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(6/21) 岩泉便りvol.3  1年3カ月間の支援活動〜地域コミュニティ再生のきっかけに [2018年06月21日(Thu)]

ADRAが活動する岩泉町の「龍泉洞」入口に設置されている龍のシンボル.jpg
岩泉町の「龍泉洞」入口に設置されている龍のシンボル


岩手県岩泉町は、2016年8月に東北と北海道地方を襲った台風10号により甚大な被害を受けました。死者20名、行方不明者1名が出たほか、家屋の倒壊などで人口の実に16%もの方々が被災されました。そして今なお多くの方々が仮設住宅での暮らしを余儀なくされ、修繕工事が必要な家屋や、田畑が土砂に埋もれて農業ができなくなったという方々も少なくありません。町内の復旧工事もまだまだ継続しています。

ADRA Japan ではこれまで1年3カ月間にわたって、岩泉町役場・社協・地元NPO法人の被災者支援事業に協力し、岩泉町の地域特性に合わせたコミュニティ支援を行ってきました。現地からの要請を受け、開始した本事業では、ADRAの災害対応バスを活用して町内全域で移動サロンを開催し、集落単位での住民の方々の交流の場づくりを行ってきました。こうした活動方針もはじめに事業の試験運用期間を設け、地元支援者と一緒に考えました。


岩泉町社会福祉協議会の皆さんとアドラスタッフ
岩泉町社会福祉協議会(以下、社協)の皆さん


この15か月の間、ADRAバスで広大な岩泉町内全域の約60か所を巡回し、延べ950名の地元住民の方々が移動サロンに参加されました。数えてみると、サロンの開催は合計100回を超え、その全てが地元主体で開催されるよう、ADRA Japanは黒子に徹して支援してきました。

移動サロンを実施しながら各地域で継続的に地元の集まれるよう地元支援者の方々へノウハウを伝えていくことで、ADRA Japanは地域の中で住民同士が交流できる場づくりをサポートしました。岩泉で一緒に活動してきた地元支援者の方々からは「活動を通じて参加者の顔が見え、町内全域の状況がわかってきた。とてもいい成果を感じている。これまでやってきたことは必ず今後に繋がる」といった感想が何度も聞かれました。


移動サロンへ岩泉の郷土食「しっとぎ」を持ち寄り、お茶飲みする参加者たち_R.JPG


郷土食「しっとぎ」の持ち寄り_R.JPG
移動サロンへ岩泉の郷土食「しっとぎ」を持ち寄り、お茶飲みする参加者たち


岩泉町でのADRAバスの活用は、当初の計画通り期間を終了します。ですが、今後は外部の支援を受けて行うこれまでのような移動サロン活動かシフトし、地元NPO法人で持っているアウトドアチェアやテントなどを使った青空カフェのような移動サロン事業が地元で検討されています。

ADRAバス活用の期間終了を迎え、移動サロンの活動に関わりの深かった地元支援者の皆さんと活動を振り返る中で、バスの引き上げを惜しむ声も聞かれました。しかし最後には、当初の計画通りこれまでの活動実績を活かして今後は地元の地域活動として展開していきたい、という意気込みを話してくださいました。


移動サロン活動担当の地元NPO職員さんと、運営兼ドライバーを務めてくださった井上さん
移動サロン活動を担当した地元NPO職員さん(左)と、運営兼ドライバーを務めてくださった井上さん(右):昨年のクリスマス行事にて


地元NPO法人の青空カフェセット
地元NPO法人の青空カフェセット


一方、岩泉からのADRAバス引き上げの日、ちょうど社協の地域サロンが開かれていたので、そちらにも参加させていただきました。そのサロンは、昨年度、生活支援相談員として移動サロン活動にも協力していた社協職員さんに任せられていました。会場であたたかい場づくりと安定したサロン運営がされている様子を見て、バスを使わない地域サロンも今年度順調に運んでいくのだろうと、私たちも励まされるような思いがしました。


生活支援相談員や災害ボランティアセンター再開対応などを担当してきた社協職員さん
災害後に、生活支援相談員や災害ボランティアセンター再開対応などを担当してきた社協職員さん(左):地域サロンにて


最後のバス引き上げの際には、社協の会長も立ち会われ、局長をはじめ全職員の皆さんが笑顔で見送ってくださいました。


バス引き上げの際の職員向け感謝サロン
バス引き上げの際の職員向け感謝サロン


移動サロンの場を提供したADRA災害対応バス「ゆあしす号」
15か月間移動サロンの場を提供したADRA災害対応バス「ゆあしす号」


このブログ記事を書き終えた頃、地元NPO職員さんから「空(そら)カフェ始めてみました」という連絡と活動写真が届きました。先日一緒に話していた青空カフェの活動が動き出したようです。現地から「皆さんの反応も上々です。サロンバスが残してくれたものですね」という前向きな言葉を聞くことができ、次に繋がって良かったと少しほっとしました。


バス引き上げ後、地元で始まった青空カフェ
バス引き上げ後、地元で始まった青空カフェ


ADRA Japanは今後も現地の活動を応援し、各地で必要に応じた支援を継続してまいります。これからも皆さまのあたたかいご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。


※岩泉町での支援ついて過去のブログ記事はこちらです。
岩泉便りvol.1
岩泉便りvol.2

(執筆:国内事業担当 牟田麻起子)

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Posted by ADRA Japan at 10:22 | 岩泉便り | この記事のURL
(12/22) 岩泉便りvol.2 岩泉町で10カ月間の取り組み〜地域ごとの移動サロンで見守りとコミュニティ支援〜 [2017年12月22日(Fri)]
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岩泉町の子どもたちがクリスマスの飾りつけをした移動サロン車内


こんにちは、国内事業担当の牟田です。
今回は、岩手県岩泉町でのこれまで10カ月間の取り組みと現地の皆さんの声をご紹介します。

岩泉町は昨年の2016年8月、台風10号に伴い降り続いた大雨によって土石流や河川の氾濫などが起こり、甚大な被害を受けました。ADRA Japanでは今年の2017年2月〜来年3月まで、岩泉町役場・社協・地元NPO法人クチェカの協働で実施されている台風10号の被災者支援事業に協力する形で、ADRA災害対応バス「ゆあしす号」を活用した移動サロンを行なっています。


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「ゆあしす号」を使った移動サロン


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ADRA災害対応バス「ゆあしす号」


移動サロンは各地域の住民の方々の状況に合わせて、毎回異なる場所で実施され、これまでに町内48カ所で、74回開催されています。今年11月までに、このサロンに参加された町民の方々は、延べ678人になりました。

バスの中は、岩泉の子どもたちが作った季節の飾りで元気いっぱいに装飾されています。参加者の方々は居心地良さそうにお茶飲みをしながら、子どもたちの飾りを眺めて、笑顔で戻って行かれます。


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バスの飾りをつくってくれた岩泉の子どもたちの体験乗車


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岩泉町の子どもたちが夏につくった涼しげな飾り


また、夏には現地で「夕涼み会」を企画して、日中の参加が難しい住民の方々にも交流の場を提供できるよう、夜の時間帯に移動サロンを催すなど、様々な工夫が行なわれました。

岩泉では、地元主体の長期的なコミュニティづくりのほか、被災した方々としなかった方々との間や、仮設住宅に移り住んだ方々と同じ地域に住み続ける地域住民の方々との間のコミュニティの再構築なども必要になります。

ADRA Japanはこうした岩泉での現地の皆さんを主体とした支援を、来年3月まで継続します。


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【移動サロンに参加された岩泉町のみなさんの声】

*「やっぱりバスが来てくれると元気になるね。ご近所だけど、こうしてみんなで集まる機会がなくて、お茶飲みするのも久しぶり。災害の後、そういえば初めてかな。今日は話せてよかった」

*「まさかここ(遠隔地)まで来てくれると思わなかった。この地域は公民館もないから、集まる場所をつくって来てくれて本当に嬉しい」

*「うちの地域は被災した世帯が少ないので、これまでは被害の大きかった地域の方を優先してくださいと言って、支援を受ける事に引け目を感じていました。こうして、移動サロンがうちの地域にも巡回してくれると、やっぱり嬉しい」

【移動サロンを行なう岩泉町の現地スタッフのみなさんの声】

*「移動サロンで町内を巡回してみなさんからお話を聞いていると、その地域ごとに必要なことがわかってきます」

*「こうした外からの支援が継続していると住民の方々も気持ちが明るくなり、元気をもらえると思います」

*「この移動サロンの取り組みを、今後の地域のサロン活動や住民活動につなげていけたらと思って頑張っています」

*「移動サロンのおかげで、笑顔の種が増えています」


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岩泉町の子どもたちがつくったクリスマスの飾り


ADRA Japanは引き続き、岩泉町で必要に応じた支援を継続していきます。皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

(執筆:国内事業担当 牟田麻起子)

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Posted by ADRA Japan at 15:23 | 岩泉便り | この記事のURL
(6/6) 岩泉便りvol.1 〜岩泉町、社協、地元NPOとの協働で始まった台風10号被災者支援。集落ごとの特性に合わせた移動サロンで住民主体のコミュニティ支援 [2017年06月06日(Tue)]
こんにちは、国内事業担当の牟田です。
今回は、岩手県岩泉町での活動についてご紹介します。

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岩泉町の子どもたちが飾りつけをしたADRA災害対応バス「ゆあしす号」車内


【平成28年台風10号豪雨災害により岩泉町内全域が被災】
昨年8月30日に東北地方で台風10号が猛威をふるいました。台風は、その後、東北・北海道地方に記録的な大雨を降らせ、広範囲に渡って甚大な被害をもたらしました。

岩手県の北東部の沿岸に位置する下閉伊郡岩泉町では、台風10号に伴い降り続いた大雨によって町内各地で土石流や河川の氾濫などが起こり、死者20人、行方不明者1人の被害が発生しました。また、町内全域で、住家962棟、住家以外の建物905棟が被災し、被災者数は1568人にのぼりました。岩泉町の全体人口9736人に対して、実に約16%もの住民の方々が被災されていることになります。また、今回の災害による岩泉町の被害総額は東日本大震災の約10倍の被害額となっています。
(情報元:岩泉町役場 平成29年3月時点の集計)


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岩泉町の町並み


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被災した家屋の床下の泥出し作業を行なうボランティア


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岩泉町の仮設住宅


昨年12月までに、町内に8か所の仮設住宅団地が整備されました。一方で、住民の方々の中には、自宅が全壊になりながらも「自分の家で生活したい」と仮設住宅に入ることを選択せず、自宅の納屋などで避難生活をされている方々もいらっしゃいます。また、半壊になってしまった自宅の2階で避難生活をしながら、1階の修繕工事を待っておられる方も少なくありません。
町全体では、仮設住宅に入居されている方々の約1.5倍の人数が、仮設住宅には入居せずに自宅などで在宅避難されています。

岩泉町は、町としては本州で一番広い面積を持ち、105ある行政区にはそれぞれに多様な地域性が見られます。町の中心部から離れた地域では過疎化が著しい集落もあり、とりわけ被害が甚大だったエリアでは、集落に在宅避難の家がわずか数世帯だけ残っているというような状況も見られます。町全体の高齢化率は40.4%にのぼり、人口の2.5人に1人が65歳以上、4.2人に1人が75歳以上となっています。また、遠隔地域では町の中心部へ車で片道1時間以上かかる集落もあり、なかには町の施設で配られる支援物資を思うように取りに行くことのできない高齢者の方々もいらっしゃるようでした。

今回の災害によって町の集会施設が流されてしまった地域や、特に被害の大きく元々集会所のなかった地域では、地域の方々が集える場所が身近になく、住民同士で話をする機会自体がなくなってしまいました。そのため、近隣住民で集まったり、地域の情報を共有したりすることが日常的に出来ない状態になっていました。上記のような状況が重なり、不安を抱いている住民の方々もおられました。


【岩泉町の地域特性に適した移動サロンの運営支援】
このような状況の中で、ADRA Japanは現地からの要請を受け支援活動を開始しました。岩泉町役場・社協・地元NPO法人クチェカの協働で実施されている台風10号の被災者支援事業に協力する形で、ADRA Japanは今年の2月からADRA災害対応バス「ゆあしす号」で支援を行なっています。現地では、役場・社協・NPO法人クチェカをはじめとした関係者と情報共有し、支援内容の調整を行ない、岩泉町の地域特性に合わせたコミュニティ支援を検討しました。


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移動サロンで住民の方々の話を伺う岩泉町の生活支援相談員


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移動サロンの機会を活用した支援物資配布


岩泉町内全域で集落ごとに移動サロンを実施することで、住民の方々の交流の機会を集落単位で設けることができるようになりました。また、町内の遠隔地域や被災により孤立した集落を重点支援エリアとしました。そういったエリアを重点的に、移動サロン活動に付随する形で見守りや物資配布を町内全域で実施できるように、関係者の皆さんと情報共有、協力しながら、活動が進んできています。(支援物資配布は、現地で必要であると判断した一定期間内で行なわれています)

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「ゆあしす号」を使った移動サロン


移動サロンは被害の大きかったエリアから優先的に、各地域の住民の方々の状況に合わせて、毎回異なる場所で実施されています。具体的な場所の選定などは、町内の被害状況をまとめたデータを元に、被災した集落をよく把握している支援関係者のご協力をいただきながら、地域の部落長さんや地元の方々と調整して行なわれています。


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「ゆあしす号」を見学に来たこども園の園児たち

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生活支援相談員の発案で子どもたちに「ゆあしす号」の飾りを作成してもらった

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岩泉町の子どもたちの飾りがいっぱいの移動サロン


当初、ADRA Japanの岩泉町支援は、雪解けの4月頃までを目途に進められてきました。しかし、現地から、これまでの活動の現状を踏まえてサロンバスの活動を発展的な形で延長したいという要望が寄せられていました。関係者間で協議を重ね、今後の活動の展開などを考慮した結果、ADRA Japanは岩泉での現地の皆さんを主体とした支援を、来年3月まで延長させていただくことに決定しました。

今後、まちの地域おこしを目的にした地元主体の長期的なコミュニティづくりや、被災した方々としなかった方々との間や、仮設住宅に移り住んだ方々と同じ地域に住み続ける地域住民の方々との間のコミュニティの再構築なども必要になります。

ADRA Japanは引き続き、岩泉町で必要に応じた支援を継続していきます。皆さまのあたたかいご支援をお願いいたします。

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地元婦人会の皆さんと一緒に開催したお茶っこサロン


(執筆:国内事業課 牟田麻起子
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Posted by ADRA Japan at 18:30 | 岩泉便り | この記事のURL