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水中に眠る船、都市、集落―― 人類の営みをたどる「水中考古学」の世界 [2018年11月29日(Thu)]
今日(11/29)のYahoo!ニュース・特集として
「水中に眠る船、都市、集落ー人類の営みをたどる「水中考古学」の世界」
という3名の会員によるコラム記事が掲載されました.
https://news.yahoo.co.jp/feature

「水中」についての現状や意義等がわかりやすく解説されています.
ぜひ,ご覧ください.
松浦市立水中考古学研究センターが開設されました [2017年04月02日(Sun)]
昨日の4月1日(土),長崎県松浦市鷹島に松浦市立水中考古学研究センターが開設されました.

鷹島の南岸沖合には元寇関連遺跡として知られる「鷹島海底遺跡」所在し,
その一部である「鷹島神崎(こうざき)遺跡」は,2012(平成24)年3月に,海底遺跡としては初の国史跡に指定されました.
この指定は,1980(昭和55)年からの長年にわたる継続的な考古学調査による成果の蓄積によるものです.

鷹島海底遺跡は,水中における考古学調査・実験・研究を継続的におこなってきた国内唯一の遺跡であり,
鷹島は,日本の水中文化遺産調査・研究をリードしてきた地でもあります.

その地に,日本の公共機関としては初の「水中遺跡」の調査・研究を目的にした恒常的な施設が開設されました.

鷹島には,これまで文化財関連施設として,
「松浦市立鷹島歴史民俗資料館」と「松浦市立鷹島埋蔵文化財センター」がありましたが,
両施設は統合し、「松浦市立埋蔵文化財センター」に再編されました.
その中に,「国史跡鷹島神崎遺跡及び鷹島海底遺跡の調査,研究,保存及び活用を図り,市民の水中考古学に関する理解と文化の向上に資することを目的」で併設されたのが,
「松浦市立水中考古学研究センター」です.

日本あるいは日本考古学界全体から見れば,地方公共団体による小さな一歩かもしれませんが,
これまでなかった公共の研究施設ができたことは,
研究の「拠点」ができたとも言え,今後の展開を多いに期待したいと思います.

http://www.city-matsuura.jp/www/contents/1490860518377/files/tokusyuu1.pdf
http://www.city-matsuura.jp/www/contents/1490860518377/files/tokusyu2.pdf

hyousi.jpg
産経新聞(大阪本社版)連載「水中考古学へのいざない」 [2016年06月15日(Wed)]
井上たかひこさん(ARIUA会員)が,この4月から産経新聞(大阪本社版)・文化面に,
「水中考古学へのいざない」というタイトルで連載記事を書かれています.

1年間の連載だとのことです

毎月第2火曜日に掲載予定で,最新は昨日(6月14日)に掲載されました.
国内外の遺跡と調査について,紹介されるとのことです.

紙面では,西日本版のみの掲載ですが,
web版で他地域の方も読めます.

 産経ウェスト http://www.sankei.com/west/news/・・
あるいは,「産経ウェスト 水中考古学へのいざない」で検索されるとヒットします.

ぜひご一読ください.
『新潮45』で岩淵先生とビートたけしの「水中文化遺産」対談 [2015年03月18日(Wed)]
今日発売の『新潮45』最新号(2015.4月号.新潮社)に,
「水中文化遺産を知っていますか」というテーマで,
岩淵聡文・東京海洋大学海洋工学部教授とビートたけしの対談
14ページにわたり掲載されています.

水中文化遺産とは,水中考古学とは,水中文化遺産保護条約,
水中文化遺産を取り巻く世界と日本の現在の環境,今後の課題・研究の展開などなど,
水中文化遺産について,テンポよく語られています.

掲載紙が『新潮45』ということ,ビートたけしとの対談であることは,
周知」という点で大きな影響力があるのではないでしょうか.
とくにたけしさんが,今後テレビ等で正しい理解で,
情報発信をしてくれれば,と期待してしまいます.

ぜひご覧になってください.

それにしても,たけしさん,事前勉強をきちんとされていますね.
DSCN1294-1.jpg
岩淵聡文・東京海洋大学教授のインタビュー記事 [2014年11月22日(Sat)]
当研究所の理事でもある岩淵聡文・東京海洋大学教授の「水中考古学」に関するインタビュー記事が掲載されています.

http://www.athome-academy.jp/archive/history/0000001103_all.html
西日本新聞 [2012年12月08日(Sat)]
昨日(12月7日)の西日本新聞
11月の東京で開催された
東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」
関連の記事が掲載されました.
http://www.nishinippon.co.jp/wordbox/word/6957/9324

研究大会の紹介とともに,
日本の水中文化遺産・水中考古学の現状・意義等がわかりやすくまとめられています.
東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」 から(3) [2012年11月28日(Wed)]
先日の東南アジア考古学会研究大会で,
参加していた学生から,
「水中考古学を学びたい.学ぶにはどうしたら良いのか」
という質問もありました.

質問した学生は複数いて,いずれも考古学専攻生でした.

この種の質問は,よくあります.
とくに,このような学会で多いですね.
学生も興味があるから,参加するのでしょうし,
「水中考古学」という学問へのアクセス方法がわからないために,質問をするのでしょう.
在学している大学に明瞭な専好がない,だから誰に質問をして良いのかわからいない,
という事情もあるのでしょう.

答えは,いつも同じです.
研究大会でも話したように,また,このブログでも再三書いているように,
「水中考古学」といっても,あくまでも「考古学」の一分野です.
対象とるモノ(遺物・遺構・遺跡)が,たまたま水中(水底)にあるだけのことです.


研究の方法論は,陸の「考古学」と何ら変わることはありません.

ですので,大学で
「考古学をきちんと勉強しなさい」
「考古学でモノを見る目をしっかりと養ってください」

と答えます.
「考古学」の基本を学んで欲しい,ということです.

留学という選択肢もありますが,私は少なくとも学部レベルでは無理をして留学する必要は感じません.
国内の大学で十分に学べるのですから.

また,学生の多くは,「水中」にあるものを特別視する傾向
「水中考古学」を「考古学」と異なる特別な学問とみる傾向があります.
(これは,一般の方および研究者の一部にも見られる傾向でもありますが)
この点にについても,
「対象物は,陸上に残されたモノでも水中(水底)残されたモノでも,違いはありません.ヒトがつくったモノ・ヒトが残した痕跡であることに変りはないのですから」
と答えます.

また,調査(発掘調査もふくめる)についても
「基本的には,陸上と同じ方法でおこなうので,まずは陸上で経験を積んでください.水中でもそれを応用するだけですから」
「水中調査では,遺跡へのアクセスには潜水が必要になりますが,そのスキルは通常の潜水技術を習得するだけですから,考古学とは別の問題です」
と答えます.

この点に関しては,Randall J.佐々木さんが,よく言っています.
「ダイバーを考古学者にすることは難しいが,考古学者をダイバーにすることはそれほど難しいことではない」と.
まさにそのとおりで,この言葉に「水中考古学」(水中考古学研究)にたいする姿勢が述べられていると思います.

ですので,「水中考古学」(水中文化遺産研究)に興味をもっている学生諸君には,
声を大にして言います.
「水中考古学は,考古学の一分野でなので,学部では考古学をしっかりと学んでください」と.

そして,そのなかから水中文化遺産に興味を持てば,それを研究すれば良いし,
それにたいして,水中での調査(作業)が必要であればは,その技術はその後にマスターしてゆけば,良いのですから.
けっして「水中文化遺産」を特別視するようなことだけは,しないように,
あくまでも「ヒトがつくったモノ・ヒトが残した痕跡」なのですから.
東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」 から(2) [2012年11月25日(Sun)]
先日の東南アジア考古学会研究大会の総合討論で,
沈没船からの引き揚げ遺物の取り扱いがトピックとして取り上げられました.

沈没船からの引き揚げ遺物は,一括性の高い,一括遺物と考えることができる事例です.
ですので,考古学的情報としては,レベルの高いものです.
「陸上」からの成果では得にくい,
「水中」からならでは情報でもあります.

ただし,その取り上げ方次第では,
一括遺物として扱うことができない,
考古学的情報として不十分なもの
にも成り兼ねない,ことも孕んでいます.

たとえば,沈没船引き揚げ資料でも,
複数の船が同じ地区に沈んでいるとすれば,
どの船に,どの積荷がともなうのかを明確に把握してから引揚げることが必要です.
それをしなければ,一括性という資料価値は認められません.

調査の仕方が問題なのです.

水中での考古学的調査といっても
あくまでも「考古学的調査」ですので,
陸上の方法と基本的はかわりはありません.
「水中」という環境にあるので,
「水中」では使えない道具(素材)はありますが,

「水中」は何度も指摘していますが,
通常は「見えない」「見にくい」環境にあるので,
より慎重かつ,正確な調査が必要です


それでなくても「水中」ということで,その調査精度に疑問をもつ研究者は多いのですから.
今なお,「水中考古学」=「サルベージ」≠「考古学」
という捉えられかかたが,学会内あるこことも確かです.


ですので,私たちの調査では,当たり前なことなのですが,
水中での調査方法は,陸上と同じ方法でおこなっています.

ただし,先日の研究大会で他国事例を聞くと,
十分な調査がなされているかと,そうではない事例もあるとのこと,
しかも国家間の格差もあると感じました.

十分な図面がない,出土記録ない,など.

前にも触れたように,「水中」は「見えない」「見にくい」環境にあるので,
調査成果の検証は,調査記録がとくに重要視されます.
それが十分でない,のであるならば,
考古学的に疑義をもたれるのが仕方がないことですし,
その資料を「考古学研究」に無批判に使用することは,認められないでしょう.

とくに,現地を見ていない研究者(多くが見ていないと思いますが)が,
そのような資料を使用するには,調査方法にたいする十分な検討が必要
でしょうし,
疑問のある資料は,区別して使用する必要があるでしょう..

その点も踏まえて報告および討論時には,考古学研究者に文句を言われない(疑義をもたれない)調査方法による成果の公開を強調して指摘したつもりです.

2月に東京海洋大学で開催したARIUA主催の企画展時に,
海底での遺物出土状況図を参考資料として掲示したところ,ある研究者から,
「こんなに詳細な図をとっているんだ」
「陸上と変わらないですね」
との感想をもらいました.

また,先日の研究大会時にも,私の「陸上と同じ調査方法」という指摘にたいして,
沈没船引き揚げ遺物を考古遺物として扱えるのか疑問をもった,という感想もいただいています.

このように「考古学」では当たり前の,
「何が」「どこから」「どのように」「どれと一緒に」出土したのかを検証できるような調査が,
「水中」ではなされていない(忘れられている)現状があることを,再認識しました.

それとともに,このことをない成し得ない限り,
「水中考古学」が学会内で認められず,
単に「サルベージ」「お宝探し」という,
一般の興味以上のものには成り得ないことも再確認,再認識しました.
東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」 [2012年11月20日(Tue)]
先週末17・18日の2日間にわたり,
東南アジア考古学会研究大会「東南アジア水中考古学最前線」が,
昭和女子大学(東京都世田谷区)でおこなわれました.

このような,歴史のある学会で,
「水中考古学」がテーマとして取り上げられることは初めてのことではないでしょうか.

多くの参加者があり,盛会でした.

ARIUAからも,
林田憲三理事長,Randall,J.SASAKI会員,そして私(林原利明)がパネラーとして参加しました.

当日は,講演3本,事例報告5本があり,
東南アジア各国(フィリピン,ベトナム,タイ,インドネシア,パラオ)と日本の水中考古学調査・研究について,最新情報もふくめた報告がなされました.

私は,日本の現状・事例報告をしたのですが,
日本の現状は,このブログでも何度か書いてきたように,
とにかくその(水中文化遺産)存在や調査・研究の現状を知ってもらうことが,
重要なことですので,研究者を前に話をできたことは,
非常に意義深いことだったと思っています.

また,他国の事例や調査・研究の現状報告(課題もふくめて)を聞き,
直接に情報交換をできたことで,
日本の現状や課題を再確認することができました.

そのなかで,他国の事例がすべて沈船調査・研究であったことは,
東南アジア各国での「水中考古学」の在り方を考えるうえで,
興味深いことです.

実際に「水中考古学」=「沈船」研究
と思われているかたも多いことと思います,

この傾向は,中国や韓国にもみられるようです.

各国の「水中考古学」の発展が,トレジャーハンター(商業サルベージ)から,
文化財としての沈船およびその積荷を守る,
ということに端を発しているということとも無関係ではないと思います.

そして,その積荷のうちの陶磁器は,
産地から消費地へと動くこと,およびその一括性から,
アジア各国での考古学的成果を補完するものとして,重要視されています.

このようなことから,沈船研究が注目されていることも否定はできません.

ただし,「水中考古学」は「沈船」研究のみではありません.
その対象とするものは.「水中文化遺産」です.
「沈船」以外にも「沈降(水没)遺跡」「港湾関連遺跡」などの遺跡も対象とされます.

この点は,強調をしておきたいと思います.
私の報告では,そのことは念頭にいれて,「沈降遺跡」も紹介をしました.

「沈船」以外の「水中文化遺産」についての各国の理解は十分ではないようなので,
日本からの発信をする,しなければいけない,ということも感じました.


各国ともに,行政・大学や博物館に「水中考古学」のセクションがあり,
また法整備もされているとのことです.
(インドネシアだけは,少しようすが異なるようですが)
このような環境面に関しては,うらやましく感じられることも多少はあります.
しかし,日本は,環境や行政的理解という面では遅れているかもしれませんが,
世界に誇れる埋蔵文化財行政や調査の緻密さがありますので,
日本での情報整理をしたうえで,
その面からのより幅広い情報の発信はできる
ものと考えています.

「沈降遺跡」の周知は,そのひとつです.

また,「沈船」研究にしても,資料を批判されずに研究の俎上に載せるためには,
水中にあることから,より的確な考古学的調査(陸上と同じ精度の調査)による遺構・遺物の把握は不可欠であることも再確認しました.

このようなことも感じる,考えることのできた実りの多い研究大会でした.
日本は遅れている? [2012年08月29日(Wed)]
「日本の水中考古学は,欧米はもとよりアジアのなかでも遅れている」
ということをよく耳にします.

たしかに,先日ものblogでも書いたように,
公立の水中文化遺産を調査・研究できる機関,
あるいは水中文化遺産に関する専門の博物館はありません.
関連法およびその運用も十分とはいえません.

この点からは,それらを持っている中国・韓国をはじめとした,
他のアジアの国々より,遅れているのかもしれません.

このように,環境・制度面からみれば,「日本は遅れている」といえます.

ただし,このことのみで「日本は遅れている」といえるのでしょうか?
私は,そうは思いません.

日本の考古学は,
遺跡(遺構・遺物)の調査・研究方法,成果,
遺跡の保存・活用,遺物の保存処理,
法制度や行政の取り組み,
など,どれをとってもアジアはもとより,世界でもトップレベルです.

考古学の一分野である「水中考古学」も,同様です.
これまでの調査内容や成果をみれば,それは明らかです.
けっして,「遅れた」ものではありません.

ただし,水中文化遺産の未周知から,実践する機会に恵まれない,ということはあります.
このことが,環境の未整備をもたらしていますので,
「遅れている」ととらえられているのかもしれません.


また,何回も触れていますが,
「水中考古学」が「考古学」とは違う学問であると,
とらえられていることも,その原因といえるのかもしれません.

「水中考古学」を実践するためには
特別な施設や機関,
特別な調査方法や研究方法,
特別な制度,
など,「特別なこと」が必要
という先入観や偏見もあるのでしょう.

先入観」と「偏見」,手ごわいです.

この「先入観」や「偏見」をリセットして,
日本の「水中考古学」を今一度,見直してみてください.


けっして「遅れている」とは言えないこと,
は,お分かりになるものと思います.
それとともに,今,日本の「水中考古学」に必要なことも.
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