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11月8日養老渓谷 森林・竹林シンポジウムの報告[2015年11月15日(Sun)]
 農都地域部会・バイオマス発電事業化促進WGは、11月8日、千葉県大多喜町で開催された「低炭素社会づくりシンポジウム 〜地域の人々と考える森林・竹林の活かし方」に参加するフィールドワークを行いました。
 →イベント案内

11.8シンポジウム

 森林・竹林シンポジウムは、環境省の平成27年度地域における草の根活動支援事業の補助金により行われた11月7日(土)・8日(日)の二日間の低炭素社会づくりの普及・啓発イベントの一部として開催されました。
 主催は、千葉県大多喜町の廃校活用プロジェクトを進めている一般社団法人efco.jp(エフコ)。地域の事業化を支援している全国地域エネルギー推進協会がシンポジウムの企画・運営を行い、K-BETS、バイオマスWGなどが企画・宣伝に協力しました。

11.8シンポジウム
低炭素社会づくりイベントの竹ビラミッド風車

 シンポジウムは、人々の手が入らなくなって放置されている森林・竹林を再び活用して、地域の低炭素社会づくりを進めることをテーマに開催されました。プログラムとして、国の施策の説明や林業事業者の事例紹介・提案等の講演、地元と周辺地域の方々が専門家を交えてざっくばらんに話し合う車座トークリレー、竹炭づくりのデモンストレーションが行われました。

 →シンポジウムのプログラム(PDF)

11.8シンポジウム
総合司会の佐倉直海氏

 大多喜町での森林・竹林学習会は、1月9日以来、二度目です。11月8日はあいにく雨模様の天候でしたが、シンポジウム会場の旧大多喜町立老川小学校の多目的ホールには約100名の参加者があって賑わいました。福島や栃木、茨城、埼玉、東京、神奈川など県外からの参加者も20名以上ありました。
 総合司会は、自然エネルギー東日本復興支援ネットワーク 代表の佐倉直海氏でした。

11.8シンポジウム
一般社団法人efco.jp 代表の佐藤建吉氏

 シンポジウムに先立って、 オープニングセレモニーが行われました。
 主催者挨拶として、一般社団法人efco.jp 代表理事の佐藤建吉氏から、賑わいの拠点として廃校を活用し先進的田舎ビジネスを興して地域へ貢献したいこと、二日間のイベントがefco.jp(エコ・フューチャーセンター in 大多喜・老川)のオープニングであることなどのお話がありました。

11.8シンポジウム
前林野庁長官の沼田正俊氏

 続いて、来賓挨拶として、前林野庁長官の沼田正俊氏から、林業行政トップとしての長年の経験をもとに、森林ビジネスが地域の雇用創出から地球温暖化の防止までさまざまな意義を持つこと、efco.jpの創造的取組に期待したいなどのお話がありました。

11.8シンポジウム

11.8シンポジウム
炭化器で竹を燃やす竹炭作りの実演

 シンポジウムの第1部は、屋外デモンストレーションとして、「竹エネルギーの活用法」のテーマで、NPO法人竹もりの里(千葉県長南町、鹿嶋與一 代表)の皆様による竹炭づくりの実演がありました。
 参加者全員で屋外に出て、竹炭づくりを見学しました。炭化器のなかに伐った竹が入れられ、点火して数時間後に炭となります。
 鹿嶋氏から、荒廃した竹林の再生のため、竹に新たな商品価値を与えるプロジェクトとして竹パウダーや竹炭の製品化を進めていること、竹炭は土壌改良材や脱臭剤としての効果があり、生産コストも輸入品に対抗できるので多方面から注目を集めていることなどの説明がありました。

11.8シンポジウム
林野庁木材利用課の吉本昌朗氏

 第2部は、再び多目的ホールで 講演と質疑が行われました。
 まず、林野庁林政部木材利用課企画調整班 課長補佐の吉本昌朗氏により、「低炭素社会のための木材利用の促進と林業の成長産業化」のテーマで、林業政策の歩みと展望のお話がありました。
 日本の森林資源は秒単位で増えていること、国産材の利用が森林・林業を支えること、木材利用は地球温暖化と地方創生へ貢献することなど、林業・木材産業の現状や木材利用の意義について分りやすい説明がありました。
 また、「川上から川下に至る総合的な施策を展開し、木材利用を軸としたまちづくりを推進したい」との林野庁の考え方、林産物についてのTPP合意の内容などのお話もありました。

 →吉本昌朗氏の講演資料(PDF)

11.8シンポジウム
Bioフォレステーションの近藤亮介氏

 続いて、林業家を代表して、Bioフォレステーション株式会社 社長の近藤亮介氏より、 「地域の産業創出と千葉県の林業」のテーマで、未利用間伐材を木質バイオマス燃料として使い切るための取組みと今後の展望についてなどのお話がありました。
 近藤氏は、現在、神奈川県箱根山系で先進的な林業経営に取組んでいます。バイオマス発電燃料の供給事業をしてきて解体廃棄物(建築廃材)の発生見通しが下がるなか、FIT(固定価格買取制度)をきっかけに、建廃チップではなく未利用材を使って発電すると売上50億の発電所が120億になると考え「未利用木材を集めよう」と思ったこと、自ら山持ちとなりこれまで山に放置されてきた材を全て搬出することにこだわっていること、林業に携わるようになってさまざまな問題に直面し、林業の再興を考えるようになったことなどを丁寧に話されました。
 また、伐採等に係る補助金の仕組や行政との交渉の実践的アドバイスを交えて、神奈川では伐採補助金(水源環境保全税)があるので採算が合うが、補助金の無い千葉の山は簡単には伐れない、千葉県でも環境税をぜひ導入してもらいたい、などのお話もありました。

 →近藤亮介氏の講演資料(PDF)

 (関連ページ)
 →10月13日「バイオマス発電燃料の伐採と搬出」勉強会の報告
 →箱根山系列状間伐見学会の報告


11.8シンポジウム
モデレーターを中心に半円形の車座トークリレー

 第3部は、昼食休憩の後、 「地域資源の森林・竹林を活用した低炭素社会づくり」のテーマで、車座トークリレーが行われました。

  発言者として、前林野庁長官 沼田正俊氏、大多喜町長 飯島勝美氏、一般社団法人大多喜町観光協会長 富澤清行氏、老川地区開発協議会長 小倉慶二郎氏、いすみ自然エネルギー株式会社代表 藤江信一郎氏、市原市バイオマス利活用推進協議会委員 高澤真氏、きみつ里山ネットワーク代表 萩野保氏、勝浦市議会議員 鈴木克己氏のほか、第1部実演の鹿嶋與一氏、第2部講師の吉本昌朗氏、近藤亮介氏の方々が出演し、車座の席に着きました。
 地元の大多喜町から大多喜町議会、老川地区区長会、地域住民の方々、周辺のいすみ市、市原市、君津市、勝浦市、長南町からの方々、そのほか、千葉県内・県外から多数の方々の参加がありました。

 コメンテーターは、株式会社光と風の研究所代表 堀内道夫氏、NPO法人蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワーク副理事長 米谷栄二氏、みなかみ地域エネルギー推進協議会事務局長 河合純男氏、株式会社つくば林業代表 松浦晃氏、一般社団法人ソーシャルファイナンス支援センター代表理事 澤山弘氏などの方々でした。
 モデレーターは、全国地域エネルギー推進協会事務局長の杉浦英世氏でした。

11.8シンポジウム
コメンテーターの皆様

 車座トークリレーの参加者は、約80名。そのうち30名ほどがマイクを握り、田舎暮らしの良さ、持続可能な田舎暮らしと山の関わり、里山活動、バイオマス利用と林業の現状、エネルギー事業の具体化、千葉の林業の将来性などについて、活気あるリレートークを続けました。獣害対策については喫緊の重要課題ながら、時間の関係上、今回は話題として取上げないが別の機会に取り組む旨の説明もありました。
 以下、出演者の発言を記します。

11.8シンポジウム
大多喜町長の飯島勝美氏

 飯島勝美氏(大多喜町長):町内だけでなく周辺地域の方々が多数集まっていただいてありがたい。CO2削減の意味からも、森林・竹林をしっかりと育成していかなければならい。今日のシンポジウムは、それを考える良い機会だ。

11.8シンポジウム
沼田正俊氏

 沼田正俊氏(林野庁前長官):このように地域の方々が集まって、情報を集めて、意見交換して、発信して、その反応をみて次につなげるという取組みは、本当に大事なこと。私も、少しでも良くなる方向に動いていきたい。

11.8シンポジウム
いすみ自然エネルギーの藤江信一郎氏

 藤江信一郎氏(いすみ自然エネルギー代表):田舎暮らしの良さを伝える活動をしている。お客さんに山に入っていただき、その素晴らしさを実感してもらうことが第一歩ではないかと考えてる。

11.8シンポジウム
勝浦市議会議員の鈴木克己氏

 鈴木克己氏(勝浦市議会議員):勝浦は海だけでなく山もある。少子高齢化が進む勝浦市にとって、雇用創出が課題。森林バイオマスを活かして雇用の場をつくりたい。

11.8シンポジウム
竹もりの里の鹿島與一氏

 鹿島與一氏(竹もりの里理事長):竹林の荒廃をなんとかしたい。竹が使われなくなって久しいが、竹を燃やしてつくる竹炭には大きな可能性がある。農業利用など引き合いも多い。

11.8シンポジウム
市原市委員の高澤真氏

 高澤真氏(東湘物産専務):農地の上で太陽光発電をするソーラーシェアリングを3年前から実践している。そこから得られる収益を竹林整備に充てている。バイオマス、再エネを使って、多くの人が農村で生きていける状況をつくりたい。

11.8シンポジウム
きみつ里山ネットワークの萩野保氏

 萩野保氏(きみつ里山ネットワーク代表):君津市では、昨年、里山シンポジウムを機にネットワークが出来た。獣害の方が問題で、エネルギーにまだ手は回らないが、地域でお金を回す仕組みづくりが重要と思う。市内にある大学の学生の活動の拠点にしてもらうことも考えている。

11.8シンポジウム
みなかみ地域エネルギー推進協議会の河合純男氏

 河合純男氏(りゅういき自然エネルギー代表):群馬県みなかみ町で活動をしている。みなかみでは行政主導ではなく、民間主導で地域エネルギー推進に取組んでいる。地域のエネルギーは、“地域の力で、地域の資本で、地域の住民のために使う”ということを基本にしていかなければならない。

11.8シンポジウム
つくば林業の松浦晃氏

 松浦晃氏(つくば林業代表):森林を利活用するということは、水源を守るということ。それを正しく理解して、県民の皆さんと行政が一丸となって取組んでいけるような仕組みづくりを進めてほしい。

11.8シンポジウム
老川地区開発協議会の小倉慶二郎氏

 小倉慶二郎氏(老川地区開発協議会長):農業をしながら炭焼きをしている。都会から炭焼き体験希望者を招いたり、子どもたちに木に親しんでもらう活動をしている。いまは荒れているが、炭焼きから見ると宝の山だ。地元の資源を活用して、地場産業の育成に役立てていきたい。

11.8シンポジウム
大多喜町観光協会の富澤清行氏

 富澤清行氏(滝見苑会長):養老渓谷は紅葉シーズンとなり多くの観光客に来てもらえるが、30年前から紅葉を一本一本植えて観光資源を育ててきた。これからは、大多喜町内だけでなく周辺の地域とも連携して、森林・竹林を産業資源として生かしていきたい。

11.8シンポジウム
光と風の研究所の堀内道夫氏

 堀内道夫氏(光と風の研究所代表):このイベントでは昨日、「低炭素化による養老渓谷温泉の魅力UP」と題して、太陽光やバイオマスの自然エネルギーを活用して温泉旅館のコスト低減と集客力向上を両立させる提案を行った。また、CNFや合板の新技術などが多く出てきて竹産業の将来性は明るい。小型で移動可能な竹チップ製造機を各自治体に貸与するよう県にお願いしたい。

11.8シンポジウム
大多喜副町長の鈴木朋美氏

 鈴木朋美氏(大多喜町副町長):1月の森林学習会にも参加したが、大多喜町内外で関心が高まっているのは喜ばしい。町では、上総中野駅近くに足湯のある観光施設を計画中だが、いまお話を聞いた竹の建築をぜひ検討したい。

11.8シンポジウム
いすみ薪ネットワークの伊藤幹雄氏

11.8シンポジウム
千葉県森林課の澤口晶子氏

 フロアの一般参加者からの発言もありました。
 いすみ薪ネットワークの伊藤幹雄氏は、「仕事の傍ら地元で里山活動をしていて、地域の人々が山に入るきっかけとしても環境税が必要」と、県の担当者へ質問がありました。
 それに対し、千葉県農林水産部森林課副主幹の澤口晶子氏から、「千葉県では7年前に環境税の導入が見送られたが、再び導入の議論をするためには、地元の皆様の要望がもっともっと強くならなければと思う」と回答がありました。

 大多喜町内で里山活動をしている小高康照氏は、「故郷へ帰ってきて仲間と里山活動を始めているが、専門家の皆さんからいろいろ教えていただきたい」と発言をされ、老川地区の米本郁徳氏は、「今日はとてもいい話を聞いた。しっかり実行していきたい」と、地元で長年の動きを見続けてきた方ならではの意見を述べられました。

11.8シンポジウム
オタッキー・森林講の小高康照氏

11.8シンポジウム
老川地区の米本郁徳氏

 車座トークリレーのまとめとして、(1)森林・竹林の活用にはエネルギー需要創造、マテリアル需要創造が必須、(2)エネルギー燃料供給能力を高めるため、小規模としては「新木の駅」、大規模としては、「大型製材所→高品質ペレット」を検討する、(3)検討の場として、千葉のバイオマスネットワークを構築する、(4)森林・竹林整備の財源として「環境税」の導入を、地元から県に働き掛けていく。その効果として、鳥獣被害減少、里山再生、林業の担い手育成などが考えられる、の四項目が確認されました。また、出演者、参加者を中心に、千葉県の森林・竹林活用を検討するネットワークが発足することになりました。

11.8シンポジウム

11.8シンポジウム

11.8シンポジウム

 アンケートへの回答に、次のようなものがありました。
 低炭素社会づくりへの感想・意見では、「この取り組みを他の市へ水平展開を期待します」、「大多喜発で全県に森林資源の活用を発信してください」、「町をあげて取り組んでいる姿がよく表れていたと思う」、「CO2削減のため竹林整備をもっと取り上げてほしい、千葉県に森林・竹林環境税を設けてもらいたい」、「バイオマスは地域活性・地方創生の起爆剤になる、今後の目標がより近くなった」などの回答がありました。

 地域の農林業・エネルギー等の資源を生かすには?の質問に、「エネルギー・用材含めて資源の地域内循環の促進策や個人のエネルギー需要拡大策が必要」、「特に竹の利用を考えなければいけないが、木材に比べ燃料利用の課題が多いと感じた」、「バイオマス発電はもっと普及させるべきだが、林野庁の取組の話を聞いて、CLTなど木材需要を優先すべきと思った」、「行川アイランド跡地で計画されているリゾート開発で活用できると思う、今後計画する道の駅での活用もできる」、「森林作業のスポーツ化が必要」などの意見がありました。

11.8シンポジウム
大多喜町の秋の風景

 かつては建築用の木材として、薪・炭などの燃料として、また木工・生活用品の素材として、広く利用されていた木・竹ですが、外国産材や化石燃料、石油製品などに押されて使用が減り、森林・竹林には人々の手が入らなくなりました。里山は荒れ、田畑はイノシシやシカ、サルなどの獣害に脅かされています。人口減少が進む中、地域で行われていた仕事は少なくなり、農林業の担い手も減っています。そんな状況を変えて、いま再び里山の豊かな恵みを、地域の人々の手に取り戻してもらいたいと思います。
 地球環境保全のため、化石燃料の使用を減らして温暖化防止を図ろうと、世界的にバイオマスエネルギーが注目されています。科学技術の進歩により、CLTやCNF等による木・竹の新しい活用法も生まれています。森林・竹林には高いポテンシャルがあります。それを生かした低炭素社会づくりへの取り組みを通して、里山の再生と地場産業の振興へつなげることができればと思います。
 今後は、話し合いだけで終わることなく、具体的な実行の方法を見つけ、地域ビジネスにつなげてほしいと思います。

11.8シンポジウム
大多喜町の養老渓谷

 養老渓谷の紅葉には少し早い時期でしたが、フィールドワークは、大変に有意義なものとなりました。貴重な実演と講演があり、また、大勢が参加して中身の濃い活発な意見交換ができました。
 ご参加の皆様、関係者の皆様、大変お疲れ様でした。ありがとうございました。

(参考)
*新エネルギー新聞に報告記事が掲載際されました。
 →新エネルギー新聞 シンポジウムリポート(PDF)
 →新エネルギー新聞 記事ページ

 →11.8シンポジウムちらし(PDF)
 →Facebookイベントページ

 →一般社団法人efco.jp ホームページ
 →低炭素社会づくりイベント 専用サイト
 →低炭素社会づくりイベントちらし(PDF)
Posted by NPO農都会議 at 15:29 | フィールドワーク | この記事のURL | コメント(0)
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