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ネパール口唇口蓋裂医療チーム派遣(第十一報) [2009年12月08日(火)]
〜「ネパール中の医者に『手術できない』と断られました」〜


ロエシュ・コーシヤ(Loesh Khausiya)ちゃんは、2歳半。
仏教の開祖、ブッダが生まれたとされる場所からほど近い、ルパンデヒ(Rupandehi)郡から来てくれました。




ロエシュちゃんは、上唇や上あごが裂けているのではなく、左の小鼻(鼻翼と言います)が無く、さらに左目の下側のまぶたが小鼻のところに開いた穴に引っ張られてしまっているような状態の、顔面裂の患者さんでした。


ロエシュちゃんの両親は、ネパールではかなり珍しいキリスト教徒です。
教育も10年生(日本の高校生に相当します)まで受けており、さらにお父さんは時折カタールに出稼ぎにも行っているため、この顔面裂は手術を受けさえすれば治ることを知っていました。

実際、両親はロエシュちゃんを連れて、ネパール中の病院を訪れ、手術ができる医者を探したそうです。
しかし、どこの病院でも医師からは「顔面裂で難しい症例だから、手術はできません」と断られてしまい、途方に暮れていたところ、一番最後に訪れた病院のネパール人の小児科医からADRAを紹介してもらい、期待を胸に病院に来てくれました。


ロエシュちゃんの手術は、6時間近くにも及ぶ大手術でした。
ADRAスタッフもその間、手術室で見学をさせてもらいましたが、形成外科の先生がどこから足りない皮膚をつなぎ合わせ、小鼻を作ったのか分からないほどでした。

ある形成外科の先生は、「本来あるはずのものを、あるべき場所に作るためには、どこか余っている場所から持ってくることもあるし、無い場合には何とかして生み出すしかないんだよね」とおっしゃっていました。
言葉で言うといかにも単純なようですが、実際に目の当たりにすると、どうしてそんなことができるのか、と、この事業の手術を見るたびに驚愕させられます。


手術が終わり、次の日の朝の回診で患部のガーゼを外した時、お父さんは驚きのあまり目を丸くして、黙ってじっと自分の子供の顔を見つめていました。
一体、自分の子供に何が起きたのか、理解できないといった様子でした。

一週間ほど経ち、抜糸を終えた頃にはロエシュちゃんの本当の顔を見ることができました。




下の方に落ち込んでいた目は右目と同じ高さになり、小鼻もちゃんとあります。

お父さんは、手術後にこんな話をしてくれました。
「ネパール中の医者に『手術できない』と断られました。一時期、インドに行って手術のできる先生を探し回ろうかと考えたこともありました。日本の先生に手術してもらえて本当に良かったです。過去にどんな顔だったのか、他人に知られずに済むのが嬉しいです。学校にも行きやすいし、将来は結婚も普通にできると思います。」


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今年も、様々な背景を持った患者さんが、ネパール中から集まりました。
医療チームが滞在した約2週間で、手術を受けた患者さんは全部で47人。
この中には、今回紹介したロエシュちゃんの他にも、やけどで顔半分の皮膚がただれてしまった患者さんや、口が横に大きく裂けてしまっている(巨口症)の患者さんなど、口唇裂や口蓋裂以外の患者さんも含まれています。

これまで、学校や村の中などでいじめや差別に遭っていた患者さんとその家族には、これから新しい人生が待っています。
彼らの未来を変えるお手伝いをしてくださった、日本の支援者の皆様、協賛企業の皆様に深く感謝を申し上げます。
そして、貴重な時間を使ってチームに参加してくださった医療従事者の皆様にも、心からの感謝を申し上げたいと思います。
ありがとうございました。



医療チーム集合写真(一週目の金曜日に撮影)


医療チーム集合写真(二週目の金曜日に撮影)


来年も、この事業は継続して実施していく予定です。
引き続き、皆様からのご支援とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

事業の最終報告は、後日ホームページに完了報告書を掲載いたしますので、そちらをご覧下さい。

(文責/写真:須原敦)


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Posted by ADRA Japan at 17:12 | ネパール口唇口蓋裂 | この記事のURL