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申入書〜相模原市障害者殺傷事件に対する政策の議論のあり方について〜 [2016年08月01日(Mon)]
2016年7月26日未明に相模原市の障害者施設で発生した事件に関しする政策の議論のあり方について、大阪精神医療人権センターでは、厚生労働大臣に対し、以下の申入書を提出します。  
2016年8月1日


申 入 書
〜相模原市障害者殺傷事件に対する政策の議論のあり方について〜


厚生労働大臣 塩崎恭久 様

〒530−0047
大阪市北区西天満5丁目9番5号 
谷山ビル9階
認定NPO大阪精神医療人権センター
代表理事 位 田 浩
代表理事 大 槻 和 夫
TEL 06-6313-0056 FAX 06-6313-0058

当センターは、『扉よ、ひらけ』をスローガンに、精神科病院の閉鎖性や密室性によって生じる精神障害者に対する人権侵害を防止し、安心してかかれる精神医療を実現させるための活動を30年にわたって続けている、当事者、家族、精神科医療福祉従事者、弁護士、市民等で構成される特定非営利活動法人です。

今回の事件をきっかけに設置されようとしている有識者会議について、以下の通り申入れます。



1 不十分な情報から議論をスタートさせてはいけない

 今回の事件は、まだ捜査が始まったばかりで、被疑者が精神障害者であったかどうか、措置入院の要件があったかどうかを含め実態の解明がほとんど進んでいません。
 それにもかかわらず、塩崎厚生労働大臣は「措置入院後のフォローアップのあり方を充実していかなければならないという指摘もありうる。」として措置入院後の対応のあり方を検討する考えを示し、厚生労働省は措置入院の制度や運用の在り方について見直しのための有識者会議を設置する方針を固めたと報道されました。また、安倍首相が措置入院のあり方の見直しも含め再発防止策を検討して速やかに実行することを指示したとも報じられています。
 かつて池田小学校事件を受けて心神喪失者等医療観察法ができたときも、当時の小泉首相が「精神的に問題がある人が逮捕されても、また社会に戻ってひどい事件を起こす」と言って刑法の見直しを検討するよう指示したことがきっかけになって、法制定が急に進められたことを思い出します。事件を起こした加害者は、裁判で完全責任能力が認められ、司法の中で責任が問われました。結局、加害者は心神喪失者等医療観察法の対象者にはならず、仮にこの法律が池田小学校事件の発生以前にあったとしても、事件を防ぐことはできませんでした。それどころか、心神喪失者等医療観察法は、いまや入院者の入院の長期化という人権侵害を招いています。
 事件の結果の重大性に目を奪われて、被疑者に措置入院歴があったというだけで、あたかも措置入院制度を見直せば今回の事件が防げたかのような議論をすることは間違っています。不安をかきたてることで精神科病院を退院できる人が退院できないという事態を招くことになりかねません。


2 今なされるべき議論は何か

 今は、まず被疑者に対する措置鑑定の結果を再検討し、診断や治療の内容(治療可能性、治療目標)などを検証しなければなりません。そもそも被疑者に措置入院の要件である精神障害があったのかどうか疑問があるからです。
 報道によれば、被疑者の病名については、大麻精神病とか妄想性障害とされているようです。大麻は、入院後の検査で検出されたということですから、措置鑑定のときに診断されたのかどうかも疑問であり、いずれにしても分からないことが多くあります。
 また、被疑者は措置入院になる前に施設職員に対し「重度の障害者は生きていてもしかたない。安楽死させたほうがいい」などと言い、障害者を殺すかもしれないと判断した施設が警察に通報したとされています。このような被疑者の考え方が危険だということで措置入院にしたとすれば、精神科病院を危険思想の持ち主に対する保安処分施設代わりに利用したものといえます。これは、精神医療に社会防衛の役割を求めるものであり、許されるものではありません。
 被疑者による犯罪予告がありながら、警察による犯罪予防で対応するのではなく、精神医療にいわば丸投げするようなことがどのような経緯(国、県、県警、市、施設の「連携」)で行われたのかが検証される必要があります。
 措置入院制度のあり方を見直すという議論は、犯罪防止という警察行政の問題を精神医療で解決しようとすることにつながりかねず、この点からしても、厚生労働省の打ち出した上記方針には強く反対します。


3 措置入院解除の厳格化や解除後の監視強化につながる議論にしてはならない

 被疑者に対する措置入院の解除や措置解除後のフォローが不十分であったことが問題であったかのような報道がされています。措置入院制度の見直しという厚生労働省の上記方針にも同じような問題意識があります。
 しかし、入院時に措置要件があったかどうか疑問があることは先に述べたとおりです。それよりも、被疑者に対する措置入院を解除しないで精神科病院に閉じこめておけばよかったとか、措置入院解除後に監視をしておけばよかったかのような議論は、ただでさえ長期入院や社会的入院による人権侵害を受けている精神障害者の退院を困難にするばかりか、社会復帰後も治安対象として監視するという人権侵害を引き起こします。
 池田小学校事件の後、医療側の自主規制があって強制入院が増え、社会に対する患者や家族の怯えから入院期間が長期化しました。厚生労働省の上記方針で検討が進められるのであれば、措置入院の長期化や退院後の管理強化が制度化されかねません。
 精神医療を治安の道具にするような議論が予想される有識者会議の設置には、強く反対します。
以上
Posted by advocacy at 12:13
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