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6月29日「キャッシュフロー型林業経営」勉強会の報告[2015年07月29日(Wed)]
 バイオマス発電事業化促進WGは、農都地域部会と共同で、6月29日(月)夕、「キャッシュフロー型林業経営の奨め その1 〜制度の成立〜実践のために」勉強会を開催しました。
 →イベント案内

林業経営勉強会

 会場の港区神明いきいきプラザに約50名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。モデレーターは、日本林業技士会静岡県支部 支部長、バイオマスWG運営委員の北村淳子氏でした。
 第1部は、林野庁森林整備部計画課 首席森林計画官の宇野聡夫氏より、「森林法に基づく森林経営計画制度の概要」のテーマで、講演が行われました。
 宇野氏は、我が国の森林の変遷と森林管理の歴史から始まって森林法の平成23年改正のポイント、森林経営計画とその支援制度などについて、丁寧にお話しされました。

林業経営勉強会

 宇野氏の講演の概要を記します。
・森林は、国土保全、地球温暖化防止、水源涵養、生物多様性の保全、木材等の生産等、多面的機能を発揮している。平成13年における日本学術会議の答申では、貨幣評価が可能なものだけでも年間約70兆円(土砂災害防止・土壌保全で約37兆円等)の公益機能を果たしているとしている。
・我が国では、過去に過剰な伐採による森林の荒廃を経験したものの、伐採跡地等への植栽、保育、間伐等の森林整備の努力により、その回復を図ってきた。
 現在、森林面積は、約2,500万ha、国土の3分の2を占める。(開発で縮小したとも言われるが、ここ50年、安定的に推移)このうち、私有林が約1,500万ha(約6割)、国有林が約770万ha(約3割)。
 森林の所有形態は、小規模零細の構造(林家91万戸のうち、10ha未満が9割)。不在村森林所有者の増加等も進行。
・森林法(昭26年)で、森林計画制度等が規定され、運用されている。全国森林計画(国が策定、15年計画)は森林・林業基本法に基づく「森林・林業基本計画」に即して策定。地域森林計画(都道府県が策定、10年計画)、市町村森林計画(市町村が策定、10年計画)はそれぞれ上位計画に即し又は適合して策定。
・平成23年改正(一部平成24年度施行)で、以下が措置された。
− 森林経営計画(森林所有者等が策定、5年)
− 伐採及び伐採後の造林の届出制度
− 要間伐森林制度
− 森林の土地の所有者届出制度
− 森林経営計画作成者(認定を受けた森林所有者等)に対する直接支払制度
・森林経営計画制度(平成24年4月施行)は、面的まとまりのある森林を対象に、施業集約化・搬出間伐の推進、高効率な作業システム導入や効率的な路網整備を進め、持続的な森林経営を確保していくため、創設された。市町村長等による認定を受けると、各種支援措置を受けられる。
・森林簿は、地域森林計画を策定するための資料として、都道府県において整備が進められている。国交省で、国土利用計画の観点から、地籍調査も進められている。
・バイオマス燃料利用との関係については、木材需要の40%がパルプ・チップだが、国産材は17%に過ぎない。

 →宇野聡夫氏の講演資料(PDF)

林業経営勉強会

 参加者から、熱心な質問と意見がありました。その概要です。(○印:質問等、・印:回答)
○森林経営計画の認定は、まだ少ないようだが、その状況は如何か? 目標は?
・面積ベースで26%(私有林1,500万ha比)。(10年後、80%を目指したい。
○「バイオマス発電で禿山になる」、「伐採届出制度があるから防げる」等の議論があるが、どうか?
・過去のようなひどい状況にはならないだろう。
○外国企業の土地所有はどうか?
○木材の自由化の国産材利用への影響が大きいのではないか?
・自給率は、28.6%まで回復してきている。
○林業労働力は、5万人で底をうっている。
○立木は不動産だが、なかなか登記されない。
○林道は、土地収容法対象か? 路網整備でも補償されない。
・森林協会が判りづらくなっている。施業の効率化のため森林法の改正があった。
○森林は所有者が多く、森林経営計画も無いことが多い。
・所有の問題として、外国人買い、相続などがある。各行政機関にある所有者情報の共有を進めている。登記未確定が50%ある。

林業経営勉強会

 第2部は、一般社団法人日本森林技術協会森林情報グループ 森林クラウド事務局の吉田城治氏により、「森林情報の共有 〜森林クラウド:インターネットを利用した森林情報基盤の構築」のテーマでお話しいただきました。

吉田氏の講演の概要です。
・木質バイオマス発電事業を開始するまでの手順において、「導入可能性調査」がきわめて重要。
・しかし、このための森林・林業情報の現状は、アクセスできる森林情報が限られている、情報の更新がされていない、誰に問い合わせてよいか分からない等の問題がある。
・ほとんどの森林情報は、地理空間情報(位置が分かる情報)であり、GIS(地理情報システム)で利用するのが一般的で、「森林GIS」と呼ばれる。森林GISでは、主に森林簿・森林計画図を管理している。
・バイオマス発電事業で必要な情報は、資源の賦存量(必ずしも“質”は必要ない)、実際に利用可能な資源量、林道の整備状況などであり、森林GISで十分対応可能と考えられるが、以下の条件が整っていなければならない。
− 入手可能か?
− 最新の状況が反映されているか?
− すぐに利用できる形式になっているか?
 現状は、誰でも所有者情報を取得できるわけではなく、森林簿・森林計画図の更新も十分ではなく、利用できる形式は、都道府県でまちまちである。
・そこでインフラ整備の観点から、インターネットを利用した森林クラウド事業(林野庁補助事業、平成25年〜28年の4年間)に取り組んでいる。
 インターネットを利用した閲覧整備、伐採届の電子申請化、最新技術(地上レーザー計測、ドローン、全天球写真データの標準化など)の実証事業に取り組んでいる。試験的に公開データの配信も行っている(羅森盤)。

 →吉田城治氏の講演資料(PDF)

林業経営勉強会

 吉田氏の質疑応答の概要を記します。(○印:質問等、・印:回答)
○森林情報、誰が使うのか? 使う人がコスト負担をすべき。
○空中レーザーはコストがかかるが。
・経営計画を立てやすくなる。実行している県もある。なお、森林計画は、空中写真を元にし(5年に1回)、実測はしない。
○林野庁と国交省との情報の共有化は進んでいるか?
・徐々にではあるが進んでいる。利用には所有者情報が必要なので、国有林の森林情報は公開していない。GIS情報の規格が都道府県でバラバラだったりするので、県レベルでの共有は難しいところもある。公共的サービス基盤(インフラ)の整備が必要と考える。
○現場から見て貴重なお話だった。30〜40年の視野で考える必要がある。
・路網ツールもある。これからは、情報セキュリティが重要となる。

林業経営勉強会

 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。
 宇野氏の講演については、「今後の森林施策の重要なポイントであるだけに、もう少し詳しく知りたかった。現場でも生じる問題解決には、他の制度との兼ね合いもあり、またの機会にも説明をお願いしたい」、「森林経営計画が立てられた森林からのバイオマス材の搬出は、どの程度の割合が可能か? もう少し突っ込んで聞きたかった」、「伐採後は天然萌芽更新もしくは植林をしていく事が大切とのお話もあったが、燃料伍しては広葉樹の方が有望という点もあり、又、育成複層林をめざす背景もある中で、植林にはスギ・ヒノキを指定する地域があることが不思議に思っている」、「法律だけで間伐・植林を適正に行えないのでは。人手の確保が重要なのでは」、「森林経営計画を作ることで具体的に何が変わるかがよくわからなかった」などの感想、意見がありました。

 吉田氏の講演については、「非常に進んでいることに驚いた。現状、資源量の把握は針葉樹では進んでいると聞くが、ドローンや地上レーザ技術で雑木等の資源量が把握できたら良い」、「森林GISが実用レベルで利用可能となるには時間がかかりそうですが、将来が楽しみです」、「データ整備のコストをどう負担するか以外に、情報を無料提供ではなく高く売れないかの観点でも考えてみたいと感じた」、「踏査の必要性が欠けている」なその感想、意見がありました。

 林業経営、バイオマス活用、燃料調達についての質問には、「間伐材の搬出方法の生産性向上の検討が必要」、「材を出す人、出す会社の創出が大きな課題。発電事業に乗り出す事業者が自ら林業に乗り出すように積極的な誘導が必要と考える」、「燃料調達について、川上と川下の断絶はまだ大きく、意識の統一を如何に図るか難しい感じがする」などの回答がありました。

 今後やってほしい勉強会のテーマとして、「バイオマスエネルギー利用が林業経営にプラスになった事例を知りたい」、「限界集落の林業について状況や対策」、「自伐、熱利用について議論してほしい」、「バイオガス発電の実情と実践方法」などの提案がありました。

林業経営勉強会

 木質バイオマス発電・熱供給事業の課題となる燃料の確保を考えると、林業の安定性が重要です。今回は、林業経営の基本となる制度とその実情、新しい情報技術について、じっくり学ぶ機会となりました。今後も、燃料調達について、さまざまな視点から考えていきたいと思います。
 有意義なお話をしてくださいました講師の先生方、ご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 04:08 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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