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12月21日「中国の再エネ状況」勉強会の報告[2015年12月24日(Thu)]
 バイオマス発電事業化促進WGは、12月21日(月)夕、「隣国・中国の再エネ状況を知る 〜中国における低炭素社会構築の基本戦略、取組み動向と中長期展望」勉強会を開催しました。
 →イベント案内

12月21日WG勉強会

 今回は、発電量、エネルギー消費量、CO2排出量とも世界1位となった巨大な中国の再エネ市場と環境政策の現状を知り、隣国との良好な再エネ関係を考える勉強会でした。
 会場の港区神明いきいきプラザに定員の50名を超える多くの参加者が集まり、バイオマスWG木村座長のご挨拶に続いて、講演と質疑応答、意見交換が行われました。


12月21日WG勉強会

 第1部は、長岡技術科学大学大学院 情報・経営システム専攻 教授、一般財団法人日本エネルギー経済研究所 客員研究員、中国国家発展改革委員会能源(エネルギー)研究所 客員研究員、経済学博士の李志東 氏に、「中国における低炭素社会構築の基本戦略、取組み動向と中長期展望―再生可能エネルギーを中心に」のテーマで、講演していただきました。
 李氏は、詳細な資料を元に丁寧にお話しされました。中国の省エネ対策は日本より進んでいるが、各種の支援対策は日本を参考にしている。再エネはすべて5か年計画で出し、バイオマスも含めて修正・拡大しているが、潜在力(開発可能量)からするとまだまだ余地が大きい。太陽光は、大型は日照量で買取価格を変え、小型分散は全量買取の後プレミアムを付けるなど非常に工夫した制度となっていて、儲かるから皆がやる。省エネの後は再エネの拡大。新政権は計画通りにきちんとやると言っている。送電網は公共財。これに合わせて、風力、太陽光、バイオマス等と発電の順番を決めている、などのお話が印象的でした。

 →李志東氏のプレゼン資料(PDF)

12月21日WG勉強会

 李氏の講演要旨です。

1.エネルギー・環境問題の現状、低炭素社会構築の基本戦略と2020年目標
(1) 中国は、2005年までは、経済成長至上主義で来たが、所得格差、環境破壊問題が重大化し、2006年に、全面的調和と持続可能な発展の方針に転換した。2009年に低炭素社会を目指す戦略を確立し、2010年に国連に2020年目標【注】を提出した。
 【注】2020年までに、CO2のGDP原単位を2005年比40〜45%削減、また、非化石エネルギー(再エネと原発)利用目標として、2005年の7.5%から、2020年に15.0%に、植林目標も。
 2011年3月14日採択の「第12次5カ年計画」(〜2015年)では、非化石エネルギーの比率を2010年の8.3%から11.4%へ、GDPあたりCO2排出量を2010年比17%削減、16%省エネ(白熱灯淘汰など)。
 原発計画については、当初、5年間4,000万kWの新規建設(沿海部優先・内陸部着実推進)、設備容量は2015年4,000万kW、2020年7,000〜8,600万kWの目標だったが、その後(2012年10月24日)、見直された ( 内陸部で事故が起きたら大変であり、国民の懸念も大きい)。新規建設は1,600万kW、設備容量は2020年に5,800万kWに下方修正。
 2013年3月、習近平・李克強政権が誕生し、「経済規模や成長重視」から「成長の質と効率重視」へ転換、「新常態」の定着を図る。
 2014年11月、「CO2総排出量の早期ピークアウト」を国際公約。
 2015年6月、「約束草案」を国連に提出、10月、第13次5カ年計画(指針)で、低炭素・循環発展の推進、エネ消費とCO2の総量規制、6業種の排出量取引市場導入を建議。
 12月、「パリ協定」に合意(オバマ大統領と習近平主席は、何度も綿密な協議)。

(2) 中国は、GDP規模は世界2位。エネルギー消費量、CO2排出量は世界1位。石油も、石炭も、純輸入国に転じた。大気汚染も深刻。
 習近平主席は、「温暖化防止は、中国の持続可能な発展にとっての内的要求で、責任のある大国が果たすべき責務である。これは他人にやらされるのではなく、我々が自ら進んでやらなければならないことだ」としている。

(3) 枠組み交渉の結果にかかわらず、低炭素社会を構築するため、エネルギー安定供給の確保、CO2排出抑制、低炭素の技術開発と産業育成に取り組むとしている。

2.再生可能エネルギー対策の概要、取組み成果と課題
(1) 第12次5カ年計画で、再エネ電力設備容量は、2010年実績23,636万kW、2015年目標39,400万kW、2020年目標63,000万kW。内バイオマス設備容量は、550万kW、1,300万kW、3,000万kWとなっている。太陽光発電設備容量の2015年目標は、3,500万kWに上方修正された(2013年7月、国務院決定)。

(2) 再エネ法は、2005年2月成立、2006年1月施行。総量目標制度(全国及び地域別)、全量買取制度、電網事業者の発電所から送電網までの引き込み施設の建設責任、電源別・地域別グリーン電力買取価格制度などから成る。
 2014年各種電源の送電網への卸売売電価格は、バイオマスでは、最高1.35元(江蘇)〜最低0.48元(寧夏)、平均0.85元(16.08円)となっている。(他電源は、HP掲載のスライド29にてご覧ください)

(3) 2014年までの実績を見ると、エネルギー消費GDP原単位は05年比29.9%削減、10年比13.6%削減、非化石エネ比率は05年の7.5%から11.2%へ、CO2排出原単位は05年比33.2%削減、10年比15.8%削減となっている。

(4) 課題としては、優先・全量買取の実施が十分でないことが挙げられる(系統連系能力の不足、長距離送電網の不備、コストが高い、発電事業者への規定買取単価での支払いの遅延、蓄電・揚水発電などバックアップ能力の不足、地元電源優先利用とする地方保護の存在などによる)。
 このため、2015年3月20日、国家発展改革委と能源局は、自治体と送配電企業に再エネ電力の優先・全量買取を促す25か条の「指導的意見」を公表した。

3.「新常態」対応の総合対策と中長期展望:エネルギーミックスの低炭素化を中心に
(1) 従来の投資・素材系産業と輸出依存、環境犠牲の成長重視から、グリーン成長へ転換、第3次産業中心の内需型成長へ。

(2) 「大気汚染への宣戦布告」(2014年3月、全人代)が行われた。

(3) 「約束草案」【注】を2015年6月30日、国連に提出、続いて12月、「パリ協定」に参加。
 【注】ポイントとして、2020年自主行動計画でのGDPあたり排出量、非化石エネルギー比率、森林蓄積量に加え、「総排出量を2030年頃の出来るだけ早い時期にピークアウトさせる」と明記。さらに、目標実現に必要な政策措置15か条を明示し、目標は実現可能性を熟慮して設定されていることを示唆した。例えば、超過達成が可能な風力発電や太陽光発電などについては数値目標を明記しているが、不確実性の高い原発と水力発電については数値目標を設定していない。

(4) エネルギー総合対策の強化として、2014年6月13日、中央財経指導小組から「エネルギー革命の推進」が出された。省エネ優先、石炭から再エネへの転換、輸送インフラと備蓄の強化など。
 このほか、エネルギー関連税制改革(原油価格下落は、省エネと石油代替を阻害しかねないため、「石油製品消費税」を引き上げ)、電力システム改革(国務院が、2015年3月、託送料金と公益事業向け料金を除く価格自由化、売電と分散型電源開発の自由化等を柱とする「電力体制改革の深化に関する若干意見」を内示)も進められている。
 また、能源局は2015年3月16日、「2015年太陽光発電開発実施方案」を公表、昨年導入量1060万kWを大幅に上回る1,780万kWを年次目標に設定。新規対策として、屋上設置型と地産地消型のメガソーラーの導入に上限を設けないこと、中央政府と地方政府が貧困地域を対象に、分散型に70%、大型に40%の初期投資補助を行う「太陽光発電による貧困脱出プロジェクト」を展開するとした。

(5) 2016年から始まる第13次5カ年計画においては、先述の建議(指針)において、「低炭素・エネルギー計画の基本方針」が示されており、エネルギー消費とCO2排出量を効果的に抑制(総量規制など)するため、エネルギー革命を推進するとして、「風力、太陽光・熱、バイオマス、水力、地熱の開発加速」、「スマートグリッドと大規模蓄電の建設強化、分散型エネルギー開発の促進」を掲げている(「低炭素」と「安全」を強調し、従来あった「持続可能」が落ちている)。
 政策措置としては、「電力、石油と天然ガス価格の市場化に向けた改革の断行、エネルギー効率のトップランナー制度の実施」など従来対策の強化に加え、新対策として、「エネルギー消費枠とCO2排出枠の初期配分制度の整備及び取引市場の育成と発展を図る」と規定。中国が、2017年に鉄鋼や電力、セメントなどCO2排出量の多い6産業を対象とする全国統一の排出枠取引制度の本格的導入を目指していることが明らかである。

(6) 電力システム改革も本格化している(現在、電網会社は2社)。2015年2月、国務院が、「電力体制改革の一層の深化に関すする若干の意見」を公表し、2015年11月30日、国家発展改革委員会が、「電力体制改革に関する付属文書」として、「意見」の具体的実施要領に当たるものを公表した。6種の付属文書(送配電改革の推進に関する実施意見、電力市場建設の推進に関する意見、電力取引機構設立と運営に関する意見、秩序ある発電と電力需要計画に関する意見、買電側改革推進に関する意見、石炭自家発電の規範と監督管理強化に関する指導意見)から構成されている。
 主な目標は、「三開放」(行政と企業運営の分離、発送電分離、本業と副業の分離をより完全なものにする上に、発電と販売での参入規制緩和、買電価格の規制緩和、公益性とピーク調整以外の開発計画の規制緩和)、「一独立」(独自性の高い電力取引機構の創設と、公平・透明・効率的な運営規範の策定)、「三強化」(政府監督機能の強化、計画管理の強化、安全運営の強化)とされている。

4.太陽光発電開発に関する日中比較分析と日本への示唆
(1) 1958年に太陽電池の研究開発に着手。1971年に人工衛星「東方紅2号」に取り付け。その後、1973年に天津港で灯台電源として使用されたのを皮切りに、最近まで、主に遊牧民や遠隔の無電化地域への電力供給に利用されてきた。この間、国際社会からの惜しみない協力と支援があったことも忘れてはならない。国連、世銀、地球環境基金、日本(NEDO)などである。

(2) 大型太陽光発電所の建設には、補助金を与えないが、FIT制度で支援。2014年から、日射量に応じて、0.90元、0.95元、1.0元と設定。設置補助金を受けない分散型について、2013年からFIT制度を適用―発電電力全量をkWhあたり0.42元、さらに余剰電力量を石炭火力発電の売電価格に準じて買い取る。買取期間は、ともに20年。

(3) 太陽電池の日本への輸出額は、2013年22億ドル、総輸出額の22%。中国は、太陽光電池の価格・性能で比較優位。日本は、周辺機器、発電所の施工・保守・系統連系の面で比較優位にあり、両国協力で、関連装置の供給から施工、系統連系、保守までの「再生可能エネルギー発電サービス」を一括して請け負うビジネスモデルができないかと考える。

12月21日WG勉強会

 質疑応答の概要です。 (○印:質問、・印:李氏の回答)
○中国は石油の4割が自動車に使われている。
○再エネ促進の債務として、内陸部の太陽光をもっと増やすべきでは?
・人口の45%は農村部に住んでいる。農村部は、小型発電所が相当見込まれる。地域のエネルギー自給と食糧生産増に伴うバイオマス増加を活用する。教育と情報公開が何より重要で、インセンティブをどうするか?バランスが大切。世界でも未体験の事態だ。
○発電会社はどのようなところか? 1,000kW程度の発電設備、発電所は、どのような状況か?
・誰がやるかは、中国では電源開発に制限がない。
○原発は大河周辺から外しているということだが、将来は無くすのか?
・内陸部で原発は実現不能。水へのリスクを冒せられない。原発は削減できると思っている。
○中国のCO2の伸びはすごい。CO2排出量で日本は12億tで3%。その他の先進国での減少は効果が薄い。中国28%、アメリカ22%であり、インドと合せて三国が減らせるかどうか大問題では?
○日中の産・官・学で連携できたら良い。
・日中協力のさまざまな形を追求したい。


12月21日WG勉強会

 第2部は、「中国と日本の、より良い再エネ関係」のテーマで、参加者全員で意見交換を行いました。
 はじめに、一般社団法人ソーシャルファイナンス支援センター 代表理事、帝京大学 経済学部経営学科 教授、バイオマスWGアドバイザーの澤山弘 氏、株式会社スターリングエンジン 会長、バイオマスWG運営委員の手塚信利 氏、株式会社ダイフクコーポレーション 代表、農都地域部会アドバイザーの磯川行男 氏の三氏からコメントがありました。

 澤山氏は、中国の再エネ状況を、「原発は沿海部だけで、もうそれほど増やせない。石炭火力は世界世論があり難しい。結果として天然ガスを増やし、太陽光はこれからと考えている」と述べ、「日本ですら8,400万kW(FIT認定済み太陽光)やれる。中国は圧倒的に太陽光の賦存量が多い。1兆kW(スライド28参照)はすさまじい。中国の動向が決定的に重要である、中国の目標は固めであり、もっと削減できるはずだ」と話しをされました。
 手塚氏は、現在中国で進めているスターリングエンジン製造のについて、磯川氏は、海外の現場での長年の経験から中国ビジネスの勘所について、お話をされました。

12月21日WG勉強会


 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。
 第1部の講演・質疑については、「最新の資料により、中国のエネルギー事情と低炭素社会への転換を推進する政策動向がよく理解できた。日中が協同してアジア地域への再エネ普及事業を推進したらよいとの日本への示唆には大変感動した」、「中国は想像以上に先進的だった」、「計画的に進めていることがよく分かった」、「COP21パリ協定の発表にともない中国の状況が詳しくお聞きできた」、「中国のバイオマスの現実がある程度分かった」、「バイオマスについてはかなりハードルが高いのではないかと感じた」、「バイオマス発電の普及速度を非常に高く見積もっているようだが、環境規制と監視体制の整備(ガバナンス・コンプライアンス含め)が追い付くとは考えにくい。新たな環境問題(ダイオキシン、煤塵等)を惹起する可能性を考慮すべき。ゴミ発電に多くを期待しているというが、日本的環境基準を満たす発電所を立ち上げるには長期間、莫大な予算・資金が必要。因みに、日本は、30年以上の年月と莫大なコストをかけて整備している実態を研究すべき。他のエネルギー計画を立てる場合も同様の問題が含まれると考える」、「中身の濃い講演だったが、中国がエネルギーの将来計画を作れば当然達成できると言われたことは若干疑いを持った」、「中国の目標値が本当かどうか知りたい、達成が難しいのでは。再エネについては政府と企業の関りはどのようなものか知りたい、再エネはコストがかかり補助金が多く必要と思われるから」などの感想、ご意見がありました。

 第2部の意見交換については、「コメンテータの先生方の意見、コメントが大変勉強になった」、「環境については国境がないので、協力して進めることが重要と感じた」、「ビジネスの色々な話しの中で中国の巨大さが実感できた」、「会場発言で、薄膜パネルの実用性の紹介、ソーラーフロンティアの話は本当によかった」、「送電網不足は大陸国なので容易に理解できる。ブリット不要の地産地消と電力貯蔵について考えたい」、「中国ビジネスの難しさを感じた」などのご意見がありました。

 「中国と日本のより良い再エネ関係」については、「原発と石炭火力に依存せずに低炭素社会を推進していく方策について協同研究と事業を追求したい」、「エネルギー・環境問題について、日中の大学が連携して対策を講じてはどうか」、「北京大学の取り組みは良いと思う。両国の長所、短所をうまく使っていくのがよい」、「蓄電池の開発など」、「両国は大いに協力すべきと思う」、「草の根的なレベルの共同作業が必要と感じた」などの回答がありました。

 今後やってほしい勉強会の希望等については、「再エネを活かせる水素発電普及の現実的可能性」、「バイオマスを活用した地域の取組みの事例」、「“水産業・海洋とバイオマス”について」、「よい企画を有難うございました」などの要望、ご意見がありました。

12月21日WG勉強会

 今回も盛況な勉強会となりました。参加者から、とても良かったというご意見を多くいただきました。一般に知られていない中国の再エネの実情を知り、日本との相互の関係構築について考える意義深い機会になったと思います。
 講師並びにコメンテーターの皆様、ご参加の皆様、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 22:07 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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