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箱根山系列状間伐見学会の報告[2015年09月19日(Sat)]
 農都地域部会バイオマス発電事業化促進WGは、9月14日(月)、「箱根山系 列状間伐 見学会」を開催しました。

箱根の列状間伐見学

 今回のフィールドワークは、箱根山系で行われている列状間伐の施業地を見学し、林業の現場からバイオマス燃料調達の課題を考えるために実施しました。企画立案は、K-BETS副理事長の米谷氏。案内は、Bioフォレステーション株式会社の近藤亮介社長に引受けていただきました。
 長雨の時期でしたが当日は天候に恵まれ、会員など20名が参加しました。小田原駅に集合し、車に分乗して施業地へ向かいました。
 列状か間伐が行われているのは、小田原から大観山まで通じる箱根ターンパイク(高速道)の南斜面一帯。事業主は、山林の所有者のBioフォレステーション株式会社。

箱根の列状間伐見学

 最初に、大観山のスカイラウンジで、近藤社長からレクチャーを受けました。約900haある山林の多くは人工林で、樹齢は60年ほど。桧が9割で、残りは杉とのこと。

 次に、道路わきに作られた土場(どば)へ行きました。土場は、木材を集め、仕分けを行う場所。そこでは、架線上を無線操縦で動くラジキャリーや大型ウインチ、グラップル、フォワーダなどが忙しく動いていました。
 伐採は、施業地をいくつかのブロックに分け、そこに作業道を入れていく。まず、基幹となる直線の本道を通し、そこから横へ列状に間伐していく。数メートル間隔で列状に伐採し、本道に張った架線(ワイヤーロープ)を使った懸架方式で木材の搬出を行う。搬出後は、神奈川県森林組合連合会の木材市場に納入し、納入できない低質材はチップに加工してバイオマス発電所へ納入する、等々の説明がありました。

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

 架線集材の実際の様子を見学したほか、「Kシステム」というチェーン方式の新しい搬出法(実用化試験中)の説明もありました。

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

 また、土場の近くの高齢の人口林で、近藤社長からさまざまなお話を聞くことができました。
 箱根のように通常の林業に不向きのところに人工林はそぐわない。せっかくの高齢木だが、ここにあるような手入れを怠った木に値打ちは無く、全伐して造林するしか方法がない。
 神奈川県は、手入れが遅れた人工林を健全化するために、水源環境税(水源環境保全・再生のための個人県民税の超過課税措置)から、間伐と搬出に補助金を出している。神奈川県に限らず、いつのまにか林業は、自治体の補助金がないと木を伐れない構造となってしまった。
 当社では、補助金を活用していることもあり枝葉まで含めた全木搬出を行っている。枝葉・梢端・タンコロまで出すのは日本では珍しいと思う。

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

 神奈川ではこれだけ補助金が付いていても木を切る人が不足している。作業者に十分な収入を確保できないからだ。林業の技術不足が生産性を落とし、収入が上がらない状況が続いている。解決方法として、林業機械の開発や機械購入など集材技術の向上に補助金の使い道を向ける必要がある。
 また、最近は、バイオマス向けにたくさん切るので、C・D材の価格が急上昇し、A材が暴落している(例として、1万円から7千円へ)。林業家にとっては、バイオマスは迷惑という状況になっている。各地域の林業の形態にマッチしたバイオマス発電が必要だ。

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

 参加者から、搬出見込量や事業採算性、どうしたら林業を再興できるかなどの質問があり、近藤社長は、それらの質問へ丁寧にわかりやすく答えておられました。
 近藤社長に林業へ進出するきっかけを聞くと、本業の燃料供給事業で木材を仕入れる際、伐採・搬出を自分でやって見ないと原価が分らなかったから。Bioフォレステーションの保有山林では、神奈川県の補助制度ができた4年前に事業を開始した。大規模伐採、大規模発電を進めているように思われているが、これからは分散型コジェネの時代と考えている、と明快に答えてくれました。

 最後に、ターンパイクを少し下ったところで作業道を入れている現場を見学。先端にザウルスなどのアタッチメントを付けたユンボで道を切り開き、地盤が軟らかいところは砂利を敷く。次にKシステムで搬出するのはここを考えており、トルクがいまの3倍になれば十分実用的と思う、などの説明がありました。

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

箱根の列状間伐見学

 見晴らし台から見る列状間伐の現場は広大でした。4年前から行われてきた列状間伐の印がくっきりと見え、はるか彼方に午前中に訪れた土場が望めました。
 これからもずっと間伐が続けられることを願いますが、補助金が終ったら施業も止めざるを得ないと言う近藤社長の言葉が印象的でした。持続可能な林業へ課題は多く、複雑と思いました。

箱根の列状間伐見学

 参加者から、アンケートへ多数の回答をいただきました。
 印象に残ったことは?の質問に、「近藤さんの仕事ぶりに敬意を表します。日本の『山林荒廃』の現実を体感でき、真に貴重な一日でした。70年生の檜の人工造林の醜く不揃いな在りよう、木々の根っこの周りに生えるべき下草が全くない異様さ、林地の地面がふかふかで頼りなく、不健康そのものに感じられた等々己の五官で確かめられたことが何よりの収穫でした」、「林業者の視点からのA材、B材とバイオマスエネルギー用材の違いを肌身で感じることができた。補助金ありきの日本の林業の実態がとてもわかりやすい説明で理解できた」、「架線集材と作業道集材の両方を見ることができ、ありがたかった。各種補助金問題が林業の実態に合っていないことを認識できた」、「列状間伐の実情・実態が呑み込めた。バイオマス発電への燃料調達については悲観的な見通しを持った」などの感想がありました。

 列状間伐や燃料調達については、「神奈川・箱根の実態に合ったやり方が列状間伐だったということが良く分かった。それに合わせて、燃料調達(未利用材)の大変さが少しは分かった気がした」、「間伐して搬出して発電所、チップ工場まで運び込むのは、林業者にとって、間伐に補助金が付いてもまだ割に合わないケースが多いだろう。生産性向上に取り組んでこなかったため、非常に生産効率の悪い作業となっている。労働集約的なため、人件費がどの工程にも重くのしかかり、結果として売値が高くなっている」などの回答がありました。

 また、「2年後、3年後には、5,000kW前後の内陸立地の木質バイオマス発電所は、燃料供給者側の疲弊により、燃料不足が顕在化するのではないか(考えられる疲弊の例として、林道、作業道の設置により、伐りやすいところから搬出し、だんだん伐りにくい場所、搬出しにくい場所が残ってくる。伐採・搬出コストがかさむ。かさんだコストが売値に反映できない。就業インセンティブを失う)。これにより、複数の発電所で発電量が減る時間や日が出てくることから、売電収入が予測を下回るようになり、プラント建設債務の返済が滞るなどして、社会問題化する可能性がある。それを防ぐには、内陸の発電所でも輸入燃料の安定的供給体制が必要になる。そのほか、林野庁が高性能林業機械購入に補助金を出し、習熟のための職業訓練にも補助金を出して、集材コストを下げる施策を大々的に導入する必要があるのではないか」との意見もありました。

 今後については、「列状間伐でない、普通の間伐も見てみたい。何が違って、生産性はどうなるかの比較論として」、「高性能林業機械を導入して、生産性向上に成功しているところが、20〜30件程度ある。そういうところの方のお話も聴いてみたい」、「日本の地形に合った木材運び出しの取り組み、海外の効率化への参考例など知りたい。都市における熱利用に小規模でも無駄のない木質バイオマス活用事例を知りたい」、「日本の林業を採算ベースに持っていく仕組み、補助金に頼る問題点や改善策、その手助けとして木質バイオマスの役割を再度聞きたい」などの要望がありました。
 また、「10月13日勉強会への連続性が非常に有益です。近藤社長の切り口に共感できるところもあり楽しみです」という意見もありました。

箱根の列状間伐見学

 今回も盛況なフィールドワークとなり、バイオマス燃料と林業の関係について理解が進み、複数の視点で課題や解決策を検討できたとても有益な機会になったと思います。講師並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。

 バイオマスWGは、10月13日に、近藤社長ほかの講師を招いて、「バイオマス発電燃料の伐採と搬出」勉強会を開催します。詳しくは、こちら から。
Posted by NPO農都会議 at 19:43 | フィールドワーク | この記事のURL | コメント(0)
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