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Nazibabad Kushtu Ashram その2 [2010年12月08日(Wed)]

翌日に住人を集めてのミーティングを行うことを約束して、その日は辞去。


翌日、再度午後2時に訪問。
午前中は物乞いをするため、2時からにしてくれ、と、時間帯は住人の方から指定があった。

同じようなことは別の場所でもよく耳にする。
「土日は(物乞いの)稼ぎがいいから、土日には来ないでくれ」、など。

それをSILFのスタッフは、「彼らの生活の糧を奪うことはできない」と、尊重する。
(そのポリシーは事業にかかわるスタッフ全員に一貫している)



集会所に敷物を敷いて(私たちが座るところは絨毯を二重にしてくれた)、住人12人が車座になって、ミーティングが始まる。

これまでの経緯について。

ヒヨコを買ったのかどうか?
どこから買ったのか?
育てた鶏はどこに売ったのか?
会計の記録はきちんとつけているのか?

10人に聞くと、10通りの答えが返ってくる。


「100羽の鶏を買った」

「どこから買ったの?」

「そのとき俺は布織りで忙しかったから、どこで買ったかは知らない」

・・・

「育てた鶏はどこに売ったの?」

「個人に売った」

「なんで市場じゃなくて個人に売るの? 誰に売ったの?」

「ここらの養鶏を一手にまとめている人がいるから、彼に売った」

「その人に会える?」

「150キロ離れたところに住んでいるから、会うのは難しい」

「連絡先は? 電話番号はわかる?」

「知らない」

・・・

「共同の銀行口座を設置しなきゃいけないことは知らなかった」

「事業を開始する前にワークショップで説明したでしょう? 資料にも書いてあったでしょ!」
(この辺りからだんだんリトゥの声が荒くなる)

「鞄から出してない」

「なんで鞄から出してないの? 紙で配ったのは、それをコロニーに持ち帰ってメンバーで共有するためでしょ?
出席したあなたには他の人に説明する責任があるのよ!」

「俺は字が読めない」

「じゃあ読める人に読んでもらえばいいじゃない!」

・・・

(※以上、会話の内容すべてヒンディー語のため、帰り道にリトゥ本人から聞いた解説と、その場の雰囲気からの推測です)


嘘をついているのは、明らか。

リトゥは、SILF事務局長のヴィニータや、理事のノーディーン博士や、選考委員のゴパール博士や、ひいては笹川会長の名前まで出して、説得にかかる。

「私一人で決めるわけじゃない。
数ある申請の中から、選考委員で選んで融資先のプロジェクトを決めてる。
あなたたちを信頼しているからこそ、これだけのお金を出したの。
きちんとした手続きを踏んで、責任を果たさなければ、ゴパールさんやノーディーンさんやササカワさんの期待を裏切ることになるのよ?

彼女(私のこと)は、日本のササカワさんのオフィスから来ている。
私にはお金を出している日本側に報告する義務がある。
きちんとした帳簿もなくて、どうやって報告できるの?」

(たぶん私が今回連れて来られた役割は、このプレッシャーを与えるため?)


だんだん怒られた小学生のように、住人の肩が落ちてくる。

流れる沈黙の時間が多くなる。



今後、養鶏のプロジェクトをどうするか。
継続するのか、それとも中止して返金するのか。


住人同士で話し合う時間をつくるため、一旦席を外す。
30分ほど経って戻ったら、集会所はもぬけの殻。

結局、誰も住人の意見をまとめて結論を出すリーダーシップのある人はいなかった。

結論は宙に浮いたまま、コロニーを後にした。



物乞いは、最も手早く、安定した収入源だ。
このコロニーでは、物乞いによる収入を全員で分配し、1週間で1人約130ルピーを手にすることができるとのこと。

煩雑な帳簿をつけることも、報告も必要ない。

若い住人の表情、目の色は違っていた。

でも、コロニーのリーダーといわれる人は、大体にして長老だ。
障害を持つ、物乞いをすることに慣れてしまった、新しい生業に挑戦するだけの気力も体力も衰えてしまった、高齢の人たち。

「働きたい」という意志を持つ若い人がいても、コロニーのコミュニティで生きていく以上、長老に逆らって自分だけ違う意見を主張することはできない。


SILFが行っている経済的自立のためのマイクロ・クレジット事業。

「インドのハンセン病コロニーから物乞いをなくす」
「経済的自立を実現して、尊厳のある生活を」

回復者を前にして、マスコミを前にして、数々の場面で行われる会長のスピーチで繰り返される言葉。

言うのは簡単だが、実現するのは難しい。

人々の意識を変えること。
長年、収入減となっていた物乞いから、他の生業に生活の基盤を移すこと。


SILFスタッフの苦労を垣間見た2日間でした。



高齢の障害者が歩くのを手伝おうと、杖に手を伸ばす男の子。
日本の療養所と違い、小さな子どもの声が響くのには明るい気持ちになる。

コミュニティーの中に暖かい連帯がないわけではない。
でも、それが新しい事業に関わることとなると、特にお金がからむと、意思形成が難しい。




ミーティングの背後では、注文を受けて絨毯を織るための糸を染める作業をしていた。
働く気がないわけではない。




この数か月間、コロニーで何があったのか。真実を知るのは、水牛のみ?



※ 同じウッタル・プラデーシュ州のヴァラナシで7日夜に爆発事件がありました。
正確な数字はまだ不明ですが、数人が死亡、40-50人が負傷したと報道されています。
距離が離れていることから特に影響はありません。
(が、引き続き、最新の情報入手と安全確保には細心の注意を払います)
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コメント
コメントありがとうございます。
このブログで最初に紹介する記事がうまくいっていない案件になってしまいましたが、成功例も紹介していきたいと思います。
また感想等聞かせていただければ幸いです。
Posted by: awa→superkumajiさん  at 2010年12月09日(Thu) 13:43

>言うのは簡単だが、実現するのは難しい。

本当ですね。

たいへんだなー、というリアリティを感じました。

読ませていただきありがとうございます。
Posted by: superkumaji  at 2010年12月08日(Wed) 15:08