5月9日「森林環境税と路網整備」勉強会の報告[2019年05月12日(Sun)]
NPO法人農都会議 バイオマスWG/農都交流・地域支援Gは、5月9日(木)夕、「森林環境税どう使う? 林道整備の方向性 〜山から木を出す施策・新技術と路網整備を考える」勉強会を開催しました。
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会場の港区神明いきいきプラザに約70名の参加者が集まり、講演・質疑とディスカッションが行われました。
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会場の港区神明いきいきプラザに約70名の参加者が集まり、講演・質疑とディスカッションが行われました。
第1部は、まず、林野庁森林整備部整備課課長補佐の岸功規氏より、「新たな森林管理システムにおける路網整備の方向性」のテーマで、講演がありました。
岸氏は、森林の現況・生産動向、望ましい森林の姿(森林・林業基本計画)、森林整備の意義、所有形態と所有者の意欲の低下、所有者不明森林や境界未画、新たな制度により期待される効果などを説明し、森林環境税の財源としての考え方、森林環境譲与税額と市町村・都道府県への譲与割合・譲与基準、森林環境譲与税と既存政策の両者による森林整備等についてお話しされました。
また、路網の区分・役割・例、路網整備水準、望ましい路網整備の考え方、林内路網の現状と整備の目安、路網整備に活用できる予算措置などのお話もありました。
続いて、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会会長、東京大学名誉教授の酒井秀夫氏より、「路網整備の現状と課題」のテーマで、講演がありました。
酒井氏は、林道を作る際は地質を考えることが重要、流れ盤は崩れやすいが受け盤は崩れにくいので路に適している(古い集落は受け盤に作られている)、谷筋は路を上げ、尾根筋は下げる、排水なども考慮しながら作る必要がある、破砕帯を横切る時は防護ウォールを使う、路を作れないところもあると、活断層帯などの豊富な図表や事例を元に丁寧に説明されました。
また、路線測量の時に机上で地質を見極めるのは難しい、現場の工夫を生かして設計変更が柔軟にできれば良いが会計検査に通らないのでそのまま工事してしまう、無闇な急勾配や行き当たりばったりが日本では多いとお話しされました。
最後に、アジア航測株式会社執行役員・総括技師長の矢部三雄氏より、「航空レーザ計測情報を用いた効率的な路網整備と林業成長産業化」のテーマで、講演がありました。
矢部氏は、空間計測のあれこれ、レーザ計測と写真計測との違い、森林調査手法の比較、新しい森林調査・管理方法、森林GISとタブレットアプリの活用、要間伐林の特定、具体的な路網計画への活用について、傾斜区分図の作成、地盤情報の取得(赤色立体地図)、伐区、土場、出材量の推定、作業道設計などについて説明されました。
また、政府が進めるG空間事業によるICT林業の姿について、準天頂衛星活用で計画段階で丸太の径級・長級毎の本数・材積を見積ることが実現できる、ハーベスタ情報からフォワーダの積荷場所・時刻を指示することも可能になるとお話しされました。
第2部は、「山から木を出す施策・新技術と路網整備を考える」をテーマにディスカッションが行われました。
コメンテーターはNPO法人蔵前バイオエネルギー理事長の米谷栄二氏に、モデレーターは株式会社つくば林業代表取締役の松浦晃氏にお願いしました。
ディスカッションでは、林業者やバイオマス発電事業者、コンサル会社など参加された方々から熱心な質問や意見が出され、講師から丁寧な回答がありました。東京チェーンソーズの青木代表は、付加価値を上げる施業のやり方をお話しされました。講師からは次のまとめがありました。
酒井氏は、林業は素材生産者よりも加工・流通に付加価値が偏っている、流通を透明化して山元に還元するようにしたい、森林環境税・譲与税がそのきっかけになれば良い、今年から譲与税がスタートするが国民の目に晒されるわけで林業界は心する必要があると話されました。
岸氏は、行政は効率的に材が出ることを考える、酒井氏は崩れにく路を作る、矢部氏はICT活用のお話をされた、いずれも非常に考えさせられたとお話しされました。
矢部氏は、航空レーザなどの新測量技術への理解がようやく広まり受注が増えてきた、環境税が追い風になる、林業はクレバーが必要な産業なのでクレバーな人が目指すようになれば生産性も上り収入も増えると話されました。
農都会議は数年来、「山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?」をテーマに勉強会とフィールドワーク、提言取りまとめに取組んできましたが、今回、新たな森林管理システムの始動のタイミングに合わせて勉強会を企画しました。大勢の参加があり、森林環境税の使われ方について具体的に考える大変有意義な機会になったと思います。
講師の皆さま並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
岸氏は、森林の現況・生産動向、望ましい森林の姿(森林・林業基本計画)、森林整備の意義、所有形態と所有者の意欲の低下、所有者不明森林や境界未画、新たな制度により期待される効果などを説明し、森林環境税の財源としての考え方、森林環境譲与税額と市町村・都道府県への譲与割合・譲与基準、森林環境譲与税と既存政策の両者による森林整備等についてお話しされました。
また、路網の区分・役割・例、路網整備水準、望ましい路網整備の考え方、林内路網の現状と整備の目安、路網整備に活用できる予算措置などのお話もありました。
続いて、一般社団法人日本木質バイオマスエネルギー協会会長、東京大学名誉教授の酒井秀夫氏より、「路網整備の現状と課題」のテーマで、講演がありました。
酒井氏は、林道を作る際は地質を考えることが重要、流れ盤は崩れやすいが受け盤は崩れにくいので路に適している(古い集落は受け盤に作られている)、谷筋は路を上げ、尾根筋は下げる、排水なども考慮しながら作る必要がある、破砕帯を横切る時は防護ウォールを使う、路を作れないところもあると、活断層帯などの豊富な図表や事例を元に丁寧に説明されました。
また、路線測量の時に机上で地質を見極めるのは難しい、現場の工夫を生かして設計変更が柔軟にできれば良いが会計検査に通らないのでそのまま工事してしまう、無闇な急勾配や行き当たりばったりが日本では多いとお話しされました。
最後に、アジア航測株式会社執行役員・総括技師長の矢部三雄氏より、「航空レーザ計測情報を用いた効率的な路網整備と林業成長産業化」のテーマで、講演がありました。
矢部氏は、空間計測のあれこれ、レーザ計測と写真計測との違い、森林調査手法の比較、新しい森林調査・管理方法、森林GISとタブレットアプリの活用、要間伐林の特定、具体的な路網計画への活用について、傾斜区分図の作成、地盤情報の取得(赤色立体地図)、伐区、土場、出材量の推定、作業道設計などについて説明されました。
また、政府が進めるG空間事業によるICT林業の姿について、準天頂衛星活用で計画段階で丸太の径級・長級毎の本数・材積を見積ることが実現できる、ハーベスタ情報からフォワーダの積荷場所・時刻を指示することも可能になるとお話しされました。
第2部は、「山から木を出す施策・新技術と路網整備を考える」をテーマにディスカッションが行われました。
コメンテーターはNPO法人蔵前バイオエネルギー理事長の米谷栄二氏に、モデレーターは株式会社つくば林業代表取締役の松浦晃氏にお願いしました。
ディスカッションでは、林業者やバイオマス発電事業者、コンサル会社など参加された方々から熱心な質問や意見が出され、講師から丁寧な回答がありました。東京チェーンソーズの青木代表は、付加価値を上げる施業のやり方をお話しされました。講師からは次のまとめがありました。
酒井氏は、林業は素材生産者よりも加工・流通に付加価値が偏っている、流通を透明化して山元に還元するようにしたい、森林環境税・譲与税がそのきっかけになれば良い、今年から譲与税がスタートするが国民の目に晒されるわけで林業界は心する必要があると話されました。
岸氏は、行政は効率的に材が出ることを考える、酒井氏は崩れにく路を作る、矢部氏はICT活用のお話をされた、いずれも非常に考えさせられたとお話しされました。
矢部氏は、航空レーザなどの新測量技術への理解がようやく広まり受注が増えてきた、環境税が追い風になる、林業はクレバーが必要な産業なのでクレバーな人が目指すようになれば生産性も上り収入も増えると話されました。
農都会議は数年来、「山には木が沢山あるのに、なぜ出ないのか?」をテーマに勉強会とフィールドワーク、提言取りまとめに取組んできましたが、今回、新たな森林管理システムの始動のタイミングに合わせて勉強会を企画しました。大勢の参加があり、森林環境税の使われ方について具体的に考える大変有意義な機会になったと思います。
講師の皆さま並びにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
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