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1月25日「国有林の現状を知る」勉強会の報告[2016年01月31日(Sun)]
 バイオマス発電事業化促進WGは、1月25日(月)夕、農都地域部会と共同で、「国有林の現状を知る 〜国産燃料調達の拡大と林業再興へ向けて」勉強会を開催しました。
 →イベント案内

1月25日WG勉強会

 今回は、一般に知られていない「国有林」について、基礎からの説明と現状の課題、今後の方向性などについて、国有林野部のご担当者からお話を聞きました。
 会場の港区神明いきいきプラザに約100名の参加者が集まり、講演と質疑応答、意見交換が行われました。
 第1部は、林野庁国有林野部経営企画課 企画官の眞城 英一氏により、「国有林野事業の概況と取組」のテーマで、講演と質疑が行われました。
 眞城氏は、国有林の分布、国有林野事業の組織体制、歴史、管理経営の目標など概要について、また、公益重視の管理経営、東日本大震災からの復旧・復興への貢献、森林・林業再生への貢献など国有林の取組についてのお話をされました。特に、森林施業の低コスト化に向けた取組や野生鳥獣対策について、事例を交えて丁寧に説明があり、国有林材及び民有林と連携した「安定供給システム販売」と供給調整など林産物の安定供給、ホームページ活用のお話もありました。

 →眞城 英一氏のプレゼン資料(PDF)

1月25日WG勉強会

 眞城氏の講演要旨です。
(1) 国有林の概要
・全国の国有林は760万haで、国土の約2割、森林の約3割を占める。多くが急峻な山脈や水源地域に広く分布し、重要な公益的機能を発揮している。約9割が保安林に指定されているほか天然林が多い。
・明治維新後、農林省・宮内省・内務省で所管してきたが、昭和22年、農林省に一本化(林政統一)。戦時中と戦後の高度成長期に大量伐採(2,500万m3)。
・全国の国有林を、7つの森林管理局が管轄。
・国有林管理経営基本計画(10年を一期として、5年毎に策定、平24年12月変更)で、公益重視の管理経営の一層の推進(民有林との一体的な整備保全、地球温暖化防止対策の推進等)と、森林・林業再生への貢献(林産物の安定供給、林業の低コスト化に向けた技術開発等)等を目標に掲げている。

(2) 国有林の取組
・公益重視の管理経営として、「保護林」を設定(97万ha)、治山事業も推進。
・東日本大震災からの復旧・復興への貢献(海岸防災林の復旧・再生等)。
・森林・林業再生への貢献として、
 −森林施業の低コスト化に向けた造林、技術開発・普及(コンテナ苗・エリートツリー等の導入、高性能林業機械の活用等)、
 −林産物の安定供給(需要先へ直送する「システム販売」の実施等)、
 −民有林と連携した施業の推進(「森林共同施業団地」の設定等)、
 −森林・林業技術者等の育成、
 −野生鳥獣対策(シカによる食害等への対策等)。
・特に、「林産物の安定供給」については、
 −我が国の森林の4割は人工林、国有林では人工林が3割。
 −平25年の国産材供給量は、2,000万m3、国有林材のシェアは、2割。
 −人工林は、高齢級の森林が増えており、資源として本格的な利用が可能な段階。
 −一般会計に移行した平25年以降、林産物の供給調整への対応を念頭に、国有林材供給調整検討委員会の開催などを行っている。
 −システム販売の取組(素材:平成15年 2万m3、平成17年 20万m3、平成26年 141万m3)、木質バイオマス発電等需要が出てきたことに対応して未利用間伐材等の安定供給の実施、広域での協定取引の推進等を行っている。
 −各森林管理局で、木質バイオマス発電等需要への対応(未利用材の有効活用等)に積極的に取り組んでいる。(九州、近畿、中部、東北、北海道の例)

1月25日WG勉強会

 質疑応答の概要です。 (○印:質問、・印:眞城氏の回答)
○除染への取組は?
○人手不足への対応は? 若者対策は?
・機械化で、若者、定着傾向にある。
○バイオマス発電向けの供給量(具体的数字)と今後の見通しは?
・現状、推計で全供給のおよそ1割。今後、資源の充実に伴い全体の伐採量が増えて来る等の中で、木質バイオマス利用向けも増える見込み。
○販売の実情、供給過剰では?
・地域により異なる。もっと欲しいという所もある。
○鹿対策は?
○エリート林は生態系に悪影響?

1月25日WG勉強会

 第2部は、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 副理事長、バイオマスWGアドバイザーの竹林征雄氏と、株式会社つくば林業 代表、バイオマスWG運営委員の松浦晃氏がコメンテーターとなり、「国産燃料調達の拡大、林業再興について」のテーマで、会場の参加者と意見交換を行いました。

 意見交換では、次のようなやり取りが活発に行われました。
・国有林では、それなりの範囲でばさばさ伐っている。バイオマス発電向け供給も十分ある。従来、限られた業者とやっていたが、システム販売の公募はいいことである。間伐は遅れており、今後、C材・D材も出て来る。非常にいい方向に流れていくだろう。
・今後、主伐が多くなると保全上問題では?
・境界・地籍問題も、民有林と接している場合、問題となるケースもある。
・「山をきれいにする、その大前提で出てくるものは発電用に」ということか?
・森林・林業の保全・再生が大前提で、残りがバイオマス発電用だ。
・バイオマス発電の位置づけについては、いろいろな観点がある。再エネ法は、再エネの導入促進が目的で、バイオマス発電もその1つとして位置づけられている。森林・林業の再生と再エネの促進と、いかに両立させていくかが肝心だ。
・ロボット化はどうか?
・地域で熱電併給に取り組んでいるが、国有林は安い。切り札になる。
・国有林会計は2,000億円の借金を抱えており、その返済が課題となっている。木を伐って借金を返すということだが、どれだけバイオマス発電に回してもらえるか。

1月25日WG勉強会

 参加者アンケートは、約70もの多数の回答をいただきました。以下は概要です。
 第1部の講演・質疑については、「国有林の現状がよく理解できた。低コスト化を重点化すると本来地域の生態系保全に重要な原生林の保全に悪影響が出るのではと懸念する」、「近畿地方にいると国有林事業を身近に感じることは少ないが、今回理解できた。元々林野事業は赤字と思っていたが、収支に関しても話していただけたらよかった」、「国有林の販売に多くの時間を割いてほしかった。システム販売は公平に公募されたい。機械を導入して本当に若者が定着するのか?」、「国有林の公売・入札の民有林との連携の部分をもう少し詳しく聞きたかった」、「質疑の時間が少なかった。問題点と解決策についても説明して欲しかった」、「バイオマス用の利用事例があったが民有林との合意形成の辺りからの流れを聞いてみたかった」、「国有林の現状を知る意味では大変参考になった。どうしたらどれ位の材が出るか、今後の林業再生に向けどう取り組むかに絞ったお話とQ&Aにした方が良かった。ともあれ貴重な機会を持ってくださりありがとうございました」などの感想、意見がありました。

 また、「国有林と民有林の連携によって運用者サイドへの適正価格での安定供給(質・量とも)に期待」、「低質材も出されているのは良いと思う。一方で、大規模に低価で出すための民間開放をもっとやらないと海外に勝てないでしょう」、「公益重視と民間圧迫を恐れてダイナミックな政策が出来てないと感じた。流通の合理化や需要拡大の取組で民間と協調することが重要」、「伐採・搬出の低コスト化が十数年前から取組まれているにも拘らず変わらないのはなぜなのか。一つは、高性能機械を入れても性能を最大限発揮できる条件が揃えられないからと思う。例えばタワーヤーダは間伐だけではコストは下がらない、今回の話で、皆伐について本年夏の基本計画にて検討されることに期待したい」、「皆伐などの後の造林の実施が困難な場合があるが、例えばつる草の繁殖、造林の問題の解決も重要」、「林野の政策も意外とまだまだ途上と分かった」などの回答もありました。

 第2部の意見交換については、「国有林と民有林を連携させた森林管理の仕組があると良い」、「未利用材の供給量の実態は誰が掌握しているのか不明?」、「システム販売は、未利用材の活用などが広まるので良い。国有林で拡大し、民有林への手本を示して実績を上げてほしい」、「システム販売によって燃料供給のすそ野が広がることを期待」、「福島の材の流通に風評的な課題はないのか知りたかった」などの回答がありました。

 また、「バイオマス発電の意義や再エネ政策について一般の人達が判っていない」、「バイオマス発電と林業維持発展についての基本的な考え方の確認・整理が必要」、「発電用バイオマスの需要と用材の需要のバランスが取れていない、どうすれば良いかの議論が不足」、「発電について、現状は効率が低い、FITがないと採算がとれない、木質バイオマス発電は日本の森林林業再生のためではなく、あくまで再エネの普及の側面が強い、林業の再生とエネルギーが共生できる仕組みを考えていきたい、燃料用に伐れる山があっても良いと思う、放置林対策や炭素固定に役立つ」、「林業再生に役立つ木質バイオマス発電の役割及び限界が分かった」、「広葉樹利用についてもう少し聞きたかった」、「生々しい話が飛び交ってよい意見交換だった」などの意見、感想もありました。

1月25日WG勉強会

 『国有林の現状と今後の方向性』についてを聞く質問では、「国有林事業もビジネスでありマーケティングなどそれ相応のセールスに長けた人間が必要と思うがどうなのでしょう。国民の税金で賄えないから結局赤字なのでしょうか」、「国有林は原生森林を保全する役割を今後も果たすべき」、「国有林のあり方、将来へのビジョンが不明確 !!」、「自治体、研究機関、企業と連携し、雇用創出の視点が重要」、「PPP/PFI、払下げなどの民間開放を是非」、「公益のために保護すべき森林については国がしっかり管理し、それ以外は民間に森林施業を委託すべき。民間にできることは民間に任せることが時代の流れ。国が木質バイオマス発電の普及に貢献できることは、マンパワー的にも官のスピードからもあまり期待できない」などの回答がありました。

 今後やってほしい勉強会のテーマについては、「公社造林の現状と課題」、「林業への参入促進」、「路網整備について」、「環境問題の打開策として、バイオマス発電をどう具体化するかいろいろ学びたい」、「ヨーロッパで成立するバイオマス事業が日本では成立しないことが多いが、どの項目で採算、経済性の差があるのか、ヒントになる情報が欲しい」、「幅広いエネルギー産業の情報収集を期待」、「再エネによるエネルギー自給100%の現実的展望」、「地産地消型エネルギー(熱/電気)供給体制に向けての政策、検討状況を学びたい」、「地域での実践について、組織作り、資金計画等の参考事例」、「地方創生とバイオマスの地方での取組」、「小規模木質バイオマス発電事業の可能性と課題」、「熱利用と電力利用の整理、エクセルギーの観点含め」、「国産CHPの機器開発の現状と今後の展開」、「メタンガス発酵系、竹の利活用策」などの提案、要望がありました。

 また、「官民の意見交換の機会をもっと増やして欲しい」、「こんなに面白いビジネステーマなのに、若手が少ないのは大変残念」、「次回も参加したい」などの意見もありました。

1月25日WG勉強会

 今回も盛況な勉強会となりました。我国の木質バイオマスの現状と将来について、国有林と国有林野事業の視点から考えることができた有意義な機会になったと思います。
 バイオマス燃料調達の課題についてはまだまだ掘り下げる必要がありますが、国と民間が連携した「安定供給システム販売」は今後に期待が膨らみます。獣害対策についても、里山再生の観点から、あらためて取り上げることができればと感じました。
 講師の皆さま並びにご出席の皆さま、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 18:43 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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