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第二世代の重荷 [2012年06月06日(Wed)]

アンドラ・プラデーシュ州にはある程度のパフォーマンスを見込める州リーダーがいるため、外からの支援が集中しやすい、と前の記事で書いた。

ササカワ・インド・ハンセン病財団も例外ではない。

ハンセン病回復者の第二世代を対象に、安定した職業に就くための職業訓練プログラムを昨年から始め、そのパイロット対象地として選定されたのもアンドラ・プラデーシュ州。

7割〜8割の高い就職率を誇る民間の職業訓練センターと連携し、ハンセン病コロニーの若者が職業訓練を経て一般の職に就くことを目指す。

4人の男女がこれまでにトレーニングを修了し、ハイデラバード近辺で、チェーンのピザ屋、郵便の配達、洋服の販売などの職に就いている。


雇用先は、彼・彼女らがハンセン病コミュニティの出身者だということは知らない。
それは知られることがないよう、職業訓練センターのスタッフも気を遣っている。

RIMG2046_.jpg

(他県のリーダーを案内する、トレーニング受講中のコロニー出身の男性)



ハンセン病の差別がなくなる、
ハンセン病コミュニティ出身であっても、一般の人と変わりなく結婚できる、就職できる、
という社会が目指すべき理想。


少しずつそのようなケースも生まれつつはある。

例えば、マディア・プラデーシュ州リーダーのサラン氏の娘は、ハンセン病コミュニティ出身ではない男性と先月結婚した。
相手の男性と家族は、重度の障害を持ちながら州リーダーとして活躍する父親サランの姿に感銘を受け、結婚話がまとまったという。

例えば、自身もハンセン病回復者であるコリ氏は、マハラシュトラ州の総合福祉施設シャンティヴァンで、外部からボランティアに来る何百人もの学生たちに体験学習を提供するコーディネーターを務めている。

自分自身の背景を隠さずに、周囲に理解してもらい、社会の中で居場所を見つける。

それはそれで素晴らしいことだ。

でも、まだ社会に偏見が残り、受け入れる準備が整っていない中、それをすべての第二世代、第三世代の若者に課すのはあまりにも酷だ。

Mr.Nilkant_Koli__Photo_.jpg

(シャンティヴァンのコリ氏 写真提供:シャンティヴァン)



同じハンセン病コミュニティ出身の結婚相手をみつけ、日雇い労働などでなんとか食いつなぐのが大多数の若者の辿る道。

貧困の連鎖を断ち切るのは難しい。
それに加えて、「ハンセン病コミュニティ」というレッテルが、面接の度、住所を尋ねられる度ににつきまとう。


障害のあるハンセン病回復者である祖父母、親が生きているうちはまだいい。NGOやミッション系団体からの支援も届く。

が、年老いた祖父母と親はいつかいなくなる。

障害のあるハンセン病回復者がいなくなれば、それまで食べものや毛布を運んできた寄付者も来なくなる。


近い将来、「ハンセン病コロニー」というレッテルと、障害のない第二世代、第三世代だけが残される時がやってくる。

RIMG2038_.jpg


就職先で修了生の一人に話を聞いた。

トレーニングの中で最も重要なことは、「就職先を自分で探すこと」。

誰かにしてもらうのではなく、自分で道を切り開く力をつける。
それは、自己肯定感と自信につながる。

学んだ知識よりも何よりも、しゃべり方や表情が変わった彼女の姿をみて、同じコロニーから何人かがトレーニングの受講を希望しているそうだ。


「社会参画」は、言い換えれば、これまで暮らしてきたコミュニティの外に出て、ハンセン病のレッテルがつきまとわない世界に足を踏み入れること。

親や仲間が暮らす、外からの寄付への依存心が定着したコミュニティから、外に踏み出す勇気と行動力が本人なければ、実現しない。


仕事場は、生活の一部分だけであることは確か。

たとえばもし恋愛して、結婚して、親と会うということになれば、家族のことを隠し続けることはできないだろう。

でも仕事場では少なくとも、ハンセン病というレッテルを忘れることができる。

そして望むらくは、その背景も含めて理解してくれるような異性と出会うきっかけが、その世界にあれば。



ハンセン病という重いラベルは、もう背負わなくてもいいんだよ。

掴む気があれば、コロニーの外の世界に出るステップは、開かれているから。
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