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9月27日「森林・林業基本計画とバイオマス需要」セミナーの報告[2016年10月03日(Mon)]
 NPO法人農都会議 バイオマスWGは、9月27日(火)夕、「森林・林業基本計画とバイオマス需要 〜エネルギーミックス実現のためにどう考えるか」を開催しました。
 →イベント案内

8月30日バイオマス燃料セミナー

 3回目のバイオマス燃料セミナーは、5月に見直された「森林・林業基本計画」について学び、政府の施策を具体的に知ることで、バイオマスエネルギービジネスの方向性を考えました。
 会場の港区神明いきいきプラザに50数名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。


 第1部は 林野庁林政部企画課企画第1班課長補佐の石井洋氏により、「新たな森林・林業基本計画による施策の展開方向」のテーマで講演が行われました。
 石井氏は、日本の森林・林業の戦後から今日までの変遷、新計画の概要、資源の循環利用による林業の成長産業化、原木の安定供給体制の構築、木材産業の競争力強化・新たな木材需要の創出など政策的な対応方向等について丁寧に説明されました。また、森林法等の一部を改正する法律のポイントについても分かり易いお話がありました。

8月30日バイオマス燃料セミナー

 石井氏の講演の概要です。
(1) 日本の山林・林業の戦後から今日までの変遷
・戦後、森林が荒廃している中、戦後復興や高度経済成長により、建築用材などが逼迫し、木材価格が高騰。
・復旧造林や拡大造林により、ピーク時には年間40万ha前後の造林を続けた結果、人工林面積は1,000万haを超えた。
・人工林の総蓄積量は、半世紀前の5倍以上、森林蓄積は50億m3にのぼる。
・人工林の半数は、一般的な主伐期である10齢級以上を越え、適切な整備・保全と循環利用が求められている。

(2) 新たな森林・林業基本計画の概要
・条件の好い人工林では、先行的な路網整備、主伐後の再造林を確実に行うことで、資源の循環利用のサイクルを確立する。
 −森林施業や林地の集約化、路網整備、効率的な作業システムの普及・定着などにより、林業の生産性向上、原木供給力の増大を図る。
 −これらとあわせ、小規模・分散の原木供給から、核となる者が取りまとめて供給する体制へ転換を図る。
 −人工林が主伐期を迎えていることを踏まえ、造林コストの低減、鳥獣害対策の強化等を図る。
・奥地水源林などの人工林については、針広混交林等の複層林へ効率的に誘導する。
・木材産業の競争力強化と新たな需要を創出し、成長産業化を実現する。具体的には、
 −新しい素材(CLT材や耐火部材)などの開発・普及、木質バイオマスのエネルギー利用の促進等により、既存の住宅需要に加え、新たな木材需要を創出する。
 −乾燥材や集成材の生産体制強化、国産材比率の低い横架材(梁・桁など)の開発・普及により、外材に対抗できる品質・性能の確かな製品を供給する。
 −木質バイオマスのエネルギー利用に関しては、燃料材の安定供給が課題となっており、原木供給力の増大、マッチングの円滑化等により安定供給体制を構築するほか、全木集材など効率的な収集・運搬システムの開発・普及等を推進。


 第2部は、「新たな森林政策は意欲的だが成功するか?」のテーマで、コメント、質疑、意見交換が行われました。コーディネーターは、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク副理事長、NPO法人農都会議理事・アドバイザーの竹林征雄氏でした。

8月30日バイオマス燃料セミナー

 最初に、一般社団法人持続可能な森林フォーラム代表、一般社団法人ウッドマイルズフォーラム理事長、一般財団法人林業経済研究所 所長・フェロー研究員の藤原敬氏より、森林・林業基本計画とは? 再生可能エネルギーとしての木質バイオマスの環境的管理の現状などのコメントがありました。

 藤原氏のコメントの概要です。
・「森林・林業基本計画」は閣議決定となっている。作成過程で国民参加(パブコメ)を受付けた。
・平成26年から林野庁の木材需給表に燃料チップの項目が加わった。経産省の長期需給見通し(エネルギーミックス)など統計数値間の整合性や妥当性については考える必要がある。
・木質バイオマス燃料の需給見通しとしては、輸入原料の増大や持続可能性への懸念があり、原料輸送に係るCO2発生量を把握することが重要となる。
・FIT制度・政策の問題は長期的な位置付けから対応すべき。
・地球温暖化防止対策のため、木質バイオマス燃料の環境基準としてのガイドラインのEUとの比較に注視。林野庁ガイドラインは、土地の管理とトレーサビリティを志向している。
・日本のガイドラインに基づく取組は、土地基準についての議論は進んでいるが、GHG排出基準がない。
・土地基準に関する議論のグローバルな共有と、GHG排出基準の検討が必要。

8月30日バイオマス燃料セミナー

 コーディネーターの竹林氏から、意見交換にあたって議論の前提のお話がありました。竹林氏のお話の概要を一部ご紹介します。
・本日の勉強会は大変重要な視点が沢山ありましたが、その前提条件理解が不可欠。バイオマス発電の燃料・原料の確保ができなければ設置した設備も単なる鉄くずと同じになってしまう。その視点から、本日は林野庁石井氏に詳しく語っていただいた。
・バイオマス活用推進基本計画(閣議決定)もネットに掲載されている。石井氏の話と突き合わせて確認してほしい。
・日本林業の実態は、森林面積2,500万ha、木材の総蓄積量50億m3、単位面積当たり約200m3/ha、人工林面積1,000万ha。現在10齢級が50%を占め、2021年にはそれが70%になる。
このようにCO2吸収の少ない10齢級前後の木材が多くなるので、この用材と燃料となる材をどのような手段で伐採と搬出を行なうかが課題。
そして、自給率 2015年 31% 2,400万m3。2021年 50% 4,000万m3(見通し)、総需要量 8,000万m3(見通し)と基本計画にあるが、この達成の具体策があまり記述されて無い。


 続いて、意見交換が行われました。質疑と意見交換の一例を記します。(○印:質問・意見、・印:回答)
○バイオマスに関係する法律改正のポイントは?
・バイオマスに限らず、国産材の安定供給体制を構築することが柱となっている。そのような意味で、共有林や森林経営事業などは重要。また、広域流通を促進するという趣旨、バイオマス利用事業者を計画作成者に追加した措置など踏まえれば、木安法もポイントと言える。
○FIT認定量が300万kWとすると必要な材は数千万m3になるが材の供給は大丈夫か? かなりの部分や輸入材に頼ることになってしまうのでは?また、H37年の燃料材総需要量900万m3は、エネルギーミックスを踏まえれば、過小ではないか。
・エネルギーミックスでは、H42年に未利用材24万kW、一般木材・農作物残さ274〜400万Kwを見通している。この見通しは、基本計画のH37年目標と異なることを、まず押さえておく必要。

8月30日バイオマス燃料セミナー

 NPO法人蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワーク(K−BETS)副理事長、バイオマスWG運営委員の米谷栄二氏が、「本日は、林業の現場も熟知した林野庁の石井さんより、短・中・長期的な視点から貴重な情報や方針をお聞きできた。また、森林総研や林野庁の行政官等を勤められた藤原さんより、新しい視点を交えた貴重なお話をお聞きした。今後に活かしたい」と、閉会の挨拶を行いました。

 アンケートへも多数の回答をいただきました。
 意見交換の概要や講演資料の詳細をお知りになりたい方は、事務局へメールでお尋ねください。会員様には詳細レポートをお送りします。


 今回、林野行政の主務官庁である林野庁の担当者とОBのお二人をお招きし、「新たな森林・林業基本計画とバイオマス需要との関係」というホットな話題で政策展開の方向性をお聞きする貴重で有益な機会となりました。
 講師・コメンテーターの皆様、ご参加の皆様、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 23:45 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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