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9月28日「全国木質バイオマス発電所動向と事例」勉強会の報告[2015年09月30日(Wed)]
 農都地域部会バイオマス発電事業化促進WGは、9月28日(月)夕、「全国木質バイオマス発電所動向と事例」勉強会を開催しました。
 →イベント案内

WG9月勉強会

 会場の港区神明いきいきプラザに約80名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
 第1部は、株式会社森のエネルギー研究所 取締役営業部長の菅野明芳氏により、「全国のバイオマス発電所地図から見る最新動向」のテーマで、講演が行われました。
 菅野氏は、森のエネルギー研究所が月毎に発表している全国木質バイオマス発電所一覧地図などの資料を元に、(1)ここが変わった FITの認定手続きと発電の現状、(2)「年間2,000万m3の未利用間伐材」は過去の話?、(3)材が足りない!既に新規の立地は困難?、(4)騙されるな!まともに稼働する小規模発電は少数などの内容について、丁寧にお話されました。

WG9月勉強会

 菅野氏の講演の概要です。
(1) FITの認定手続きとして、未利用間伐材等を使用燃料とする木質バイオマス発電事業を行う際、都道府県に事前説明を行うことが必須となった。各県の担当者は、供給余力と照合したうえで、新規の認定が出せるか判断する。設備認定の審査にあたり林野庁でヒアリングを実施するが、都道府県林務担当者、木材供給者(森林組合等)も同席して説明を行うことが必須となった。結果、都道府県の担当者の同意を得られない限り、FITの新規設備認定は不可能となり、既に5,000kW級の供給余力が無いと考えられる県では、2,000kW未満級しか認定できない可能性が高い。
 FIT設備認定における事前チェック事項として、「設備認定を受けるバイオマス発電施設から50km圏内の製材工場、製紙工場、発電所等を全てリストアップした上、聞き取り内容とその影響についてまとめて記載する」必要がある。既存の製材工場・製紙工場や、既にFITの設備認定を受けている発電所は絶対優位。

(2) 利用用途が無く山に放置される根元部・小径木・枝葉(通称D材・E材)は、通常1〜3割程度しか発生しない。また、不揃いでかさ張るため、A材・B材・C材よりコスト高。用材(A材及びB材)は、価格が低落傾向であり、A材・B材・C材の価格差が狭まる傾向にある。
 バイオマス発電用を中心とした燃料需要だけでは、通常は林業事業者は儲からない。高く販売できる用材(A材)の需要先が確保できるか、またはC材価格が現状のA材近くに上昇することが必要。

(3) 現在の素材生産量とバイオマス発電で見込まれる需要の規模との関係がアンバランスであり、隣県からの供給を加えるにせよ、計画と現実が乖離しており需要に供給が間に合わなくなることが予想される。前提として、そもそも未利用間伐材等の原材料が集まる見込みが立てられなければ発電所の新規立地はできない。地域内で既に5,000kW以上級の発電計画がある場合は、集荷が競合してしまうため事業が困難。

(4) ガス化炉、ガスエンジンによる発電は、まだ国内事例が少なく信頼性が薄い。現在、失敗事例について分析を行い指針をまとめている最中。蒸気タービン発電の場合は、技術が確立しており、通常は安定稼働が可能。
 ガス化発電は、規模が小さいほど採算が厳しいので、今後の制度改定として熱利用の方向性が考えられる。今後、エネルギー専用の山林があってもよいのでは。

WG9月勉強会

 菅野氏は、最後に本日のまとめとして、次の話をされました。
(1) ここが変わった FITの認定手続きと発電の現状
・2015年以降は、県の同意を得られないと森林バイオマス発電は事業化できない。
・既に他の発電計画が設備認定を得ている県では、新規の発電計画を認める余地が無い。
(2) 未利用材(間伐材・林地残材)の需給状況
・未利用材が2,000万m3/年というのは過去の話。供給余力は無くなりつつある。
・木材の搬出時には、A材(柱材等)・B材(合板材等)・C材(チップ材(製紙・発電用等)がセットで出てくる。C材のみを新たに搬出しても、通常は山側の利益にならない。A材・B材の需要先を増やすか、A材・B材の価格帯までC材の買取単価を上げないと、山への還元・再造林ができなくなる。
(3) 地域別に見た木質バイオマスの需給状況
・新規事業化が可能な規模は、集荷量の制約から、2,000kW未満級に限られる。
・未利用間伐材について、地域の素材生産側の供給体制と需要量がミスマッチの場合もある。エネルギー用途の丸太は上昇傾向が続き、競合の既存産業(オガ粉製造・熱利用)に影響も
(4)小規模熱電併給事業の展望と熱利用事業の展望
・政策の方向性は、2,000kW未満の熱電併給推進。経済性を確保する熱利用が必須。
・蒸気タービン発電は信頼性ある技術だが、ガス化発電は技術が未成熟でリスクも大きい。
・木の価値を総合的に高め、製材業と連携した木質バイオマスエネルギー利用が本筋。
・(国民負担の少ない形で)単純なバイオマス熱利用を推進することが有効と周知が必要。

 →菅野明芳氏の講演資料(PDF)

WG9月勉強会

 第2部は、株式会社トーセンエネルギー事業部の宮川俊哉氏により、「林業がつくる地方創生 〜再生可能エネルギーを利用して」のテーマで、講演が行われました。
 宮川氏は、株式会社トーセンを紹介するビデオ上映に続いて、会社概要と木材安定供給のための独自体制「母船式木流システム」などの説明と、那珂川バイオマス発電所の紹介をされました。

WG9月勉強会

 宮川氏の講演の概要です。
・トーセンは、木材利用の総合企業をめざしている。グループの製材工場は、栃木県内に13か所、県外に6か所ある。
・日本林業の現状と森林蓄積量の推移から、バイオマス利用を進める意義がある。
・バイオマス利用の取組みの一つとして、「木の駅プロジェクトなかがわ」がある。道の駅で形の悪い野菜を販売するように、製材に向かない材(森林未利用材)を集荷してきてもらうのが「木の駅プロジェクト」。相場以上の金額で、地元の商店でのみ利用可能な地域通貨で買い取ることで、森林整備だけでなく地域の活性化をめざす。
・バイオマス・ホフたかはら『木材のガソリンスタンド』は、木質チップや薪用丸太など、木質バイオマス燃料の供給基地である。オーストリアなどで導入されており、林家とのパイプを持たない一般の消費者が購入に訪れる。2014年8月からたかはら地区で、材の買い取りも行うバイオマス・ホフをオープンした。那須塩原市・宇都宮市の県内3ヵ所に建設予定。
・那珂川バイオマス発電所の那珂川モデルは、少子化の影響で廃校になった栃木県那珂川町立馬頭東中学校跡地を利用し、製材工場−発電所−熱利用ボイラーを一体としたモデル事業だ。
・バイオマスタウンバスツアーを行っているので、ぜひ参加して欲しい。
・これからの林業の為に、「エネルフォーレ50」を考えた。バイオマスエネルギーを軸とした50km産業圏バイオマスタウンプランだ。

WG9月勉強会

 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。バイオマスタウンバスツアーに参加したいなどの希望が多くありました。
 経済産業省が7月に決定した「長期エネルギー需給見通し」では、地球温暖化防止とCO2削減のため、バイオマス発電は非常に大きな比率となっています。世界屈指の林業・バイオマスのポテンシャルを活かすため、木質バイオマス発電・熱供給プロジェクトが全国的に注目を集めて進められています。今回も、再生可能エネルギーの新潮流についてじっくり考える機会となりました。WGは、引き続き、木質バイオマスエネルギーについて取り組んでまいります。
 講師の先生方並びにご参加の皆様、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 10:44 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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