(2/13)ミャンマー便りvol. 21〜住民と一緒に取り組む子どもの教育環境の改善〜 [2018年02月13日(Tue)]
60年にわたり紛争が続いていたミャンマー。紛争の間に学校は朽ち、紛争が落ち着いた現在も子どもたちが安全に勉強できない環境となっています。ADRA Japanでは2017年11月より、紛争の影響を受けてしまった学習環境を改善するため教育支援に取り組んでいます。
ADRA Japanが活動しているカレン州では、長い紛争により教育を受ける機会が限られていた親世代が教育の重要性を十分に理解していないために、子どもには学校に通わせるのではなく農作業や家畜の世話を任せる傾向があります。また、小学校を卒業しても中学校に進学する児童の数が限られており、教育を継続して受けることができる子どもはまだまだ少数派であるのが現状です。 こうした状況を受け、ADRA Japanは、保護者を含む学校地域に住む住民の方を対象に子どもの教育に対する理解を深めるための啓発ワークショップを実施しています。 教育啓発セッションの様子。(中央で立っているのは事業スタッフ) ワークショップではまず、なぜ子どもが継続して教育を受けることが大切なのかを住民の方たちに考えてもらうためのセッションを行ないます。子どもたちの将来の可能性の広がり、衛生に関する意識の向上や経済活動への効果など、教育を受けることのメリットについて話し合います。 次に、住民の方たちが地域にある教育に関する課題を考え、課題の解決に向けて行動を起こしていくためのワークショップを行ないます。このワークショップでは、参加者が村の教育に関する課題とその原因について話し合い、対応案を練り出します。 例えば、通学路やその途中にある橋が老朽化しているため子どもを学校に通わせるのが不安である、という課題が挙げられたら、自分たちで橋を修繕する、通学路を土のうで整備するなどの改善案を村の方たちが自ら検討します。 村における教育に関する課題を議論、分析する さらに、検討した改善案をもとに具体的な活動計画を立て、実施に向けて動きだします。 ワークショップで話し合うだけでなく、具体的に行動に移していくことで、住民の方の教育への関心は高まります。また、教育についての問題を発見し解決する経験を積むことで、村の方たちが自ら子どもの教育について考え、より良い教育環境に向けて取り組んでいけるようになることを目指しています。 通学路の途中にある橋が老朽化したので修繕している 舗装されていない通学路を土のうで整備する 子どもたちが安全に継続して教育を受けられるようになることを目指して、子どもの教育を住民の方々と一緒に考え、長年の紛争の影響を受けてしまった教育環境を整備する活動をこれからもADRA Japanは続けていきます。 引き続き、皆様の温かいご支援のほど、よろしくお願いいたします。 *ミャンマー教育支援事業は、皆様からのご寄付のほか、イオンワンパーセントクラブ、外務省NGO連携無償資金協力の助成も受けて実施しています。 (執筆:ミャンマー事業担当 松川聡) ADRA Japanのホームページはこちらです |