ふくしま南相馬・相馬フィールドワークの報告[2015年05月25日(Mon)]
バイオマス発電事業化促進WGは農都地域部会と共同で、5月21日(木)・22日(金)の二日間、福島県南相馬市から相馬市、新地町の行政、森林組合、NPO等団体、石炭混焼の発電所などを視察するフィールドワークを行いました。
相馬地方を巡る視察ツアーは、農都地域部会が2012年7月に実施した相馬地方フィールドワークから3年ぶりです。今回は、4月27日に開催したふくしま勉強会1と、5月29日に開催するふくしま勉強会2の内容をフォーローするため、現地の方々からお話を聞き、復興の現状と今後について考えようと、部会とWGのメンバー8名が参加して行われました。
相馬地方を巡る視察ツアーは、農都地域部会が2012年7月に実施した相馬地方フィールドワークから3年ぶりです。今回は、4月27日に開催したふくしま勉強会1と、5月29日に開催するふくしま勉強会2の内容をフォーローするため、現地の方々からお話を聞き、復興の現状と今後について考えようと、部会とWGのメンバー8名が参加して行われました。
21日の最初の訪問先は、南相馬市役所でした。桜井勝延市長との面会では、まず4月27日勉強会での新エネルギー推進課長志賀様の講演のお礼を申し上げ、南相馬市の復興の現状や市がめざすエネルギー政策などについてお聞きしました。
市長から、原発事故から学んだことはエネルギーの地産地消が必要だということ、新エネビジョンを作り太陽光発電など再生可能エネルギー事業を積極的に進めている、県の森林整備事業として鹿島区で間伐が開始された、できることはどんどんやったら良いなどのお話がありました。
次の相馬地方森林組合では、武澤治平組合長から、間伐材(県産材)を海岸の防災林造成事業に使用している、東北電力原町石炭火力発電所(南相馬市原町区)では、2010年より、会津や中通りなど県産材のチップの混焼を始めているとお話がありました。相馬市のガレキ焼却施設の説明などもありました。
続いてお伺いした一般社団法人南相馬除染研究所では、箱崎亮三理事と、5月29日勉強会の打合せを行い、研究所設立の経緯や除染の実情、復興の課題、現在取り組んでいることと将来計画などの講演内容について、概要をお聞きしました。
箱崎氏からは、平成24年1月1日、放射性物質汚染対処特別措置法が施行され、放射性セシウム濃度が8,000ベクレル/kg以下の廃棄物は、特定産業廃棄物、特定一般廃棄物として市町村や民間事業者が処理することになったこと、平成26年9月以降、伐採指針により南相馬で間伐が始まったこと、林業は成り立たず木工団地にある製材所とチップ工場は休止していること、原町発電所の木質バイオマスの混焼は3.11前から県と相談して進めてきたことなどの説明もありました。
えこえね南相馬研究機構のソーラーシェアリング事業や今後の再エネの里づくりなどのお話もありました。
相馬市へ移動し、NPO法人ワークシェアリングこの指とまれの高橋和美理事長を訪問しました。3.11以降、高橋氏は東京の市民団体とネットワークを結んで復興活動を進めておられ、氏の考案した「みらくるキャップ」事業は農都地域部会も応援しています。
高橋氏から暖かい出迎えを受け、市議会議員の方をはじめ地元の皆様と懇談しました。5月29日勉強会では、高橋氏に被災地で暮らす日々とこれからの取組みについてお話いただきますが、その打合せも行いました。
22日は、午前中、相馬共同火力発電株式会社(東北電力と東京電力の折半出資)の新地発電所(相馬郡新地町)を訪問し、相馬港の専用埠頭の石炭クレーンや木質ペレット専用クレーン、バイオマスサイロ、ベルトコンベアーなど発電所構内を見学しました。東日本大震災の津波が押し寄せる様のビデオ上映もありました。
その後、荒良昭業務グループマネージャーから、発電所の概要(100万kW×2基など)や木質バイオマス混焼(カロリーベースで最大3%)の導入の経緯、課題について説明をお聞きしました。石炭混焼発電所訪問が今回の視察ツアーの目的の一つだったことから、混焼率のアップなどについて簡単な意見交換を行いました。
相馬市役所では、生活環境課の竹岡博之係長から、工業団地内に建設した震災ガレキの焼却炉について説明をお聞きしました。環境省事業として焼却炉3基と除染フィルターを設置して平成26年11月まで稼働し、ガレキや枝葉、牧草・堆肥等の処理を行ったこと、山側の地区から出る枝葉は焼却時の排ガス検査でも問題なく、減容した灰も特定一般廃棄物のレベルだったこと、建設にあたっては、市内70区の区長さんたちと議会の理解を得られ、
平成26年4月・6月には周辺企業を訪問し説明を行ったこと、住民には広報誌で適宜に説明を行ったことなどのお話がありました。
参加者から、「南相馬市役所、森林組合の話は有意義で、期待していた以上に学ぶことがあり喜んでいる」との声がありました。
「南相馬市の現状に関して、現地の皆様方の生の声を聞き、ニュース等の媒体で認識していた実態と大きく乖離していたことに戸惑いを感じた。また、原発事故を受け主体的に脱原発を掲げ、様々な事柄にチャレンジしていく精神に深く感銘を受けた」、「相馬共同火力の話及び見学は有意義だった。さらに原町火力と合わせ、フォローしたい」、「石炭混焼バイオマスの難しさを改めて認識した」、「相馬市内の震災で発生したがれきの処理は全て焼却炉で終了したことを、市職員の説明で確認できて復興が少しずつ進んでいる実感を覚えた。相馬市のNPOと何か復興に係る事業を考える積りです」などの感想もありました。
前日の午前8時に東京を出発し、夜8時に東京へ到着することができたのは、常磐自動車道の全線開通により往復の所要時間が短くて済んだおかげでした。東京から相馬地方へ行きやすくなり、今後復興の加速化に積極的に参加したいという参加者の反響もありましたが、往路は放射線量5マイクロシーベルト/時、復路は7マイクロシーベルト/時の表示もありました。
ツアーの途中では、震災ガレキこそ見当たりませんでしたが、除染ゴミを入れたフレコンバッグが目につきました。沿道の立ち入り禁止となっている区域では、放置され荒れ果てた田畑や瓦が剥げ落ちた民家などが見え、事故の被害の深刻さをあらためて考えさせられました。
今回、南相馬・相馬の多くの方々から貴重なお話を伺うことができました。行くことによって得られたことがたくさんあったと思います。それを今後に生かすことが、現地の方々から与えられた宿題と思いました。
引き続いて、5月29日ふくしま勉強会2「ふくしま南相馬の暮らし、農林業のいま」勉強会を開催します。このフィールドワークの報告も簡単に行います。ふくしま復興にご関心をお持ちの皆様は奮ってご参加をお願いします。
(参考)
→4月27日「ふくしまの森林・バイオマス」勉強会の報告
→12月2日「ふくしまの現在(いま)を考える」ミニ勉強会等の報告
→相馬地方フィールドワークの報告 その3
→相馬地方フィールドワークの報告 その2
→相馬地方フィールドワークの報告 その1
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