• もっと見る
« 2010年12月 | Main | 2011年02月»
<< 2011年01月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最新記事
カテゴリアーカイブ
最新コメント
T.Hayashibara
魚へんの漢字 (03/27) T.Hayashibara
「海底遺跡 新時代」 (03/27) T.Hayashibara
岩淵聡文著『文化遺産の眠る海 水中考古学入門』 (03/27) T.Hayashibara
公開された「神奈川台場」を見てきました (03/27) T.Hayashibara
東京駅・丸の内駅舎の復原 (03/27) T.Hayashibara
和賀江島と座礁 (03/27)
「海底遺跡 新時代」 (09/06) 山本
魚へんの漢字 (08/05) 斎藤 敏行
和賀江島と座礁 (07/29) 安田冨郎
東京駅・丸の内駅舎の復原 (07/08)
最新トラックバック
犬山城 (01/22)
https://blog.canpan.info/ariua/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/ariua/index2_0.xml
の、ように見えるもの [2011年01月18日(Tue)]
先日、あるテレビ番組で沖縄の海底遺跡を取り上げていました。
本島の海底に人工建造物があり、
それが2000年前のものであるということでした。

それが、人工建造物であるという大きな理由が、グスクに似ているということでした。
また、〜のように見える、という表現で建造物?全体や各部分を言い表していました。

たしかに、映し出された映像を見ると、グスクに似ています。

ただし、グスクと結びつけるのは、いかがなものでしょうか?

紹介された建造物?は、2000前のもの、
それにたいして、グスクは古くみても今から1000年ほど前の11世紀にならないとつくられ始められません。

単純に計算して、1000年ほどのひらきがあります。

考古学では、わからないものがみつかると、まず似たものを探します。
みつかれば、そのものとの関係を調べます。
この関係は、かたちだけではありません
時間的な関係も重要です。
文化というものは、通常は徐々に発展してゆくものですから。

今回のように1000年という時間のひらきがあると、
同じものと考えることは難しいですね

たまたま、似ている。
そのように見える。


それだけで、人工物であるということやそのものの性格・機能を決めることは、
モノを吟味して人の歴史を復元する考古学ではできません

水中にあるものは、わずか数m下にあるものでも普通は直接に見ることはできません。
ですので、水中遺跡の評価には、陸上の遺跡以上に慎重な姿勢が必要となります。
通常、水中で人間が生活をすることはできませんから、なおさらです。
何なのか、どのような構造をしているのか、何で水中にあるのか、などなど、
その証明のためには、より綿密な調査、学際的な研究が必要です。

今回のような安易な評価は、
ある意味、わかりやすいので、多くの方の興味は引くでしょうが、
水中遺跡にたいして、誤った見方を導きかねません。
数年前に一世を風靡した与那国海底遺跡のときがそうでした。

正しい水中遺跡の理解のためにも
皆さんもこのことを頭の片隅に置いて、
この種の映像を観るようにしてください。
| 次へ