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12月7日「資源エネルギー庁に聞く“電力改革”」勉強会の報告[2015年12月10日(Thu)]
 農都地域部会バイオマス発電事業化促進WGは、12月7日(月)夕、「資源エネルギー庁に聞く“電力改革” 〜電力システム改革の動向とエネルギー政策の行方」を開催しました。
 →イベント案内

12月7日WG勉強会

 今回は、身近になってきた電力改革の再生可能エネルギーへの影響や方向性について知るため、資源エネルギー庁と専門家の方からお話を聞きました。
 会場の港区神明いきいきプラザに約70名の参加者が集まりました。WGの木村座長のご挨拶に続いて、講演と質疑応答、意見交換が行われました。


12月7日WG勉強会

 第1部は、「電力システム改革の動向」のテーマで、資源エネルギー庁電力・ガス事業部政策課電力市場整備室 課長補佐の筑紫正宏(ちくし まさひろ)氏の講演でした。
 筑紫氏は、電力を取り巻く情勢、電力システム改革の目的、改革の全体像、電力取引監視等委員会、自由化部門における新電力の動向、エネルギーミックスの実現を背景とした再生可能エネルギー導入促進の制度改革などについて、丁寧に話をされました。

 →筑紫正宏氏のプレゼン資料(PDF)

 次は、筑紫氏の講演要旨です。
(1) 電力を取り巻く情勢を見ると、オイルショック(1973年)後の石油代替政策により、石炭、LNG、原子力によるバランスのとれた電源構成が実現していたが、3.11後の原発停止により、近年では火力の比率が著しく高まっている。LNG:29%(2010年)→46%(2014年)、石炭:25%(2010年)→31%(2014年)。電気料金も上昇したが、昨年後半以降の大幅な原油価格等の下落により、足元では電気料金は大きく低下している。2030年に向けては、徹底した省エネにより、電力需要を現在と同程度に抑制しつつ、バランスのとれた電源構成を目指すこととされた。(エネルギーミックス、2015年7月)
 政府としては、2030年度、石炭26%程度、LNG27%程度、原子力22〜20%程度、再エネ22〜24%程度の4本足を目指している。ただし、電力自由化の中である以上、これは、行政でなく消費者が決めること。

(2) 「電力システム改革」については、
 −安定供給を確保する、
 −電気料金を最大限抑制する、
 −需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する、
ことを目的とし、進められてきた。

(3) 具体的には、2013年の電気事業法改正(第1弾)で、3段階―第1段階:広域的運営推進機関の設立(2015年4月)、第2段階:小売全面自由化(2016年4月)、第3段階:送配電部門の法的分離、料金規制の撤廃等(2020年4月)―での改革の実施スケジュールを規定、昨年の改正(第2弾)に続き、本年6月、改正法(第3弾)が成立した。

(4) 本年4月、上記機関が創設され、全電気事業者が加入。地域間融通、全国大での需給調整機能の強化等により、出力変動の大きい電源の導入拡大等に対応する。
 第2弾改正で、一般家庭向け電気小売業への新規参入が、2016年から可能となり、競争の促進が期待される。家庭を含む全需要家が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになる。
 今後、発電事業は届出制、送配電事業(安定供給の要)は許可制、小売電気事業は登録制となる。
 第3弾改正での送配電の法的分離では、送配電部門の中立化がカギである。このため、電力取引監視等委員会が、本年9月、設立された。

(5) 2000年以降、特別高圧等は、自由化されており(電力市場全体の60%)、一般家庭・小規模事業者向けが規制下にあったが、小売全面自由化によって、約8兆円の電力市場が、一般電気事業者から開放される。既存分野も含め、18兆円の市場が生まれる見通しである。

(6) 3.11後、新電力の届出事業者が大幅に増加し(750社超)、供給実績のある新電力も、直近では97社となっている。2014年度の新電力のシェアは約5%に上昇、関東・関西でシェアが高い。
 また、これまでに小売電気事業者として申請を行ったのは約180社。既に審査が終了し、登録されたのは66社で、LP・都市ガス系、石油系、再エネ系など、多様である。

(7) 目下、総合エネ調再エネ改革小委で、再エネの導入促進にかかる制度改革の検討が行われており、「電力システム改革の成果を活かしながら、効率的な形での電力の取引・流通の実現を通じて、再エネの導入拡大に結びつけていく仕組みの構築」も検討されている。

12月7日WG勉強会

 質疑応答の概要です。
○エネルギーミックスで、原発20〜22%というのは、コストの高さ(使用済燃料の処分等)から見ても納得できない。
・コストは、専門の委員会で、安全対策の強化等も含め算出したものである。
○電力自由化となるが、再エネ電源を選べるのか?
・電力会社を選べるが、電源を選べるわけではない。
○電源開発促進税・電源立地交付金について、再エネにも回せないか?
・現在、法律上、「(大)水力、地熱、原子力」となっている。
○揚水発電所は、原発が稼動しないので、余っているのではないか。
○自由化により、出力抑制はどうなるのか?
・優先給電ルールの見直しが検討されている。
○FITの賦課金が上がれば、省エネは進むのではないか。


12月7日WG勉強会

 第2部は、「電力自由化と再生可能エネルギーの行方 〜ともにシステム改革が前提」のテーマで、エネルギー戦略研究所株式会社 所長、東北公益文科大学 特任教授、京都大学 特任教授の山家公雄(やまか きみお)氏の講演と意見交換がありました。
 山家氏は、再エネ事業の特徴と普及策、再エネ利用促進(ポストFITを見据えて)、バイオマス発電の特徴(多様性、多面性)、FIT見直し議論について、ドイツで再エネが急速に普及した理由、世界の再エネを巡る情勢など、多岐にわたってお話されました。

 →山家公雄氏のプレゼン資料(PDF)

 次は、山家氏の講演要旨です。
(1) 再エネ事業の特徴と普及策
・再エネ発電事業は、資本費の塊である(バイオマスは例外)。したがって、まとまった投資が必要であり、投資誘因をいかに高めるかが重要である。
 この普及のドライバーは、FITであるが、それは投資誘因の一部に過ぎず(必要条件)、普及のためには、立地、接続、稼働、金融などトータルの予見性が必要である。
・立地に関しては規制緩和・ゾーニングなど、金融に関しては銀行の審査力・金融技術力・政策の信頼性などがカギとなる。接続に関しては、インフラの増強(コスト負担をどうするか:送電会社負担か、発電業者負担か)、系統運用をいかに有効に行うかなどがカギである。稼動に関しては、優先給電ルール・出力抑制ルールの運用がどうなるか、市場取引・メリットオーダーがどうなるか?
 ドイツの卸市場で見ると、再エネが最も低コストで、最優先されている。
・そして、接続・稼動(給電)を担保するためには、送配電会社の中立性(発送電分離)と市場取引(取引所取引)の整備が、決定的に重要である。

(2) 再エネ利用促進(ポストFITを見据えて)
・再エネ普及のためには、使う側の意思が重要で、自由化により、消費者が選択できるようになることは大きい。電源構成表示は、義務ではないが、電事連は「やる」と言っている。
・届け手の活躍も重要で、新電力等新規参入者に期待する。地産地消・グリーン電力への支援措置はどうか。 既存事業者は意識改革ができるか問われている。
・自由化推進と再エネ普及の実現のためには、「システム改革」が前提であり、不可欠である。両者は異なる時期に、異なる要請で登場したが、やることは同じである(卸市場整備、公平な取引、送配電の中立、規制・監視機関の創設など)。

(3) バイオマス発電の特徴(多様性、多面性)
・政策効果の面では、エネルギー、1次産業、地域、環境等多様である。
・エネルギーで見ても、電気・熱・燃料とある。
・事業として見ても、燃料を使用し(変動費)、海外ともかかわる。調達・変動費の長期安定化がカギであり、特にバイオマスは、制度変更に敏感である。

(4) FIT見直し議論について
・背景としては、国民負担の増大、太陽光偏重、ポストFITをどうするか(市場化?)といったことがある。
・認定制度の運用、価格決定方式、自由化に伴う買取義務者の移行(小売り→送電業者)などが検討課題である。
・長期投資の誘因として政策の安定性はマストであり、ころころ変わるようでは困る。太陽光は区分するとしても、「成人化」するまでは、継続すべきである。再エネは、まだBabyである。

(5) ドイツで再エネが急速に普及した理由
・EU指令を受けて、きちっとEEGを制定、運用してきた。また、電力自由化と制度変革をきちんとやってきた。
・系統側の受入体制の整備、地域住民主導の事業の普及に加え、エネルギー産業発展の視点も重要だ。新産業の発展の視点から、コストだけにとらわれない発想で推進してきている。

12月7日WG勉強会

 質疑応答の概要です。
○保険でカバーするか?
○今の状況、よくなっている?
・電力会社も、「再エネは止められない。対応しなければならない」と徐々に覚悟してきている。むしろ、重電を含む電気機器メーカーが危機感をもってほしい。世界市場での競争に直面する。
・太陽光設備の価格は不安定であり、パネルは高い。

 意見交換の中で、山家氏は、ポストFITというがFITはそう度々変えるべきではない、システム改革は自由化の担保であると同時に再エネ普及の担保となっている、回避可能費用に関してエネ庁も地産地消について何らかの措置を考えているかもしれない、今後は産業界も再エネのコスト低下を考えるべきなどの見解を述べられました。


12月7日WG勉強会

 アンケートへ多数の参加者から回答をいただきました。
 第1部の講演・質疑については、「行政の立場をお聞きしたのは非常によかった。全体の中でのバイオマスの位置付けが理解できた。安全保障という観点を初めて実感した」、「電力システム改革の全体像を知る良い機会となった」、「今後の法改正や審議の状況などについてもっと説明があると良かった」、「法的に方向性が絞られているというにはまだまだと感じた」、「実際には自由化してから再考することが多いという印象を持った」、「原発に関するエネ庁、経産省の方針には異議があるが、多忙ななか勉強会に来ていただいて感謝します」、「縦割り行政の影響と思うが、質問に対し適切な回答とそうでないのがあったことは残念」、「発電、送配電、小売りを別会社に分けて電力を売ると言っても形式的に過ぎないのではないか」、「長期エネルギー需給見通しのあるべき姿にどこまで資源調達と検討したか?特に一般木材とバイオマス基本計画(林野庁)との関係、海外調達など」、「政府は再エネ、原子力いずれに力を入れていくのか?」などの感想、意見がありました。

 第2部の講演・質疑については、「再エネ全体について俯瞰的にポイントを話していただき勉強になった」、「電気事業の要諦が理解できた」、「FIT見直しの言葉ばかりが先行しているように思う。系統連系の審査、チェック体制が過剰にならないことを望む」、「FIT頼りでは限界があるがドイツの真似だけで大丈夫かと感じた」などの感想がありました。

 電力システム改革については、「日本の電力システム改革はパッチワーク的な対症療法の域を出ない。今後運用面について実態に即した詳細検討・制度設計が必要」、「政府と民間の食い違いを感じた」、「現在まで短期間で次々と制度変更が行われており、小売事業者として予見が難しい」、「市場参加者にとっては多様なビジネスモデルの提示が可能となるようフレキシビリティを有した制度が望ましい」、「巨大送電線を利用するのは巨大発電所。そのコストを再生可能エネルギーに押し付けるのは不合理。地域の小規模発電所の送電線使用料は距離別料金も作るべき」、「電源開発促進税について用途等をもっと公表してもらいたい」、「離島、過疎地がどうなっていくか気になる。金融ファンドの金儲けシステムになってほしくない。新事業者にはノウハウがない、細かいトラブル等をどう解消していくか」、「原子力電源は九電力から切り離すべき。他の一般電気事業者に何が期待できるか、再エネは自由市場に任せ、グリーンクレジットを与えてFITを下げていく」、「再エネの供給力を増加させないと再エネ普及は進まない現実も直視しなければならない」、「熱フィット制度の導入も検討すべき」、「送配電は一時国有化してインフラ投資したのち民営にする」などのたくさんの意見がありました。

 勉強会のテーマ等については、「電力システムや小売り事業の市場動向の見通し」、「政策転換を実行させる活動の方向」、「地域再生、エネルギーから持続可能は地域づくり」、「一般ごみ処理とバイオマス利用の連携について、熱の出口戦略」、「輸入バイオマスの展望」、「エネルギー安保」、「官公庁の担当者を数多くお願いしたい」、「(意見交換は)聴講者の理解にはっきり残るメリハリが欲しい」などの要望がありました。

12月7日WG勉強会

 今回も定員を超える参加者があり、質疑や意見交換が活発に行われました。参加者の多くは再生可能エネルギー・電力事業にかかわる方であり、電力システム改革への関心の高さが窺えました。それぞれの課題を異なった視点から考える有意義な機会になったとすれば幸いです。
 講師の方々並びにご出席の皆様、誠にありがとうございました。
Posted by NPO農都会議 at 23:04 | 勉強会 | この記事のURL | コメント(0)
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