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2月29日「低炭素社会づくりへの道筋」勉強会の報告[2016年03月06日(Sun)]
 バイオマス発電事業化促進WGは、2月29日(月)夕、農都地域部会と共同で、「低炭素社会づくりへの道筋 〜待ったなし! 再生可能エネルギー加速、森林・バイオマス活用でCO2吸収源拡大」勉強会を開催しました。
 →イベント案内

2月29日共同勉強会

 バイオマスWGは、市民協働による再生可能エネルギー促進、地域のバイオマスエネルギー事業化推進等の活動を続けていますが、森林・バイオマス資源活用による温室効果ガス削減策などについて真摯に学ぶため今回の勉強会を開催しました。
 会場の港区神明いきいきプラザに約60名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
 今回の勉強会を企画していただいたNPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 副理事長、バイオマスWGアドバイザーの竹林征雄氏から、「昨年12月のCOP21でパリ合意がなされて、いよいよ地球温暖化対策も、各国で本格的に取り組まれることになった。今日は、発電に限らず巾広くこの問題について、環境省地球温暖化対策課の松澤課長からお話いただき、その後、意見交換もしたい」と、開会の挨拶がありました。

2月29日共同勉強会

 第1部は、環境省地球環境局地球温暖化対策課長の松澤裕氏により、「低炭素社会づくりへの道筋」のテーマで、講演と質疑が行われました。
 松澤氏は、国際交渉の経緯とCOP21の成果について(我が国において既に起こりつつある気候変動の影響、気候変動リスクを踏まえた世界の動向など)、我が国の今後の地球温暖化対策について(環境省の再生可能エネルギー・省エネルギーに関する取組、低炭素技術の開発・普及や社会構造の低炭素化等の取組など)、2℃目標、1.5℃への努力の追求のための長期目標、気候変動への適応策についてなどのお話をされました。

 →松澤裕氏のプレゼン資料(PDF)

 松澤氏の講演要旨です。
 本日は、3つの柱、(1)COP21の成果、(2)それを受けての国内対策、(3)2050年に向けての長期目標についてお話しする。

(1) COP21の成果
・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、1988年、国連等により設置された政府間組織である。世界の政策決定者等に対し、科学的知見を提供し、気候変動枠組条約の活動を支援。
 2014年11月に、第5次評価報告書統合報告書を公表した。そこで、今世紀末の気温上昇は、現状を上回る対策を取らないと、2.6〜4.8℃となると指摘。
・わが国においても、既に気候変動の影響が、米・果樹栽培、異常気象・災害、熱中症等、生態系への影響等様々に起こりつつある。
・国際交渉の経緯を見ると、1992年、条約が採択され、1997年、京都議定書採択(第1約束期間2008−2012年、第2約束期間2013−2020年)、我が国は、第2約束期間には参加していない。
 2010年、COP16で、カンクン合意がなされた(第2約束期間に参加しない国の2020年の削減目標・行動のルールを設定)、我が国は、2005年度比3.8%削減を登録(2013年11月))。2015年12月のCOP21において、2020年以降の全ての国が参加する新たな枠組みが合意された(パリ協定の採択)。
・パリ協定の概要としては、
 −目的(第2条)―産業革命前からの地球平均気温上昇を2℃より十分下方に保持。また、1.5℃に抑える努力を追及
 −緩和の目標(4条1項)―世界の排出ピークを出来るだけ早期に迎え、最新の科学に従って急激に削減する
など。
・我が国としては、長期目標の設定、各国削減目標の提出・見直しのサイクル、取組報告等の仕組みの法的合意、革新的技術開発の強化などを主張し、各国削減目標の提出・見直しの5年毎サイクル、JCMを含む市場メカニズムの活用などの成果が得られた。

(2) COP21を受けての国内対策
・今春までに、「地球温暖化対策計画」を策定することになっている。また、政府実行計画の策定、国民運動の強化も進める。
・日本の温室効果ガス排出量は、2014年度速報値で、13億6,500万t(前年度比▲3.0%)だった。省エネの進展、再エネの普及などによる。個人的には電気料金の上昇の影響もあると思う。
・日本の約束草案(2030年度の温室効果ガス削減目標)は、2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4,200万tーCO2)としている。
・環境省の再エネに関する取組としては、
 −多様な再エネの導入―浮体式洋上風力発電(長崎県五島市沖)等
 −再エネの有効活用―再エネから水素を製造し、燃料電池や燃料電池車両・船舶に利用、蓄電池を用いて効率的に出力変動を抑制等
 −地域の再エネ導入の支援―自治体の支援、環境金融の拡大等
などがある。
・環境省の省エネに関する取組としては、
 −住宅・建築物の省エネ促進
 −先導的な低炭素技術(Leading&Low-carbonTechnology:L2-Tech)の開発・実証・導入支援
 −政府を挙げての国民運動の展開
などがある。

(3) 2050年に向けての長期目標
・パリ協定では、全ての国が長期の低排出開発戦略を策定・提出するよう努めるべきとされた。
・我が国は、2050年80%削減目標を決定済み。(2012年環境基本計画)
・京都議定書締結当時見込んでおらず、その後大きく普及した省エネ技術として、ハイブリッド車、電気自動車、LED照明、高度道路交通システム(ETC)、家庭用燃料電池(エネファーム)がある。
・気候変動への適応策として、「気候変動への影響への適応計画」も策定された(平27年11月.27日閣議決定)。各種政府施策に、適応策を組み込むこととされている。

2月29日共同勉強会

 質疑応答の概要です。(○印:質問・意見、・印:松澤裕氏の回答)
○自治体では人口減少等で、下水道や焼却炉等のインフラが余っている。有効活用を考えるべきではないか?
・有効活用を考えるべきと思うが、同時に影響を受ける民間市場への目配りが必要だ。
○埼玉で民間企業が一般廃棄物の活用に取り組んでいるが、ちゃんとやっていけるのか?
○各省庁、縦割りで困る。たとえば、LEDは、環境省(低炭素化目的)と経産省(省エネ目的)で対象が違う。
・どちらも省エネ目的。環境省は低炭素化といっているが、省エネによるCO2削減。LEDは、そろそろ補助から卒業という段階。
○熱利用に対する支援をお願いしたい。
・何故コジェネ等がもっと広がらないのか。やはり困難なところがあるのでは?
・森林バイオマスは、林野庁がやることになっているが、まずマテリアル利用、そうでないものを発電するのが良いと思う。山から下ろす土台を整えてもらえればと思う。環境省としては、FITに関わらないものを応援する。
○カーボンプライシングは興味深い。
○温室効果ガス排出量の変動要因に、GDP成長率は入らないのか? また、COP21や2050年80%削減に関して、GDP成長率はどう見込まれているか? エネルギーミックスでは年率1.7%だった。
・2014年度ではGDPはプラスだった。 また、いずれも年率1.7%で、整合している。
○環境省の対策では、石炭火力の低炭素化推進もあったと思うが如何か? その中で、バイオマス混焼など如何か?
・石炭火力のバイオマス混焼は、実証実験で50%まで可能とされている。環境省としては、国産も輸入も同じとの立場だが、できれば国産材でと考えている。バイオマス混焼も石炭火力のCO2排出抑制として有効だが、それよりも、まずは地域での森林バイオマスの発電など、エネルギーに取り組む人が頑張ってほしい。
○水素社会については、もっと強力に進めてほしい。原発ゼロ、石炭ゼロは、再エネで十分可能だ。
○自動車の排熱利用も有効だが、規制がどうか。クリーン・ディーゼルを普及させたい。

2月29日共同勉強会

 第2部は、「待ったなしの低炭素社会実現のために貴方は?」のテーマで意見交換が行われました。進行(モデレーター)をNPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 副理事長、バイオマスWGアドバイザーの竹林征雄氏にお願いし、一般社団法人 ソーシャルファイナンス支援センター 代表理事、帝京大学 経済学部経営学科 教授、バイオマスWGアドバイザーの澤山弘氏と、バイオマス発電事業化促進WGアドバイザーの澤一誠氏にコメンテーターをお願いしました。

 まず、澤氏から、話題提供として、「TorrefactionPelettによる石炭火力発電所でのバイオマス混焼について」の報告が行われ、その中で、1月25・26日のオランダでのIEA(International Energy Agency)のTorrefaction会議や、JCOALのインドネシアでのJCM(二国間クレジット制度)事業、AsiaBiomassCommunity構想についての紹介がありました。

 続いて、澤山氏から、先進国は2050年までに80%削減というが、わが国の場合、幸か不幸か、今後、人口減少だけで30%削減は達成できてしまう。高気密・高断熱化などにより家庭部門の省エネ化は大きく進められる。CO2の大幅削減は夢物語ではない。我々が何をするかが重要だ。省エネの国民運動と地域での「創エネ」がポイントだ。バイオマス利用など、エネルギーの地産地消の視点が大切であり、環境省には、かつてのように「環境コミュニティビジネス」といったものの育成支援にまた力を入れてほしい。ドイツなどで再エネ利用が大きく進んだ背景には、市民や地域が自ら「創エネ」に取り組んできたことがあると、コメントがありました。

 これを受けて、松澤氏より、国民運動としては、省エネ・リフォーム(LED100%)、サービス活動面での改善(インターネット通販の宅配サービス等)、地域では、ゼロ・エネルギーエリアを推進したい、とお話がありました。

2月29日共同勉強会

 その後、次のような意見交換が行われました。(同上)
○住宅にも燃費制度「家の燃費」を導入してはどうか。また、建物が20年で資産価値ゼロになるのもおかしい。
○家庭で消費されるエネルギーの3分の2近くは、熱利用だ。夜間電力を利用してお湯を沸かしておけばよいというヒートポンプ式給湯は、原発利用を前提していた時代に成りたった話で、オール電化などはおかしい。「熱需要には熱供給で」という大原則に立ち返ることが重要で、太陽熱温水器の利用などを考えるべきだ。バイオマスを利用した熱電併給もこの流れの中にある。
○ゴミ発電での熱電併給も考えるべきだ。自治体を支援し、バイオマスの混焼も考えるべきだ。
・廃棄物発電へのバイオマス混焼は、東京都等に打診したところ、現在の交付金制度上できないと言われた。金沢市のように、小規模ながら自力でやっているところは混焼している。
○バイオマス発電・エネルギー利用のアジアでの展開を図りたい。また、アジアでのバイオマス燃料生産の増大を図り、日本への輸入も考えたい。

2月29日共同勉強会

 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。

 第1部の講演・質疑については、「非常に幅広い話で、環境省が対面する分野を改めて認識した。省エネが大切であることは充分認識しているが、環境省が旗を振って電力の材をバイオマス/再生可能エネルギーとする重要性を民間に啓蒙してゆくことをもっと検討して欲しい」、「全体の流れが分かりやすかった。国民一人一人の意識の向上が大切と感じた」、「きわめて厳しい目標のコミットメントがなされたということに敬意を表します。この中で、イノベーション(技術、機器)に関するトップランナー方式に期待する部分は十分可能な範囲にある印象です。しかし、問題は、業務用、家庭用部門での省エネは極めて難しいことです。国民レベル、中小企業レベルでの省エネ意識を変えることが遅々として進まない現実があるからです。(一例として、寒冷地の新設戸建住宅の窓の面積比率は国際常識から大きく乖離している)」、「CO2排出量は業務と家庭部門が多く、その削減目標達成が重要であることが分った。そこで、英国ではRHI(Renewable Heat Incentive)により、民生用の給湯、暖房の熱についてゼロカーボンハウスとすることを2030年に新築、2050年に全住宅とすることを目指す政策があり、熱kWhあたりの補助金を出していると聞く。日本では、バイオマス等の熱利用について、このような補助政策が必要と思う」、「低炭素社会づくりと言っている一方で、石炭火力の新設を認める政策決定は如何なものか」、「人口減少効果はどのように織り込んでいるのでしょうか?」、「LEDに関して100%導入を考えている点については地方自治体へも広げてほしい」、「FITの事例が典型だが、経済的な誘導が必要。熱利用は、水素利用と同じく、実現を目指すべきテーマ。原子力発電の比率については、国民の合意の重要性を感じる。国民運動にも影響する」、「質疑で率直な回答があり有意義でした」などの感想、意見がありました。

 第2部の意見交換については、「大きな視点での意見交換であり、有意義だった」、「自由度の高い意見交換だと感じた」、「参加者が非常に多様であり、またそれぞれの分野において専門性が高いことに驚いた。大変に勉強になった」、「バイオマスを含む創エネルギーの取組を!に納得。省庁間の垣根を払って政策推進を!」、「FITの回避可能費用が市場連動となったことで、大手石炭火力のバイオマス混焼への意欲が減少することが懸念される。小売り事業者の立場にも立った○○が必要と思う」、「複層ガラスの話で快適さにアピールすると話されましたが(質問では家の燃費も)、心臓発作で亡くなる人もり高齢化時代のアピール度が高いのではと思う」、「業務用、家庭用部門で、設定目標を実現するためには、一つは、国民運動です。具体的にどのように進めて行きますか?(石油ショック後検討されたサマータイムはどうなった) 二つは、両部門の省エネを阻んでいるのは建築基準によるところが大きく、省エネ技術の観点では理解不能な基準が沢山あります。(断熱部材の厚さ規定等々)」などの感想、意見がありました。

 「低炭素社会」を実現する方法について問う質問には、「各省を巻きこんだ腹をすえた国内対策が必要と思う」、「安定した政策運営をお願いしたい。短期間での制度変更は投資意欲の減少につながる」、「2030、2050年○○現在想定される技術以外のイノベーションを期待したい」、「ごみ処理による発電を今後も注視していきたい」、「日本以外への展開」、「格差社会・貧困層への低炭素化支援政策の検討も必要」、「市民の活動につながる運動=情報が必要だと思った」などの回答がありました。

 今後やってほしい勉強会の希望等については、「自然の摂理を守りつつ木質発電を推進していくという観点でテーマ設定をお願いしたい」、「カーボンプライシングに関する今後の方向性及び規制(炭素税等)について」、「林業および発電事業の技術をもっと紹介してほしい」、「熱利用の具体的事例紹介、森林整備の成功事例・伐採コスト削減法、耕作型林業の事例紹介」、「セルロースナノファイバーの動向〜木・竹のナノセルロース利用(マテリアル利用)による新バイオ素材」、「一廃・産廃の垣根を除くことについての論議を進めて欲しい」などの要望、提案がありました。

2月29日共同勉強会

 今回も盛況な勉強会となりました。低炭素社会化への課題と道筋についての理解がいっそう進み、さまざまな視点から考えることができた大変有意義な機会になったと思います。
 講師並びにコメンテーターの皆さま、ご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 23:57 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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