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10月26日第1回官民交流勉強会の報告[2016年11月08日(Tue)]
 NPO農都会議バイオマスWGは、10月26日(水)夕、第1回官民交流勉強会「そこが知りたい! 日本の環境・再生可能エネルギー政策 〜持続可能な木質バイオマス発電を考える」を開催しました。
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10月26日官民交流勉強会

 市民、企業の現場から提言を取りまとめているNPO法人農都会議は、省庁をまたがる政策課題について、複数官庁の担当者からお聞きし議論できる場として、「官民交流勉強会」を企画し、第1回は、「そこが知りたい! 日本の環境・再生可能エネルギー政策 〜持続可能な木質バイオマス発電を考える〜」のテーマで、バイオマス発電を取り上げました。
 会場の港区神明いきいきプラザに約60名の参加者が集まり、講演とディスカッションが行われました。官と民(省庁、自治体、企業など)がバイオマスエネルギーの普及と展開をどのように進めていくのか、興味深い内容をお話しいただいたと思います。

 第1部は、環境省、林野庁、資源エネルギー庁の三氏による講演が行われました。
 最初は、環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 地球温暖化対策事業室 室長補佐の中村俊一氏により、「地球温暖化対策におけるバイオマス発電について」のテーマで、講演が行われました。
 中村氏は、地球温暖化対策から捉える木質バイオマスエネルギーの活用と、バイオマス発電に関する技術開発・実証事業の事例紹介などについてお話しいただきました。

10月26日官民交流勉強会

 中村氏の講演内容を一部ご紹介します。

(1) 地球温暖化対策
・日本政府(環境省)は、地球温暖化対策計画(我が国唯一の地球温暖化に関する総合計画)を平成28年5月13日、閣議決定した。下記のような約束を着実に実施して成果を実現することにある。

(2) バイオマス発電の関連施策
・平成28年度再生可能エネルギー電気・熱自立的普及促進事業(木質バイオマス関連)事例紹介。
 −隣接する公共施設で共用している重油ボイラーを木質チップボイラーに転換
 −林地未利用材を原料利用し、一貫体制を確立
 −自伐型林業推進策として一般家庭へ薪ストーブ導入補助金制度創設など
・平成25年〜26年に全国9拠点で実証事業展開。
 −山口県周南市・宇部市等:竹材利用
 −福島県いわき市・南相馬市:被災地の木質バイオマス利用の技術実証

(3) CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業
・民間に委ねるだけでは必要な技術の開発が進まないものについて、CO2排出削減効果が相対的に大きい技術の開発・実証を進め、早期の実用化を図ることにより、CO2排出大幅削減を通じた低炭素社会の実現を目指す。
・バイオマス・循環資源分野におけるバイオマス発電関連技術開発。
・石炭焚ボイラーのCO2排出量と電源別発電電力量構成比。

(4) 木質バイオマス資源の持続的活用による再生可能エネルギー導入計画策定事業
・木質バイオマスの賦存量に応じた再生可能エネルギー使用設備の導入等の計画を策定し、その計画に基づき設備を導入することでCO2排出量の削減を図る。
・地域内で資源・資金が循環することで、地域の活性化が図られるとともに、森林等の保全・再生活動も促進され、「低炭素・循環・自然共生」の総合的達成を図る。


 続いて、林野庁 林政部 木材利用課 木質バイオマス推進班 課長補佐の杉崎浩史氏により、「木質バイオマスのエネルギー利用の状況と林野政策」のテーマで、講演が行われました。
 杉崎氏は、増加している木質バイオマスのエネルギー利用の状況と、林野政策から捉えるバイオマス燃料の持続可能な利用の在り方などについてお話しいただきました。

10月26日官民交流勉強会

 杉崎氏の講演内容を一部ご紹介します。

(1) 戦後日本の森林政策と森林・林業・木材産業の概況現状基礎的な数量推移
・昭和20年代に、戦前・戦後の過剰な伐採地に植林、さらに昭和30年代に、広葉樹林を伐採し、杉・檜の拡大造林を推進した。
・日本は世界有数の森林国。国土の3三分の2二にあたる2500万haが森林。

(2) 木材の利用状況と新しい利活用策
・木材自給率は、平成14年の19%を底に平成26年に31%までに回復(、目標は50%)。更に以下の施策で需要拡大の兆しがある。

(3)森林資源の活用による地域経済の活性化と課題
・森林資源の有効活用による林業の成長産業化と地域経済の活性化のシナリオには、国産材の安定供給と木材の需要拡大の双方が必要。
・製材等向けのA、B材と未利用材のC、D材のバランスが重要。C、D材の供給を増やすには、製材木材等用のA、B材の需給要を増やす必要がある。

(4) 木質バイオマス発電
・現在、主に未利用木材利用のバイオマス発電施設事業は新規認定済みが70件、うち稼働中が29件。
・バイオマス発電施設が増加する中、各地で材の供給を懸念する声。施設検討の際は、地域の材の需給状況等を十分確認し、安定的に未利用材が供給できるか等、よく検討することが必要。燃料供給の課題は運搬コスト高。
・燃料を確保するには、5000kWでは半径約50km、2000kWでは半径約320Kmの範囲の森林から調達する必要があると例示される。地域の実情に合った発電規模での検討にすることが必要。

(5) 木質バイオマスの熱利用
・木質バイオマス発電におけるエネルギー変換効率は、通常20〜30%以下と言われる。一方、ボイラー等の熱利用の場合は70〜80%程度、改善には熱利用が必要と言われる。
・限られた森林資源を有効に活用し、効率的なエネルギー利用を行うためにも、地域における熱の利用が重要を推進したい。

(6) 木質バイオマスエネルギー導入に向けた主な検討手順と検討事項
・木質バイオマスのエネルギー利用に取り組むには、事前の準備・調査と計画設計を十二分に行うことが不可欠。以下の手順と内容等を確実に実施することが重要であり、しなければならない。検討過程では、必要に応じて立ち返って検討し直すことも必要。


 最後に、資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー課 課長補佐(総括) の呉村益生氏により、「木質バイオマスを巡る現状と課題」のテーマで、講演が行われました。
 呉村氏は、エネルギー政策から捉えるバイオマス発電の将来像、再生可能エネルギーの最大限導入(エネルギーミックス)に果たすバイオマス発電の現状と課題、FIT制度等エネルギー政策の行方などについてお話しいただきました。

10月26日官民交流勉強会

 呉村氏の講演内容を一部ご紹介します。。

(1) FIT制度の意味と再生可能エネルギー政策
・まず、何故、再エネを推進するのかを確認したい。それは、エネルギー自給率、地球温暖化対策、地域経済活性化の観点からである。この再エネ事業については、将来的にFIT後自立化した電源として競争力のある電源となることができるかどうかが最大の課題である。
・エネルギーミックスでは、電力コストを現状よりも引き下げることとし、2013年度9.7兆円、から2030年度9.1〜9.4兆円程度としており、燃料費等で削減した3.7〜4.0兆円を再エネの投資にあてることとしている。
・FIT制度は、2012年7月開始され、3年半で再エネ導入量が2.5倍に増加した。一方で、太陽光中心の導入が進み、国民負担の増大の懸念が課題となった、また、電力システム改革と連携した広域融通の拡大等制度の見直しも検討され、FIT法改正が行われた。
・改正FIT法の主な内容は、新認定制度の創設、コスト効率的な導入、中長期的な買取価格目標の設定、リードタイムの長い電源の導入、減免制度の見直し、送配電買取への移行などである。
・これにより、再エネ最大限の導入と国民負担抑制の両立を図りつつ、エネルギーミックスの2030年、22〜24%の達成に向けて取り組むこととなる。

(2) 木質バイオマスの現状と課題
・FIT制度の下での木質バイオマス発電は、順調に拡大しているものの、一部の地域では燃料の需給逼迫や価格上昇への懸念が指摘されている。今後、健全、かつ、需給バランスのとれたバイオマス発電の導入促進を図るため、新認定制度とあわせた需給管理の強化を、林野庁や都道府県自治体と連携を強化して行っていくこととしている。
・木質バイオマスの発電コストを見ると、燃料費の占める割合が大きく(7割近く)、効率性を高めることが重要。
・再エネ促進を進めているが、将来、再エネは自立できるのか、コスト競争力を持てるか、2030年断面で投資回収できるか(既にFITで2.3兆円支出)、国民負担に対して厳しい意見が出ている。


 第2部は、「そこが知りたい! 日本の再生可能エネルギー・環境政策」のテーマでディスカッションが行われました。モデレーターは、NPO法人農都会議 理事バイオマスWG座長の澤一誠が務め、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 副理事長、NPO法人農都会議 理事アドバイザーの竹林征雄氏にコメントをお願いしました。
 ディスカッションは、第1部の講師の皆様に、フロアの参加者を交えて、意見交換がありました。

10月26日官民交流勉強会

 質疑と意見交換の一例を記します。(○印:質問・意見、・印:回答)

○マテリアル利用を優先するような考え方は、発電需要の登場で見直されるべきではないか? 元々、戦前は、エネルギー利用中心だったが、戦後、石油に代替されたということではないか? ヨーロッパでも、エネルギー利用・発電利用が増大している。
・呉村氏:結局、コストがどうか、ということとだと思う。戦前のエネルギー利用の話をされたが、それは熱利用を中心とした薪だったが、そうした時代に戻ることには違和感がある。一方でバイオマスの発電利用だけではエネルギー効率化が悪く、カスケード利用や熱電併給ふくめた出口が重要。
○国民負担の問題は重要だが、再エネ産業・バイオマス発電産業が登場し発展している状況で、そのベネフィット、経済効果などもとらえて検討すべきではないか?
・呉村氏:FIT買取価格では、コストにIRRを上乗せしている。地域に資金が循環することは重要だ。地域の協同組合では組合で出資をし、利益を地域で還元するなどに取り組んでいるところもある。
○バイオマス発電の温暖化対策効果は、より厳密な検討が必要だ。輸送等もあり、本当に「カーボン・ニュートラル」と言えるのか? LCAなどどうか?
・中村氏:全体の課題であると考えている。
・呉村氏:LCAを以って、バイオマス発電を否定する理由にはならない。
○日本では何故こんなにコストが高いのか? エネルギー政策で、再エネへの投入資金が少ない。ヨーロッパでは、国民負担でやってきている。
・呉村氏:ヨーロッパももともとはコストが高く、次第にコストを下げてきた経緯。日本でもFITで国民負担を負っており、これが永続的に続くわけではない、将来的には自立化を図っていく必要がある。
○関係省庁の連携を、今後、どうとっていかれるか?
・中村氏:7府省連携で、バイオマス活用推進会議を開催し、バイオマス活用推進計画を改定するなど取り組んでおり、今後も引き続き連携して取り組んでいく。
・呉村氏:各省連携して取り組んでいるが、再エネについては、「総論賛成、各論反対」の面がある。規制面など、困っている点あれば、言ってほしい。

10月26日官民交流勉強会

 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。
 三氏の講演と質疑・意見交換の概要や資料、アンケート結果など詳細をお知りになりたい方は、事務局へメールでお尋ねください。会員様には詳細レポートをお送りします。

 今回は、民間と役所の気軽な議論の場として、省庁の所管を超えた討議を行おうという初めての試みでした。国のエネルギー政策を複数官庁の政策担当者からお聞きし、持続可能な木質バイオマス発電を考える、たいへん有意義な機会になったと思います。
 講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。

新エネルギー新聞
 新エネルギー新聞に紹介されました。
 (画想をクリックすると拡大します。)





Posted by NPO農都会議 at 07:34 | バイオマスWG情報 | この記事のURL | コメント(0)
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