2019年07月19日
令和元年7月19日金曜
こういう嫌な予感は当たる。2週間ほど前に腹痛でやつてきたケニア人女性37歳、下痢はなかったが、痛みに波があり、それがおへそを中心に腹部ほぼ全体と言っていた。軽度の嘔気もあり、微熱程度もあったと記憶している。感染性腸炎だろうと考え、ビフィズス菌製剤とブスコパンを処方した。昨日、再び来院、痛みが止まらない、食事をすると直後から「胃が痛くなる」という。ベッドで横になって痛いところを触ってもらうと前回同様、おへその周囲で、痛みに波があると訴える。感染性腸炎でないとしたら、過敏性腸症候群とか、そういうことも考えねばいけないかと思い、母国にいるときの既往歴を訊ねたら・・・潰瘍になったと言うので、どこの潰瘍か?と訊ねると「覚えていない」とのこと。そうそう、マラリアに罹ったわともいう。驚いたそぶりを見せると、「どうして? ケニアじゃマラリアは多いし、もう治っているし」と続ける。こうなると、以前、インドシナ難民の方々を定住促進センターで拝見していたときのように、寄生虫疾患も考えなければいけないのかもしれない。念のために、同じ「波のある痛み」で太った女性に多い疾患である胆石症を鑑別診断するためにエコーで見てみたが、胆石はなかった。本人も付き添ってきたナイジェリア人男性もどうやら「胃の病気」と考えているようなので、準緊急で内視鏡検査を翌日、すなわち本日の午後に行おうと説明をし始めたところ、「内視鏡検査なんてしたことがない」と言い出した。あれっ、母国で潰瘍と言われたのは何だったのだろう?と戸惑った。日本の感覚で潰瘍と言われた以上はそれ相応の検査は受けているものと思い込んでいた。さらに寄生虫疾患等をチェックする意味などを含めて、採血をしようとすると・・・大暴れ・・とはいかないが、後ろから支えていないとできないような状態で、ようやくし終わった。この分では内視鏡を挿入するのも大騒ぎだろう。僕の勘では内視鏡検査を行っても潰瘍などはないと思う。とにかく彼らが考えていることを否定するための検査というつもりなので。それで血液検査も異状なければ、過敏性腸症候群でもいいと思うのだが・・・なんだかもう一波乱あるような気がしてならない。だから・・いつも言うが、こういうときに熱帯病の専門家の助言が得られたらと思う次第だ。
posted by AMDA IMIC at 10:13
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