年の暮れに [2017年12月30日(Sat)]
この12月 僕が 50年お世話になっていた医師が 医院を 閉じた 煙突は銭湯のものだ 営業している 理由は 先生が 高齢化したためだ 想ってみれば 50年以上 お世話になっていた 初めて先生の医院に行ったのは 僕が 19歳の時だから ホントウに 50年 イヤ 51年とチョッとの年月が経った訳だ 知り合った時 先生も 僕も 若かった 初めて その医院へ行った時の記憶は ぼやけている が 先生が おっしゃった言葉は 覚えている 「ぼくのトコ来れば 死んだ人も生き返るヨ」 と 笑いながらだったか おっしゃった 右下の方 ウッスラと昼間の月 ちょっと古い建物で 入り口まで階段が有った 神社の鳥居の前にあるような階段が有った そこを登って 入って行った だだっ広い医院だった 僕は 東京に来てから 随分と色んな所へ 引っ越したが 先生の医院も 幾度か 引っ越した 洒落た建物へと 引っ越して行った そのたびに 僕は 先生を辿って お世話になった 当然 初めて行った時の古い建物の場所は ぼくの住んでいる所から すぐの場所に有った 今は 少し遠くに医院を 構えていた 車で 一時間半くらい かかる この12月のある日 最後に行った時 受付のおばさんに 「先生に会っていく?」と聞かれた (この受付のおばさんにも 随分とお世話になったモノだ) 「じゃ 行ってみよう コッチへ お入りなさいな」 と言われて 受付の中へ 初めて入った 「こっち こっち」 受付の奥へ行くと エレベーターが有った 飛行機 音がしない 音が後から 聞こえてくる 三階に 先生は 住んでおられた エレベーターが開くと 先生は ガウンを着て ソファに横になり テレビを 観ていらっしゃった 僕が 行くと 起きようとなさるので 「そのままで 先生 そのままで・・・」 と言ったのだが 先生はテレビを消して ソファに座る形になった 実は 倒れられたと 聞いていたので 心配だったのだ 「君とは 随分 長い付き合いだったからなぁ」 と言って 先生は 笑った 握手をして 分かれて来た ハクモクレンのつぼみ 冬の準備か 綿毛のようなものに包まれている 帰って来る車の中で 僕は50年と云う年月を 想った 辿って考えると 僕は19歳 とすると あの時の先生は 30歳の終わりだったコトになる おそらく 先生の 医師としての人生を 僕は 患者としてだが 50年間見て来た事になる 先生も 僕の人生を50年間見て来た 過ぎてしまえば あっと言う間だが 半世紀 やっぱり 長くもあったと 思う いやぁ 随分と時間が経ってしまったんだなぁ しみじみと考えた 僕の人生の中での 人との出会い そのひとつ だ 大きなひとつ だ ここを通るたびに写している 今や紅くはなくなった 全く細いツル一本にぶら下がっている 今年の冬は 寒い 何故か 身体のシンから 冷える 体温の調節が 美味く行っていないのかな とも 思うのだが 実際に 気温が 低いようだ この二 三日 冬型の気圧配置になって 東京は 青空の日 乾燥の日々が続く様になった 川沿いを歩くと 様々な野鳥が木々に止まっている 喧しくさえずるのは ムクドリか 随分前から 11月から 今年はメジロを見ている カモはよくいる 春か 夏の初めか コガモが5 6羽ひょこひょこ 親ガモについて泳ぐのをよく見る スズメが激減している と 聞いているが このところ スズメの群れも 居る ただし 昔ほど大きな群れは居ない ほんの小さな群れだ スズメの群れを見ると 僕は ホッとする もっと もっと増えてくれ と 思う メジロは群れとしては まだ見ていない この三年 ベランダに 輪切りのミカンを セッティングしても 現れなかった 今年も セッティングしてみようかと思っている 一時 雨が激しかったが このところは降らない 川の水が 干上がって来た 溜まっているところを見ていると カワセミが 居る 綺麗だ サッと水に潜って 小魚を取っている このわずかな川の水も ドンドン干上がって来る 僕のカメラが悪いのです この中にカワセミが写っている だが よく分からない 寒い中歩きながら考えるのは 来年は LEG で どんな芝居に向かおうか と云う事に尽きる ボーっとして 一日が ただ過ぎて行く日も多いが・・・ 何とか 突き進んで行く 向かって行く その気概を失うと ヤバイ しかし 歳を取ると云う事は そのヤバさと戦う事 でもある 僕は 本を読むのが好きだから ソファに横になって 本を読んで 寝て また本を読んで ・・・・・なんてコトで 一日を過ごしてしまう 実は そんな日々も 多くなってきている その読む本の中から 芝居に向かう作品が生まれる事は 残念ながら 今までの僕の場合は 無かった 芝居の作品として 読む場合は はっきり そう思って読み始める ここにもカワセミが写っているのだが よく分からないな カワセミは 美しい ところが 近頃 特に カズオ・イシグロ氏の作品を 読み進んで この作品だって 芝居として向かう それは 可能だ ちょっと変えて 思い始めると 自分の世界は とても小さ過ぎるのではないか 自分で 自分を規制し過ぎているな なんて 思えて来た 僕の心を捉える作品には どんなものでも 向き合ってみるべきだし 可能性の困難を考える それを こそ まず排除すべきだ そんな事を考えていたら クラックラッして来た 理屈だが 可能性は 無限になる 僕は青空が好きなんだな もう 12月も終る と云う事は 今年は終る 次の年が 始る 時間に切れ目が有るのかどうか 僕には 分からないけれども 来年どうするかを 考える 勇気が要る パワーを心配しないコトだ もっと もっと もっとさ ! ! これを来年の目標にしようか と 思った もう一枚青空を 来年への願いは ただ ただ 平和であれ 願うのは 平和 平和だ |