます。いろいろな人が協力しあって、その問題を解決できるような、取り組みを始める時期に来ているのかな、と感じます。

田村: 「パンドラの箱を開けるならみんなで!」
ということですね。皆様、ありがとうございました。


以上


第2回CSR勉強会・開催速報 [2008年02月21日(木)]
本日開催された第2回CSR勉強会「サプライチェーン全体で進めるCSR」は、
下記のプログラムで進行し大盛況のうちに幕を下ろしました。

【プログラム】

14:00  開会あいさつ

14:10  基調講演
      「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」
      株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹氏

15:05  基調講演
      「国際動向 ISO26000とSA8000」
      CSOネットワーク 共同事業責任者 黒田かをり氏

16:00  企業事例とパネルディスカッション
      ・事例発表 ソニー株式会社「ソニーのCSR調達の取り組み」
            CSR部 統括部長 冨田秀実氏

      ・事例発表 株式会社バンダイ「バンダイC.O.C監査について」
           プロダクト保証部環境推進チーム 
            リーダー 佐藤正氏

      コーディネーター ダイバーシティ研究所 田村太郎氏

17:30  閉会のあいさつ

【イベントの様子】

後日、本日の開催内容を正式にレポートいたしますが、
今回はイベント中の盛況ぶりを少しお見せいたします。

基調講演の模様です。




最後にパネルディスカッションの模様です。



今後のCSRセミナー・イベント情報も、こちらでメルマガの登録をしていただけることで
いち早く知ることが出来ます!
CANPAN CSRプラス 第2回CSR勉強会 [2008年01月21日(月)]
サプライチェーン全体で進めるCSR
  〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション〜


経済のグローバル化に伴って、CSRに取り組む企業が増加してきました。
単体企業でのCSRの取り組みを進めるだけでなく、中小企業やサプライチェーン全体のCSRにも注目が集まり、取引先における「環境」や「品質」のマネジメントはもちろん、「人権」についても留意する必要が出てきています。

本セミナーでは、『「サプライチェーン全体で進めるCSR」〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション』と題し、今後、日本企業に求められるサプライチェーン全体のCSR推進のあり方を検証します。


【日時】
    
   2008年2月21日(木) 14:00〜17:30 (13:30 受付開始)


【場所】
 
    日本財団ビル 2階 大会議室(地図) (東京都港区赤坂1丁目2番2号)

【対象】

    企業の調達・CSR担当者、サプライヤー担当者

【定員】

    先着100名

【参加費】

    3,000円
    (事前申し込みのCANPANユーザ、CSRユーザは2,000円)


【プログラム】

14:00  開会あいさつ

14:10  基調講演
      「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」
      株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹氏

15:05  基調講演
      「国際動向 ISO26000とSA8000」
      CSOネットワーク 共同事業責任者 黒田かをり氏

15:45  (休憩)

16:00  企業事例とパネルディスカッション
      ・事例発表 ソニー株式会社「ソニーのCSR調達の取り組み」
            CSR部 統括部長 冨田秀実氏

      ・事例発表 株式会社バンダイ「バンダイC.O.C監査について」
           プロダクト保証部環境推進チーム 
            リーダー 佐藤正氏

      コーディネーター ダイバーシティ研究所 田村太郎氏

17:30  終了


【主催】

  日本財団 CANPAN運営事務局

【協力】

  ダイバーシティ研究所


======登壇者プロフィール======


【基調講演】「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」
 足立直樹氏(株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)


東京大学理学部、同大学院で生態学を学び、理学博士号を取得。1995年から2002年までは国立環境研究所で熱帯林の研究に従事。1999年から3年間のマレーシア森林研究(FRIM)所勤務の後、コンサルタントとして独立。多くの先進企業に対して、「どうすれば持続可能な社会に貢献できる企業になれるか」、「信頼される企業になるために、何をどのようにすべきか」を中心にコンサルティングを行う。専門分野は「企業による生物多様性の保全」「アジアにおけるCSR」、さらに両者を結ぶ課題である「原料調達配慮」「サプライチェーンマネジメント」に注力。2006年、(株)レスポンスアビリティを設立。
環境経営学会理事、サステナビリティ日本フォーラム
運営委員なども兼務。

著書・執筆
『金融CSR総覧』(経済法令研究会 編)
『グローバルCSR調達』(日科技連)
『ゆとりある国・日本のつくり方―ストック型社会転換マニュアル』(電気書院)
新聞・雑誌への寄稿、報告書、論文等多数




【基調講演】国際動向:「ISO26000とSA8000」
 黒田かをり氏(CSOネットワーク 共同事業責任者)

大学卒業後に、民間企業に勤務。その後、コロンビア大学ビジネススクール日本経済経営研究所、米国非営利組織のアジア財団を経て、2003年から国際協力・開発の分野でのCSO(市民社会組織)のグローバルなネットワークを進めるCSO連絡会(現 CSOネットワーク)に勤務。
2006年に、国際交流基金日米センターのNPOフェローシップで、国際労働規格のSA8000を策定、認定するSocial Accountability International において8ヶ月間研修を受ける。
2007年秋より、2010年発行予定のISO26000社会的責任(SR)規格策定の日本のNGOエキスパートを務める。ISO/SRは、企業を含むあらゆる組織の社会的責任(労働、人権、環境、地域参画など)に関する国際規格。その他、特定非営利活動法人ほっとけない世界のまずしさ、特定非営利活動法人オックスファム・ジャパン、中間法人環境パートナーシップ会議の理事を務める。





【事例発表1】「ソニーのCSR調達の取り組み」
 冨田秀実氏(ソニー株式会社 CSR部 統括部長)


東京大学、プリンストン大学卒業後、1988年ソニー株式会社入社。その後、ソニーインターナショナルヨーロッパ 欧州環境センター シニアマネージャー、ソニー株式会社 社会環境部 環境戦略室室長を経て、2003年から現職。グローバル環境マネジメントシステム構築、CSRレポート、WWF協定締結、CSRの導入など一連のCSR施策の実施にあたる。
ISO/SRワーキンググループ タスク2幹事、GRI技術諮問委員会 委員

著書・執筆
『環境技術革新の最前線〜CO2はこうして削減し、京都議定書をクリアする』(日科技連)
『環境管理会計入門〜理論と実践』(産業環境協会)
『グローバルCSR調達』(日科技連出版社)
『金融CSR総覧』(経済法令研究会 編)

ソニー株式会社
『ソニーでは、2006年度までに「ソニーサプライヤー行動規範」の内容を対象となるすべてのサプライヤーの方々にお知らせするとともに、当行動規範の遵守を要請しました。また、その遵守状況を把握する一環として、サプライヤーセルフアセスメントを段階的に導入し、サプライヤー向けの説明会を実施しています。また、EICCの共同監査を通じて一部サプライヤーの試験的な監査を開始しています。』
(ソニーHP「サプライチェーン・マネジメント」より抜粋)




【事例発表2】「バンダイC.O.C監査について」
 佐藤正氏(株式会社バンダイ プロダクト保証部環境推進チーム リーダー)

1999年玉川大学卒業、同年株式会社バンダイ入社。コンシューマ事業本部事業戦略室配属、その後現部署の前進CS統括部CSチームに異動。グループ横断の環境プロジェクト発足に従事の後、2005年より現在のC.O.C.監査業務を担当。

株式会社バンダイ
『世界の様々な国で事業活動を展開しているバンダイでは、各国のバンダイが関連する職場において、適正な労働環境が維持されることを目的として、1998年に「バンダイC.O.C.(コードオブコンダクト)宣言」を行いました。バンダイでは、このC.O.C.宣言に基づいて第三者機関に委託した定期的な監査を行うなど、各国におけるバンダイの事業活動が、適正・公正な環境の基で行われるよう努めています。』
(バンダイHP「環境保全への取り組み」より抜粋)



パネルディスカッション コーディネーター
 田村太郎(ダイバーシティ研究所 代表)

兵庫県生まれ。阪神大震災で被災した外国人への情報提供活動を機に「多文化共生センター」を設立。04年より
IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)研究主幹として、NPOのマネジメント支援やCSR研究に従事。07年1月、多様性を地域と組織の力にすることを目的にダイバーシティ研究所を設立し、代表として活動中。



【お申し込み/お問い合わせ】

企業名、部署名、お名前、電話番号、FAX番号、参加人数、CANPANまたはCSRプラスユーザ登録しているかどうかを明記の上、e-mailでお申し込みいただくか、下記のチラシ(PDF)の申し込み欄にご記入の上、FAXにてお申し込みください。
      
   日本財団CANPAN運営事務局
     〒105-001 東京都港区虎ノ門1-15-16海洋船舶ビル8階
     e-mail:contact@canpan.info
     TEL:03-6229-5551(9-17時まで 土日祝祭日を除く)
     FAX:03-3504-3909



file.pdf
チラシ
<814KB>
CSR勉強会(大阪) 「CSRを応援するNPOネット」が開催されました!(後編) [2007年03月29日(木)]

シンポジウム:関西の中小企業のCSR〜現状とこれから〜  
 事例報告(3)京のアジェンダ 21フォーラム
KES認証事業部・事業部長 津村昭夫氏  http://ma21f.web.infoseek.co.jp

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京のアジェンダ21フォーラムでは、中小企業向けの環境マネジメントシステム(以下、「EMS」)を策定した。

環境の取り組みとして、またCSRとしてどのような取り組みができるかを考えると、地球環境の保全と持続可能な発展の2つをどう達成していくかが大きな課題となる。それを達成するには、「将来の世代」と「現代の世代」の両方の欲求を満たすようにすることが必要である。

ものの豊かな社会…、これは将来のことを考えるとかなり危険で問題を含んでいる。ものの考え方や認識の枠組みを変え、パラダイムシフトすることで新しい満足感を見つけ出さなければならなくなってきた。

1997年12月の地球温暖化防止京都会議は、京都の人々の使命感を刺激した。「京都に関わる人間は何かしないと…」という思いに駆り立てられ設立したのが、京のアジェンダ21フォーラムだった。

ISO14001は、96年9月に発効後、急速な普及を見せた。しかし、ISO14001は中小企業には、負担・負荷が重すぎる。そうした背景もあり、取り組みやすくて、低コストなEMSとして京都で生まれたKESは、全国で導入してもらえるようになった。また、それと共に各地域との協働活動も進めてきた。

学校でもKESを活用して環境学習に着手している。KESは、自治体、司法機関、ホテル・旅館、百貨店など幅広い団体に利用されており、約300社の取り組みによってCO2 約5,770トンを年間で削減することができた。

KESの企業へもう一つのメリットとしては、電力・水・紙使用量の削減といった取り組みによって、コストダウンがあげられる。また、共通のテーマに取り組むことで組織が一体化するようになり、組織強化が図れる。

持続可能な発展を考える上では、環境問題は自分たちの問題としての認識が大切だ。
「地球規模で考え・地域で行動、 Think globally, Act Locally」が必要となってくる。そうした意味でも、「グローカル」という造語を参考にしたい。世の中がグローバルになっていくのは仕方がないが、環境改善活動の基本はローカルなんだ、ということを忘れてはいけない。

学校は、生徒とその家族をパイプとして、地域住民とのつながりが深い。KESに取り組んでいる学校・地域住民と、KESに取り組んでいる企業を結びつけることで、新たに地域コミュニティ(地域環境活動体)を築けるのではないか。企業の社会的貢献の一環として、環境出前講座や工場見学の受け入れ等によって、子どもたちへの生きた環境教育、地域住民の企業への信頼を増すことが可能となる。

学校での環境教育がこれからの活動のベースになるのではとにらみ、地球環境コミュニティをつくりに今後京都では重点を置いていきたい。


 
 中小企業を支える金融機関の立場から 近畿労働金庫
地域共生推進センター長 法橋聡  http://www.rokin.or.jp

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労金は、中小企業が活きる地域を支える金融機関である。地域社会における資金の良い循環(グッドマネー)を作り出し、その主要な役割を果たす「グッドマネーバンク」として様々な試みを行っている。2006年には初めてCSR報告書を発行した。

近畿労金では、第3次中期経営計画の中で、「儲けない金融機関」ということばをキーワードに、本業の社会的価値を高めていくことを目指している。社会貢献は当然に大事だが、本業と離れて社会貢献だけが行われている姿というのではなく、本業の社会的な価値を生み出す営みこそが重要だと考えている。

とは言え、環境変化が激しいなかで、既存の社会貢献策や本業価値も一瞬でいわゆる社会的責任のライン(やって当然ライン)に「落ち込む」こともある。したがって、本業の価値を生み出すための不断の営みとして「新たな価値創造」の取組みを進めることが極めて重要だと考えている。

近畿労金では、本業の基盤強化に向けてさまざまな経営指標や事業目標を定めて活動を展開しているが、こうした本業を通した取組みとして、消費者金融の上限金利引下げを求める署名活動や学校等での消費教育講座などを展開している。これに加えて、先ほど述べた「新たな価値創造」のための営みとして「共生事業」の実践というものを経営計画のなかに組み込んで進めている。

さまざまな社会課題が頻発するなかで、一方では、新たな公共の担い手としてNPO・市民活動が登場している。こうした時代の要請に応え、社会的な役割やポジションを意識し、NPOとのパートナーシップを基本に「共生事業」を進めてきた。これまでも団塊世代などのNPOへのボランティア派遣の事業などを始め、地域との共生、内外ネットワークの強化に向けて活動を進めてきた。

加えて、「お金の流れが社会を変える」という視点から、NPO融資などを通したグットマネーの社会的循環を目指している。例えばその内の1つ、「NPO事業サポートローン」は、金融機関本来の業務を通じて、NPOを資金面からサポートするサービスだ。近畿労金は日本初めてのNPOへの融資機関となり、2000年から90件、総額6億円程を融資してきたが、今まで焦げ付きなしでやってきている。

社会環境の変化に伴って、消費者の状況やニーズも大きく変化してきた。CSRのCはコンシューマの「C」でもある。企業の不祥事を注視するのは当然だが、消費者=市民が社会的価値を生み出す企業を「応援」する営みも必要だ。NPOだけではなく、企業も社会変革の主体となりうる。

また、金融機関では、CSRへの取組み度合いを顧客企業の評価軸として組み入れ、融資の金利優遇や融資限度額などに反映させていく動きが始まっている。こうした流れはこれから恐らくますます進んでいくだろう。そうした意味では、中小企業もCSRとつきあう視点が必要となってくる。受発注、資金調達など、あらゆる局面にCSRが出てくる。

こうした流れのなかで、中小企業がCSRとつきあう視点としては、王道でいく、つまり本業の社会的価値こそが生命線となる。地域で生きる、生きる地域を豊かにする視線が欠かせない。やはり、地域に必要な存在として役割を担うことが重要なポイントだと思う。また、地域ニーズのセンサーであるNPOとの連携を組むことで、企業側から見えていない地域や社会のニーズ、トレンドを見つけることができる。

一方、NPOがCSRとつきあう視点としては、社会トレンドの水先案内人、地域ニーズのセンサーとして地域をリードするポジションからの視点が大事だと思う。NPOは地域に埋もれた価値に光をあてる存在であり、制度の狭間で隠れた課題を社会化する存在でもある。そうした営みのなかで、地域に貢献する地場の企業が登場できるステージづくりをし、地域創造事業を促す役割を担える。この点から言うと、中小企業の場合、NPOとの連携の機会が大企業よりももっと出てくる可能性があるだろう。

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CSR勉強会(大阪) 「CSRを応援するNPOネット」が開催されました!(中編) [2007年03月29日(木)]

セミナーの後半では、近畿を営業拠点としている企業の方々に、CSRについての様々な取り組みを紹介していただきました。

シンポジウム:関西の中小企業のCSR〜現状とこれから〜  
 事例報告(1)サラヤ株式会社
商品開発本部商品企画室 次長 代島裕世氏  http://www.saraya.com

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サラヤはヤシノミ洗剤を中心とした、衛生に関わる商品の製造と販売を行っている。サラヤでは、積極的に環境保全へ取り組んでおり、最近では「第3回 朝日企業市民賞」を受賞した。

サラヤの強みは、中小企業、非上場であるために、企業オーナーの決断がすぐに行動に移せたことにある。また、環境保全の活動について、まずオーナー自身が積極的で、資金援助よりも人道支援を優先しているところに特徴がある。

サラヤの環境への取り組みは、マレーシア・ボルネオ島での熱帯雨林の保全から始まった。自然にやさしいはずのヤシノミ洗剤が、原料となるパーム油の生産過程で、プランテーションの拡大によって熱帯雨林が減り、プランテーションからの排水なども環境・社会面であらゆる問題を引き起こしていた。

全世界的にパーム油への需要が高まるに連れて、栽培量もプランテーションも増加し、プランテーションが生物多様性に必要な川沿いの熱帯雨林にまで食い込んで、拡大していった。

サラヤでは、環境保全として、プランテーションの周りに生息するボルネオ象の救援活動を始めた。プランテーションの周りには、生活の場を失った象が入り込み、多くの子象が罠にかかって傷ついてしまっていた。現地の野性生物局や住民と直接交渉したり、RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil、持続可能なパームオイルのための円卓会議)といった国際会議にも加盟して、積極的に保全活動を進めた。

こうした活動は、現地、そして社内からも理解を得るのが難しかったが、地道に主体的な活動を続け、「第4回日本環境経営大賞 環境プロジェクト賞」や「第3回朝日企業市民賞」といった受賞をするうちに、次第に周囲からも賛同を得るようになっていった。

しかし、こうした前向きな活動も、企業の意に反したメディアの取り上げられ方によって企業イメージが失墜したり、国際会議で他国と協調をはかることが不可能となったり、決して平坦な道ではなかった。

それでもサラヤでは持ち前の機動力と積極性で活動を進め、傷ついた子象の救助だけでなく、野生生物全般の多様性保全を目的とし、マレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林を回復するトラスト設立に尽力した。しかし、熱帯雨林の回復に試算では約90億円もの資金が必要となり、それは中小企業でできるレベルを超えていた。

そこで専門性の高いNPOに依頼し、NPO法人 ゼリ・ジャパン(http://www.zeri-bct.jp/)と協働で、国際協力機構(JICA)、欧米のNPO・NGO、現地政府機関 野生生物局と組んでBCT(Borneo Conservation Trust=ボルネオ保全基金)の正式設立に至った。今後は競合などの利害関係を廃して、日本企業、個人の支援者をNPO法人ゼリ・ジャパンが取りまとめていく。

企業にとっては、消費者(製品ユーザー)が一番のステークホルダーとなる。今はウェブから高度な情報が入るので、誤った情報によって消費者が商品を買わなくなるのが一番怖い。そうならないようなPRコミュニケーションを目指す。

ヤシノミ洗剤は使用後の排水が環境に優しいというだけでなく、今では、その原料調達まで環境に配慮していることをアピールしてきた。また、終わりのないキャンペーンとして、活動のきっかけとなったヤシノミ洗剤の売り上げの一部を、ボルネオ環境保全活動に使う方針を打ち出している。


 
 事例報告(2)株式会社美交工業
専務取締役 福田久美子氏  http://www.bikoh.biz

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大阪を中心とした公共施設の清掃業を営んでいる。これまで、障碍者雇用へ積極的に取り組んできた。

美交工業では、おもに重度の知的障碍者の清掃訓練をしているエル・チャレンジ(大阪知的障碍者雇用促進建物サービス事業協同組合)より、知的障碍者を受け入れてきた。障碍者雇用への取り組みを通して、会社の中でのコミュニケーションが大切なことに気づいた。それ以降、「人と環境とのつながりを大切にした社会づくり」を理念として掲げ、雇用への取り組みを進めてきた。

例えば障碍者の社員がキャッチセールスにひっかかったケースなど、直接業務には関わらなくても、就労面と生活面の相互関係を大切にしながら、支援者との連携のもとで、起こった様々な問題を解決してきた。障碍者の雇用定着のためにはとても大切なことだった。問題を解決する中で、「障碍者以前に健常者はどうだったのか」といろいろな視点から物事を考えるようになった。美交工業は製造業ではないので、働く人だけで支えられている企業である。そのこともあり、さらに社員のことを考えるようになった。

大阪市内の公園で巡回清掃をしていると、一生懸命清掃しているホームレスの姿もある。その人を雇用すれば、ホームレスの仕事づくりになり、ホームレスが公園から1人ずつ減っていくことで大阪市民へのサービスになるという観点から、ホームレスの雇用を始めた。

ホームレスの人々が抱えるいろいろな問題は、借金、アルコール依存など様々だ。普通にホームレスを雇用するのではなく、ソーシャルワーカー・管理者・当事者の三者の協働作業により、雇用定着に向けて一人一人と向き合いながら、ひとつずつ問題を解決してきた。

大阪市の大規模公共施設では総合評価一般競争入札制度が導入されるようになり、加点方式で評価される。その評価には、金額だけでなく、雇用の内容、環境への配慮、施設への配慮などを総合的に見て、一番満点に近く、安い業者を選ぶ方式がとられるようになった。

今まで、美交工業は企業としては小さな存在だったが、この入札で評価され、大阪市役所の清掃を任されるようになった。そのことで従業員の意識も高まり、いろいろなことがらに取り組もうとさらに前向きに考え、進めてきた。

2005年に「大阪府ハートフル企業顕彰制度」で、美交工業の障碍者雇用がハートフル企業大賞を受賞した。受賞を機に、「小さな企業でも取り組んでいけば、注目してもらえる」、また「どんどん改善していこうとすることが、注目してもらえる」と気づいた。

次第に、「役に立ちたい」という想いが強くなり、徐々に取組み活動は広がっていった。

そんな矢先に、大賞をとったこと、障碍者や就職困難な人を雇用していることなどを評価され、遠方にある福祉施設から業務委託の依頼があった。

そこで施設の関係者と自社の雇用者とのより良い関係を築くために、「NPO法人たかつき」との協働による施設内での園芸福祉活動の実践を立案した。そして期待通り、施設内での職場環境が整った。しかしそれだけではない。施設利用者を対象とした園芸福祉活動は、施設側にとっても大きなメリットとなる。利用者への療法的な効果と、地域へのアピール、施設の地域貢献へと展開が期待できるものと考える。「役立ちたい」と想い、行動することで、コミュニケーションの大切さを実感することができる。

こうした小さなことの積み重ねが、さらにNPO法人釜ヶ崎支援機構とのジョイントベンチャーで大阪府営公園の運営管理をすることになった。NPOと民間企業との協働のメリットは、いろいろなことに挑戦していくうちに、NPOにとっては非営利事業のための資金調達により、さらに幅広い事業展開のための、市場への参入が可能になる。また、企業にとっては、社会的事業への投資となり、さらにこれが営業戦略になっていく。

社会のためにはじめたことが、会社のためになった。

CSR…企業の社会的責任は、会社の営業戦略としていけば、いろいろな展開が生まれてくる。美交工業であれば、顧客を満足してもらうサービスから全てははじまった。まだ今の時点では、他の同業社からは浮いているのが実情である。これを業界全体へと広げていくことが、これからの美交工業の社会的責任であると考えている。



▲左より、美交工業 福田氏、京のアジェンダ 21フォーラム 津村氏、
近畿労働金庫 法橋氏、環境市民代表 癘{氏


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