(12/9) ネパール口唇口蓋裂医療事業の1日の流れ [2014年12月09日(Tue)]
11月24日(月)から手術が始まったネパール口唇口蓋裂医療事業。12月4日(木)をもって予定されていたすべての手術を無事に終えることができました。本隊はすでに帰国しましたが、まだ入院している患者さんとそのご家族がおられますので、数名の医師および看護師がネパールに残り、対応をしてくださっています。
さて、きょうは医療チームの1日の流れを紹介します。 医療チームの朝は6時30分から始まります。 6:30 朝の集い(自由参加) ADRAスタッフの部屋に集まり、毎朝、参加者の中から1人の方に10分から15分ぐらいのお話をしていただいています。話す内容は各自の自由で、なぜ医師になったのか、看護師になったのか、この事業に参加したきっかけは何か等、様々です。日本全国から集まっているこの医療チームの参加者からは、毎朝とても興味深いお話を伺うことができます。 朝の集いの様子 7:00 朝食 朝食時には、形成外科、麻酔科、手術室看護師、病棟看護師、臨床工学技士、ADRA、それぞれのリーダーが集まりミーティングをします。当直の医師から夜間の患者さんの報告があり、特別な処置をした患者さんがいた場合にはその内容も共有されます。その後、1日の手術のスケジュールや各部署からの要望等を確認します。 朝のミーティング 8:00 ホテル出発、バスで病院へ 8:10 回診・外来開始。手術準備。 夜勤の看護師から日勤の看護師への引き継ぎがあり、形成外科医は入院している患者さんの回診を行ないます。術後の状態が落ち着き、退院できると判断された患者さんは病院の近くにADRAが借り上げているホテルに移ります。ホテルに移った患者さんは毎朝通院して外来診察を受けます。 回診の様子 手術室では、手術の準備です。 手術を受ける患者さんは、シャワーを浴びて手術室の前室で手術の順番が来るのを待ちます。手術前は飲食禁止ですが、順番を待っている間に飲食してしまうことがあるため、手術室に呼ばれるまで看護師の管理下に置かれます。 手術室の前室の様子 回診及び外来診察が終わると、手術開始です。 手術ベッドは2台。今回は、多い時には1日9件の手術を行ないました。手術にかかる時間は症例によって様々。長い場合には、8時間以上におよぶこともあります。 手術の様子 病棟では、手術が終わった入院患者さんのケアが行なわれます。 術後は、日本と同じように定期的に点滴や体温等のチェックをします。口の周囲や内側の手術のため、食後の口内洗浄も欠かせません。衛生状態が必ずしも良くないネパールでは、特に術後管理が手術の成功に大きく影響します。 口蓋裂の術後、まだ固形物を食べてはいけないのに親がビスケットを食べさせてしまい、慌てたこともあります。 不安な家族に寄り添う看護師 食後には口内洗浄 昼食 手術室、病棟、それぞれ交替で昼食をとります。医療チームが体調を整えて、医療活動に専念できるように、昼食は日本食を用意しています。 昼食は外で! 16:00 夜勤の看護師が病棟へ 入院患者さんのために日本人看護師とネパール人看護師が夜勤をします。16:30に日勤の看護師から引き継ぎを受けてから、翌日の朝の回診と外来診察が終わる9:00くらいまでの長い勤務になります。夜中は2時間おきに交替して睡眠をとっています。このほかに医師が1人、患者さんの容体が悪くなったときにすぐに対応できるように病院に泊まります。 18:00ころ ホテルへ 手術が全て終わっている場合は、夜勤看護師と医師を残して、ほかの参加者はホテルに移動します。しかし、手術が長引いた場合は、その手術が終わるまで帰ることはできません。遅い時には20時くらいまで手術をすることもあります。 夕食そして夜の集い 2,3日に一度、夕食後に「夜の集い」を行ないます。医療事業に参加している全ての看護師が口唇口蓋裂の患者さんのケアの経験があるわけではないので、今回は最初に形成外科医が口唇口蓋裂についてのレクチャーをしてくださいました。その後は、どのような生活環境の患者さんが来ているかということを知ってもらうための患者紹介や、ADRA Japanの事業紹介等も行ないました。また、参加者の皆さんの海外医療協力の経験や、あまりなじみのない専門分野についての紹介等もしていただきます。 夜の集い:ADRA Japanの活動紹介 今回、ご紹介したような形で医療チームは1日を過ごし、患者さんたちに手術や術後ケアを行なっています。全ての患者さんの治療が無事に終わり、笑顔で帰れますように! 医療チームのメンバー (執筆:事業部長 橋本笙子) |