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【こうほう雑記帳】夢をフォローするキャリア教育を [2015年09月25日(Fri)]
こうほう雑記帳
夢をフォローするキャリア教育を 〜ジュニア選手のために周りの大人ができること〜

B&G財団 広報課 持田雅誠


新国立競技場や大会エンブレム問題の喧騒を外に、「Tokyo 2020」を目標とする選手たちは、情熱と高い目標をもって、日々トレーニングや試合に励んでいることだろう。
5年間は“たった1800日強”。
一日の積み重ねが、将来の勝ち負けを決めるかも知れない。今この時にもライバルが力を付けているかも知れない。そう思えば、“休んでなんかいられない”と、さらに没頭していく。

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天秤にかける夢の重さ
スポーツ経験者の多くが通る道かも知れないが、私もかつてカヌー選手として競技スポーツの事しか考えていなかった時があった。
オリンピックに出たい、表彰台に上りたいと本気で考え、1度目は運良く出場を叶えたが、その後の挑戦は全て国際予選ではね返された。自己のレベルが上がらなかったとは思わないが、結果から見れば、競争相手の努力はそれ以上だったということだ。

日本代表またはそれに続くレベルになると、競技種目によっては国内の練習環境が整っておらず、海外での「長期滞在」がマストとなる。運よく仕事に就きながら競技を続けることができる者もいるが、天秤の片側に「収入」、もう一方に「練習時間」と「夢・目標」を置けば、いとも簡単に後者へ傾く場合は多い。

そうなると、オフシーズンにアルバイトで遠征資金を貯めたり、「国体ジプシー(ジプシー選手)」として、国体開催県を渡り歩いたりするようになる。私も将来の仕事や結婚・家庭像などに不安を感じながら、それを考えないようにして、4年に一度きりのチャンスを追いかけた。

今、ここでこうして記事を書いているのは、偶然と幸運の産物に過ぎない。

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夢の先も考えたい
近年、サラリーマンの平均年収は右肩下がりが続く。
また、「非正規雇用」「貯蓄がない世帯」の着実な増加や、「子供の貧困」「貧困の連鎖」の社会問題化など、生活環境は厳しさを増してきている。
我々は、普通に考えても厳しい社会を生き抜かねばならないわけだ。

だからと言って、若い選手に“夢や目標を諦めろ”というつもりは毛頭ない。
しかし、栄光をつかむにしろ途中で諦めるにしろ、そこまで費やした時間とキャリアをその後の社会でどう活かしていくのか、考えておく必要はある。いや、ぜひ考えてほしいと思うのである。

競技スポーツでは、展開が思い通りにならないことも多い。
選手は、自分のベスト「イメージ」に近づくように微調整を繰り返し、ミスを想定した「リカバリー」もイメージに織り込んで戦っている。
ならば「競技生活」のリカバリーとして、将来を見据えた「キャリア学習」も並行してほしいのだ。

それには周りの大人たち、特に指導する側の協力が不可欠だ。
“頑張れ!”と選手を応援することはポジティブアクションで、する方もされる方もやりやすいが、競技から離れたキャリアカウンセリング的なアドバイスになると、前述の私の例のように“なるべく考えたくない”要素になってしまい、選手は積極的に聞く姿勢になれないだろう。

それでも、引かないでほしい。ジュニア選手はもちろん、多少年を食ったアスリートさえも、自分が成功する姿しか見えていないかも知れないからである。
確かにスポーツを頑張る姿は美しいが、夢を追い求めた最後の最後に、何も残らなかったとしたら、費やした時間さえ恨めしく思うだろう。

そうならないためにも“おせっかいな大人たち”が必要で、競技以外の面でもフォローを怠らないようにして彼ら選手たちの将来の選択肢の幅を広げる支援をしてほしい。たとえ夢を諦めたとしても、生活の基盤が整いさえすれば、次の世代にバトンを繋ぐこともできる。
ヨーロッパで見たクラブでは、そんな「元選手」たちが、子供たちをコーチしている姿が印象的だった。

選手にとっては夢を掴むことが理想だが、それが実現しなかったとしても、そこまで培ってきた経験を活かす道は必ずあるはずだ。夢と同じぐらい人生そのものを導くことも大人(指導者)の役割と考え、選手たちの現役後を応援していく輪を広めていきたいものである。
オヤジになると、そんなおせっかいなことも考えるようになる。

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