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7月19日地域型バイオマスフォーラムの報告[2019年07月30日(Tue)]
 NPO法人農都会議は、分散型エネルギー推進の活動をしている全国の団体と共同して、7月19日(金)午後、「地域型バイオマスフォーラム 〜バイオマス分散型エネルギー創出による地域サービスを考える」を開催しました。
 →イベント案内

7月19日共同フォーラム

分散型エネルギー関係団体 共同イベント

地域型バイオマスフォーラム

−バイオマス分散型エネルギー創出による地域サービスを考える−

▽バイオマス7団体が系統連系などで国に共同提言
   フォーラム開き「地域持続とバイオマス」など議論

 バイオマスを生かして地域創生と地球環境の保全を進めるバイオマス関連7団体は7月19日、東京の国立オリンピック記念青少年総合センターで「地域型バイオマスフォーラム〜バイオマス分散型エネルギー創出による地域サービスを考える〜」というテーマの共同フォーラムと、7団体がまとめた国に対する「共同提言に向けた『地域型バイオマス推進に向けた基本的考え方』」(以下、「基本的考え方」と略す。)を説明する記者発表を開催しました。
 このうち「基本的考え」は、バイオマスが再生可能な資源で、環境対策や災害時の緊急対応にも活用できるなどの特徴を列挙したうえで、バイオマス発電事業の自立化が図られるまでのFIT制度の継続、熱電併給(コージェネレーション)の推進、系統連系の強化などの要望を盛り込んでいます。記者発表には全国紙、通信社、専門紙など8社が参加しました。

7団体共同提言「基本的考え方」ダウンロード PDF版Word版

7月19日地域型バイオマスフォーラム プログラム(A3両面、PDF)

 一方、今回が初めての開催となる共同フォーラムでは、まず増田寛也・東京大学大学院客員教授が開会挨拶に立ち、「7団体の共同提案はSDGsの理念を映し国の今後の進むべき方向性を示すもの」とお話しされました。

 基調講演では、中島恵理・環境省環境計画課計画官が共同提案の内容にも通じる環境省の『地域循環共生圏』という考えを説明し、今後の進め方について講演されました。

 続けて基調講演した高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授は、「日本の農山漁村は、再生可能エネルギーを地産地消するだけでなく、地域外に供給することを通じて人口減少、高齢化などその地域の多様な課題を解決してほしい」と述べられました。

 パネルディスカッションには8人が講師として登壇し、「熱を生かして農業の6次産業化を図るべきだ」「地域のニーズをどう市場化するかが、地域持続の最も大事な論点」「バイオマスを電気や熱から見た価値だけでなくの社会的価値からも評価を」など様々な角度からの提言がなされた。最後に環境省の中島氏からバイオマス関連7団体と今後も意見交換の場を持ちたい、という提案が出され、関係者から歓迎の意向が示されました。
 同フォーラムは有料にも関わらず、一般から約230人の方が参加しました。

◇今回共同フォーラムを開催したのは下記の7団体です。
 (一社)日本有機資源協会(JORA)
 バイオガス事業推進協議会(ガス協)
 (一社)日本木質バイオマスエネルギー協会(JWBA)
 (一社)日本サステイナブルコミュニティ協会(JSC-A)
 (一社)日本シュタットベルケネットワーク(JSWNW)
 NPOバイオマス産業社会ネットワーク(BIN)
 NPO農都会議(NOUTOKAIGI)




<共同フォーラム:基調講演・パネルディスカッションの詳細>


【開会挨拶】

▽7団体の共同提案、SDGsの理念映し国の在り方示す

 増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授/日本サステイナブルコミュニティ協会代表理事会長

7月19日共同フォーラム

 環境問題とエネルギー問題にかかわってきた7つの団体が共催して、グローバルな視点からこれからの国の在り方を考え、提言することは大きな意味がある。日本の急速な少子高齢化、人口減少に歯止めをかけ、首都圏への人口集中に歯止めをかけるために2014年12月に内閣に設置された『まち・ひと・しごと創生本部』は今年12月に5年の事業期間を迎え、2020年から第2期に入る。第2期ではSDGs(持続可能な発展目標)、ソサエティー5.0、外国人との多文化共生という考えが盛り込まれるだろう。そうした時期にSDGsの考えを随所に取り入れた7団体の「共同提言」が発表されたことはとても意義のあることだと考えている。分散型エネルギー源を地域で確保し、それを熱電併給(コージェネレーション)や系統連系、そしてテクノロジーを強化することでコストも下げて行こうという考えは評価でき、これからの国の在り方を示すものである。

【基調講演1】
演題:「バイオマスを活用した長野県における地域循環共生圏の取組」
講師:中島恵理・環境省環境計画課計画官(前長野県副知事)

7月19日共同フォーラム

 環境省に入省後、2011年4月から2年間長野県環境部温暖化対策課長を2年間、環境省に戻った後の2015年4月から4年間、長野県の副知事を経験した。また環境省などに勤務する傍ら、長野県富士見町に18年前から住み、「食・住まい・エネルギー」の自給を生活の中で実践する「地域循環共生圏型エコライフ」を送っている。
 長野県は2013〜2020年の8年間を計画期間とする「長野県環境エネルギー戦略」を策定し、SDGsを環境、経済、社会の3つの側面から実践する取り組みを行っている。調査したところ農産品などの販売で県外から入ってくる収入は年間3,000億円だが、石油など化石燃料購入などで県外に流出する金額は同4,000億円と1,000億円も上回った。
 そこで太陽光発電、小水力発電、バイオマス発電、グリーン熱(太陽熱、地中熱、温泉熱等)といった自然エネルギーの活用にまず乗り出した。再生可能エネルギーによる発電に意欲はあるものの、資金調達が困難な事業者の初期投資を支援するため「収益納付型補助金制度」を創設し、普及を後押ししている。
 一方、環境省では地域の取り組みと歩調を合わせ、地域資源を持続可能な形で最大限活用し、地域が「自立分散」「相互連携」「循環共生」できるようにする「地域循環共生圏」という政策理念を作った。同理念の実践を通して脱炭素化とSDGsを推進する。この地域循環共生圏を事業化していく過程で今回のバイオマス7団体とも連携していきたい。

【基調講演2】
演題:「再生可能エネルギーの現状と政策課題〜地域型バイオマスへの期待」
講師:高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授

7月19日共同フォーラム

 再生可能エネルギーはFIT(固定価格買取制度)の下で導入が拡大し、2017年度で再エネは電源構成の16%を占めた。水力を除く再エネで見ればFIT導入前の2011年度の3倍になっている。
 2018年7月に「第5次エネルギー基本計画」が策定され、再生可能エネルギーの「主力電源化」が盛り込まれたことで経済産業省の再エネに対する取り組みは腰が据わってきた。
同じ再エネでも、太陽光と風力については急速なコストダウンが見込まれるのに対して、地熱、中小水力、バイオマスについては地域との共生を図りつつ、緩やかに自立化に向かうものとして、両者を再エネとして一括りにせず分けて考えている。
 事業用太陽光のFIT買取価格は2019年度で1kWh当たり14円と2030年度に目標設定していた価格水準にすでに下がっている。
 再エネに関する技術特許の累積シェア(2016年末)を見ると中国29%、米国18%、EU14%、そして日本も14%でEUとほぼ肩を並べる。
 事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業「RE100」として登録された企業は2019年7月現在で世界に188社。このうち日本企業が20社を占める。経済誌「東洋経済」2019年5月に実施した電力に関する企業アンケートでは、電力の安定供給や価格よりCO2排出係数の低い電力の供給を求める回答が最も多かった。また産業立地においてCO2を排出しないことが企業の立地選択の重要な要素になってきた。
 日本の農山漁村は食料や資源を供給する重要な役割りを持つ。再生可能エネルギーを地産地消するだけでなく、その再エネ資源を地域外に供給することを通じて、脱炭素社会への転換に貢献すると同時に、人口減少、高齢化などその地域の多様な課題を解決することだ。
 今回、7団体による共同提言が発表されたが、今後もこうした提言を出してほしい。


【第2部 パネルディスカッション】
テーマ:「バイオマス分散型エネルギー創出による地域サービスを考える」
モデレーター:
・NPO法人 バイオマス産業社会ネットワーク理事長 泊みゆき氏
パネリスト:
・群馬県上野村前村長 神田強平氏
・(一社)徳島地域エネルギー常務理事 羽里信和氏
・バイオガス事業推進協議会事務局次長 小川幸正氏
・日本サステイナブルコミュニティ協会発起人、持続可能経済協会代表 熊野英介氏
・東京工業大学特命教授・先進エネルギー国際研究センター長 柏木孝夫氏
・(一社)日本木質バイオマスエネルギー協会副会長 加藤鐵夫氏
・NPO九州バイオマスフォーラム事務局長 中坊真氏
・(一社)日本有機資源協会事務局長 嶋本浩治氏

7月19日共同フォーラム
〔壇上席順、敬称略〕 泊 嶋本 中坊 加藤 柏木 熊野 小川 羽里 神田

泊:本日の「基本的考え方」では、バイオマスの特徴として再生可能で生態系保全や国土保全に寄与でき、燃料購入費用を地域に還元できることを挙げ、さらに地産地消のエネルギーとしてエネルギー供給の強靭化(レジリエンス)と災害時の緊急対応に活用できるなど優れた点を列挙した。しかし実際のバイオマス発電は輸入の木材などを使ったものが多く、これでは地域の経済循環にもあまり寄与しない。こうした問題もあることを前提に議論を進めます。

▽「真の地産地消型エネルギー」で議員連盟結成

柏木:太陽光や風力は変動性が大きく、発電量だけでなく市場価格が乱高下することもあった。その点、バイオマスは調整用電源として優れている。自民党の古屋圭司・衆議院議員が今春「真の地産地消型エネルギーシステムを構築する議員連盟」を結成し、その考えが「骨太の方針」と称される「経済財政改革の基本方針」に盛り込まれることになった。政治の世界でも再生可能エネルギーへの関心が高まっている。
神田:2年前まで上野村の村長をしていた。住民は1200人と群馬県では一番小さな自治体だが、地域外から移住してきた人が2割ほどを占めるなど、人口減に歯止めがかかりつつある。林業を生かした雇用の場作りが功を奏した。

▽徳島、九州でバイオマスの熱利用広まる

羽里:徳島地域エネルギーは2012年、再生可能エネルギーの普及を目指して一般社団法人として設立した。バイオマスによる熱を使うことを目的にしていて、発電はしていない。オーストリアのフローリン社のバイオマスボイラーを導入している。熱も需要の変動が大きいので、熱を貯める蓄熱タンクを導入し、需給を調節している。
中坊:九州では竹も含めてバイオマスの熱利用が広がっている。熊本県では農業用ペレットボイラーが140台、宮崎県でも同様のボイラーが90台稼働している。熊本県球磨村ではバーク(樹皮)ボイラーが、同県南関町では竹・バークボイラーが動いている。鹿児島県は鰹節生産で薪を使うこともあり薪の生産量は日本一。九州は温かい地域だが薪の需要が高く、薪ストーブのユーザーも増えている。

▽JORA、JWBAも熱利用を後押し

嶋本:日本有機資源協会(JORA)は地域でバイオマス事業を推進する「人材育成」にも力を入れ、プラスチックからの代替を進める「バイオマーク事業」も扱う。農林水産省など関係7府省で進めるバイオマス産業都市の推進協議会の事務局を務めている。同産業都市は今年6月までに83市町村を選定している。推進協議会では熱利用の促進、レジリエンスの強化に力を注いでいく方針だ。
小川:バイオガス事業推進協議会は2002年に自治体、事業者、学識経験者などで設立、現在の会員数は118会員。バイオガスの原料は地域で発生する畜産糞尿、食品残渣、下水汚泥などの有機性廃棄物。バイオガスプラントは全国で約600〜700施設と推定され、またFIT認定件数は210件で認定容量は約8万kW。2030年に向け2倍の16万kWへの拡大を目指している。
加藤:日本木質バイオマスエネルギー協会(JWBA)は木質バイオマス利用による発電・熱供給に取り組む事業者、燃料材供給事業者、林業関係者、自治体などで2015年に設立し、現在会員数は352。熱利用に必要なバイオマスボイラーの国内の導入数は2016年で約2,000台。オーストリアの27万台などと比べ普及が進んでいない。熱の配管は経験がないという工事業者も多く、建設・工事コストを押し上げているためだ。技術者の養成、知識の啓蒙など課題は多い。

▽地域のニーズをどう市場化するか

熊野:日本サステイナブルコミュニティ協会発起人、そして持続可能経済協会代表という2つの立場で参加した。このうち持続可能経済協会はパリ協定締結後の2017年に民間有志が20名ほど集まり結成した。人口減少、高齢化、地域の持続といった社会問題に民間の立場で対応するのが目的だ。結論を言えば実装を進めるのは1企業では無理で、色々な企業と連携しない限り難しいということ。地域のニーズをどう市場化するかの努力が大事だ。
泊:ブルクハルト社のガス化コジェネ機を使い木質バイオマス発電所を稼働させている上野村の現状と課題について神田・前村長にお聞きしたい。
神田:発電機は約180kWという小型のもの。初期投資額の問題から村内には当初反対の声もあったが、リスクを恐れるより木材という地域資源の需要を広げ、雇用の創出にも生かせるバイオマス発電に挑戦することで意見がまとまった。国にも資金面で相談したら真剣に受け止めてくれ、後に補助金を付けてくれた。現在の課題は廃熱を使った発電について、ノウハウや技術を手に入れること。エネルギー効率を高めたい。

▽熱を生かして農業の6次産業化

中坊:熱の利用は義務付けないと日本では広まらない。熱を使って果物をドライフルーツにするなど農業の6次産業化に使うこともできる。
羽里:海外のボイラーを見ていると小型化され、まるで家庭電化製品のようなボイラーもある。日本でもそうしたものが出てくれば、家庭での熱利用がもっと高まる。
加藤:広葉樹は針葉樹と比べ枝葉が横に大きく広がっているため、いちいちチェーンソーで枝葉を切る手間が針葉樹の何倍もある。そのコスト高の要因をなくすには、木を切るのではなく砕くといった発想を取り入れることが生産性向上の1つの解決策となる。また、イニシャルコストの低減が重要。
熊野: 地域の未利用資源を安定供給するための仕組みづくりを、ICT(情報通信技術)を使って作ることが、様々な可能性を広げる。

国立オリンピック記念青少年総合センター

7月19日共同フォーラム

〔討論のまとめ〕
泊:基調講演をされた中島様、高村様にパネルディスカッションで考えられたことをお聞きしたい。

▽省庁と民間団体で意見交換の場が必要

中島:環境省が進める地域循環共生圏の政策遂行の過程で、本日フォーラムを主催されたバイオマス関連7団体の皆様と意見交換する場が作れたらありがたい。

▽バイオマスの社会的価値評価を

高村:バイオマスを電気や熱から見た価値だけでなく、社会的価値も含めて総合的に評価することが大事。持続可能経済協会代表の熊野さんが言った「社会ニーズをどう市場化するか」という言葉のように、現場にこそ地域づくりのカギがあると感じた。

▽すでにあるものをうまく使う

泊:バイオマス業界は省エネルギー診断士など、すでにある資格や制度、人材をうまく使うのが下手。ゼロから作る必要はないのです。モデレーターを担当しながら、皆さんが持つ「知恵の共有化」の大事さを感じた。


7月19日共同フォーラム

【講評】

▽持続可能な地域づくりでバイオマスの役割に期待

 (一社)日本シュタットベルケネットワーク理事 村岡元司氏
 持続可能な地域をどう作るかという課題がある中で、バイオマスの役割がとても大きいということが本日のフォーラムを通じて明らかになった。討論の中で泊氏が指摘していた「今あるものをうまく使うことが大事」という言葉が印象に残った。7団体が共同でフォーラムを開催した意味は大きく、今後、関係省庁も含め話し合える場を持ちたい。

7月19日共同フォーラム

【閉会挨拶】

▽共同提言、今秋にも肉付け版

 NPO法人農都会議 代表理事 杉浦英世氏
 有料で開催した今回の共同フォーラムに200人を超える方が参加してくれたのは、バイオマス関係7団体が集まることに対する期待と応援の表れかもしれない。報道関係者も全国紙や通信社、専門紙、雑誌を含め10社が来てくれた。フォーラムを、全国各地域の団体とも意見交換できるプラットフォーム作りのきっかけとしたい。7団体は月毎に意見交換の場を設け、今回の共同提言「基本的考え方」に肉付けした提言を改めて出す考えだ。これからもご縁をつないで、持続可能な地域づくりを一緒に進めたい。
Posted by NPO農都会議 at 11:40 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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