週刊 行ったり 来たり
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四国の過疎が進む地域で、一人の女性がカカシを作って村のあちこちに置いている話は以前も聞いたことがある。この間そのカカシを見に世界各国から人が集まっているとテレビが報じていた。インスタグラムで世界中に広まったと聞いて作者の女性は「こんな田舎まで外国の人が見に来るなんて、どうもねえ」と戸惑いの様子。何もかも瞬時に世界中へ広がっていくという怖さを感じる。
90代の女性の脚本家は「先生も世界中の人と友だちになれるんですよ、やってみます?」と聞かれて、「暇な人が多いのねえ。私はいらないわ、顔も知らない友だちなんて」と即答していた。わたしは単純に、いやだなあ、と思う。ブログが始まったこ ろはまだ“未知の人と知り合う楽しさ”を味わっていたが、ここまでくると、怖いよねえこんなこと、と警戒心を持つ。料理研究家の辰巳芳子は以前から警告している。『自分の手と足を使って生活しない限り、よりよい暮らしは望めません。時代がどんなに進もうとこれは変わりない真実です』こうきっぱり言い切る自信は、自分が今まで90年以上を丁寧に歩んで来たからだろう。
さて、これからどうなってゆくのだろう、世の中は?特別に心配性ではない私さえ、楽しみよりも怖い不安な気持ちが先に立ってしまうこの頃である。(N)
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