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[開催報告記]第2回CSR勉強会1 基調講演 [2008年04月02日(Wed)]
「サプライチェーン全体で進めるCSR」
〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション〜

2008年2月21日(木)、
日本財団ビルにおいて第2回CSR勉強会
「サプライチェーン全体で進めるCSR〜CSR調達とサプライチェーンコミュニケーション〜」
が実施され、企業のCSR担当者や調達部門の担当者、NPOなど、70名を超える参加がありました。


 基調講演1 「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」
            株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹氏
 基調講演2 「国際動向 ISO26000とSA8000」
            CSOネットワーク 共同事業責任者 黒田かをり氏
 事例発表1 「ソニーのCSR調達の取り組み」
            ソニー株式会社 CSR部 統括部長 冨田秀実氏
 事例発表2 「バンダイC.O.C監査について」
            株式会社バンダイ プロダクト保証部環境推進チーム リーダー
          佐藤正氏

 パネルディスカッション
            コーディネーター  ダイバーシティ研究所 代表 田村太郎

主催: 日本財団CANPAN運営事務局
協力: ダイバーシティ研究所


基調講演1 「CSR調達の現在とサプライチェーンにおける課題」


足立直樹氏(株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役)


商品の製造過程に着目するCSR調達

 多くの企業において、特にアジアの製造の現場でCSR調達が重要なテーマになっています。CSR調達は、QCD(quality:品質、cost:価格、delivery:納期)にP(process:過程)をプラスして、製品が作られる過程で、環境面、労働慣行、人権などの社会面への配慮がされているかについても着目するものです。

 サプライチェーンにおける環境面や社会面の配慮を推進するために、最終メーカーがまず一次サプライヤーへ自社が行うのと同じような配慮を求めます。さらに一次サプライヤーが二次サプライヤーに配慮を求めます。このように、次々とサプライチェーン伝いに要請がつながっていくことで、サプライチェーン全体が、広い意味では社会全体が、CSR調達によって環境面や社会面への配慮を行うCSR化が進むことになります。

NGOによるCSR調達の推進

 このようなCSR調達の動きは、労働搾取工場(スウェットショップ)であった低賃金労働、児童労働、強制労働、長時間労働、セクシャルハラスメント等の問題を、NGOが指摘したことがきっかけで始まりました。契約工場に発生している問題であっても、商品の不買運動につながるなど、ブランドの責任がクローズアップされるようになったのです。ナイキの契約工場へのNGOの指摘は良く知られています。

 Play Fair at the Olympicsキャンペーンは、スポーツ用品を生産する労働者の権利向上を目的としたもので、海外の3つのNGOが共同で行いました。海外企業だけでなく、アシックス、ミズノなどの日本企業の委託工場も指摘を受け、改善対応が行われています。

 企業ブランドが大きいほど、サプライチェーンが拡大するほど、問題が発生する可能性も高くなります。リスクマネジメントとして見たときに、CSR配慮がサプライヤーまでできているかどうかが、ビジネス継続のために必要になってきています。

中国における課題

 ここ数年、CSR調達で大きな課題として中国の問題があげられています。安全性や環境にも課題は見られますが、特に労働面の課題は顕著になっています。労働災害の高い発生率、都市部の労働者と出稼ぎ労働者との賃金格差、未経験工、児童労働、低賃金労働、長時間労働などです。

 中国においては、長い時間働いて出来るだけたくさんの賃金を受け取りたい労働者と、長時間働いてほしい企業との利害が一致するために、課題の解決は容易ではありません。

CSR調達で競争力のあるサプライチェーンを目指す

長時間労働は、不安定な注文や不完全な生産計画、やりなおし作業などが原因になっていることもあります。これらの問題を解決し、生産性が高まり、高い給与が払われれば、時間外労働を減らすことができるという調査結果もあります。

 社会面での様々な問題を解決していくためには、行動規範などのルールを決めるだけでなく、サプライチェーンのいろいろなレベルで十分なコミュニケーションをとり、一緒に改善していく姿勢が大切です。バイヤー企業とサプライヤー企業、ワーカーとラインマネージャー、ワーカー同志のコミュニケーションをスムーズにできるようにすることです。

 そしてさらに一歩進んで、サプライヤーに起こっている問題をサプライチェーン全体の問題としてとらえ、共に課題解決に取り組む(エンゲージメント)ことが重要です。こうしたことはサプライチェーン全体の信頼性向上につながりますから、CSR調達を通して競争力のあるサプライチェーンを目指すことができるはずです。



基調講演2 「ISO26000とSA8000」


黒田かをり氏(CSOネットワーク 共同事業責任者)

NGOのCSRへの関わり

 経済のグローバル化の急速な発展は、負の側面も持っています。地球全体の持続性を脅かす共通課題として認識されつつある途上国における貧困問題や労働人権問題などです。

 環境問題に関しては、NGOは企業への働きかけを比較的早い時期から行っていましたが、1990年代に入ると、人権や貧困問題に取り組むNGOがCSRに注目するようになってきました。当初は、企業行動の監視や不買運動など、対立的な働きかけが行われていましたが、最近では問題解決に向けて、より踏み込んだ働きかけが増えてきているようです。

 NGOのCSRへのかかわり方には、このような直接的な働きかけのほかに、NGOによる行動規範や基準作り、認証制度の開発などもあります。CSRレポート作成時に参考にされるGRIガイドラインや英国の非営利団体であるAccountAbilityが作成したAA1000シリーズ、その他に、FSC認証(森林管理協議会)、MSC認証(海洋管理協議会)、レインフォレストアライアンス認証(熱帯雨林同盟)、SA8000(労働・人権規格)などがその例です。

SA8000の概要

 SA8000は、1997年に策定された民間による国際的な労働人権規格です。

【SA8000要求事項】
1.児童労働の禁止
2.強制労働の禁止
3.労働者の健康と安全
4.結社の自由と団体交渉権
5.差別の禁止
6.懲罰の禁止
7.適切な労働時間
8.適正な賃金
9.持続的改善のためのマネジメントシステム

 2007年6月30日現在、1,373団体が認証を取得しています。政府が補助金を出すなど、認証取得を奨励している国もありますが、途上国の方が積極的に認証を取得している傾向があるようです。
*SA8000及びSAIに関する黒田氏による報告会の資料は、CSOネットワークのHP(http://www.csonj.org)からご覧になれます。

認証規格の抱える課題

 認証規格は、さまざまな課題を抱えています。まず、規格の林立と社会監査の重複によるサプライヤー企業の負担増加をあげることができます。次に、認証を取得が、労働者を取り巻く環境に、どの程度良いインパクトを与えているのかが証明されにくい点があります。さらには、認証取得企業の行動が、基準に適合していないのではないか?という、認証機関に寄せられる「認証の信ぴょう性」にまつわる苦情処理の問題もあります。

ISO26000の重要概念は「ステークホルダーエンゲージメント」

 ISO26000では、ステークホルダー・エンゲージメントという考え方が非常に重要な概念になっています。現時点での定義は「組織の意思決定に十分な情報基盤を提供することを目指し、ステークホルダーとの対話の機会を生み出すことを意図した組織の取り組みまたは活動」とされています。共通する問題解決のために求められるセクター間のエンゲージメント(積極的な関与)のことを指しています。

 地域社会の取り組みに関して、ISO26000は、多様なステークホルダーが一緒になって地域課題を解決するための非常に有効なツールとなるでしょう。

*詳しい内容は、CANPAN CSRプラスのコラムでご覧いただけます。
 「NGOとISO26000」  第1回  第2回  >第3回


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