CSR先進企業実態調査(2009)有識者コメント(1) [2010年03月16日(Tue)]
「世界に誇る日本のCSR先進企業実態調査(2009)」へのコメント 株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立 直樹 CSRの取り組みに点数をつけることで、定量化、可視化に挑戦されたことはすばらしい試みであり、高く評価致します。 評価項目を設定する際には、近江商人の「買い手良し」「売り手良し」「世間良し」の「三方良し」をベースにされたとのこと。確かにわかりやすい考え方ではあるのですが、現在求められているCSRを完全にカバーできない部分もあります。したがって、今後はこれらに加えて「次世代良し」「働き手良し」といった観点を盛り込むと、現代的な視点でCSR先進企業の評価が可能になると思います。 各評価項目については、CSRの本質が「外から押し付けられた一律の義務や社会貢献」ではなく、「持続可能な社会を作るための企業の自発的な活動」であることから、より内容にまで踏み込んだ評価項目の設定が求められるのではないでしょうか。 例えば、「1-2-04:生物多様性への配慮」では、加点項目として「認証取得」や「里山保全」が挙げられていますが、CSRの本質な意味から考えると、認証取得という形式よりも、「原材料調達において配慮している」という実態が伴っていること、社会貢献としての里山保全よりも、本業に関連して「敷地管理で生物多様性に留意している」ことが、より望ましいと考えられます。 その他の項目においても、「2-2-20:有給・育児・介護等休暇取得に関する情報」では、「法定以上の休暇制度がある」だけでなく、「実際に取得されている」かどうかを評価すること、「2-3-01:外国人労働者の雇用に関するガイドライン」では、「適正な外国人雇用のためのガイドラインがある」だけでなく、「合法に外国人を雇用し、日本人との差別がない」「外国人労働者に必要な配慮をしている」といった実態まで評価することが望ましいと考えます。他の多くの項目でも同様です。 CSRでは、ガイドラインや規則の策定といった形式を整えることも重要ですが、それ以上にその中身が重要となります。一歩先を行くCSR先進企業おいては、実際に行われている取り組みの内容が充実していることが求められるのではないでしょうか。こうした点から、内容をより重視した評価項目の設定が求められます。 また、CSRへの取り組みには、簡単に取り組めるものから、多大なコストをかけて取り組む必要があるものまでさまざまなレベルがあります。取り組みの難易度を評価するのは難しいことではありますが、加算点を一律にプラス1点とするのではなく、重要度や取り組みやすさによって、配点に重み付けをすることで、より適切な評価ができるようになると思います。 自分たちの社会が抱える様々な問題に対して、自社の力をいかに生かすか。お金だけではなく、技術やノウハウ、人材、その経験や知識、そして世界に広がるネットワークなど、自社が持つあらゆる資産を活用し、社会を持続可能にシフトさせていく。そのような企業の特性を活かした取り組みが、今回の企業実態調査がきっかけとなって広がっていくことを強く望みます。 地道で大変なお仕事だとは思いますが、このような評価が企業の活動をさらに深化させると信じております。今後益々のご発展をお祈り致します。 以上 |