2019年04月30日
平成31年4月30日火曜
連休の合間に診察をするきょう30日が平成最後の診察日、感慨深い。このクリニックを開設するために大和市立病院の職を辞したのが平成元年12月、開設したのが平成2年になったばかりの1月16日、大雪の日だった。あと8カ月で開設30年となる。ここまであっという間だった気がする。なにより今まで元気で健康でやってこれたことに感謝しなければならない。開設当初は日本人が圧倒的に多く、それでもカンボジア、ラオスなどのインドシナ難民出身者やフィリピン人の方々が来てくれた。インドシナ難民は受け入れ人数が1万人と決まっていたこともあり、またいわゆる呼び寄せでやってきた人たちの事業もほどなく終了し、インドシナ難民出身の患者が飛躍的に増えるなどということはなかったが、定住して30年から40年を経ても、ずっと診察させていただいている人たちのほかに困ったときにやってきてくれる人たちがいる。その後、一時的にタイ人が急増したこともあった。もともと、タイが好き、タイ語も好きだったこともあり、独学にいそしんだ。タイ人患者は数はさほど多くはなかったが、ひとりひとり抱える問題が大きくて難儀した。その後、タイ人が急減するとすきまを埋めるように南米からの日系人とその子孫が急増した。学生時代、もともと文科系の僕は教養課程の勉強に興味が持てず、家に帰ってはNHKのスペイン語会話を見ていた。その動機も単純で、中学生のころからアルゼンチンタンゴが好きだったからだ。おかげでいま、なんとか南米の患者を拝見できるようになっている。リーマン・ショックがおこると企業は首切りに走り、南米出身者でも日本に適応できなそうな人たちは帰国していった。今、僕のクリニックはフィリピン人、ベル―人、タイ人、ベトナム人、カンボジア人、ブラジル人など中長期に日本に滞在する人たちと日本人で連日混んでいる。20日程度診療して延べの外国人患者は月間で230人程度だろうか。最近、少しだけ目立ってきたのが旅行中の人たちや技能実習生たちだ。いつも思うこと、それは外国人の人たちにいい日本の印象を持ってもらうこと、そして日本人とわけ隔てのない医療をいかにしたら提供できるかということだ。
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2019年04月27日
平成31年4月27日土曜
国のある機関より外国人医療の現場をご覧になりたいと3人の方がいらっしゃった。なぜか、見学や取材にだれかがいらっしゃると、その日に限って外国人患者が少ないというジンクスがある。このジンクスの一番の原因はいらっしゃる曜日が一番外国人が多い土曜日を避けているからなのだが・・・昨日も金曜日、そして診察が始まる直前から激しい雨。予定の時間に見学の方々はいらっしゃったが、外国人患者はというと・・・彼らがやってくる前にパキスタン人女性とベル―人女性の2名がすでに診療を終えて帰ってしまった。その後も雨のせいで日本人患者も多くはなく、お帰りになるという11時になってどっと患者が増えて来た。午後になって高血圧なのに1年前に勝手に内服をやめてしまったフィリピン人男性58歳が、血圧が高くなってしまったと来院。血圧は170を超えていた。きょう、僕の外国人患者ノートの82冊目を見ると、きのう、僕が診察した外国人患者は11人、うち9人がフィリピン人だった。
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2019年04月26日
平成31年4月26日金曜
朝からジャマイカ人男性28歳、米国人男性32歳と立て続けにエイズ検査希望で来院。ふたりとも陰性だった。米国人の男性はつきあっていた女性がクラミジア感染症とわかって来院したもので、クラミジアの検査結果は即日ではないことを伝えると顔が曇ってしまった。結果が判明するまでに1週間近くかかるため、アジスロマイシン4錠を一回で内服するようにと話して処方した。月曜日に腹痛でやってきて、触診と血液検査結果から急性虫垂炎と診断したタイ人男性17歳、フルマリンの点滴で火曜日には腹痛は軽減、火曜日の帰宅時に「来週はどこの医療機関も長く休みになる、なんとか土曜日までによくなってほしいので、次は木曜日に来てほしい」と話したのに・・・・来なかった。木曜日は腹痛の程度のチェックと月曜日に1100を超えていた白血球数、6.5を超えていたCRPがどうなったか、よくなっているという根拠を調べてその結果で治療が今のままでいいのかを判断したかったのに・・・これで悪くなったりしなければいいのだが・・
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2019年04月25日
平成31年4月25日木曜
珍しいことがあるもので・・23日火曜日に僕が拝見した外国人患者は5人、うち3人がタイ人だった。このあたりに住んでいるタイ人にはみな、一人一人の物語がある。もう20年近く前になるか・・あの頃は隣のA市には資格外労働や在留期間が切れたタイ人約1万人が住んでいると事情に詳しい人たちの間では言われていた。彼らを労働者として吸収する工場などがあったことがこんなにたくさんのタイ人がいた最大の要因だろうが、住みやすさもあったようだ。40年前ごろから日本政府がインドシナ難民を約1万人を上限として合法的に受け入れた3つの受け入れ施設のうちの1つが大和市にあったからだ。そこではラオスとカンボジアからの難民を主にタイの難民キャンプから受け入れていた。ラオス人とタイ人は言語的にも極めて近く、難民キャンプが存在した場所はタイでもイサーンと呼ばれる東北タイ、ラオ族が多く、ラオス語に近いイサーン語が話されている地域だ。ラオス人でも東北タイに遠縁が住んでいるという人たちが少なくない。ラオス人難民が大和市周辺に定住し、レストランや彼らの仲間をつなぐ商売を始めたため、タイ人にとって住みやすい環境が整ったのだろう。悪い影響もあった。給料日になると工場の前に夜の女らしきタイ人女性が支払いを求めてタイ人労働者を待っているなど・・・ここはどこ?という風景もあったらしい。そういう中でエイズの感染も広がっていて対応に追われた。リーマン・ショックなど我が国の景気の後退とともに、タイ人はしだいに影が薄くなってきた。そういえば23日にやってきたタイ人3人は3人とも、東北タイの出身者だった。
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2019年04月23日
平成31年4月23日火曜
初診のタイ人男性17歳、母親が日本人と結婚していて最近、ひきとられてやってきたらしい。日本語は全くできない状態。母親もあまり日本語が上手ではなく、それでも受付で聞き取ったらしい主訴に「腹痛、下痢はない」と書いてあった。感染性腸炎を念頭においたメモと思った。診察室で触診してみると右の下腹部痛で、急性虫垂炎を疑う。痛みは土曜日からだそうで、それでも「普通に」歩ける。採血をしてみたところ、白血球数11000を超え、CRPは6を超えていた。本人と母親に「サイティンのアクセーブ」と説明して、抗生物質の点滴を施行、翌日からの一週間分の抗生物質を処方した。フィリピン人男性36歳、生活保護で今回は就労のための健診にやってきたのだが・・血液検査の結果、軽度の糖尿病、中性脂肪が264、LDLコレステロールが190と問題が山積、就労には問題はないと証明書には書いたが、食事療法をきちんとやってくれるかどうか、非常に怪しい。採用する側が証明書の内容を見て、採用の意志が変わるのではないかと心配になるが嘘は書けない。ベトナム人女性46歳、偏頭痛でトリブタン製剤を処方している。明日からベトナムに一時帰国するそうで、いつもは10個ずつ処方しているトリブタン製剤を「たくさん」欲しいとせがまれたが・・・トリブタン製剤は値段も高く、一一回の処方個数もあまり多くならぬよう、制限されていたはず。「日本の公的保険を使う際のルール」と説明して、15個処方。処方箋に「海外へ3カ月間、一時帰国するため」と注釈を書いておいた。
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2019年04月22日
平成31年4月22日月曜
カンボジア人女性が9歳のお嬢さんを連れてやってきた。先週、ブログに書いた失効した保険証を使って診療を受け続けて来た一人だ。土曜日も失効した社会保険の保険証を窓口で提示したので、「これは会社をやめたら返却しなければいけない。だから使えない。こういう時は国民健康保険に加入することになる」と話したと職員に聞いた。すると、「もうすぐ別の会社で働くことになっているので、それまでの短い期間、今のこの保険証を使いたい」と答えたそうだ。やはり悪気があって失効した保険証を使ったのではなく、「社会保険をやめたら国保に入らなければならない」とかそういう基本的な知識を持っていないのだ。短期間と本人は言うが、本年2月のレセプトが戻ってきているので、すでに会社をやめて2カ月は経過しているということだろう。そういえば、3月の上旬だったか、定かではないが、「カンボジアに久しぶりに帰ってくる」と話していたなと思い出した。あの時、すでに会社をやめていたのだろう。これから外国人が飛躍的に増えると、こういうトラブルも増えるのではないかと懸念する。こういう日本に暮らしていくための制度を「だれかが」しっかりと教えてあげるシステムが必要だろう。
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2019年04月20日
平成31年4月20日土曜
ベルー人66歳女性、手の縫合創からの抜糸を施行。その後、血圧を測定。よく降圧剤の効果が出ている。さあ終了というとき、日系のご主人が「これどうぞ、先生、食べてね」と大きな包みをくれた。中を見ると、チョコレート ケーキのような大きなケーキがひとつ。15人分はありそう。まず一人前に切って僕が食べてみた。せっかくダイエットを始めて1カ月、体重が落ちて来たというのに「おいしすぎる」。ここではまってはいけないと思い、職員全員に分けて食べつくしてしまった。食べておいしいこともうれしいが、なにより、下さった気持ちに感謝。フィリピン人女性62歳、数カ月ぶりに先月やってきた。そのときに本人も不安なのか、空腹でやってきたので採血させてもらったが・・・中性脂肪が250を超えている。相当に高い数字だ。1カ月の内服で血圧は安定したが・・・・再び、食事療法の話から。途中まで話すと、もう食事療法はいいから薬を出してほしいと。薬を処方することはやぶさかではないが、こういうとき、内服したら何を食べてもだいじょうぶと考えがちなのが患者心理。それではいけない、内服しても食事療法はきちんとしなくてはと釘を刺しておいた。
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2019年04月19日
平成31年4月19日金曜
昨日は外国人患者が少なかったなあと思って、外国人患者ノートを見直してみたら・・それでも僕が診察したのは4人、小児科と併せると8人かそんなところだろう。「少ないと感じても8人ぐらい」、これが僕のクリニックの現状だ。韓国人53歳女性、特定健診に来院。ベル―人のご夫婦、ともに高血圧でいつもの診察に来院。日系人のご主人のほうはベル―人にしては珍しくビーフは食べないそうで、焼肉も好きではなく、魚、刺身が好物だと教えてくれた。フィリピン人男性61歳、午後5時の診療終了直後に来院。帰り支度をしていたが、血圧を計測し、処方箋を書いた。その間、一番近い調剤薬局に電話して彼が行くまで帰らないようにとお願いした。こういうのを世の中は親切、あるいは当たり前と呼ぶのだろうが・・・短時間であっても看護師、事務に残業をさせてしまうことになり、その経費を考えたら、医療機関としての経営面ではむしろマイナスとなりかねない。これは調剤薬局も同じだろう。保険の診療報酬制度の中には時間外の料金について定められてはいるものの、これぐらいの「時間外」でいつもより高い医療費を請求されたら、それはそれで納得できない人も少なくはないだろう。そう考えると時間外の割り増し分はとても請求できない。いつも陥るジレンマ。
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2019年04月18日
平成31年4月18日木曜
先週末にやってきたオーストリア人女性、血液検査の結果、肝機能、腎機能、脂質系、糖尿病に関する項目などとくに異常はなかった。本人も納得して帰って行った。ベル―人女性66歳、手を縫合したついでに計測した血圧が「ものすごく」高かったので、降圧剤も処方して4日目、血圧は正常範囲内まで下がっていた。毎日、朝7時前にはクリニックに来て、まずは郵送物を整理し、このブログを書いているのだが・・・きょうは全国健康保険組合から3通、郵便物が届いていた。開封してみると、資格喪失後の診療とある。なんらかの都合で社会保険の資格をなくした後に受診したということだ。かかった医療費の窓口での自己負担分3割以外の7割については、支払えませんよということだ。資格喪失後、国民健康保険に加入していてくれれば、請求をそちらにまわすのだが・・・もし国民健康保険への加入を怠っていると本人に支払ってもらうしかない。そして本人と連絡が取れなければ、あるいは取れても支払いに来てもらえなければ、クリニックにとっては未収金という経営的負担となる。中にはつい数日前にやってきた人の名前もある。がっかりしてしまう。3名のうち2名が外国人。
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2019年04月16日
平成31年4月16日火曜
県央のA市のさらに「奥」からやってきた初診のアルゼンチン人男性56歳、日本語もそこそこ上手。ずっとおなかが痛くてがまんしてきたという。祖父、父親が大腸がんで心配しているとのこと。胃のあたりやおへそから下が「きゅるきゅる」という音がして痛いことがもう何年か続いていると訴える。僕の下手なスペイン語で過去のことを訊ねてみると、過去にも同様のヒストリーがある。これって過敏性腸症候群だと思った。痛みがあるようなときには下痢か軟便になるらしい。とりあえず、トリメブチンとクロストリジィウムを処方して様子を見ることにした。アルゼンチンのどこから来たの?と聞くと「マル デルプラタ」とのこと、大学病院で内視鏡検査の研修を教えた日系アルゼンチンの親しい友が住む海辺の街だ。名前を言ってみたが、大都会のこと、知らなかった。長く日本で働いていると言う、その理由はアルゼンチンの経済的理由だけでなく、治安が悪いからだそうだ。彼と話していて気がついたこと、やはりある程度は言葉が通じないと問診も大変そう、そして問診がうまく取れると診断に大いに役立つことだ。
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