<校内研修資料>
本校算数研究部研究途上の報告です。
問題解決型学習と脳科学知見型との指導過程比較表
(廿楽教諭作成)
Aパターン
@つかむ
・自力解決の時間を十分に確保し、コミュニケーションを軸にした練り上げを充実させる。
A考える
○問題文を読み、ノートに書く。
○課題をつかませる。
○「わかっていること」、「もとめること」を確認し、課題をつかむ。
○課題を既習事項と結びつける。
○図、表、数直線を書いてイメージをさせる。
Bやってみる
○答えの出し方を言えるようにする。
○他の方法を探す。
C比べる
○「にているところ」、「ちがうところ」を確認する。
○よりよい考えを確認する。
Dまとめる
○まとめを読み、ノートに書くようにする。
○次時の予告をする。
Bパターン
・作業指示、確認、賞賛をショートスパンで繰り返し行い教師主導でアルゴリズム(解き方)の方法を重視する。
@つかむ
○問題文を読み、ノートに書く。
・黒板視写
・強く濃く書くノート作り
・手足を動かす作業
○課題をつかませる。
・小刻みな問いかけ
・リズム、テンポの意識
○分かりきったこと、決まりきったことを発問し課題をつかむ。
・指差し
・隣同士の確認作業
・全員読み・追い読み・個人読み
A考える
○課題を既習事項と結びつける。
○図、表、数直線を書いてイメージをさせる。
○「見る・そっくり写す・声に出して読む」
・アルゴリズム(解き方)重視
Bやってみる
○教師とともに解決していく。
○読む活動の充実
○書く活動の充実
・手足を動かす作業
C比べる
・力強い語り
・30秒をこえない説明
・コミュニケーション
・本質に迫る問いかけ・切り返し
Dまとめる
○目標の振り返り、目標と正対
・手足を動かす作業
○次時の予告をする。
・達成感の確認
算数科指導過程と脳科学(試案)
桑原 清四郎
○算数の使命は「かしこい子ども」を育てること。
○ポイントは「できた」「わかった」「たのしかった」の経験を積み実力をつけること。
1 「できた」「わかった」「たのしかった」の経験が意欲を生む。
2 五感を最大限生かし、イメージ・アレゴリズム・トレニングをスパイラルして定着させる。
3 大脳基底核を刺激しながら意欲の側座核、記憶の海馬、情動の扁桃体、前頭前野を使って問題解決を図る。
4 算数は抽象性の高い学習である。思考を生かす新皮質の働きが中心であるが書く・応答する・発表するなど心と体を大いに使うべきである。算数的活動・素地的な学習活動というのは非言語の古い脳を使うと言うことである。。
5 「つかむ・考える・やってみる・比べる・まとめる」を軽重つけて展開する。
<授業展開との関わり>
@ 小刻みな問いかけ・簡単な問題
五感が総動員され、視床から新皮質全体を活性化する。イメージを生み、想起のネットワーク化を進める。記憶の定着も高める。また、基底核を刺激し脳幹のリズムを生む。脳幹網様体からでるドーバミンの神経線維が脳全体に伝わっていく。たたみかけるように質問しどんどん正解していくうちにドーバミンがでて楽しくなり、意欲が湧く。自ずと課題の把握もできてきます。主発問を活かすには小刻みな半発問とも言う。課題の追求は次の段階である
・「課題をつかませる」方法
イメージ想起を念頭に、@問題を書き・読み、さらに線を引く。A求めているのは何かをクリアーにする。B絵・図・線図などでイメージ図を書く。Cイメージ図から式をつくる。D計算する。E答えをかく。問題に正対すること。
・「分かっていること」や「求めること」の確認は課題をクリアーにする。確認をしないと曖昧に流される。
Aリズム、テンポの意識
リズム・テンポは生命活動の根幹である。セロトニンがでて心が安定する。逆に不規則だったり乱れていたら、体の調子が狂ってくる。授業にもリズム・テンポがあり、リズム・テンポが良いと脳幹・基底核・即座核を刺激しやる気を生みます。アップテンポだとドーバミンをどんどんだ出す。その結果、授業に集中でき、好奇心が起きる。個人にも学級にも学校にもリズムがある。
B指差し・ずばり質問
指差しは散漫になりやすい視覚を一点に集中させる。的確な発問は緊張感を生む。刺激が視床から基底核に入り、理屈抜きに注意力を喚起する。曖昧になった狙いを明確にする。
C隣同士の確認作業
お互いに確認しあうと、ハッと緊張して集中する。ノルアドレナリンが出るからである。できれば安心し、間違っていれば挑戦意欲が起きる。また、恥ずかしいという気持ちも生まれる。共感回路が作動し、社会性中枢が目覚める。扁桃体・上側頭葉・眼窩皮質から前頭前野の人間関係中枢に入ります。
・「考える」・・・手がかりなくして考えることはできない。最も強力な手がかりは本人の体験、次が既習学習である。それらを使って想起し、組み合わせ課題解決に活用する。
D黒板視写
児童は視写しながら「処理の仕方」を無意識のうちに獲得する。写す作業だけで問題の本質まで理解て゜きる。視覚領域をフルに活用するだけでなく、ウエルニッケ野、感覚野、運動野までほぼ脳全体、さらに手や指の機能まで活性化する。視写はwhere回路とwhat回路を統合して発達させる。書く度にミラーニューロンを活性化する。まね・模倣が共感回路のもとを作る。
E強く濃くきれいに書くノート作り
強く・濃くは脳を活性化しシナプスを増強します。きれいに書くと、真・善・美を刺激します。乱雑に書く人ほどケアレスミスが多くなる。それは、脳回路があやふやで曖昧となり、脳が混乱するからである。きれいに書くと自分でも気持ちが良いし、人から褒められるとやる気も出てくる。
F手足を動かす作業
作業学習や調査活動は基底核や即座核に作用し、作業興奮を起こす。ドーバミンがでるので楽しくなり、強化学習のサイクルを回す。手足を動かさないで脳を働かせることはできない。神経が手足の先端まで行き届かせることが大事である。全身が一体となって回路を形成しているからである。脳が疲れたら手足を使って回路を回す。やる気が出ないときでも、手足を使って動き出せば脳も動き出す。
Gショートスパンの評価
言葉は短く “よし”“うまい”“グー”程度にし、表情・しぐさ・手振り・身ぶりなどがショートスパンの評価である。これらが大脳の内奥にある基底核や大脳辺縁系に働く。
H短く力強い賞賛
短く・力強い賞賛が視床を通して基底核や大脳辺縁系に直接的に入る。当然気分が良いから扁桃体、記憶回路を回すため海馬、嬉しいから即座核、やる気も出るから即座核も働く。褒める回数は多いほど脳全体が活性化し教育効果は上がる。
I全員読み・追い読み・個人読み
「全員読み・追い読み・個人読み」にはそれぞれ目的がある。内容をつかむのが共通の目的です。「個人読み」は個人の活動だが、「全員読み」は自分で読み周りの人の読みを聞き声を合わせる。「追い読み」は競争も入り一段とレベルが高くなる。緊張感でアドレナリンが、安心してセロトニが出る。側頭葉にある帯状回を刺激しやる気を起こす。
Jコミュニケーション
コミュニケーションは人間の基本的欲求の一つです。人と人のやり取り、喜怒哀楽の情動や意思疎通である。成長していくためにはコミュニケーションは欠かせない。言葉が中心と考えられがちだが、実際は非言語によるコミュニケーションが大部分を占めている。言葉を使うのは脳表面をおおっている2〜3ミリの大脳新皮質だけで、あとは大脳基底核や辺縁系である。孤立無援、一人ぼっち、仲間はずれは辺縁系の扁桃体を傷つけ海馬にも悪影響がある。帯状回に社会性中枢があり、前頭前野に人間関係中枢があり、情動をコントロールし人間関係を円滑にします。
K力強い語り
自信のある力強い語りは子どもに影響力が大きい。自信のない曖昧な語りは子どもに伝わらない。単なる文字や言葉よりもリズムやテンポ、勢いや表情が伝わる。リズムやテンポで基底核に伝わらないと先に進まない。
L30秒をこえない説明
説明は短く端的が肝要である。説明が長いと言い回しや重複のため情報過多になり、「記憶の干渉」が起こり、子どもの脳は混乱し、何が何だかわからなくなる。1内容1文が分かりやすいと言われている。
Mアルゴリズム(解き方)重視
アレゴリズムは割り算「たてる・かける・ひく・おろす」のように掛け算や引き算のやり方、手順や方法である。十分時間をかけ丁寧に学習する。中途半端やあいまいは混乱を生む。ここがしっかりしていると確実に覚えられ、学力がつく。「わかった」だけでなく「できた」になる。扁桃体・海馬・側頭葉を軸に大脳新皮質も使い「手続き記憶」から「長期記憶」に移行する。
N本質に迫る問いかけ・切り返し
「アレッ、何かおかしい、変だ」という感覚は大事である。大脳基底核の働きである。その直感から発せられる鋭い発問・質問が問題の本質に迫ることができる。あいまいな返答には切り返し、大脳新皮質で具体化・精緻化していく。これができると授業は深くなる。大脳新皮質・前頭前野・辺縁系・基底核・脳幹まで脳全体を使っているときの学習ほど深く満足を与えるものはない。
O達成感の確認
「できた!」「やった!」は脳の表面、大脳新皮質からではなく、脳の内奥にある大脳基底核から発せられる。達成感は心からの叫びとなる。苦労に苦労を重ね、その結果、達成したときの満足感・成就感は大きい。確認は再認作用で、達成の喜びを増幅させる。その際、ドーバミンがでて強化学習のサイクルをまわす。