坊津の調査で使った器材は、
潜水器材以外ですと、みつけた遺物(碇石や陶磁器類など)の
記録をとるための道具です。
今回は、発掘はおこなわなかったので、掘る道具は使いませんでした。
記録をとるための道具は、測るための道具として
ナイロンメジャー・
コンベックス・
水準器,位置をしめす道具として
ピンポール・
耐水荷札などで、私たちがこれまで水中調査で使ってきたものです。
また、これらの道具は,
水中調査専用の道具ではなく、普通に陸上の測量などで用いるものです。
これは、陸上の遺跡調査でも同じなのですが、
発掘専用の道具というものはほとんどありません。
今でこそ、発掘用に工夫された道具も商品として購入できるようになりましたが、発掘調査に携わる多くのひとは、普通に購入できる道具を
各自が使いやすいように加工したりして使っています。
水中でも同じです。
さすがに、記録記載用の紙類は、耐水用のものをついかますが、
多くは陸上用のものの転用品です。
ただし、とくに海での使用後には、水洗いなどの十分なメンテナンスは必要でです。
そのなかで、今回の調査では、
遺物の位置をしめす道具として、ピンポールのほかに、梱包用に使うエアキャップ−プチプチのことです−を使ってみました。
エアーキャップを幅10cm、長さ1mぐらいに切り、その先端に固定用の竹箸をつけたものです。
透明だとわかりにくいので、
赤色のものを使いました。
写真は、作っているところで、携帯しやすいように丸めています。
それを水中にもってゆき、遺物をみつけたら、目印として近くにつけました。
結果として、
非常に有効でした。
それまでは、ピンポールを使っていたのですが、かさばり、多くなるとそれなりの重量にもなり、水中での持ち運びに難点がありました。
その点、
エアーキャップは、小さくまとめることができ、さらに軽いので,扱いやすかったですね。
よく目立ちもし、3日間水中に置きましたが、若干エアー抜けがあったほかは、問題はありませんでした。
ただし、浮力があるので、持ち損ねると浮かしてしまうという難点はありましたが。
このように、発掘の道具というのは、水中に限らず、陸上でも工夫しています。
ちなみに、このエアキャップの利用は、
宮武理事の発案でした。