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2月11日森林資源活用セミナー in相模原の報告 [2019年02月17日(Sun)]
 NPO法人農都会議は、2月11日(月/祝)午後、いばらき里山・バイオマス協議会と共同で、「森林資源活用セミナー 〜森林環境税で変わる森林・林業、津久井産材活用に向けて」を開催しました。
 →イベント案内

2月11日相模原セミナー

 東丹沢山塊の広大な山林を擁する相模原市では林業関係者や行政が「津久井産材」の利用拡大を進めています。本セミナーは、都市近郊の山林の現状を知り、新たな森林管理システムと森林環境税の導入がもたらす林業・木材産業への影響、新税活用の課題などを学ぶため、地元旧津久井郡の林業・木材産業関係者のご協力をいただいて開催しました。
 相模原市橋本の「サンエールさがみはら」に約70名の参加者が集まり、セミナー立案者の株式会社つくば林業代表取締役、NPO法人農都会議理事の松浦晃氏の司会・進行で、講演と質疑応答、ディスカッションが行われました。

2月11日相模原セミナー


 第1部は初めに、東京大学大学院農学生命科学研究科教授の白石則彦氏より、「成長産業を目指す新しい地域林業の形ー新たな森林管理システム導入と林業木材産業の動向」のテーマで講演がありました。

2月11日相模原セミナー

 白石氏は、我が国の森林・林業の現状(戦後人工林が増加した理由)、森林・林業再生プランの新たな方向性(森林・林業再生プランの特徴、いま素材生産が活況というが‥‥)、林業経営研究、最新の成果、地域における取り組みについてお話しされました。

 また、新たな森林経営管理制度の目指すものとして、
・管理の必要な人工林を、3つに分類して管理していく。それらは、@森林経営計画、A意欲と能力ある事業体に委託、B市町村が管理
・市町村が森林管理の中心となる。森林は地域の資源である。国が国策として国土緑化・資源造成を指導する時代は終わった。道具立ても整えた。これからは地元から知恵を出すことが求められている
・地域で林業を振興し、森林資源の活用、事業体の育成、人工林の若返り、雇用の確保などを目指す
・森林環境譲与税の用途は、@森林整備、A人材育成、B木材利用
と、詳しく説明されました。

 まとめには、地域の産業である林業の望ましい形を描いてみるとして、
・林業は単体で繁栄できない。地域に有力な加工施設が不可欠
・林業経営の採算性は、主伐・間伐とも、伐採区画の大きさに影響される。所有界でなく、合理的な大きさを確保すべき
・作業道の開設、機械化は必須
・林業はさほど儲からない。しかし林業経営を放棄して山林を売却しても大したお金にならない。
・相模原市は市場に近く、人口も多く、人工林も多い。森林環境譲与税の使い方が非常に重要である
と、丁寧に述べられました。

 次に、元国立森林総合研究所、博士(農学)の藤森隆郎氏より、「森を守り地域の自然を生かす意義―持続可能な森林管理」のテーマで講演がありました。

2月11日相模原セミナー

 藤森氏は、「森林(林分)の発達段階に応じた機能の変化」表がすべての基本であること、「目標林型」の必要性、木材生産の原理、長伐期多間伐施業の利点などについてお話しされ、適切な路網の作設は生産設備の先行投資、各段階の間伐収穫材を(地域で)集約し用途別、需要先別に仕分け合理的な流通に努める、そのために協業が大事と説明されました。

 まとめには、豊かな農山村とは?として、
・その地域の自然を活かした循環型社会であり、雇用があること
・循環とは、物質の循環、エネルギーの流れであるとともに、その地域で循環し、集積するお金、資本である
・そのことが担保されつつ、都市部、世界と物質、エネルギー、お金、人との健全なつながりがあること
と、熱意を込めて述べられました。

 参考資料として、藤森氏のレポート「森を守り地域の自然を生かす意義」を、こちらから閲覧 いただけます。

 そして、東京農工大学名誉教授の塚本良則氏より、「森を愛し山で育った僕が思うこと」のテーマで講演がありました。

2月11日相模原セミナー

 旧相模湖町千木良(ちぎら)生れの塚本氏は、私が見たチロル(オーストリア・スイス)の林業、底沢(相模原市千木良)の林業今昔、山の干ばつと水の話、林業の未来は明るい方向に向かっていると、お話しされました。
 また、ホワイトボードを使って、大面積の間伐はチッソ量が増えて(30ppm→800ppm)、良くない。施業地に広葉樹がある場合は森林バランスのためにも伐らずに残すのが良いなどと説明されました。

 その後、株式会社カタログハウスソロー事業部長の千葉慶一氏がプレゼンを行いました。

2月11日相模原セミナー

 千葉氏は、荒廃した山の再生、健全な森づくりを続けるため、山林取得の適地を探した結果都市圏と山地のギリギリ境界の茨城県石岡に工場を建設した、社有林から自社で間伐した丸太を利用し、ペレットを製造している、出口戦略としてペレットストーブを販売し全国的販売網を構築した、価格競争に陥らないよう個人客を対象としたブランド戦略をとっている、めざすのは「森林生態系サービス業」と、お話しされました。

 最後に、ナイス株式会社 コーポレートコミュニケーション室長の宮川敦氏が「地域材利用拡大に向けたナイスグループの取り組み」のテーマで、つくば林業代表の松浦氏が「ナイスの森・相模原鳥屋 施業報告」のテーマでプレゼンを行いました。

2月11日相模原セミナー

 宮川氏は、全国8カ所(1,981ha)の社有林「ナイスの森」を持つナイスグループの主要事業は流通と住宅。全国の製材品の安定供給体制を構築し、ジャスト・イン・タイムの商品納材できる流通プラットフォームを有すると説明されました。
 また、森林の若返りに向け「A材」の利用を推進、中大規模木造建築の取組を強化し「木造ゼネコン」としての一貫対応を推進とお話しされ、新国立競技場の材料供給と工事受注、ゼロエネルギータウン開発など多数の事例を紹介されました。

 松浦氏は、神奈川県相模原市緑区鳥屋のナイス社所有林での搬出間伐・森林作業道開設について説明され、鳥屋地区の施業の特性とポイント、森林経営管理制度による期待される効果、森林整備の意義などについてお話しされました。


 第2部は、質疑応答と「森林環境税で変わる森林・林業―津久井産材活用に向けて」をテーマにディスカッションが行われました。

2月11日相模原セミナー

 パネリストは、第1部講師の白石氏、藤森氏、塚本氏、千葉市、宮川氏に加えて、津久井郡森林組合代表理事組合長の佐藤治男氏でした。コーディネーターは松浦氏でした。

2月11日相模原セミナー

 佐藤組合長は、この辺りは広域合併して相模原市緑区は前は津久井郡と言い林業が盛んだったが、いまは衰退産業の部類に入るが、森林環境税で地域の森林整備が進み、林業を続けていけるようになれば良いと、お話しになりました。

 会場の参加者とのやり取りでは、「鳥屋では、かつては木材を全国へ出荷していたが、自由化以降は逆に海外から横浜港へあがる材が鳥屋に入っている、森林行政により林業がダメになっている」との質問に対し、白石氏から、「自由化は材の下落ではあるが、国内だけでは需要を賄えない現実があった、それ以外にも為替変動もあり、自由化だけが原因ではない。林業には、苗代、消耗品、人件費等にすべて補助金が出ていることを考えてほしい」と回答されました。

 フリーディスカッションでは、千葉氏は、「バイオマス(C材)の需要増により、千葉ではA材とC材の価格が同じになっている」と話をされ、宮川氏は、「住宅着工は減るが非住宅で木利用をカバーしたい。広葉樹の需要増で価格が上がっている。当社は製材工場の機械に入らない大径木を残さずに使うつもりだ。若齢木が極めて少ないので切るだけでなく植える必要がある。経済と環境のバランスをめざして、SDGsのメインは15番の陸の豊かさと思っている」と説明されました。

2月11日相模原セミナー


 当初の案よりゲストスピーカーの人数が増え、時間は不足気味でしたが、多様な視点で考える有意義な機会になったと思います。
 4月から森林環境譲与税が開始されます。新たな財源の誕生により、いままで滞りがちな林道・作業道整備や林地残材の搬出、林業機械の開発、木材の販路開拓、バイオマス燃料の供給拡大、人材確保、森林体験等ツーリズムへの参入など、森林整備と林業・木材産業活性化への期待が高まっています。しかし、譲与税の配分を受ける自治体や林業などの現場では、まだ具体策が決まってないというところが少なくありません。譲与税による森林整備等の実例が見えてきた頃に、あらためてセミナー・勉強会を開きたいと思います。
 講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 17:14 | バイオマスWG情報 | この記事のURL | コメント(0)
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