先月末,
9月28日(土)に久米島(沖縄県)で水中文化遺産の見学会が開催されました.
見学会は,
国庫補助事業「久米島町地域の特性を活かした史跡等総合活用支援推進事業」として,
久米島町が主体となり,実施されました.久米島では,2011年にARIUA主催で見学会をおこなっており,
今回で2度目の開催となります.
今回は,前回と同じく,
水中文化遺産(水中遺跡)である
久米島・東奥武(オーハ)島沖海底遺跡(14世紀後半〜15世紀前半の中国陶磁が多量に散布している遺跡)
の見学をメインにおこなわれたものです.
対象は久米島町民,定員は40名.水中文化遺産見学では,
シュノーケル班と
グラスボート班とに分け,
潜れない方にも配慮した方法で実施され,
事前知識や水中遺跡が形成されたことの意義についての理解を促すためとして,
久米島博物館での久米島の水中文化遺産に関する事前講習やオーハ島沖海底から採集された陶磁器資料の見学や
陸上での関連文化財として,旧仲里間切蔵元跡・石牆,真謝港の見学もおこなわれました.
久米島博物館での事前講習事前の申込も多数あり,定員いっぱいの参加者で,
天候にも恵まれ,事故もなく,好評のうち無事に終了したとのことです.
グラスボートでの見学風景 シュノーケルでの見学風景今回の見学会は,前回とは異なり,
行政が主体となり実施したことに大きな意義があります.
そして,国庫補助事業であったこともあり,
町のみならず,沖縄県の職員(文化課)が参加しており,
県・町の協力体制のもとにおこなわれたことも特筆できることです.
沖縄県では,これまでに国庫補助事業として水中文化遺産をふくめた沿岸地域の分布調査が
おこなわれいます.
また,近年では,久米島町の水中文化遺産見学会,宮古島市や石垣市での水中文化遺産企画展の開催など,
水中文化遺産に関連する催しが県内各地でおこなわれるなど,
周知活動がなされるとともに,県民の関心も高まっているようです.
今後も博物館での展示会や市町村単位での水中文化遺産分布調査が予定されているとのことです.
行政が主体に動く,それも「周知」に関して動くことは,
国内ではこれまでほとんどなかったことです.
他地域にも大きなインパクトをあたえる事例ですし,
「前例」にもなります.このような現状については,見せることができる(可能な)海の存在や生活と海の近さなど,沖縄独自の風土によることはあるものの,
やはり
関係者の長年にわたる尽力の結果だと思います.
※情報と写真は,担当者よりご提供いただきました.