週刊 行ったり 来たり
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私が沖縄へ行ったのはずいぶん間のこと。ボラみみ以前に属していたNPO団体の時だったと覚えている。当時一緒だったスタッフに沖縄のことを色々教えてもらった記憶があるので。確かひめゆりの塔のあたりで、壕(ごう)で生き残ったひめゆり部隊の女性が当時の話をしてくれたのだ。薄暗い場所で淡々と語る姿は凛(りん)として凄みがあった。「軍の幹部が敗戦を自覚して自決し壊滅した時、部下は死体が転がる壕の入り口で女学生の自分たちに向かって “ここで解散。個人個人で帰宅せよ“と言った。自分の家がどこにあるのかも分からないまま死体がごろごろ無数に転がる地面を歩き出した、死体を踏みつけ跨ぎただただ歩いた。怖くもなければ悲しくもない何にも感じないまま、ひたすら歩き通した。」と。その話をしたとき彼女は八十歳になっていた。一番印象深かったのはその人の口紅が鮮やかな赤だったこと。その赤い色が軍への怒り、政府への怒り、こんな無様な最後になった怒り、これは何に向かって怒ればいいのか分からない憤りも含んでいたと思う。あれから十数年は経っているはずだが当時より沖縄は好い方向へ向かっているのだろうか?「沖縄 慰霊の日」の23日(日)、生き延びた人の真っ赤な口紅がまた鮮明に蘇った。(N)
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