〜やまもと復興応援センターの一日〜震災からまもなく1年を迎えようとしています。
山元町では、月日が経過するとともに支援が減少する一方で、被災者のニーズも時々刻々と変化しています。
こうした状況を受け、山元町の要請を受けた山元町社会福祉協議会は、災害ボランティアセンターの業務と、仮設住宅等の支援活動調整機能とを兼ね備えた総合相談調整窓口として、
「やまもと復興応援センター」を開設しました。
またADRA Japanは、山元町及び山元町社会福祉協議会の要請を受け、昨年11月より
「やまもと復興応援センター」運営支援を行なっています。
やまもと復興応援センターでは、「ボランティア班」と「生活支援班」の2班に分かれて、支援活動を行なっています。
ADRA Japanは、そのうちの主に「生活支援班」と働きをともにしています。
「生活支援班」は、生活支援相談員13名(*1)と支援調整員2名(*2)で構成されています。
今回は、この生活支援相談員(以下、相談員)の活動についてご紹介します。

相談員の活動は、年中無休です。年末年始も交代制で出勤します。
山元町の仮設住宅1,030世帯に対して支援を行なうため、相談員を3チームに分け、1人あたり約75世帯を受け持っています。
Aチーム:3ヵ所(275世帯)の仮設住宅団地を担当
Bチーム:2ヵ所(370世帯)の仮設住宅団地を担当
Cチーム:3ヵ所(382世帯)の仮設住宅団地を担当
少ない人数で、1,030世帯の見守り活動を行なうのは、容易なことではありません。
相談員は福祉のプロではなく、普通の主婦、元学校の先生、定年退職された元営業マンなど、様々な経験の持ち主の集まりです。
しかし、全員が
「山元町のために、被災者のために」という思いを持っています。
中には、自分自身も震災で家を失い、仮設住宅やみなし仮設住宅に住んでいる相談員もいます。相談員は
「震災後、ずっと多くの人に助けてもらってきた。これからは少しでも人のために働きたいと思うし、同じ被災者としても支え合っていきたい」と言っています。
相談員は、県単位で行なわれる研修会の他、ADRAが築いてきた平時からの防災ネットワークを活かした、山元町独自の研修会にも出席しています。
去る2月3日には、(社)中越防災安全推進機構 復興デザインセンター長の稲垣文彦氏をお迎えして、「やまもと復興応援センター生活支援相談員研修会」を開催しました。
稲垣氏からは
「相談員の皆さんは、福祉や保健衛生のプロではありませんし、すぐにそれらの専門性を持つことはできません。しかし、皆さんは長年生きてきている生活(暮らし)のプロです。福祉の専門家などはその分野しか見ることができませんが、皆さんは広い視野で見ることができます。そして、気付いたことを専門家に繋ぐこと。それが皆さんの役割です。自分は専門家ではないから・・・と思わずに、暮らしのプロとして自信をもって活動してください。」という言葉をいただきました。
それを聞いた相談員は
、「自分には専門性がないという不安を抱えながら仕事をしていたので、研修を受けて少し気が楽になった。これからは暮らしのプロとして広い視野で見て、専門家に繋いでいきたい」と言っていました。

研修会風景
相談員が実際に仮設住宅を戸別訪問する際には、様々なトラブルなどを避けるため、必ず2人以上で訪問することや、男性スタッフだけでは訪問しないなどというルールを定めています。
昼間は女性しか家にいない場合もあるためです。
毎日の朝礼では、前日の活動報告のほか、共有しておきたいことなどを各チームリーダーが発表します。
また、毎週金曜日にはミーティングを行い、各自の悩みごとを共有したり、アイデアを出し合ったりしています。
このような研修を通して相談員としてのスキルを磨きつつ、誤解やトラブルを生まないように工夫しながら、住民の視点に基づく活動ができるように努力しています。
2月からは戸別訪問だけではなく、集会所を利用した
「生活支援相談員のお茶っ子サロン」を開始しました。
戸別訪問だとどうしても個人対応になってしまいますが、サロンには平均20名が参加してくださるため、多くの人といろいろな話をすることができます。
男性も参加しやすいように将棋を用意し、将棋の先生にも来ていただいています。

お茶っ子サロン
復興・生活再建の道のりは長いですが、ADRA Japanは「やまもと復興応援センター」とともに、山元町住民の小さな声にも耳を傾け、住民主体の活動を支えていきたいと思います。引き続きのご支援をお願いいたします。
*1)生活支援相談員は、被災された方々の自宅や仮設住宅における「閉じこもり」や「孤独死」を防ぐ『寄り添い活動』を中心に活動しています。また、被災された地域住民が抱える課題を把握し、必要な福祉サービスや生活支援サービスを利用することができるよう、相談や各種サービスの調整を行ないます。
そして、一人ひとりの住民・家族への「個別支援」、地域住民同士のかかわり等をすすめる「地域支援」を行ないます。
基本的には、地域住民のニーズに基づき支援を行ないますが、自立支援を阻害するおそれがあることについては支援をさし控えるなど、留意すべきこともあります。
*2)支援調整員は、支援がこない仮設住宅(地域)をつくらないために、支援が平等に行きわたるための調整を行ないます。主に地域住民同士のかかわり等をすすめる「地域支援」を担当する支援調整員は、生活支援相談員や仮設住宅行政連絡員(住民代表)と密に連絡を取り合って、情報共有及び調整を行なっています。
ADRA Japanは、
「やまもと復興応援センター」に2名のスタッフ(副センター長、支援調整員)を派遣しており、仮設住宅の生活支援を中心とした支援活動を継続しています。
(文責:国内災害被災者支援担当
渡辺日出夫)
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