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(6/22) ラオス便り 〜ロン郡アカ族の薬〜 [2011年06月22日(Wed)]
事業部の会田です。2010年11月からラオスに駐在しています。
今回は、前回のブログに登場した村の伝統医に関連したお話しです。村で薬を処方してもらった体験をご紹介します。


ある日、事業地ルアンナムター県ロン郡のソンパンマイ(Sompanmai)村に行った際、私の首を見た女性たちが近づいてきて、「あなた、それは痒いでしょう。村長のお母さんがそれを治す薬を作れるから診てもらったらいいわ」と言いました。実は、私の首には数年前からあざのようなものができていて、そのままになっていました。


早速、その足で村長のご両親を尋ねると、すぐに首の患部を確認し、翌日、薬を処方してもらえることになりました。村の人々の多くは、地元に古くからある草木や動物の効能について知識を持っているそうですが、村の女性たちが推薦する村長のお母さんは、中でも腕がいいのではないかと思います。


翌日、再び村長のお宅を訪れると、村長のご両親が薬の材料を用意して待っていてくれました。


薬の材料となる動物の皮や内臓などが入った薬箱


野生ゾウの皮、野生の水牛の皮、水銀らしきもの、薬草、野生動物の内臓など、自然から得られるものを薬として調合し、それを村長のお母さんが首に塗ってくれました。村長のお母さんは、ご自身のお母さんから薬を調合する方法を習い、村の人々に薬を処方しているそうです。


何かおまじないのようなものを唱えながら薬を塗る。


治療の後、村長のお母さんから、「一週間、朝・昼・晩、薬を患部に塗ったらよくなるでしょう。薬をつけている間は、ナス、唐辛子、かぼちゃの葉は食べてはいけない。薬は土に近づけてもいけない」と注意を受け、一週間分の薬をもらいました。なお、完治するまで御代はいらない、とも言われました。


村長のご両親


結局、私は毎日朝・昼・晩と忠実に薬を塗ることが出来ず、あざのようなものは完全には消えませんでしたが、周囲の人から、症状がよくなった、と驚かれました。自然の力、自然を有効活用する人間の知恵を感じる体験でした。

  
薬を塗る前(あざのような部分が膨れています)  

薬を塗った後(あざの色が少し薄くなりました)


ADRAは、ロン郡の7村で、村の人々に活用される森の非木材林産物(森林から採取できる薬用植物・食用植物など)を残していくための活動も行なっています。これからも村の人々が自然の恵みを受けながら豊かな生活を営み、発展していくことを願っています。



(文責:開発事業担当 会田有紀


*この事業はJICA(国際協力機構)の草の根技術協力事業の委託、及び、イオン環境財団の助成も受けて実施しています。


ラオス農業開発支援事業についてはコチラから

クレジットカードによる寄付はコチラから


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銀行: 三菱東京UFJ銀行 表参道支店
口座: 普通1956381
口座名: トクヒ)アドラジャパン
*お振込される際に、お名前の前に「ラオス」とご入力ください。
   例)ラオス イシイミツオ
*銀行振込によるご寄付の場合、ご住所がわかりません。
領収書をご希望の方は、お振込み日、金額、お名前、ご住所、
電話番号をADRA事務局までご連絡ください。

<郵便振替>
口座番号:00290-2-34169
加入者名:(特活)ADRA Japan
通信欄に「ラオス」または「開発支援」とご記入ください。
*振替払込請求書兼受領証にて領収証と代えさせていただきます。
領収証が必要な場合は、必ず「領収証:要」と通信欄にご記入下さい。
Posted by ADRA Japan at 13:57 | ラオス便り | この記事のURL
(6/2) ラオス便り 「ピー」の存在 [2011年06月02日(Thu)]
「ピー」は、ラオス語で「霊」とか「精霊」を意味する言葉です。
自然物に宿る「精霊」だけでなく、亡くなった人の「霊魂」までをも意味しているらしく、日本人にとっての「霊」と大体同じ意味と言えるでしょう。
しかし、その身近さは日本人の比ではありません。

ラオス人スタッフの日常の会話にも、この「ピー」は頻繁に出てきます。スタッフが言うには、総じてここ事業地のロン郡は、「ピーが多い!」とのこと。体調不良や怪我、良くないことが続くと、そうした出来事とピーの存在とを結びつけて話をしています。


先日、シンケオ(Sinkeo)という名のスタッフが、「ピーが家に頻繁に来るので、子供の体調不良が続いている」ということで、引越しをすると言っていました。
聞いている僕としては「うん、確かにそういうこともあるだろう…」という気持ちと、「え〜、そんなことまで…」という気持ちが相半ばです。


しかし「やっぱり、ピーはいるのかも知れない」と強く思った出来事がひとつあります。

別のスタッフのエノイ(Enoy)には、二人の娘さんがいます。下の娘さんは生まれてまだ1年あまり。



エノイと生まれてまだ数ヶ月の頃の娘さん

昨年の秋頃でしたか、下の子の具合が悪いと聞きました。なかなか良くならないらしく、僕も気にしていました。

ある日、彼の家の近くで、その子の様子を見てビックリしました。首に大きなコブのようなものができていたのです。以前、他の村で同じような症状の子供がいて、しばらくして亡くなってしまったこともあったので、大きな病院に連れて行ったほうがいいのではないかと、エノイに勧めました。

するとエノイは、「うん…でも、これは多分ピーの仕業だから…。今週末、モーヤー(村のお祓いができる伝統医)のところに行ってお祓いしてもらうつもりだ。」と話してくれました。

そう言う彼に、病院のことをそれ以上言うことも出来ませんでした。
次の週、具合を聞いてみると、「うーん、どうも伝統医の腕が良くない。すまないけれど今日の午後、仕事を休ませてほしい。もう1人のモーヤーのところに行ってくる。」と言うではありませんか。


さて、翌日。
さらに具合が悪くなっていなければいいなぁと思いながら、「どうだった?」と聞いてみると、「治った!」と。

大人の握りこぶしぐらいあったコブが一晩でなくなってしまったというのですから、こっちのほうがビックリしてしまいました。

「最初のモーヤーはダメだ!下手なくせにお金まで請求した。でも、二人目は本物。ふ〜、と息を吹きかけて、それでおしまい。すっかり元気になったよ!」



エノイの娘さん。一歳三ヶ月くらい。


エノイは私たちが事業を行なっているロン郡出身で、お父さんがアカ族、お母さんがランテン族です。私たちの事業対象村のほとんどはアカ族の村で、ランテン族の村は1つだけです。エノイはロン郡で育ち、ロン郡のアカ族の村の人は、みんな友達!といった親しみやすい人柄。
そんな彼だから、腕のいいモーヤーも見つけることができたのでしょう。

もともとロン郡の各村には、森から採れる木の実や薬草、動物などから薬を調合し、ピーとの対話やお祓いができるモーヤーと呼ばれる伝統医がいるそうです。彼らは、普段は農民として農作業を生業としていますが、何か村の人に悪いことがある度に相談に乗り、村の人々の健康と生活に密接に関わっています。

恐るべし、モーヤー。
侮るべからず、ラオスのピー。

(文責:開発事業担当 小出一博)


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Posted by ADRA Japan at 15:35 | ラオス便り | この記事のURL
(5/26) ラオス便り 〜首都ビエンチャンの暮らし〜 [2011年05月26日(Thu)]
事業部の会田有紀です。ラオスに駐在しています。

先日、日本で、「ラオスの人ってどんな生活をしているの?」と聞かれました。
私は約1年半前からラオスで生活していますが、ADRAで働く前は、ラオス人に会ったことも、ラオスの人々の生活を想像することもありませんでした。

「ラオス人」とひと口で言っても、実際にはラオスにはさまざまな民族がいるため、生活様式は多様です。私が仕事で行き来する首都のビエンチャンと、ビエンチャンから車で約800キロの道のりを行く事業地のロン郡の村を比べても、その暮らしは異なります。


今回は、ラオスの首都、ビエンチャンの人々の衣食住について、簡単にご紹介します。


まずは、「衣」。
ビエンチャン市内のオフィスや学校では、男性は襟付きシャツにズボン、女性はブラウスに伝統的なシン(Sin)と呼ばれる巻きスカートを着ています。シンは安いものでは80,000KIP(約850円)ぐらいですが、高いものでは1,500,000KIP(約16,000円)のものまであり、デザインも豊富です。日本では着物姿の女性を見かける機会は少なくなり、衣服も多様化しましたが、ビエンチャン市内ではお年寄りから若者まで、シンを着た女性を多く見かけます。



シンを着たADRA Laosの職員。事務所の中はいつも鮮やかなシンに彩られています


次は、「食」。
主食はお米ですが、麺類やパンも食べられています。食材は、市場の八百屋などの商店のほか、行商に来る人から直接買うこともできます。日本の大型スーパーのようなものは、ビエンチャン市内には数えるほどしかありません。

食卓には、主食のお米と、野菜、肉、魚が並びます。肉は日本と同じように牛、鳥、豚があり、多くの料理の味付けに唐辛子などの香辛料がたくさん使われます。



ADRAのビエンチャン事務所に来る行商の女性(写真右)


行商人は、お肉、お魚、野菜、キノコなどといった食材を台車に載せ、ビエンチャン市内を歩いて回ります。値段の目安は、小魚2尾が8,000KIP(約85円)、豚肉1キロが35,000KIP(約370円)、菜の花1束が3,000KIP(約30円)、マンゴー1キロが12,000KIP(約125円)です。


最後に「住」です。
ビエンチャン市内の家は、平屋から3階立てくらいのものまで様々で、コンクリート作りのものが多いです。



通りに面した建物は、1階部分が商店となっている場合が多く、賑やかです



ラオス人のADRA職員の自宅です。水道・電気・水洗トイレ・テレビ・冷蔵庫・エアコン完備で快適です




上の写真に写っているのはバーシー(Basi)と呼ばれる儀式で、みんなでお祈りをしています。バーシーは、病気の人、結婚した人、旅立つ人の安全を祈るためなど、様々な目的でおこなわれます。この写真は、病人のために、家族や親戚、友人、ご近所さんが集まって快復を祈っている様子です。

今回は、ビエンチャンの暮らしのごく一部をご紹介しました。
冒頭でもご紹介したとおり、ラオスの人々の生活様式は場所によって大きく異なるため、ADRAの事業地、ルアンナムター県ロン郡の村の生活は、ビエンチャンの人々とはまた一味違った風情になります。そちらについても、また別の機会にご紹介できればと思います。

(文責:開発事業担当 会田有紀)



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Posted by ADRA Japan at 13:20 | ラオス便り | この記事のURL
(5/9) ラオス便り  〜村のマッピング2 水源の小川〜 [2011年05月09日(Mon)]
前回ご紹介したマッピングの作業で出来た「ポンサバン(Phonesavang)村の地図」の続きです。


写真は、ポンサバン村の村長。地図を描きながら、考え込んでいます。



そして、これが、村長が中心になって描いた地図です。さすがに村の詳しい情報が載っています。


赤い線は道、青い線は川です。

地図の下側にある赤い太い線が県道。そこから上に伸びている赤い細い線のまわりにある家々が集落です。60世帯くらいあります。この細い道が集落を通り抜け、上にある太い川に達しています。県道から川までは、約3kmあります。

地図には、集落を抜けて川までの間に、キャッサバやサトウキビ、ゴムの木などの様々な作物が栽培されていることが示されています。川の近くの黄色く塗られた四角い枠は田んぼを表しています。この村には田んぼは少ししかありません。

地図上部の太い川の上、左側にあるオレンジ色の区域が、この村の人たちの食糧を担っている焼畑地です。地図上では小さいですが、実際には50ヘクタール位あり、ここで村の人たちは田畑を焼いたその土地で陸稲(おかぼ)を栽培しています。陸稲とは、畑に植える稲のことです。陸稲の特徴は、水田を作らなくてもいいので山を開きさえすれば育てることができますが、病害虫に弱く、雑草が生えやすいことから日本で主流の水稲(すいとう)に比べ収量は多くはありません。

地図をじっくり見てみると集落を抜ける道から、中程に青い線があることに気づきます。

その線について村長に聞いてみると、「それは小川です。昔、村人は、みんなここまで水を汲みに行っていました。」と教えてくれました。

そんな小川があったことをこれまで知らなかったので、村長とその小川を見に行くことにしました。


集落を抜け、山地に出ました。そこには、標高にして十数メートルの山が続いていて、その山と山の間を下りて行きました。

すると、地図にあった小川にたどり着きました。


写真中程のやや上にある竹の先からわずかながら水が流れているのがわかるでしょうか。本当に小さな、小川と呼べないくらいの水の流れでした。

昔はこの水が村の人たちの生活を支えていたそうです。しかし、今ではご覧の通り周りの木は殆ど切られてしまっています。そのため水がこのように減ってしまったのです。小川の周りにはキャッサバやサトウキビなどの、商品作物が多く栽培されています。このような商品作物やお米を作るために、木を切り開いて焼畑にし、その結果森林伐採が進行してしまっている、というのがこの村の現在の状況なのです。

おそらくつい数年前までは、この山も木々に覆われて水も豊富に湧き出し、小川にもたくさんの水が流れていたでしょう。しかし、もう木はありません。水も減ってしまっています。


小川から撮影した山の景色です。
山の向こうまで、木を見ることが出来ません。
マッピングで知った、村の深刻な現実でした。

本事業では、焼畑農業に依存しないよう果樹や非木材林産物の植樹を行ない、環境に優しい農業を継続していきます。
その結果、昔のように緑あふれる地域になり、森の保護活動と住民の生活向上が両立されればと思います。


<文責:開発事業担当 小出一博

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Posted by ADRA Japan at 20:34 | ラオス便り | この記事のURL
ラオス便り  〜村のマッピング〜 [2011年04月06日(Wed)]
この度、東北関東大震災で被災されました皆様に心からお見舞いを申し上げます。
一日も早く復旧、復興されますよう、お祈りいたします。

ADRA Japanでは東北関東大震災被災者支援を続けておりますが、他の事業も支援を継続しております。他事業の支援状況の報告も再開させて頂きます。





事業対象村のポンサバン(Phonesavang)村の人たちが集まって、何やら作業をしています。



ポンサバン村の女性陣。
若者からお年寄りまで、幅広い年齢層の人がいます。

彼らがしているのは、「マッピング」です。
マップ = 地図。つまり、村の人たちは地図を描いているのです。

ラオスにもちろん地図はありますが、これまで、ポンサバン村の多くの住民は、地図を使うことも、手にしたこともなかっただろうと想像します。

しかし地図を使わなくても、村の人たちは、自分たちが住んでいる場所のことは、誰よりもよく知っています。
「あの林のあそこには、おいしいバナナの木がある」
「あの川沿いのあそこには、いつも魚が集まってくる」
「あの向こうの山の裏にある、あの木の皮は薬に使える」などなど。

村の人たちが持っているその土地に関する豊富な情報や、それに関わるいろいろな知恵をみんなで書き出して、地図のようにするのが、「マッピング」です。マッピングには、その地域の自然環境、土地をどのように使っているのか、何を栽培しているのか、さらに、村の社会構造を映し出すものなど、様々な種類があります。

今回、村でのマッピングを指導してくれたのは、オーストラリア出身のストゥアート(Stuart)さん。ストュアートさんは、ラオスに暮らして15年。ラオス語も堪能です。村のお年寄りにも気さくに話しかけ、村の人たちが知っていることを話しやすい雰囲気を作ってくれました。

写真正面奥がストュアートさんです。

マッピングは、参加者を小グループに分け行いました。はじめは遠慮がちだった村のお年寄りも、楽しそうに地図を書き始めました。参加者の一人のピト(Pito)さんは、

「地図は簡単。どこに何があるのは分かっている。でも、上手に絵が描けないわ。」

と話してくれました。

写真の右から2番目がピト(Pito)さん。若者と一緒に地図に色を付けます。

こちらは村の長老の一人。若い人たちと一緒に村の周りの自然資源について、あれこれ話しながら書いています。


長老は1984年からポンサバン村に住んでいるので、村のことをよく知っています。

地図が出来上がった後は、各グループの代表が、みんなの前で発表します。


地図を見ながら、村の将来像について楽しく発表しています。

発表では、「昔はここにも、あそこにも森があって、タケノコやいろいろな山の幸がたくさんあった。でも、今は森が減ってしまった。」という話もありました。

現在、ポンサバン村のあるルアンナムター県は近隣諸国の影響を受けながら、急速な経済的変化のしている真っ只中です。自然環境もそれに合わせるように大きく変わってきています。そして、そのような変化を一番肌で感じているのは、そこに暮らしている村の人たちです。

今後、事業対象の7村で、マッピングの作業で出てきた村の情報と長年培われてきた知恵を、村の人たちで見られるような地図にして、一緒に眺めながら村の将来について話し、考えながら活動を進めていく予定です。



(文責:小出一博)

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Posted by ADRA Japan at 20:07 | ラオス便り | この記事のURL
(2/21) ラオス便り 〜村の種銀行〜 [2011年02月21日(Mon)]
1月に農作物担当スタッフのシンケオ(Singkeo)が、事業対象村で、「種銀行」の説明と簡単な台帳管理のトレーニングをしました。


ナムアン村(Naman)でのトレーニング



「種銀行」って何だろう?
と思われる方も多いと思います。
そこで、まずはADRAが行なっている「種の支援」について紹介します。

ADRAは、お米の種もみやトウモロコシの種を村の人たちに支援しています。

お米は、これまでも事業対象村で栽培されてきました。
村の人たちは、自分たちで栽培したお米を食べ、栽培したお米の一部を次の年の栽培に使ってきました。

日本の稲作では、毎年新しい種もみを農協などが購入して苗を作るのが普通ですが、自給自足が基本のラオスでは、自給用のお米の中から苗を育てるというのが一般的な方法です。

このラオスの方法は、種もみを買わなくて済むので、お金を使わないという利点はあります。
しかし、自給用と同じ種もみを使ってずっと栽培を続けていくと、貯蔵過程に付いたカビや細菌が原因で病気が入り込む危険性が高まります。


病気で葉が黄色くなっている稲



その年の天候によっては、病気が広がることもあります。
病気の広がりによって稲が全滅するようなことはなくても、お米の収量が下がります。
ADRAが事業を開始した年に、ちょうどこのような稲の病気が広がっていて、専門家の方にいろいろと話を聞きました。
すると、まず、「新しい種もみ(地域で広がっている病原菌を持っていない種もみ)を入れること」、さらに、「もし同じ種もみを使い続けるのであれば、その中からいい種もみを選抜し、肥料を与えることが大切」、ということを教えてもらいました。

また事業対象村では最近、村の人たちが、お米を自分たちの食糧としてだけではなく、「売る」ための商品作物としても栽培する傾向が高まりつつあります。
そこでADRAは、病気に強く、少ない肥料でも収量が上がり、現地の人に好まれる味のお米(優良品種)を支援し、事業対象村で栽培することにしました。


塩水を使って、いい種もみを選抜する方法を指導。



塩水に入れて沈んだ種もみを選抜します。
沈んだものは、栄養が詰まっているため病気にかかりにくく元気に育つと期待できるからです。

トウモロコシは、ロン郡では「商品作物」の人気選手。
隣国のタイや中国での飼料用作物として需要が高く、いい値段で買い取ってもらえます。
隣国では、地元の品種ではなく、飼料用に改良された品種が好まれるので、そのような飼料用のトウモロコシをADRAは支援しました。


2010年の収穫は上々!


事業対象村では、ADRAが支援した種もみやトウモロコシの種から、その何倍もの収穫を得ることができました。
そこで、収穫の中から支援された種もみと同じ金額を村人が出し合って、それを元手にして村の銀行のようなしくみを作れたらいいのではないか、そんな提案を事業対象村でしてみました。
これが「種銀行」です。

もともとは、山を拓いた斜面で米を栽培し、次の場所に移動しながら耕作地を転々とする生活を続けてきた村の人たちなので、どちらからと言うと一匹狼的な感覚が強く、村の「共同の財産」を持つという習慣が薄かったのではないかと想像しています。
しかし、時代が変わり、次第に移動できる場所は限られ、一つの場所に定住し、農業を営みながら生活を立てていくには、村がみんなの拠り所となり、そこに銀行のような役割を果たすものが必要になると考えました。

村の人たちもすでにそんな必要性を感じていたのか、種銀行の提案に「それは、いい!」との賛成の声が多く、うれしい驚きでした。

ロン郡では現在、中国の業者と取引をする仲買人と村の人たちとの間で、トウモロコシの契約栽培が多く行われています。
契約栽培とは、仲買人がトウモロコシの種を村の人に貸し与え、収穫後にその出来高から種の代金を差し引いて買い取るというものです。
仲買人に種代を払うことに比べれば、ADRAから支援された種の代金を村の銀行に入れる「種銀行」は、自分たちの村の中にお金が残ることになります。
そこで、村の人たちは、「うん、悪くない話だ」と感じているのだろうと推測しています。


簡単な帳簿の付け方のトレーニング


「種銀行」のために、基本的な帳簿の付け方の練習から始めています。
まずは、みんながどれくらいの量の種を使って、どれくらいの収穫を得たか、ということをきちんと記録するところからです。

今後が楽しみです。
(文責:小出一博)

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Posted by ADRA Japan at 11:56 | ラオス便り | この記事のURL
(1/7) ラオス便り  豚の飼い方、いまむかし3 [2011年01月07日(Fri)]
〜 近代化の影響と小屋飼いの必要 〜



もともと「放し飼い」をしてきたラオスの人たちに、なぜ「小屋で飼う」ことを勧めるのか。

この問題を考えるとき、ラオスで家畜飼育の改善に長く取り組んできたワーナー(Warner)博士から聞いた話をいつも思い出します。

ワーナー博士は1990年代初頭にラオスに赴任して、その当時は昔ながらの家畜の飼い方をしていたラオスに、今後どのような社会の変化が起き、それが家畜の飼育にどのような影響を与え、飼育方法をどのように変化していかなければならないかということを、村人の視点で長い時間じっくりじっくり考えて取り組んできた方です。

1990年初頭のラオスは、ベトナム戦争後の国内革命による混乱とその後の鎖国政策がようやく終わり、国外からの援助を利用した国づくりの道を歩み始めていました。
当時、国外からの援助が入り始めていましたが、山が多い地形のために、それぞれの地域が外部との交流を殆どすることなく、自然と密着した昔ながらの生活を続けていました。
人々は森の中に生き、自然のサイクルの中で自給自足による生活をしていました。
焼畑による米の生産が生活の中心でしたが、家畜として野生種に近い豚も飼われていました。
ある時は集落の中で、また時期によっては焼畑で放し飼いにし、宗教儀式や冠婚葬祭などのときに屠殺して、貴重な「ハレの日の食べ物」としていたのでしょう。


写真:Vol.14_01
村の祭りの様子。
豚の料理が主菜としてよく使われる。




このような時代の豚の様子を知っているワーナー博士が話していました。

「当時、家畜に病気などありませんでした。放し飼いにして、山野で豚が自分で食べ物を探して、必要なときに人間が利用するという習慣が続いていました。しかし近代化が始まり、外部との接触が増えるに従って、事態は大きく変りました。



ロン郡中心の目抜き通り。
道路が整備され、外部との往来が増えてきた。




それまで土地には無かった病気が、外部から持ち込まれるようになったのです。つまり、それまで病気とは無縁だった家畜を、病気のリスクから常に何らかの手段で守らなければ家畜が生きられない状況になったのです。一旦このような外部との接触による病気の侵入が始まると、もう昔ながらの飼育というのは、早晩、続けることができなくなるのです。病気とそれを防ぐための努力のイタチごっこが始まるのです。近代化の副産物です。」


さらにワーナー先生は話します。
「家畜の病気は外部との接触で侵入します。侵入した病気の影響を最小限に押さえるには、家畜を隔離する必要があります。そして病気との接触を未然に防ぐため、家畜を小屋で飼うことが全ての基本となります。


栽培された飼料作物を食べる子豚。




しかし家畜を小屋で飼うことは、伝統的な放し飼いが完全に変わることを意味します。家畜はエサを自分で探すことが出来なくなるので、人間がエサを与えるようにならなければなりません。それには、良質のエサの材料が身近に必要になります。ラオスの山間地で家畜のエサを購入することは、輸送・価格の点からみて非現実的でした。そこで、小屋で飼われる家畜のための牧草を栽培することに取り組み始めたのです。

また、小屋を常に清潔に保つ必要があり、糞尿の処理が大きなポイントとなります。糞尿は有機質肥料として使われることが一番望ましく、それは、それまでの移動する焼畑に代わり農作物の集約的な栽培へとつながります。

このような複数の要因が、全体的に変化することが必要なのです。1つか2つのことが変わるだけではダメなのです。社会の環境が変わり、それまでの伝統的な家畜の飼い方が出来なくなった以上、新しい家畜の飼い方がシステムとして確立する必要があるのです。


小屋で生まれた豚の世話



しかし、これは村人の立場からは簡単なことではありません。長い年月をかけて作られてきた習慣を変えることほど難しいことはありません。それゆえ、村人たちとの対話が大切なのです。
時間をかけてじっくりと、彼らが理解し納得できるような方法で、この変化を促していかなければならないのです。」


村人との話し合いの様子




ワーナー博士の話の通り、ADRAの養豚活動もなかなか順調には進んでいません。
私達は、村人との対話を重ね、一つ一つの課題に取り組みながら引き続き村での健康な豚の飼育の実現を目指していきます。

(文責:小出一博)


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   例)ラオス イシイミツオ
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領収書をご希望の方は、お振込み日、金額、お名前、ご住所、
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*振替払込請求書兼受領証にて領収証と代えさせていただきます。
領収証が必要な場合は、必ず「領収証:要」と通信欄にご記入下さい。
Posted by ADRA Japan at 09:58 | ラオス便り | この記事のURL
(12/17) ラオス便り  豚の飼い方、いまむかし 2 [2010年12月17日(Fri)]
〜 どうして事業の豚は太らない? 〜



「ADRAから支援してもらっている豚はあまり太らなくて、子豚も結構死んでしまっている。これは何でだろう?」

「ADRAの担当者は、子豚が生まれるとすぐにワクチンの注射を打ちにくるけれど、ひょっとして、それが原因で子豚が死んでいるのではないか?」

ADRAが活動をしている一部の村から、こんな声が挙がるようになりました。(詳しくはコチラ

生まれた子豚たちが死んでしまうことなくすくすくと育つように、ADRAは村の人々に、床付の豚小屋を作り、ワクチンをきちんと注射し、エサを改善することを指導してきました。



郡の農林局職員が家畜活動を支える村のボランティアにワクチンの扱い方を説明



しかし、7つの事業対象村の内、2つの村(ジャゾンプー(Jajompoo)村とソンパンタイ(Sompantai)村)の村長から、「村のこれまでの飼い方(放し飼い)をしている豚の方が元気で、よく食べて太っているし、子豚が死ぬこともない。」と言われました。


ソンパンタイ村で放し飼いにされている豚



そこで、ADRAが支援した母豚から生まれた子豚の死亡率を、各村で計算しました。
すると、
ジャゾンプー村は68%、
ソンパンタイ村も68%、
サラ(Sala)村は51%、
ポンサバン(Phonsavang)村が31%、
ポンサンパン(Phonsamphan)村は32%、
ソンパンマイ(Sompanmai)村は11%、
ナムアン(Nam An)村は一番低くて9%
という結果になりました。

一体どうなっているのでしょう?

小屋で飼い、エサをきちんと与え、また小屋を掃除して清潔にし、ワクチンを定期的に注射していれば、それまでの放し飼いよりも格段に成長は良くなり、子豚の死亡率も下がるはずです。

しかし、小屋で飼うようにしても、エサをきちんと与えなければ当然成長しません。
村で放し飼いにされている豚は、お腹が空けば自分で食べ物を探して歩き回りますが、小屋で飼われている豚は、エサを与えられない時に自分でエサを探しに行くことができません。
そのため、成長が悪く、放し飼いの豚よりも痩せてしまいます。


小屋で飼われている豚。
飼い主(事業の参加者)が家庭の事情によりしばらく世話が出来なかった間に痩せてしまった。



事業対象地のロン郡では、人々の主な仕事は水田や焼畑地でのお米作りです。
水田の多くは村の近くにありますが、焼畑地は時として村の集落から離れたところ(場所によっては片道徒歩2〜4時間位)にあり、米作りのために遠くまで通わなければなりません。
米作りの繁忙期(特に6月〜11月頃)には、焼畑地に建てた小屋に寝泊りしながら数日にわたり農作業をして、村の集落に戻って休み、そしてまた焼畑地に泊り込みという生活となります。
このような生活の中、毎日豚の世話をすることはなかなか難しい、というのが実情です。


ソンパンタイ村の山の傾斜面での焼畑地と寝泊まりする小屋(写真上)


子豚の死亡率の低いナムアン村では、集落のすぐそばに水田があり、殆どの世帯が水田を持っています。
そのため焼畑地に通う労力がなく、水田の仕事をしながら、家畜や畑などの世話が出来る生活条件にあります。

一方、死亡率の高かったジャゾンプー村とソンパンタイ村では、村の集落から遠く離れた場所にお米を作る焼畑地があり、家畜の世話に充てる時間が少なくなりがちです。
また、これまでの放し飼いから、ADRAが推奨する飼い方に変えるのがなかなか難しい理由が、他にもあるようです。


山の傾斜面を利用した広大な土地を農地としている(ソンパンマイ村)


「小屋で飼う」という新しい飼育方法の導入により、エサや掃除などの豚の世話をきちんとすることが、健康な豚を育てるために重要なポイントとなります。
では、そもそもどうして「放し飼い」ではなく、「小屋飼い」を勧めなければならないのか?

次回に続きます。
(文責:小出一博)
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Posted by ADRA Japan at 16:34 | ラオス便り | この記事のURL
(11/29) 遷都450周年を祝うビエンチャンで [2010年11月29日(Mon)]
ラオスの首都ビエンチャンは今年、遷都450周年を迎え、11月14日から21日まで記念行事が開催されました。
また、同じく11月15日から21日にはラオス全国からお坊さんが集まるという「タットルアン祭り」が開催され、ビエンチャンの街は賑やかな雰囲気に包まれました。


イベントに盛り上がるビエンチャンで、ADRAはラオス国内で実施している事業の紹介を行いました。

11月15日から21日まで、タットルアン寺院の広場には、ラオスの伝統工芸品や物産の販売、NGOの活動や海外の国々を紹介する400以上の様々な展示ブースが並びました。
ADRAは活動を紹介するブースを出展し、ADRA Japanが実施するルアンナムター県ロン郡での農業開発支援事業も紹介しました。


ADRAの展示ブースとADRAの禁煙に関する啓発活動を支えるボランティア



期間中、多くの方がADRAのブースに立ち寄って下さいました。


さらに、ビエンチャン中心部にあるJICafe (Lao-Japan Communication Plaza)では11月3日から12月4日まで、ADRAの活動に関する展示を行なっています。
JICafeはJICA(日本国際協力機構)がラオスで活動をしている日本のNGOの紹介や情報の発信を行なっている場所です。


JICafeの中。 向かって右側のパーテーションがADRAの展示




ADRAの事業で支援した種籾から育った稲(左手前)も展示



今回の展示をご覧になった方々の中には、ADRAやその活動をはじめて知った方が多かったようです。
ADRAの活動紹介の展示は、12月4日まで行なわれています。
ADRAを既にご存知の方も、ビエンチャンにお越しの際にはぜひお立ち寄りください。
JICafeでは、ADRAの活動だけでなく、ラオスで活躍する日本のNGOやラオスの情報も手に入ります。今まで知らなかったラオスに関する新しい発見があるかも知れません。
(文責:会田有紀)

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(11/5) 実りの秋、「カオ・マイ」を食す [2010年11月05日(Fri)]
「コイデ、カオ・マイ、キンメー?」

10月22日(金)の朝、メールをチェックしていると農林局スタッフのコンチャン女史(Mrs.Kongchan)がこのように言いながら、バナナの葉で包んだものを僕に渡してくれました。
ラオス語で「カオ」は「お米、ご飯」、「マイ」は「新しい」。
「コイデさん、新米のご飯です。よかったら食べませんか?」とご自分の朝ごはんを分けてくれたのです。


カオ・マイ
すみません、あまりに美味しくて、写真を撮る前に半分食べてしまいました。


茶色いのは椰子砂糖の色で、ほんのりと甘く味付けされていました。
白いのはココナッツの実の千切りです。
写真では分かりづらいのですが、さすが新米だけあってお米の粒がピカピカしていました。

ラオスも日本と同じくらい、いえいえ、日本人以上にお米を愛する国です。
ADRAの事業地のロン郡では、稲刈りがピークを迎えています。
水田では大体稲刈りが終わり、刈った稲を乾かし、脱穀する作業が進んでいます。
この後、焼畑の稲刈りが11月末まで続きます。

ラオスでは昔ながら稲刈りの方法が今でも続いています。
人手で刈り、人手で脱穀し、籾(もみ)を天日で乾燥させます。
自然の時間の流れとともに、ゆっくりと時間をかけて稲の実がお米になっていきます。
刈り取りに数日、稲の乾燥にまた数日、そして脱穀と乾燥にさらに数日ずつ。




稲刈りから乾燥までの手順



日本ではコンバインという機械で刈り取りながら脱穀を同時に済ませ、脱穀したお米はそのまま乾燥機に運ばれます。
刈り取りをした翌日にはもう新米として売られる状態になります。
そんな様子を知ったらラオスの人は驚くだろうなあ。
いえ、「機械で刈って、機械で乾かした米より、天日で乾かしたわしらの米の方が絶対旨いぞ!」と胸を張って言うでしょう。

そんなラオスでも、米作りの「近代化」が進んでいます。
先日は、中国と国境を接しているシン郡(ロン郡の隣)で、機械で脱穀しているのを初めて見ました。
中国資本の大きな精米工場が作られて、これから本格的に近辺のお米を集荷して精米し、中国に輸出する計画のようです。



シン郡で見た機械を使った脱穀



未だに不思議なのが、ラオスでは米作りの際に肥料を使わないこと。
これは昔からの品種を使っているためだと思います。
日本でも明治初期まではほとんど肥料を使わなくても、そこそこの量が収穫できる品種が栽培されていました。
しかし、このラオスの昔ながらの米作りも次第に変わりつつあります。
肥料を適切に使い、新しい優良品種のお米を栽培して収量を増やそうという取り組みがラオス全土で行われています。


ADRA Japanの事業でも、伝統種から選抜されて育成された優良品種を導入し、また、SRI(System of Rice Intensification:稲集約栽培法)という、稲が本来持っている成長力を利用して収量を上げる技術に取り組んでいます。
詳しくはコチラをクリック
先週、ADRAスタッフのシンケオ(Singkeo)が、事業のSRI試験水田で刈り取ったお米をルアンナムターの農業研究所に持って行き検査をしてきました。



SRI試験水田の稲刈り



結果を聞くと、1ヘクタール当たりの計算で8トンの収穫になるとのこと。
これは、スゴイ!
ラオスの全国平均が1ヘクタール当たり2〜4トン。
日本の平均が5〜6トン。
収量調査用の1m×1mの水田から採れた収量を1ヘクタール当たりに換算したものなので、実際には多少のずれが出てくるものですが、それにしてもなかなか良い結果です。
栽培に参加した農民のみならず、その様子を見ていた村の人たちもかなり興味深々のようです。来年の活動が楽しみです。
(文責:小出一博)


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Posted by ADRA Japan at 11:06 | ラオス便り | この記事のURL